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 第7回 路地裏のパワー

バッバッ、バーン。ヒュー、ドン。爆竹の音と花火の光が上海の街を揺らしている。2007年2月18日、中国の春節(旧正月)の午前0時過ぎである。上海の街全体が花火大会になったかのように、いたるところで花火が上がっている。決まった主催者がいるわけではなく、個々の市民や会社が自分の金で花火を買って、それを打ち上げている。私のアパートから見える一番きれいな花火は、食堂のおじさんが店の前から上げている。街を歩くと、路地裏で爆竹が炸裂している。とても危ないが、とにかく威勢がいい。町中が轟音に包まれ、すごい熱気である。
思えば、私が中国業務に取り組むきっかけも、路地裏の熱気だった。日本企業の中国投資が増えてきたので、日本の弁護士としてそのサポートをしたいと思った。中国が自分の肌に合うかを確かめるために、北京と上海を視察に行った。1994年の夏だった。上海のガーデンホテル(花園飯店)の裏に路地があり、朝市がたっていた。食材を求める人の群れ。路上では生きた鶏や蛇が売られている。逃げ出した蛙(食用)がぴょこぴょこ跳んでいる。豚肉は塊のまま売られている。緑の濃い不揃いな野菜が山積みになっている。その時、私は子供の頃大阪の路地裏で経験した熱気を思い出した。日本が失ったパワーが中国にある、中国は伸びると感じた。皮膚感覚だった。私はそれから中国業務に邁進した。
あれから中国は発展した。上海を訪れる日本人は高層ビルを見上げてしきりにカメラのシャッターを切っている。私の業務範囲でいえば、法律もほとんど整備された。中国の発展をこの目で見ることができたのは幸せだった。
ところが日本でも高度成長のひずみが起きたように、中国でも様々な問題が起きている。格差、汚職、環境汚染。中国崩壊論も出てきた。ただし、庶民のパワーがある限り、何とか軟着陸するのではないか。爆竹と花火の音を聞いていると、そんな気がする。

[国際貿易 2007年2月27日第1面「今日の話題」より転載]

(射手矢好雄)