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中国で物権法が2007年3月16日の全国人民代表大会(全人代)で可決された。私有財産を国有財産と対等に保護することが社会主義公有制に反しないかというイデオロギー論争があった。国有が原則なのだから、私有財産をそれと同列に保護することはけしからんという議論である。ドラフトが起草されてから制定に至るまで14年の年月がかかった。今回も北京大学の著名な教授が制定に反対の論陣を張っていた。
ただし、物権法をよく読めば、社会主義公有制を基本としており、憲法の枠組みからはみ出すものではない。2004年の憲法改正で私有財産権の保護が規定されたので、今回の物権法はそれに沿うものである。憲法では、都市の土地は国有であり、土地の私有は認めていない。私有財産を保護しても、公共の利益のために収用できるとなっている。今回の物権法でも同様である。もちろん細かく分析すれば、宅地の使用期限の自動延長が認められるなど、物権法に若干の進展はある。しかしながら、土地制度について天と地が引っくり返るような変化はない。この内容であれば可決されて当然である。
それでは、今回の物権法にはどのような意義があるのであろうか。まずは、中国の法整備が完了しつつあることである。中国では法整備が進んでおり、日本にあるが中国にない法律といえば、物権法と独占禁止法くらいであった。このうちの一つが制定された。
次に、今回制定された物権法は、私有財産を国有財産と対等に保護するという、理念的な意味がある。物権法の制定により大幅に制度が変わるわけではないが、財産権保護の理念が今後どのように実現されていくのかが注目される。例えば、上海近郊では、工業団地の立ち退き問題が起きている。物権法により、収用が禁止されるわけでは全くない。だが、物権法の制定を機として何らかの変化が実際には出るのであろうか。私は懐疑的だが、一縷の希望を持っている。
[国際貿易 2007年4月2日第1面「今日の話題」より転載]
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