|
中国で労働契約法が2007年6月29日の全人代常務委員会で可決された。2008年1月1日から施行される。2005年から立法作業が始まっていたが、ついに制定された。
立法論的に興味深いのは、草案(ドラフト)が公表されこれに対し多くの反対意見が表明されたことである。例えば、第一ドラフトに対しては20万件近い意見が寄せられた。労働者の権利を過度に保護しているという企業側の意見が多かった。結論的には多くの意見は無視されたが、受け入れられた意見もある。中国の立法だからとあきらめないで、外資として意見を言うことが大切である。
さて、労働契約法の内容であるが、労働者を保護したものなので、使用者には厳しい点が多い。これまでの中国での労務管理が通用しないケースが出てくる。例えば、今までは1年毎に雇用契約を更新していき、その労働者が不要になれば契約を更新しない(すなわち首にする)場合もあった。新しい労働契約法では、期限付きの契約を2回結んだ労働者は、3回目には期限のない雇用契約(実質的には終身雇用)を要求できるようになった。中国では正式雇用する前に試用期間を設けることがある。今までは試用期間中はいつでも解雇できた。新しい労働契約法では、雇用に適さないという証拠がなければ試用期間中に解雇できないことになった。解雇といえば、中国では解雇する時に労働者に経済補償金を支払わなければならないが、労働契約法はその金額を明確にした。ペナルティも厳しくなった。例えば、労働契約は書面にしなければならないが、一か月以上これを怠ると給与の2倍を支払わなければならない。派遣労働者やパートタイマーも保護される。
中国は世界の工場といわれ、安い労働力が魅力だった。ところが、最近では賃金が上がっている。労働契約法の施行により、コストがさらに上昇するであろう。その中で、合法的で適切な労務管理が求められる時代になった。
[国際貿易 2007年7月10日第1面「今日の話題」より転載]
|