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 第14回 ここはどこ?

「ここはどこだ」、朝目覚めると自分がどこにいるかわからず、不安になることがある。寝ぼけ眼で天井を見る。ベッドの風景を確認する。そうか、今日はこの街に来ていたのだとやっと納得する。奇妙な感覚である。職業病かもしれない。

私が日本と中国を往復する生活を始めて10年以上になる。1998年に北京事務所を開設して、初代の代表者になった。東京に戻ってからも中国出張が多かった。2005年に上海事務所を開設して責任者になった。東京の事務所での会議や大学での講義がある。少し前までは毎週のように移動していた。非行少年ならぬ飛行中年である。今でも月に2回程度は日中を往復している。

さらに、中国の中でも移動がある。弁護士なので案件があればどこにでも飛んで行く。北京や広州が多いが、北から南まで色々な所に行った。朝の目覚めで一番やばいのは、地方に行ったときである。仕事で疲れたあと、名所を見て旨いものを食べて熟睡する。そうすると頭が真っ白になり、目が覚めたときにどこかがわからなくなる。夢を見ることもある。西安に行った時には兵馬傭を見て高揚した気分だったせいか、夢の中でシルクロードを闊歩したかと思うと、東京にトリップして仕事をしていた。

さて、日中国交正常化35周年を記念して、2007年9月29日から東京の羽田空港と上海の虹橋空港を結ぶシャトルが飛び始めた。私も利用している。東京の家から上海のアパートまで、5時間30分で着く。住んでいる場所にもよるが、私にとって羽田は成田よりも圧倒的に近い。上海の住まいは浦西にある。2つの都市がますます近くなった。

便利になったことを実感しながら、上海の高層ビル街にある私のオフィスに着くと、窓から新鑑真号が見える。神戸と上海を2泊3日で結ぶ船である。辻原登の「ジャスミン」という小説にも登場した。船旅も捨て難いと妄想がふくらむ。

今夜はどんな夢を見て、明日はどう目覚めるのだろうか

[国際貿易 2007年10月10日第1面「今日の話題」より転載]

(射手矢好雄)