文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第3回)

日時
平成29年9月15日 (金)
14:00~16:00
場所
文部科学省東館15F特別会議室

議事次第

1開会

2議事

  1. (1)クリエーターへの適切な対価還元について
  2. (2)その他

3閉会

配布資料一覧

資料1
対価還元の手段に関する検討(351KB)
資料2
私的複製補償金制度に関する近年の諸外国の動き(236KB)
資料3
私的録音補償金管理協会 平成28年度私的録音補償金分配の流れ(51.8KB)
出席者名簿(55.5KB)

議事内容

【土肥主査】本日,出席を予定されておられます委員の方々は皆,おそろいでございますので,それでは始めさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。

それでは,ただいまから文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第3回を開催いたします。本日は,お忙しい中,御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。

前回までは御欠席だったんですけれども,今回より小寺信良委員にも御出席を頂いておりますので,御紹介させていただきます。小寺委員でございます。

【小寺委員】小寺でございます。よろしくお願いします。

【土肥主査】また,今回は前回,話題に上がりましたところの私的録音補償金の分配,支出実績等について御説明を頂くために,一般社団法人私的録音補償金管理協会の事務局長,小林則夫様においでいただいております。本日はどうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

【私的録音補償金管理協会(小林)】よろしくお願いします。

【土肥主査】議事に入ります前に,本日の会議の公開についてでございますけれども,予定されております議事内容を参照いたしますと特段非公開とする必要はないように思いますので,既に傍聴者の方には入場していただいておるところでございますけれども,この点,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方々にはそのまま傍聴いただくことといたします。

それで,本日の配付資料の確認を事務局からお願いしたいと存じます。

【堀内著作物流通推進室長補佐】配付資料につきまして,御説明をいたします。

本日,配付資料といたしましては,3点御用意させていただいておりまして,資料1といたしまして,対価還元の手段に関する検討,資料2といたしまして,私的複製補償金制度に関する近年の諸外国の動き,資料3といたしまして,私的録音補償金管理協会,平成28年度私的録音補償金分配の流れの3点でございます。不備等ございましたら,職員までお申し付けくださいますようお願いいたします。

【土肥主査】ありがとうございました。

初めに,議事の進め方について確認をしておきます。本日の議事は,(1)クリエーターへの適切な対価還元について,(2)その他,このようになっております。

早速議事に入りたいと存じます。クリエーターへの適切な対価還元につきましては,前回に引き続き,対価還元の手段について検討を行いたいと思っております。

前回は,対価還元の三つの手段,すなわち補償金制度,契約と技術による対価還元,クリエーター育成基金におけるそれぞれの強みや課題,留意事項等について意見交換を行ったところでございます。今回は,前回に引き続きまして,それぞれの手段について,さらなる検討を行いたいと思っております。

初めに,事務局と小林様より資料の説明を頂き,その後,意見交換を行いたいと思っております。

では,事務局より資料1と2について御説明をお願いいたします。

【白鳥著作物流通推進室長】資料1をごらんください。こちらの資料は前回の会議で御提示した資料に,前回頂きました御意見を反映し,充実して,今回,御提示をさせていただいているものであります。

資料1の1ページは,前回と基本的に変わりません。

2ページをごらんいただきますと,この会議で主に取り上げられている三つの手段につきまして,まとめて提示をさせていただいております。

実質的に追加等があるところは3ページ以降になります。前回の会議におきまして,各手段についてのメリット,デメリットといった観点から幅広く議論を頂きました。それを踏まえまして,特に制度の全体に関わるような,ある種,総合的な御議論を頂きましたので,こちらを3ページの一番上にありますとおり,各手段について,基本的考え方というくくりで整理をさせていただいております。

なお,7ページ以降に各論といたしまして,前回御提示をさせていただいた,各論点に対応した先生方の御意見を整理させていただいております。

まず,全体の基本的な考え方に関わるところについて,先生方の御意見,どのようなものをお出しいただいたかを整理しておりますので,3ページのところからごらんいただきたいと思います。

一番上に主な論点ということで整理しております。強みと課題は何かといった観点,そしてまた,課題につきましては,解決のためにどのような方策が考えられるか,また,その際の留意点は何か,各手段の組合せも考えられるかといった提示をさせていただいております。実際,こうしたことに関わって前回,御意見を頂いておりますので,そうした意見を列記し,また事務局の方で集約させていただきました。

3ページの真ん中のところですけれども,まず,補償金制度につきまして,四角囲みになっているところは,委員の先生方からの御意見をこちらで要約させていただいたものであります。これからの事務局の説明では,資格囲みに沿って概略を御説明申し上げます。

補償金制度につきまして,強みですけれども,一つ目のパラグラフです。私的複製に関する広範な権利制限,そして補償の均衡を実現したものが補償金制度であるといったことであります。そして,課題の一つ目のところに納得感についての課題提起を頂きましたので,そちらを記載しております。ただし,この点につきましては,強みの二つ目のところにありますとおり,一つは諸外国においては補償金制度が維持されているという点についての言及があり,また,納得感が乏しいという指摘の解決にも関わる話ですけれども,課題の二つ目のところにあります分配の観点,そして協力義務者の位置付けといったところが,納得感に関わる論点ではないかということでございます。

次の手段が4ページになります。契約と技術による対価還元の手段であります。強みのところですけれども,一つ目のパラグラフです。利便性が高くなれば,その利用料として支払うということは消費者として受け入れられるという御指摘。そしてまた,契約と技術による対価還元に関しては,特に配信音楽について,より妥当する領域と言えるのではないかという御指摘です。それから,契約自由の原則についての御指摘も頂いております。

他方,課題につきましては,私的録音に対する対価については,もともと補償金制度というものがある以上,対価の上乗せを契約に盛り込んでいくことは困難ではないかという御指摘。そして,4ページの一番下ですけれども,一律の対価上乗せは,私的録音の可能性のないユーザーにも負担を課すということで公平性を欠くことになるのではないかという御指摘です。5ページの一番上に移りますけれども,図書館貸出しCD,そしてまた無料提供のコンテンツを想定した場合には,価格上乗せは困難ではないかという御指摘です。

それから,三つ目の手段,クリエーター育成基金につきましては6ページになります。こちらにつきまして,一つ目のところですけれども,ほかの手段で限界があるとした場合には,クリエーターの育成などに舵(かじ)を取った対価還元を志向すべきではないかといったことと,併せまして育成基金ということで,新たに基金を造成するといった場合のほかに,私的録音録画補償金の分配,支出方法としても,こうした趣旨を生かし得るのではないかといったお話も頂いております。

以上が全体に関わる御指摘を要約させていただいたものでございます。

次が7ページ以降,各論についてでございます。

まずは補償金制度からです。主な論点のところは表現につきまして,前回の委員からの御指摘を踏まえて,より中立的,客観的な記述ぶりに修正したこと以外は,内容について実質的な変更はございません。

意見につきまして,どのような意見を頂いたかというものが8ページ以降です。補償金につきましては,1,対象機器・記録媒体についてということに関わりまして,これまでに出された主な意見の四角囲みのところですけれども,まず,私的録音録画に供される機器が現在,全て対象となっているかというとそうではないのではないか,実態を反映させるべきだという御指摘が一番上のところです。次のパラグラフにつきましては,汎用機器を補償金の対象とすることは,私的複製を行わない消費者にまで補償金を課すこととなり,納得感が得られにくいということが二つ目です。三つ目が政令指定方式という,指定方式に関わっての御指摘でございます。四つ目につきましては,制度の特性としてラフ・ジャスティスという見方をしていただいておりますけれども,ラフ・ジャスティスという観点を踏まえたときには,汎用機器を更に指定対象にしていくことは,果たして正当化できるかどうかといった御意見を頂きましたので,そちらを入れております。

続きまして,10ページです。2と書いてある補償金の支払義務者等についてでございます。こちらは二つ意見を整理しております。一つ目ですが,支払義務者等ということで,今は事業者が協力義務者とされているが,一般的な国際的理解としては,機器や媒体の製造業者にある程度の義務を課すという形での補償金制度があるのではないかということであります。

二つ目のパラグラフですが,制度,著作権法の立て付けとして,まず,私的複製があるということで,私的複製を行うのはユーザーだということでありまして,ユーザーの行為を飛ばして,いきなり事業者について支払義務を位置付けることは困難ではないか。また,新しいサービスであるクラウドサービスも含めて考えていくと,義務の主体について,どのように位置付けていくかという部分では実効的な運用等の難しさも論点として出てくるのではないかということであります。

続きまして11ページ,3,分配についてです。一つ目が,補償金制度につきましてはもともと強みのところでもあり,また観点としてはラフ・ジャスティスという言い方もされるところに関わる話でありますが,もともと,個人個人の実際の利用実態を把握しないという前提で補償金制度は成り立っているわけでございます。その意味で,分配について課題という御指摘を頂いておりますけれども,実際の分配に当たりまして,その際に勘案すべき利用実態でありますが,どのように推定していくかの合理性が重要だといった御指摘を頂いております。

また,クリエーター育成基金については,補償金制度における共通目的基金の改善の是非にも関わるという御指摘のほか,分配の現状について確認が必要という御意見を頂きました。現状については,資料3として,後ほど御説明を頂くことになっております。

続きまして,12ページです。契約と技術による対価還元でございます。これまでに出された主な意見のところです。現状は価格設定などがどういうふうにされているかという指摘であります。私的複製に係る対価というものは,現在の契約での対価には含まれていないという御説明でございました。それから,二つ目のパラグラフでございますけれども,適切な対価還元というのは,ビジネスモデルによって担保されるべきだといった御意見でございます。

最後でありますが,13ページ,クリエーター育成基金です。これまでに出された主な意見ということで,関係者の合意の下に,日本のコンテンツ国際競争力を向上させる仕組みを作ってはどうかということと,クリエーター育成の使途については,補償金の分配の方法に関するバリエーションの一つとして捉えるべきではないかという御指摘でございます。

以上が,前回までの御意見を集約して整理させていただいた資料になります。

続きまして,資料2について,概略を御説明いたします。

これまでの会議において,最近の諸外国における補償金制度についての動きに関して情報提供をということで御意見をお寄せいただいておりましたので,今回資料2として提出させていただくものでございます。出典につきましては,資料2の一番下にございます,WIPOにおける調査結果を紹介させていただいております。

この報告書においては,特に最近の動きについて紹介されており,その多くはEU諸国が対象になっております。EUにつきましては,資料2の一番下にEU指令というのがございまして,第5条の2(b)というところですけれども,私的複製については,公正な補償を受けることが条件となっているというものがございます。EU指令に沿って,EU諸国ではそれぞれの制度が構築され,運用されているという状況におおむねございます。

ただ,特徴的なところを御紹介いたします。資料2の一番上にあるイギリスでございます。2014年,つい最近ですけれども,私的複製の権利制限規定が最近,著作権法の改正により作られたというものであります。ただ,私的複製の対象は,個人が所持する複製物等に限られておりまして,他人からの貸与等によるものの複製は権利制限の対象になっていなかったようでございます。そういう意味で,限られた範囲での複製ということが恐らく念頭にあって,補償制度というものが,その際には設けられていない形で私的複製の権利制限規定が導入されたところがイギリスの動きとしてございました。

ただ,その後,裁判が起こりまして,イギリスの裁判所の判断におきまして,先ほど御紹介したEU指令との関わりで,それに違反するものだとされました。補償金を伴わないというものに関して,私的複製規定は無効だと,そのように判旨されたということでございます。そういう意味では,私的複製の権利制限規定はなくなり,恐らく今はフェアディーリングという,私的学習等の限られた利用目的の下で,公正な利用を認めているという制度が,もともとイギリスはございますけれども,その範囲内で対応することに戻っているのではないかと思われます。

ほかの国につきましては,先ほどのEU指令におおむね沿った形で運用されていると考えられます。また,この会議でも少し出ておりました,クラウドにつきましては,多くの国についてはこれからの重要な論点でありまして,全体として,方向性について明確な結論が出ているという流れでも,必ずしもまだないということであります。

ただ,オーストリアについては,そういう意味では,明示的に紹介がございました,そこは議論が進行中であると。そして,フランスにつきましては,補償金の対象となっているといった動きが紹介されております。

次の2ページをごらんいただきますと,また若干特徴的な動きとしまして,スペインとフィンランドの紹介がございます。こちらの国は補償金制度から国家予算で補償を行っていくシステムに切り替えられたという動きが最近あったところと聞いております。フィンランドにつきましては,それで運用されているということですけれども,スペインにつきましては,そうした国家予算による補償システムが一旦導入されたのですが,スペインの最高裁の判決により,そうしたシステムは無効だとされたということであります。基本的に,私的複製に必ずしも関わらず,全ての納税者からの負担を原資として補償するというシステムはいかがなものかという観点で,このような無効判決がされたということでありまして,2017年中に解決策を探り実施したいと書いてありますけれども,つい最近の情報では,また補償金制度に立ち返る方向であるとも聞いております。

このほかには,ポルトガル,オランダ,リトアニアスロバキア等は先ほどの大きな流れの中にあるわけですけれども,他方で,欧州司法裁判所におきまして,私的複製の範囲について幾つか争われたところがあるようでありますけれども,基本的に,違法なソースからの複製は私的複製の権利制限の範囲外だと明示されたということで,オランダを始めEU諸国では,こうした判断に沿って,国内法の整理等をされていると承知しております。

一番下には,ナイジェリアの動きがあります。アフリカにおきましても補償金制度についての導入の動きもあるということの紹介であります。

それ以降のページにつきましては,WIPOの報告書に入っております各国の状況について紹介されておりますので,御参考までに載せさせていただいております。

説明は以上でございます。

【土肥主査】ありがとうございました。

それでは,引き続き,資料3につきまして,小林様より説明をお願いいたします。

【私的録音補償金管理協会(小林)】私的録音補償金管理協会,以下sarahといいますが,事務局長の小林でございます。

分配の状況ということで,直近の平成28年度における私的録音補償金の分配の流れについて,簡単に御説明いたします。資料は購入者が支払った補償金をsarahが徴収し,必要な管理手数料を控除し,共通目的事業に回る分を控除した上で,権利者に分配する流れを御説明するもので,1ページ(1)と2ページ(2)の2枚構成になっております。(1)は平成27年度に出荷された対象機器及び記録媒体に係る補償金で,翌年の平成28年度に受領し,sarahから構成3団体へ分配する流れです。2ページの(2)は構成3団体から権利者へ分配する流れです。

まず,(1)購入者からsarahまでの流れですが,対象機器及び記録媒体の販売価格に補償金が上乗せされており,輸入業者やメーカーが購入者から購入時に支払われた補償金を直接,又は電子情報技術産業協会,JEITAを通じてsarahに支払うもので,平成28年度は枠にありますように,5,358万4,331円となりました。

なお,図の中で輸入業者,880万5,294円とメーカーの中の5社直接2,908万2,710円とあるのが,記録媒体に係る補償金で,合わせて3,788万8,004円でした。また,メーカーの枠の中のJEITA経由とありますのが,機器に係る補償金で,JEITAを通じ,sarahは一括で1,569万6,327円の支払を受けました。ちなみに,このときの機器1台当たりの補償金は平均で632円。また,記録媒体1枚当たりの補償金は平均で1円13銭でした。

次に,上から3番目の枠,sarahからの流れですが,sarahは受領した補償金5,358万4,331円から,徴収・分配,共通目的事業等を実施するための手数料である管理手数料10%を控除します。規定では20%以下と定められておりますが,毎年度残余金が生じますので,それは翌年度の分配基金に繰り入れ,全て構成3団体へ分配しております。

そして,図では共通目的事業の枠と,その下に権利者分配基金の枠として示しておりますが,管理手数料を控除した後は,共通目的事業への支出は著作権法104条の8で2割以内と政令で定めることとなっており,著作権法施行令57条の6で2割と定められておりますので,共通目的基金20%と分配基金80%に分けられます。

まず,基金から支出される共通目的事業ですが,全ての権利者に共通した利益に資する事業ということで,著作権及び著作隣接権の保護に関する事業や,著作物の振興及び普及に資する事業等のために支出することとなっており,平成28年度は自主事業として冊子,教師のための著作権講座や生徒のための著作権教室の増刷や研修会などへの配布等を行い,第二種助成事業として,一般公募事業29事業について助成を行いました。一般公募事業は社会全体が文化的な創造性を持ち続けていくために,音楽,芸能に関わる創造活動及び創造環境の整備を目的とした活動に対し,広く一般に助成するための助成事業です。

次に,権利者分配基金ですが,受領した補償金から管理手数料,共通目的基金を控除して権利者分配基金となり,図の一番下にある構成3団体に分配し,団体を通じて権利者に分配されます。資料は次の(2)に移ります。図の一番上に記載してございますが,sarahから前年度管理手数料の残余を加えた構成3団体への分配総額は4,490万1,925円でした。これはsarahが平成28年度に受領した5,358万4,331円,先ほど出てまいりました受領したものですけれども,それの83.8%に当たります。

続きまして,著作権者の分は日本音楽著作権協会,JASRACに言語の著作物に関わる分配基金1.5%を合わせて36%,実演家の分は日本芸能実演家団体協議会,芸団協へ32%,レコード製作者の分は日本レコード協会へ32%分配しております。

sarahから構成3団体に分配業務が委託されており,3団体は分配報告書を提出する義務があり,各団体から毎年度報告されております。構成3団体は,それぞれの分配規定に基づき,手数料などの控除や前年度繰入れの基金等の戻入れをした後の分配資金を権利者に分配しております。3団体の平成28年度の分配資金は図にありますとおり,JASRACは1,532万7,391円,分配先数は7,373人。日脚連は63万8,735円,分配先数は261人。芸団協は1,382万3,074円,分配先数は1万2,611人。レコード協会は1,282万8,325円,分配先数は594社となっております。

簡単ですけれども,以上をもちまして,補償金の分配の流れについて説明を終わらせていただきます。

【土肥主査】小林様,どうもありがとうございました。

ただいま御説明がございましたとおり,資料1は事務局においてこれまでの議論を整理していただいたものということでございます。本日は,資料1を踏まえ,また資料2及び資料3も参照いただきながら意見交換に移りたいと思いますけれども,特に資料1の3ページ,主な論点の二つ目にありますとおり,各手段についての課題がある場合に,課題を解決するためにはどのような方策が考えられるのか,また,その際の留意点は何かといった観点を中心に積極的に御発言をお願いしたいと思っております。

私的録音録画補償金の問題は長年にわたり,議論を積み重ねてきた課題でございますし,是非ともここにいらっしゃる皆様方の英知を結集して,今年度中に一定の方向性を得られるように建設的な議論に向け,御協力をお願いしたいと思っております。

なお,先ほどの事務局及び小林様から御説明がありました資料につきまして,御質問がある場合には,これからの議論の中で適宜お願いしたいと思っております。

本日の議論につきましては,資料1を参照していただきつつ,いわゆる三つの手段の全てを通して,皆様から御意見を伺いたいと思っております。資料1では,基本的な考え方と各論の二つに分かれておりますけれども,これは当然ながら密接に関係するところでございます。

そこで,これからの時間は便宜上,三つの手段,補償金,契約と技術,それからクリエーターの育成基金,これら各手段につき,一応順番で御意見を頂きたいと思いますけれども,特にそれぞれの手段について,課題は何かということと,その解決に向けた方策について御意見を頂戴したいんですが,それぞれの手段はお互いに補完するところもあり,関連するところもあるわけでございますので,関連する範囲内においては,例えば,補償金制度の議論の中で契約と技術といったことに言及していただくことも構いませんので,是非積極的に御発言を頂きたいと思っております。

では,まず,1の補償金制度について,御意見をお願いしたいと思います。

【榊原委員】補償金制度にということだったので,資料3への質問も含めてよろしいですか。

【土肥主査】どうぞ。

【榊原委員】御説明ありがとうございました。幾つか資料3について御質問させていただきたいと思います。

1枚目の真ん中あたりに,管理手数料20%というのがございますけれども,その下の方の権利者分配基金の中に前年度管理手数料残余金等を加算と書かれているのは,どういうことなのか御説明いただきたい。それから,めくりまして裏面で,二,三段目あたりですけれども,三つの団体が各団体で分配手数料と書かれているんですけれども,この手数料が団体によってまちまちですけれども,以前の手数料のパーセンテージと随分違うように記憶をしているので,いつどういう理由で変更されたのかとか,どのぐらいの頻度で変更されているのか。それから,同じ場所で,例えば,真ん中とか右側の団体で,クレーム基金戻入れとか,右側の箱でもクレーム基金戻入れとか業務手数料残高戻入れとか書かれていて,金額が書かれていないんですけれども,分かれば金額も教えていただきたいと思います。

ここまでが質問でして,ヨーロッパとかの御説明資料についても続けて……。

【土肥主査】どうぞ。

【榊原委員】指摘をしたいと思うんですけれども,まず,イギリスについての御指摘ですけれども,最後の行に「私的複製に係る権利制限規定を全体として無効」と書かれているんですけれども,これは改正部分についてだけで,きょうは録音の話ですけれども,録画のタイムシフトは,もともとそういう条文が存在して,そこは今も有効ではないかと思いますので,記載を正確にしていただきたいと思います。それから,EU指令違反というところもEU離脱になるとどうなるのかというのが疑問なので,ここは現時点ではこれでいいのかもしれませんけれども。

それから,資料全体の引用はWIPOにおける調査結果だとおっしゃったんですけれども,WIPOがやったとなると,非常に中立的な,客観的資料のように思いますけれども,これはオランダの権利者団体,sarahとかSARVHの団体が調査をしているということなので,利害関係人による調査であることが分かるように正確に書いていただきたいと思います。

それから,2ページ目のスペイン,フィンランドの国家予算のところで,ノルウェーは何で抜けているのかなということです。

同じ資料の参考のところで,2枚目の一番下に「主要国について抜粋」とありますけれども,30か国中22か国が抜粋されているんですけれども,まず,アメリカは主要国なんですけれども,ないということで,選択についてどうなのかと思いますので,正確に書くなり主要国をちゃんと抜粋を頂きたいと思います。

それから,同じ資料の1ページ,2ページで,主要国以外にも,例えばリトアニアとかスロバキアとかナイジェリア,いろんな国が掲載されているんですけれども,例えば,制度があって機能する,徴収の仕組みがない国とか,ブルガリア,スロバキアですけれども,エストニアとかアイスランドも対象の追加がなくて,補償金の徴収コストの方が高くなっていることもきちんと掲載していただきたいと思います。

今のところは御説明いただいた資料についてはそのぐらいで,資料1は前回の発言を掲載されたということなんですけれども,両論併記をお願いしていたと思いますので,そこは引き続き,御検討をお願いしたいと思います。

【土肥主査】ありがとうございます。それでは,御質問の順番で小林様からお願いできますか。

【私的録音補償金管理協会(小林)】お答え申し上げます。

まず,1枚目の中段,管理手数料額の話でございますけれども,それに先立ちまして,次のページも併せて御説明しますと,管理手数料という文言の枠の中,右上に「徴収・分配及び共通目的事業等を実施するため業務手数料」と書いてありますけれども,これは同じことでございます。管理手数料は業務をするための手数料ということで同じで,2ページ目の先ほどの分配手数料,上から2番目の枠に各団体の分配手数料の料率がありますが,これは同じ意味合いで,そのための手数料。ここは分配手数料と文言を統一しておりまして,そして,一番右の枠,レコード製作者の中の分配手数料の四つ下にあります業務手数料残高戻入れも同じ意味合いの管理手数料,あるいは,業務に対する手数料と,中身は全部同じでございます。

では,最初に戻って御説明をいたします。まず,管理手数料は毎年度,残余は絶対出ることになります。なぜかと申しますと,少なくとも予算立てをするときに,ある程度価格を見積もっておかないと,一般公募事業には,その前におたく幾ら,おたく幾らという予算を組みます。いざ,補償金が入ってきたときに,予定よりも入らなかった場合には,公募事業に対して,あるいは,様々な事業に対して実施するお金がなくなってしまいますので,予算はやや固めに。そうすると,実際入ってくるのは,それより若干多くなってきますので,そこから20%という形でやりますと,少なくとも,その差違は残余として出ると。なおかつ,事業や管理費につきましても,少なめに実行される,多少オーバーするものもありますけれども,基本的には少なく実行されると,その差違も合わせて余りが出ると。しかし,その余りにつきましては,sarahのものになるわけではないので,それは翌年に必ず構成3団体に分配するという形になります。

そして,分配する部分が先ほど権利者分配基金にある,御指摘のありました,前年度管理手数料残余金等加算と,この残余金はそれを言っているものでございます。前年度の管理手数料の残余は,翌年の補償金と合わせて分配するというのを,ここで表現しているわけでございます。

それから,2ページ目の件でございますけれども,分配手数料の料率につきましては,各団体,それぞれ規定に基づいて決められておりまして,確かに当初,一昔前,例えば5%とかという団体もありましたけれども,補償金の額がだんだん減ってくると,それに5%掛けていてはとても賄いきれないものになるというところで7%なり8%,10%上げてきた経緯もある団体もございます。パーセンテージにつきましては,各団体の決めでなっております。

それから,次のクレーム基金というのは二つございますけれども,これは決して,クレームというよりは,例えば構成団体に加入していなくても,私は権利があると手を挙げた権利者,そういった過去の分とかというものに対して,今,分配してしまってお金がありませんというわけにはいきませんので,一定率を残しておいて,権利を主張されて認められた方に払う分ということで残しておりまして,これにつきましても,単年度精算でございまして,余った分は間違いなく翌年の権利者分配に乗せて分配するという意味合いがありますので,ここではそれぞれ前年度クレーム基金戻入れという形でプラス要因になっているものでございます。

それから,一番右のレコード製作者の業務手数料残高戻入れも,業務手数料を10%と決めておりましても,実際のところ,余った分は権利者に分配しなくてはいけないので,それを戻し入れているということでございます。この金額でございますけど,毎年度違っておりまして,申し訳ございません,28年度は記憶にないものですから,今,数字を申し上げることはできません。これは毎年,戻入れはあります。もし必要であれば,数字を出すことは可能でございます。レコード協会にお願いして出していただきます。

ざっと御説明しましたが,これぐらいでよろしいでしょうか。

【土肥主査】いいですよね。ありがとうございます。それでは。

【白鳥著作物流通推進室長】資料2につきまして,まず,イギリスでございますが,タイムシフトについての御指摘を頂きました。これは,フェアディーリング以外に具体的な規定があるという御指摘でしょうか。その辺りを確認させていただいた上で,適切であれば,追記は可能ですけれども。ただ,全体を通じまして,冒頭,御説明申し上げましたとおり,WIPOの報告書の中で,特に特色ある動きとして紹介されているものを要約し,転記をさせていただいたのが,こちらの資料になりますので,イギリスについては,御指摘の事項についての記載はなかったところです。

それから,ノルウェーが抜けているのはなぜかと,予算措置の関係で御指摘いただきましたが,これもWIPOの報告書において個別の記述があったのがスペイン,フィンランドであったので,このようにしておりますが,ただ,参考と書いてある3ページの表の中には,「国費(補償金なし)」というくくり,補償金額の算定方式の一番上の欄には,ノルウェーも明示されておりますので,御指摘については,こうしたところも御参照いただければと思っております。

そのほか,この資料について,今後使用していく場合には御指摘事項にも留意したいとは考えております。

【土肥主査】よろしいですか。

【榊原委員】よく分からなかったんですけれども,例えば,主要国のアメリカが抜けているとか,明らかにおかしいなと思うわけです。ですから,選択される際には,中立公正にお願いしたいと思います。

【土肥主査】アメリカを入れなかった理由は何かあるんですか。WIPOの調査の中には,米国は入っているということですよね。

【白鳥著作物流通推進室長】はい。

【土肥主査】入っていますよね。それは,落とした何か積極的な理由はあるんですか。

【白鳥著作物流通推進室長】最近動きがあるわけではないという以上に積極的な理由があるわけではありませんが,状況について申し上げますと,補償金額については,全体の金額の推移や,1人当たりの金額については,基本的に日本と同じような傾向にございます。今後,資料については,御指摘を踏まえて反映したいと思います。

【土肥主査】格別な理由はないみたいなので,例えば,1人当たりの徴収額とかというところに関しては,欄としては余裕があるので,可能であれば,入れておいていただいた方がいいのかもしれません。また,そのあたりは御検討いただければと思います。飽くまでも参考ということで挙げていただいております。

御質問が出たわけでありますけれども,御意見の方も,もしよろしければ頂きたいと思いますが,御意見はいかがでしょうか。どうぞ。時間の枠の中でいろいろ御発言いただければと思いますが,いかがでしょうか。

きょうはどういうわけか御発言が少ないんですけれども,私的録音録画補償金の制度ということに関しましては,なかなか納得感の問題とかが出てきておりまして,かなり強く指摘を受けているところでありますけれども,そこの根源というのは,ラフ・ジャスティスという,そもそもこの制度はそういうところからスタートしていると,そういうところにあるんだろうと思うんです。

じゃあ,ラフ・ジャスティスを克服するところはどこなのか,つまり,しばしば音楽配信がよく出てくるわけでありますけれども,こういう部分に関しては,もっと技術の進歩を活用した制度を導入できるんじゃないか,つまり,実際の権利者とユーザーとの間の直接的な契約ができるんじゃないかということがよく主張されたりするわけでありますけれども,こういう点についても,是非御発言いただければと思いますけれども,いかがでございましょうか。

世古委員,お願いします。

【世古委員】今,お話がございましたように,特に音楽配信については,技術的に制御することが可能ではないかということですが,これまでも整理してきたように,ダウンロードについては一旦機器にダウンロードされた楽曲が二次的,三次的に複製されることで私的複製に対する補償の問題が生じるが,一方のストリーミングについては,複製ができないという仕組みになっているので私的複製の問題は生じないという前提がございます。

その上で,ダウンロードという形態について見たときに,ダウンロードをする際には1曲ごとに課金するシステムがあるので,私的複製をする場合もそのシステムを活用して課金できるのではないかということだと思います。

技術的な部分でできるかどうかというのは専門家ではないので分かりませんけれども,そのような技術的な問題とは別に,現行の30条を前提とした制度として考えますと,消費者が私的に複製することについては無許諾で行えることになっているのに,コンテンツを取得する際に私的複製することの対価を上乗せして払うということは,前提が違ってくる話になりますので,それは難しいのではないかと考えております。

以上です。

【土肥主査】この点,ほかに御意見ございますか。高杉委員,どうぞ。

【高杉委員】補償金制度のところの課題で,納得感に欠けるということが前々から言われておりまして,ここでは分配の観点とか,あるいは,製造業者を協力義務者としている点にフォーカスが当てられていると思いますけれども,納得感という意味からいうと,制度自体,あるいは,自分が買った対象機器に幾ら補償金が入っているか明示されていないことが,恐らく一番の根本の問題ではないかと私は思っています。

補償金の説明については,メーカーさんの方で,対象商品のパッケージ,あるいは使用説明書に入れていただいてはおりますけれども,なかなかスペースの関係もあり,理解されていないということがありますので,どうしても小売店頭での告知とかがないと,一般の方々は分からないんじゃないかと思っております。

フランスなどでは対象商品を買うとレシートの中に補償金の額が表示されているということでありますから,自分が対象機器を買った場合に,幾ら補償金を払っているかが明確に分かっております。ですから,そういう形が日本でも取れれば納得感が得られるんじゃないかと。そういう意味では,小売店の方々にもいろいろな形で協力いただかないと制度の周知がなかなかできないんじゃないかと思っております。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。ほかにございますか。いかがでしょうか。龍村委員,どうぞ。

【龍村委員】これは質問ですけれども,例えば,フランスという例が出ましたけれども,参考資料を見ますと,日本と比べて300倍ぐらいになるのでしょうか。大変な差があるのが実情だと思うのですが,納得感という意味では,ヨーロッパ諸国ではどのような受け止め方をされているものなのでしょうか。何か参考となる御説明があれば,お伺いしたいと思います。

【土肥主査】事務局にお尋ねということですか。

【龍村委員】はい。

【土肥主査】事務局において,ヨーロッパの利用者の方々の納得感について,何か情報があればお願いできますか。

【白鳥著作物流通推進室長】すみませんが,現時点で情報を持ち合わせておりません。

【土肥主査】なかなか難しいですよね。松田委員,お願いします。

【松田委員】松田です。前回,納得感につきましては議論がありました。ヨーロッパにおいても納得感が得られていないのだという発言が2名の方からあって,日本においてをやという趣旨だろうと思います。しかし,日本は今,制度として事実上,補償金が機能していないというのは,必ずしも納得感の問題ではなくて,政令指定の問題であるのでしょう。

それで,私はそのときにヨーロッパにおいて,国民全体が納得感が得られないということで,補償金制度が機能していない裁判例があるのか,ないしは,そういう制度が崩れているようなところがあるのかと質問したら,多数ありますという発言があったわけです。しかし,その多数は,判決でひっくり返って,制度が動かなくなった事案ではなくて,訴訟があったという事案になっています。これは議事録を見てもらえば分かります。

そこで,果たして国民の納得感という視点で,この制度を捉える議論をするべきではないことは明らかではないでしょうか。先般も言いましたけれども,払う方は100%納得なんかなかなかできませんよ。だけど,他の要素からこの制度を設けなきゃいけないかどうかという点こそが本質なのです。

設けなきゃいけないという制度的理由というのは何かと言いますと,現行のデジタルコンテンツ流通と私的複製のボリュームからいったら技術の問題があるわけですけれども,私的複製をそのまま放置しておいて,何らの補償金も掛けないときには,ベルヌ条約上のスリーステップテストから,違法状態が生じるのではないかという考え方が基本にあるのです。だから,スペインの場合においても,その制度を外して,一度国費でそれを賄おうとしたときに,裁判所はそれは駄目だと言ったわけであります。スペイン全体の金額のところの表を見ていただければ分かりますし,スペインの裁判例のところを見ていただいても分かるかと思います。

イギリスの私的複製について権利制限規定を全体として無効とする判決については,少し日本と制度が違う点は確かにあるんですが,スリーステップテストとの関係において,このまま放置していると権利侵害が生じているということで,欧州の裁判所はこの制度を導入しなければならないと考えているのです。大方の国はそういう考え方に立って,それは国民が納得することがなかったとしても,やらざるを得ないという状況なのではないかと思うわけです。

【土肥主査】ありがとうございました。ほかにございますか。小寺委員,どうぞ。

【小寺委員】先ほどの龍村委員の御質問に関して,一部の御回答になろうかと思うんですけれども,ヨーロッパの場合には,例えば,機器に補償金が係っている場合を想定していただけるといいかと思うんですが,録音機器を各国で作っているかというと,必ずしもそうではなくて,ほぼ主力なのは日米韓国あたり,アジア地域だったりするわけで,ほとんど輸入品という形になります。あるいは,外資系の会社の資産ということになります。ある意味,そこで補償金が働いているということは,法的な根拠を持って,何らかの外資を獲得して,自国内の文化振興に当てているという政策的な側面があるものですから,その点においては,龍村委員の一部の御回答になるのかなと思います。

【土肥主査】松田委員。

【松田委員】ヨーロッパが日本の機器を輸入して,なお補償金制度が維持されているという状況において,日本は世界中に機器を売っていて,もちろん日本国内的にも日本機器が圧倒的に売られていて,言ってみますと,そういう技術面においては,デジタルコンテンツの複製技術や高度な仕様技術については日本がリードしていることになりましょう,世界の市場で生きているわけですから。

そのことを考えますと,そういう市場を形成している一方において,ただ,機器を購入しているヨーロッパにおいて補償金制度が維持され,そして日本では維持されていないということは,この点を考えますと,随分バランスを失していると考えるのです。むしろ日本の機器に課金してもいいのではないかという発想が日本から生まれてもいいのではないかと,私は思います。

【土肥主査】ありがとうございました。そのほかにいかがですか。丸橋委員,どうぞ。

【丸橋委員】質問です。納得感の一部に透明性があると思いますが,分配先,7,373人、1万2,611人、594社との数字の中身についてまで公開はされていないんでしょうか。例えばJASRACからの分配先7,373人という数字は,直感的には大変少ないような気がしてしまうんですが。

【土肥主査】小林様,この点,少ないというのは,総額が少ないんだろうと思うんですけれども,どうなんでしょうか。

【私的録音補償金管理協会(小林)】少なくとも,この年は恐らく一万七,八千人の受け取る権利者がJASRACさんにいるわけです。分配の対象になった曲数に絡んでくるわけで,その対象になって分配された方が,この年は7,373と。これは著作権者もあり,出版社もありというところでございます。

【土肥主査】納得感の問題なんですけれども,いわば30条というのは補償金を付けて権利制限をしているわけですけれども,技術の発展を受けて契約のレベルに戻すことができるということは,権利者からすると許諾権に戻すということで,別に悪いことではないと思うんです。つまりその限度ではそれはいいことだと。

ただ,それが本当に可能なのかどうか,例えば,世古委員がおっしゃったように,配信の段階ではなくて,そこから先の2次,3次のところの複製が問題になるわけで,そこが本当に技術によって可能なのかということなんです。技術によって,もしそれが可能だったら,それは十分考慮に値できるわけですけれども,要するに,30条のスコープがあって,音楽配信の部分が技術によって可能であれば,そこはもう外して,残りの部分は補償金でやるとかということは当然できるわけですけれども,そもそも音楽配信の2次,3次の複製について,技術でそこが契約のレベルに戻すことが本当にできるんですかということについてお話しいただければ本当に助かるんですけれども,可能なんでしょうか。それは依然として難しいんじゃないかと私は思うんですけれども,いかがでしょうか。

【松田委員】私が技術のことを言うのもおかしいのですが,もし技術が完璧にできて,そして複製に関するコントロールを権利者ができるという状況になれば,この世の中にあるのは適正な私的複製と,全く違法な,要するにDRMを介さないで複製をする私的複製と2種類しかないということになります。この状態になったとき,私的録音の補償金はゼロになるべきです。

【土肥主査】ゼロにはならないですよ。残りのコントロールできない部分は30条が当然,1項,2項が適用されるわけだし。

【松田委員】完全に私的複製もDRMでコントロールできる,権利者がコントロールできる,すなわち,許諾の下に私的複製をする社会と,それから,それを全然介さないで違法にやる複製と,この2種類しかなかったとしたら,30条があってもそれに基づいて適法に複製をするという部分はなくなるのではありませんか。で,あるならば,私的録音については少なくとも補償金をゼロにする。それは毎年毎年の検討で,データをとっていって検討すべきだ。これはかつて私は言ったことがあります。DRMが進むのであればそうすべきだと。コントロールができるんならそうすべきだと。そして,先生が言うところの残る部分がどうなのかということの割合を出して,数値を出して,私的録音の補償金の額を,パーセンテージを決定していくべきだという意見を言ったことがあります。私の最初の意見は極論ですけどね。でも,そういうゼロになる世代というのは,技術的にないわけではないと私は思っていますけど。

【土肥主査】それが現実の話として,今できるかどうかですよね。

【松田委員】今は無理でしょう。

【土肥主査】無理ですよね。昔,華頂委員が言われたチャリンという課金システムができれば,アプリか何かでできるようなことができれば考えられるのかもしれませんけれども,できないのであれば,私的複製の30条とそこを担保している2項というのはセットで考えざるを得ないのだろうとも思います。だから,技術で可能になるのかどうかというところが御説明いただけないのであれば,当然,30条1項をなくしてしまうというのだったら別なんですけれども,30条1項を残す限りは2項の補償というものがついてくるということだと思います。

大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】私も今主査が言われたのと似たような感覚でおります。要するに私が以前発言したのを全く逆に捉えられているようで大変に心外なのですが,私は,一ユーザーとしては現在のこの非常に日本的な,広範に,ある種憂いなく,後で法的責任を問われる心配なく,この30条1項の満たす範囲であれば自由に複製ができていろいろな活動ができるというのは大変に良い制度だろうと思っております。先ほど言われたように技術的に課金が可能かどうかという話は必ずあるかと思うのですが,仮に100%技術的に可能だとしても,先ほどどなたか言われたとおり,権利制限の30条1項がなくなって完全に一個一個の複製に課金するというのは,結局許諾権になるので,恐らく,ごく普通のユーザーとしては誰も欲していないように思います。プライバシーの問題なのか何かは別として,重要なのは憂いなく適正な範囲の複製ができて,一々課金なのかプライバシーの公開なのか分かりませんけれど,そういうことなくして複製できるという点が非常に重要な点なので,そこをなしにして,利益の話だけにしてしまうというのは,単なる技術論というか,30条1項の基本哲学に非常に反しているような感じがします。

それから,前回から気になっていたのですが,要するにここでやっているのは,クリエーターにしっかりと対価が還元されるということで,これは単なる議論ではなくて法制度は全部そうですが,きちんと実効的に現実にクリエーターに利益が還元されるということが実現されなければならないのであります。その関係で,三つ手段が挙げられていて,ややもすると二律背反的にこれかあれかという議論になりがちなのですが,今回の資料の3ページを見ると組み合わせも考えられないかということで事務局の方で整理されています。要は最終的には30条1項的な憂いのない自由な複製ができる状態が維持できた上できちんと一定のリターンがクリエーターに行くということが実現できればいいので,そのためには,法律か契約かと余り二律背反的に考えるべきではないと思います。

著作権というのはもともと準物権的権利であって物権的な話なのですが,物権も常に契約と結び付きながら,ライセンス契約などと結び付いて結局は利用者のためにも権利者のためにも機能している。そこを契約だけあるいは物権だけとしてしまうのは,理論のための議論としては面白いと言えば面白いのかもしれませんが,かなり極端な話だと思います。物権も契約も技術もいろいろ駆使しながら,どうすれば好ましい状態が実現されるのかということを現実的に考えると,ある種混ぜ合わせ的というかいろいろなものを組み合わせたような方策しか現実的な解としてはないのであって,余り極端な形のものというのはそれこそ議論のための議論になってしまい,誰のためにもハッピーでない状態になりますから,そこのところはよく考えた方がよいのではないかと思っております。そのような意味では,やはり30条の基本を崩し出すと話がめちゃくちゃになってしまいます。そこはピン留めして動かさないようにしないと議論が変な方に行ってしまいます。今まで10年間議論が停滞してきたのに,最近は30条1項と逆転するような方向に議論が行きかねないので,そこのところはきちんとピン留めをすることが重要ではないかと思っております。

【土肥主査】はい,じゃ,岸委員どうぞ。

【岸委員】関連する話を紹介しておきたいんですけど,松田委員が最初におっしゃった納得感の問題の部分,実は私も賛成でして,類似の例を紹介しますと,電力の世界で毎月の電力の請求をじっくり見ると再生エネルギー賦課金というものが入っているんですね。これは何かといいますと,再生エネルギー,太陽光とか風力の普及が必要だよねということでこの賦課金という制度でそれに伴う負担,要は発電コストが高いものを安く売るために必要なお金をみんなからとっていますと。これ,実は毎年値上がりしていまして,現状,各家庭から月680円かとっておりまして,今後更に上がっていくんですけれども,当然,国民は大半の人は納得感がないと思います。再生エネルギー賛成の人でも高いところいっています。

やっぱりこういう納得感というのは,実はそういうのを考えますと,納得感が得られないと難しいよねと言ってしまうのはなかなか僕は厳しいよなと思っていますので,この補償金制度の議論に関して根本原因は納得感に欠けている。原因の一つは納得感がないというのは当然なんですけれども,これが本当の根本かというのはよく注意した方がいいよなと。

その点で,先ほど大渕委員がおっしゃったことに僕もすごい大事なポイントだよなあと思っていまして,例えば,さっきの再生エネルギー賦課金とかは何のためにやっているのか。これは飽くまで再生エネルギーの普及という政策目的の実現のための手段としてやっているという観点から考えますと,この30条1項のそもそもの目的というのを考えたら,やっぱりそれはこういう補償金か契約かというので割り切れる問題ではなくて,やっぱり30条1項が本来目指した達成したい政策目的,その観点からしっかり制度の在り方を考えていくということをやらないと,若干間違えてしまうのかなというのを,今,類似の制度でエネルギーの世界が混乱しているものでして,その観点から思いました。

【土肥主査】ありがとうございます。30条の2項の目的というのは,もちろん権利者の正当な利益を不当に損なわないように,損なうおそれがあるのであればそこをきちんと補償するというところなんだろうと思いますけれども,今頂いているいろいろな御意見の中で,その透明性の問題,納得感と関係する透明性の問題を,きょう小林様に来ていただいてよく説明を頂いたので,恐らくこの点についてはいいのではないかなというふうに思います。

あと,納得感の問題との関係で言うと,今,特定機器についてのみ政令で指定されているんですけど,当然,技術の進展との関係から言うと汎用機器との関係が出てくるわけですが,対象機器を広げるべきかどうかという点について御意見いただけますか。あるいはその対象機器を広げるということとの関係で,協力義務者の問題がありますよね。協力義務なのか,法律上の義務なのか,そういうふうなことなんですけれども,この点についていかがでしょうか。

はい,松田委員。

【松田委員】協力義務について意見を述べたいと思っています。

現在の法のたてつけから言いますと,30条の2項で私的複製をする者が一定の機器を使う場合については補償金の支払義務があるという規定になっていて,そして104条の5で,機器メーカーないしは媒体のメーカーは協力する義務があるという規定ぶりになっているのです。指定管理団体が補償金を請求する場合には,その機器のメーカー等が支払の請求及びその受領に関し,協力しなければならないという規定になっているんです。

この二つの条文から,かつての訴訟では機器メーカー等は飽くまでも自然債務を負うようなものであって,努力義務しかならないのだと主張しました。具体的な金銭の請求権としては104条の5と併せて考えてもならないのだという考え方でした。これに対し,協力請求権は,金銭債権として生じるのだという考え方が弁論上はあったやに聞いております。私も記録を若干読ませていただいていましたから,そういう主張があったことは聞いております。

こういうことの議論ができないようにするべきだと思います。制度があって誰が支払うか分からないような規定ぶりを条文に残しておくということ自体がおかしい。もちろん,先の裁判はそのことによって請求棄却になったわけではありませんが,そういう議論があったことは間違いありません。私は,特定機器,又は特定記録媒体の製造,又は輸入を業とする者は支払義務があるとはっきり書くべきだと思います。誰に対してかと言えば,指定管理団体に対してです。指定管理団体が債権者になるという書き方をすべきだろうと思います。

そうすると,おのずと30条の2項の複製をする者の義務というものは残しておいていいかどうかという議論は生じるかと思います。あってもいいのではないかなというふうに私は思っています。

【土肥主査】ありがとうございました。

この点,いかがでございますか。御意見を頂けますか。

椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】協力義務の話ではないのですが,土肥先生の方から対象機器を広げることについてはどうかというお話があったのですが,これは従来の補償金制度というのは必ずしも補償金を徴収する対象が,実際のユーザーが行う複製の状況とは必ずしも結び付かない,そんなようなところからもラフ・ジャスティスというような言い方があるのかもしれませんが,確か蓋然性という言葉を使っていたと思いますが,ユーザーが私的複製に使う蓋然性ということで,その専用機器,媒体を対象にしてきたということだと思います。必ずしも一対一でユーザーが行う複製実態とリンクしたものでなければならないというふうには思わないのですが,今は複製の主体は,明らかに専用機器媒体から汎用機器にもう移行してしまっている。仮に,汎用機器にまで対象を増やさない制度を再構築したとしても,恐らく補償金制度自体のボリュームはゼロというようなことになると。そうすると,何から何までシラミ潰しにということではないにせよ,少なくともユーザーの行う私的複製の主戦場となっている汎用機器周りのものというのは対象になっていかないと,制度自体が形にならない気がいたします。

【土肥主査】華頂委員,どうぞ。

【華頂委員】今の椎名委員の意見に更に付け加えたいのですけれども,資料2の諸外国の動きを見ていますと,パソコンとかタブレットとかスマートフォンが対象として追加されている国が非常に多いのではないかと。ここでも行われている汎用機器という定義があるわけですけれども,それに対して,こういう国々でどういうふうな議論があって追加指定されているのかというのを,もし調べられれば調べていただきたいなというふうに思います。

以上です。

【土肥主査】すみません,今のは御質問なのですか。

【華頂委員】ああ,そうです。調べていただければ。

【土肥主査】事務局において,今の御質問をお願いできますか。

【白鳥著作物流通推進室長】現時点で,このWIPOの報告書でその背景まで直接触れられていなかったものですから。ただ,可能な範囲で,もし分かるようであれば確認したいと思っております。

【土肥主査】状況としては,日本もそれ以外の国においても複製をどのような機器や媒体でやっているのかというところは変わらないんだろうと思うんですよね。ですから,むしろその辺のことについては事務局よりも榊原委員の方が詳しいんじゃないかと思うのだけど,何か御存じのことありますか。特にないですか。

【榊原委員】正確には答えられないです。

【土肥主査】正確には答えられないということなので,ラフでもよかったんですけれども,しかし状況としては余り変わらないんだろうなというふうには思います。

今は日本の制度を考えておりますので,昭和45年,1970年に30条ができて,それから約25年たってデータ録音機器の問題が出て補償金が入り,そのときどういう議論をやって特定記録媒体にしたのか。それからまた約25年たって今日を迎えているわけですね。その間に,例えば今から25年前の状況と違うところが出てきたのかということが,およそ合理的に判断すると特定機器,あるいは汎用機器,あるいはそれぞれの媒体についてどういうふうな対応をするのが適切なのかというのはおのずから結論が出そうだと私は思います。

松田委員,どうぞ,お願いします。

【松田委員】おのずと機器の範囲が判明してくるのではないかという主査の御意見なのですが,それはまさしく単なるデジタル化じゃなくて,通信を介してメディアと複製機器が一体化している,簡単に言えばスマホですよね。

ところが,スマホは本当にそこに全部音楽をためているかというとそうじゃなくて,そういう方法もあるのかもしれませんが,どこかのサーバーに格納されているわけですね。そこで,できれば椎名委員に聞きたいのですけれど,その機器が発展していって,クラウド的な使用方法になったときにどこまで押さえるかというのが,正に近い将来のというか現代と言った方がいいですよね,現代の機器媒体をどう考えるかというところの最大の問題だと思うのです。

【椎名委員】この整理の中に,クラウドまで広げた場合にステークホルダーが違うから,それはまた一つ大きな話なんじゃないですかという御意見がありますが,それはそのとおりだと思っています。ただ一方で,タイプ2のロッカーサービスは私的複製だという整理がされていて,その部分のケアというのが課題になっていることはなっていると思います。ただ,この全く機能しなくなってしまっている補償金制度を再構築するに当たって,そこまでいきなりアクセスできるのかというと,それは現実感として様々な先生方がおっしゃっているように,余り現実的ではないのかなと僕個人は思っております。

制度の対象とするものを現実的に選択していくということは,我々権利者としても考えていかなければならないことだと思うし,その先のことはその先のことで,今後どういうサービスが隆盛を極(きわ)めて,どういうものがメインに育っていくのかというような状況を見る中で考えていく必要があると思うし,だとすると,これから考える制度はそういった時代の流れにある程度対応できるような部分を持った制度である必要があるのかなというふうに思います。

【土肥主査】龍村委員,どうぞ。

【龍村委員】話が戻るかもしれませんけれども,協力義務の問題から申しますと,恐らく私的録音録画補償金制度ができた頃の時代背景とか,あるいはものの発想方法からして,私的複製をする行為者に支払義務を課するという素朴な整理から始められたのではないかと思うわけですが,それは,行為者であると同時に,受益者であると見られた。当時はその受益者としては一番,直接行為者のところが目立ったということで,行為者であるとともに受益者負担からの観点から言っても行為者を捉えることが分かりやすかったし,それで足りたという時代だったのではないかと。

しかし,受益者負担ということで言うと,今の時代で受益者を考えた場合に,実質,受益をしているのはどこなのかというと,例えば製造機器メーカーさん,あるいはサービス提供事業者さんの存在が社会的に巨大で,そのあたりの受益が無視できないものになっているとすると,行為者だけを受益者とすることは素朴すぎて,時代の実態に合わなくなっているという理解も可能だと思うんですね。そういう見方から当時のこの私的録音録画補償金制度ができたときの整理,すなわちメーカーさんが協力義務者に落ちついたという整理と,今の時代に見直した場合は多少違ってくるのではないかという気がいたします。そういう見方からの整理というのも一つ必要なのではないかと。

それから,専用機器,汎用機器という区分の問題ですけれども,これは確かにかなり硬直的な基準であろうと感じられます。皆さんもそう感じていると思いますけど,オール・オア・ナッシング,100かゼロかであって,その間にグラデーションがいろいろあると思うのですが,それが全て捨象されている。汎用機器でもかなり私的利用に供されているものも当然あるはずですし,その利用の比率に応じて物を考えていく,使用実態に応じてと言ってもいいのかもしれませんが,そのような扱いをしようというのは,全く自然な発想であって,その意味で,専用,汎用という区分はもう耐えられないものがあるのではないのかと。では,どういう基準でやるのかというのは今後の議論なんでしょうけれども,恐らく個々の機器ごとに使用実態を踏まえて,例えばパーセンテージ的に考えていくとか,そういうようなゼロ・100基準ではなくて,程度に応じた柔軟な基準といいますか,そういうものに組み替えていかなきゃならないのではないかと。その意味で全ての汎用機器が一応俎上(そじょう)にのって,それぞれについて評価を加えていくというような何らかのプロセスが組み込まれた制度,そういうものを設計していかなければならないのではないかということだと思います。

【土肥主査】ありがとうございました。

その点に関しましては,実態調査も予定されておりますので,実態調査を踏まえて,今,龍村委員もおっしゃったところあたりは,再度考えたらいいんじゃないかなというふうに思います。つまり,そのグラデーションの問題等々も含めてですね。

それから,支払義務者との問題点はヨーロッパでも議論になっていまして,おっしゃるように複製するのは個人だけれども,私的ユーザーだけど,支払義務者はメーカーであるというのははっきり,結構最近の裁判所の判決なんかを見ても出ておりますので,恐らくそれは龍村委員がおっしゃったような考え方を背景にした結論なんじゃないかなというふうに思います。

ありがとうございました。次に,2に入りたいと思うんですけれども,1の点について……,はい,どうぞ。

【河村委員】ありがとうございます。

手を挙げていたのですが,なかなか指していただけなかったので随分戻って申し訳ないですけれども,資料3のところで先ほど丸橋委員がされた質問に関して,私も同じような質問をしたかったんですが,お答えの方が今一つよく分からなかったので,教えていただきたいんですが, 7,373人とか1万2,611人とか,そういう分配先,金額を決める計算式というか,そういうものについて教えていただきたいと思います。

それから,続けてヨーロッパのWIPOの資料について何人かの方もおっしゃっていますけれども,最近の動きというのはもちろん大切ですが,最近動きがないとここに載ってこないわけで,現状がこの表から分かるわけではないと思うんですね。それで先ほど来から,PC,タブレット,スマートフォンという言葉が何回も出ますけれども,この参考のところに載っている国々を見ると,日本以外はそれを作っているような国は出てきていないなというふうに思いますので,先ほど小寺委員がおっしゃったように,自国以外の機器メーカーからお金を取るという構図がうかがえると思います。

それから,先ほど来から出ているいろいろな先生方からの意見について申し上げたいんですけれども,もちろん全部契約になってしまえばいいのかって,そんなことはユーザーは望んでいないだろうと,もちろんでございまして,そもそも私,きょうは大渕先生も30条1項はフィックスすべきとおっしゃっていただいたのでよかったです。

【大渕委員】私,前回もそう申し上げたつもりなのですが……。

【河村委員】ともすると,何か30条1項はなくなっていいのか的な御意見が時々出てくるので,そうではなくて,そもそもこれの議論の始まりは私的複製に対してどのような対価の還元の仕組みが必要なのか,あるいは必要でないのかということです。補償金に反対するなら私的複製の自由がなくてもいいということですねというと,全く議論の土台が違ってくるので,きょうは改めて確認できてよかったと思っております。

それで,契約のところで先ほど来配信のこともいっぱい出てきていますけれども,配信に上乗せするという意味だけではなくて,何度も繰り返して申し訳ないですが,マルチデバイスというのが許されていて,そもそもマルチデバイスに入れられる前提の契約で,ここで言うところの対価の還元の俎上(そじょう)に上ってこない中でマルチデバイスで聞いている人も多いですし,若い人たちの中にはPCそのものを持っていない人も多いですし,あと申し上げたいのは,大量の複製とおっしゃいますけれども,サーバーの中にあるとおっしゃいますけれども,かつてはレコードを棚にいっぱい置いていたとか,CDラックにいっぱい持っていたという代わりに,自分がお金を払って買った音楽がサーバーに並んでいることが,クリエーターに不利益を与えるだろうかというふうに私は思うわけでございます。

以前も申し上げましたが,対価の還元が厳密に言うと必要となるようなケースが,全くないというふうには申し上げないですけれども,繰り返しますと,そういう部分というのはどんどん減ってきているというのが私の実感でございます。かつてのようにMDとか,CDとかにいっぱい複製してコレクションのように持っていたような時代では今やないので,やっぱり実態に合わせたルールが必要で,しかも,片や技術的にコピーを制御するということもかつてよりもずっと簡単にできるようになってきて,それをかけることは事業者さんの自由であると。片や対価の還元のためにこういう機器には幾ら幾ら払えみたいなルールになるというのは,ユーザーとしては非常に不公平であるというふうに思っております。

最初の質問に答えていただけたらと思います。

【土肥主査】質問のお答え。じゃ,お願いします。

【椎名委員】いいですか。

【土肥主査】どうぞ。

【椎名委員】人数が少ないということに関して御質問あったと思うんですが,それより先にこの下の分配はどうなっているのという御質問があったと思います。取りあえず,うち芸団協CPRAは,全体の金額を放送と市販録音物と貸しレコードという三つのジャンルに分けまして,それぞれの放送で使われたデータ,それから市販録音物のデータ,それからレンタルされたデータ,それらを使って分配を行うということをやっています。

それで人数の話ですが,データと分配金の関係ということで申し上げると,分配金のパイが非常に大きかったときは裾野が広がるんですね。何でかというと,様々なデータに出てくる権利者さんでこういった金額を案分していくんですが,データには出てきても金額が1円に満たないという人が出てくるわけです。全体の金額が減れば減るほどそういう人が増えて分配対象者がどんどん減ってくるということになります。その結果,芸団協CPRAでは,この年の分配対象者は1万2,600人になったということです。

【世古委員】JASRACですけれども,椎名委員と状況は同じです。分配するためのデータといったものは,当然ながら私的使用した消費者からデータをもらえるわけではありませんので,その私的複製のソースとなった放送,オーディオディスク,貸しレコード,これの全量のデータを基に分配計算を行っています。

人数についてですけれども,今,椎名委員からありましたように,一人当たりの分配額が1円に満たない場合は分配できないということと併せて,JASRACでは分配対象者として7,373人とありますが,その内訳には個々の著作者と音楽出版社という法人があります。音楽出版社については,そこから更に個々の著作者にも分配されますがその人数は分かりません。

それと,ここには書いておりませんけれども,JASRACと相互管理契約を締結している海外の団体があり,平成28年度の私的録音分配補償金は54団体に送金していますが,そこから何人に分配されたかということも分かりません。JASRACで具体的に分かる分配先として7,373人ということであって,実際に補償金が分配されている人の数はこれだけではありません。

私の方からは以上です。

【高杉委員】レコード製作者も基本は同じでございまして,私的録音源別に,放送からの録音と,購入レコードからの録音と,貸与レコードからの録音にまず分けまして,基本的には私どもはレコードの出荷,正味出荷金額のシェアで分配をしております。貸与レコードであればその貸与ルートに出荷されたレコードの金額のシェアで分配しておりますし,購入レコードであれば,貸与レコードを除いたレコードの正味出荷シェア等で分配をしております。

それで分配先が,私どもも,もちろん会員会社だけではなくて,こちらにありますように594社が28年度の分配を受けたレコード製作者ということでございます。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】手短に申し上げます。主体の話と対象の話,両方なのですが,まず主体の方は,細かい話をし出すと切りがないのですが,やはり最終的には実効性がある制度が必要であり,現在は実効性がないので,現にリターンが行かない制度というのは駄目だろうということであります。その関係で,先ほどラフ・ジャスティスという言葉が出てきて,これは昔からそう言われていますが,私は本当はコレクティブ・ジャスティス,集合的正義ではないかと思っております。30条1項以前の話だと個別に許諾権でやっていくのですが,その思想は超えて許諾なしで使えるということになっているので, 30条1項の前なら,一対一対応というか,複製者とやるしか,そのような発想しかないのでしょうが,既にコレクティブ・ジャスティスの話になっているので,先ほど言われたのに関係してくるかと思うのですが,誰が負担するのが一番公平か,ないしはこの制度目的を達するには適切かという観点が重要となってきます。この観点からすると,受益者負担,すなわち受益している者が払うというのも十分に一つの在り方であると思います。このように,30条1項的な思想で考えていくと,複製者が払うという発想しかないというのとはおのずから話が違ってくるのではないかというのが1点であります。

それから,もう一つの対象機器の方は,やはりこれも法の基本なのでしょうが,等しきものは等しく扱うということであります。要するにボリュームから言えば汎用機の方がよほど私的複製に寄与している面もあることも多いわけですが,今のままならば一律に形式的な処理となるが,実質で考えていくということがここだけやられていないのは非常におかしい。実質に合わせて形式的には区別せずに,どなたか前に言われたとおり私的複製に寄与しているような機器であれば対象にして,それぞれに応じた,先ほど言われたように個別に算定だけ考慮していけばよいのですが,そこで一定の制限を掛けて一定のものをいわば形式的に外すというのは,この公平の観点にも合致しないので,そうなってくると答えはおのずから明らかになってくるのではないかと思っております。

【土肥主査】ありがとうございました。

補償金の分配の問題は御関心も高いと思うんですけれども,クリエーター育成基金との関係なんですけれども,クリエーター育成基金という一つの選択肢が出ているわけですが,現在の補償金の分配でも20%の割合に関しては,そういうクリエーター育成という部分に限定されていないわけではありますけれども,共通目的事業という観点から出ているわけですよね。例えば,その共通目的事業との関係で,ここを今の20%から更にそういう部分も含める形は考えられませんか。

【椎名委員】更に。20%から……。

【土肥主査】更に積み増すということです。

【椎名委員】20%を変えるという……。

【土肥主査】だから,今は共通目的事業ということで20%入っていますけれども,クリエーター育成という観点から,第3の柱ではなくて,第1の柱の中で考えることはできないか。共通目的事業の中で考えることはできないか。足りなければ,それを積み増すことは可能かというお尋ねです。

【椎名委員】はい。積み増すかどうかは別にして,共通目的事業とされているものをこのクリエーター育成基金の精神に合致させるものとして捉え直すということは可能だと思います。

その場合に,何度か発言しているんですが,一応,私権を制限されている権利者に対する補償金だということで,その割合とかという話については,権利者の意思というものがすごく大事になってくると思いますので,そこら辺で権利者が合意すれば……。

積み増しについては僕だけが答えられるわけじゃなくて,やっぱり権利者の意思に基づいて何%みたいなことを決めていけばいいんじゃないかと思います。

【土肥主査】もちろん,そういうことだと思います。

松田委員,どうぞ。

【松田委員】クリエーター育成基金の問題になりますので,私の疑問といいますか,意見を言っておきたいと思います。クリエーターの育成基金ができたときに利益を受けるのは誰かというと,権利者ではありません。これから育つ将来のアーティストです。そういうことがいいのかどうなのかというのは,若い人を育てるんだから,文化を発展させるんだから新しい創作に寄与することになるんだからいいじゃないかって受け止めやすいですよね。そこに流れる可能性があります。権利者に配分する制度を権利者以外のアーティストに使用するという問題があるのです。

でも,この問題は実を言うと,実演家と作詞・作曲家。JASRACとレコード協会というよりは業界が取りまとめているアーティストの方々が,将来そういう人たちが育つための基金をここから拠出して良いよねという総意が形成されるのかという問題であるように思うのです。それがあるのならば私は大賛成で,20%の枠を超えて10%ぐらいプラスしてあげたらいいのではないかなと思っています。業界で総意をまとめられれば,反対する理由はありません。

【土肥主査】ありがとうございます。

御関係の団体の方,今何かおっしゃることができる部分があれば,お話しいただければ……。高杉委員,お願いします。

【高杉委員】もともとこの共通目的基金自体も,その使途がクリエーターの育成に使われていないかと言えば必ずしもそうではないと思っていまして,現在でもそのようなものに一部助成とかの形で使われているというふうに認識をしております。そういう意味では,クリエーター育成のために一定額を拠出するという考え方も当然とり得るというふうに思っておりますし,もともと共通目的基金の支出自体もsarahの中に共通目的委員会というのを作って,権利者だけじゃなくて有識者とメーカーさんの方からも委員を出してもらって支出先を決定しておりますので,そちらに消費者の方にも入っていただいて,透明性を高めて支出をするという枠組みを作れば,より皆さんに御理解いただける制度になるんじゃないかというふうに思っています。

【土肥主査】世古委員,どうですか。

【世古委員】管理団体としては,使用料を徴収しそれを権利者に分配するということを使命としているわけですけれども,それ以外にも著作権思想の普及ですとか,音楽文化の発展のために独自に費用を拠出して事業を行っていることがあると思います。

その上で,利用された楽曲を特定しにくい私的複製について,権利者への対価は確保した上で,日本国民全体の文化の発展に寄与していくということはそもそも権利者の望むところですので,現在も既にある共通目的基金を新たにクリエーター育成基金というようなことに組み替えていくということについては,賛成したいと思っております。

【土肥主査】ありがとうございます。

この点,ほかの委員の方々はいかがですか。よろしいですか。大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】先ほど,各方策につき二律背反等的には考えずに組み合わせるということを申し上げました。一つは契約との関係もありますが,これは共通目的基金に上乗せした分だけ分配が減るとなると,そのあたりは微妙な線があるかと思いますが,ただ,これも一つのコレクティブな発想で,必ず権利者に行くわけではなくて,現に共通目的基金に行っているという,もう既に一個一個の発想を超えたコレクティブな話になっているというところが出ていると思います。その上でクリエーターの皆様の総意として,一部は,当該クリエーター御本人ではなくて,将来のクリエーターのために行った方がいいということも十分考えられるので,そこのところはやはりゼロと100ではないというように出ていましたが,今でも20%は共通目的基金だし,80%は分配されているというように,もともと組合せ的なことになっています。そこは,最後は文化の発展のためにどうしたらいいのかという目的のためには,やはりきちんとリターンはクリエーターに行くし,将来のクリエーターのためにもなるという,トータルな発想が必要になってくるのではないかと思います。その中の一つの表れが,このクリエーター育成基金というもののようですが,実は共通目的基金の一部のような形になるのではないかと思われます。

【土肥主査】ありがとうございます。

今,49分なんですけれども,河村委員からちょっと出たんですけど,いわゆる音楽配信の部分については,コレクティブな部分があるとおっしゃっているわけですけれども,そういう音楽配信の部分に関してそういうところがある,そういう部分があるというのを30条から切り離して制度を作り上げるということは可能なんでしょうか。

【河村委員】制度というのは補償金の制度のことでしょうか。

【土肥主査】ええ。補償金とは切り離して,要するに音楽配信の部分に関しては,私的複製の対価をいわば契約の中に織り込んでいくことは可能かということです。

【河村委員】すみません,私の理解では,ここでヒアリングもしましたけれども,マルチデバイスはそもそも契約の中に入っているので,そこに私的複製というものが生じていないという実態があって,そのような使い方をしている人がかなり若い音楽ファンの中に多い。私が言っている趣旨は,皆さんが,ものすごい数の複製がそれもどんどん増えていると。特に10年前よりもすごく増えているんだとおっしゃいますけれども,そういう使い方をしている人の中には,まず私的複製をしていない人がいると。スマートフォンや他のポータブル機器を持っていても私的複製をほとんどしない使い方をしている人がいるという意味で申し上げています。何か既定路線のように機器の拡大はどうすればいいかというふうに議論の流れがなっていますけれども,そもそも世の中のお金を払って音楽を聴いている人たちの私的複製数というのが,音楽の聞き方からして本当の意味ではそんなに増えていっていないと。サーバーの中にあるものも,CDラックの代わりにそこに音楽を買ったものが入っているということであれば,それを全部イメージ的に大量な複製というような形で言われていることに対して意見を申し上げています。私的複製の中に入らない。若い音楽ファンの使い方がありますねという意味で。

【土肥主査】入らないというふうに考えてもいいんですけれども,マルチデバイスに関しては外してほしいということですよね。

【河村委員】外す必要はなくて,もう既に……。

【土肥主査】別なんだと。

【河村委員】外れているのに,立法事実じゃないですけど,PC,スマートフォン,ポータブル機器にたくさんの私的複製が入っているというふうに言われていることに対して意見を申し上げているわけです。

【土肥主査】分かりました。だから,そのマルチデバイスはもともと外れているんだと,30条には入らないと言われるわけですよね。

【河村委員】ここで確認されたと思います。

【土肥主査】うん,だけどそのことは,入らないのであれば,もともと30条の対象にはならないですよね。もともと30条の議論にはならない。

【河村委員】ですから,その対価の還元がされていないことの根拠に,マルチデバイスも含めて曲数ですとかが言われているので,そこに対して意見を繰り返し述べているということです。だったら,そこはもう議論の中からもその分がどれぐらいかは,要するにはっきりは分からないわけですけれども,世の中のこんなに増えているという中から,この議論から抜いていただきたいという意味です。

【土肥主査】分かりました。だから,その辺は実態調査でどのぐらい分かるかというのはあるんだと思うんですけれども,もちろん,入らないものは30条の議論の対象になりませんので,そこはそのように考えていただいていいと思います。30条の私的複製にならないものは当然入らない。

はい,どうぞ。

【椎名委員】マルチデバイスの話をするときに気を付けなければならないのは,例えば代表的なものにiTunesというものがあって,iTunesで購入した音楽は僕のiPhoneでもiPadでも,あるいはiPodでも聞けますよというものがあるんですけど,例えばiTunesというアプリケーションを使ってCDからリッピングした音源も同じような動作になるわけです。そうしたときに,いわゆるiTunesから買った契約の中で動いているものと,CDからリッピングしたものが,全く同じようにiPhoneからiPad,iPodというふうに動いていったときの複製は,正に私的複製にほかならないんだと思うんですね。だから,マルチデバイスを除外するという言い方をしたときに,厳密にはマルチデバイスを前提として販売されたものについては除外されるということはありますけれども,そのiTunesという代表的なマルチデバイスのサービスの全てが除外されるわけではないということを指摘しておきたいと思います。

【土肥主査】河村委員,よろしいですか,それで。

【河村委員】もちろん,そう理解しています。

【土肥主査】そういうことであれば,それは30条の対象になりますよね。だから,マルチデバイスの範囲の外の媒体に記録される,複製されるという場面があるんであれば,それは当然30条の問題ということになろうと思います。

【今子委員】よろしいですか。

【土肥主査】はい,どうぞ。

【今子委員】今,河村委員がおっしゃろうとしていたことを私なりに推測いたしますと,CDからの複製がこれから非常に減っていくのではないかということをお考えになって御発言されたのではないかというふうに思っています。

やはり,先ほど技術でコントロールというお話がありましたけれども,技術でのコントロールだけでなく,契約でのコントロールが増えてくるというふうに考えております。私は,去年か一昨年から「時代の流れに合った制度でなければならない」というふうに申し上げておりまして,先ほど椎名委員もおっしゃっていたんですけれども,将来を見据えた制度であるというのは非常に大事だというふうに思っております。

【土肥主査】ありがとうございました。

マルチデバイスというものの登場によってその私的複製の量が減ってくるというようにもおっしゃるんですけれども,実態調査なんかを拝見すると必ずしもそうは言えない状況が著作権情報センターの調査ではうかがえるように思います。今回,また実態調査を直近のところでやりますので,そこでどういうデータが出てくるのかということは注視したいと思います。確かに契約によって解決される,処理できるという領域が増えるかもしれませんけれども,同等にそういうものにコントロールできない私的複製も増えているという指摘があるわけでありますから,我々としてはその30条の私的複製と,それに対する補償の部分というところについては,この小委で注視していきたいというところでございます。

全体を通していかがでございましょうか。何か御意見があれば伺いたいと思いますけれども,どこからでも結構でございますが,御発言いただけませんか。

【小寺委員】すみません。

【土肥主査】はい,じゃあ,小寺委員どうぞ。

【小寺委員】これから行われるアンケート調査に関して,ちょっと念押しという形で御意見を述べさせていただきますけれども,スタート地点がCDからのリッピングであっても,iTunes Matchのようなサービスだと,音源そのものがクラウドからじかで発信されているものに置き換わってしまって,私的複製からスタートしたんだけど実態ではものが入れ替わって私的複製のデータになっていないというサービスがあります。アンケートの聞き方としては,CDからどのぐらいリッピングしましたかだけでとどまらず,それがそういったクラウドサービスを経由して,私的複製ではなくなって契約に移行したというケースを想定しての質問をしていただかないと,正確な数字が出てこないのかなというふうに思います。

【土肥主査】事務局におかれては,そういう要請がございますので,なかなか微に入り細に入り,細かいところまで調査できるかというと,なかなか予算とか期間の関係があって難しいんだろうと思うんですけれども,今,小寺委員がおっしゃったところはできるだけ反映していただければというふうに思います。

ほかにございますか。

【末吉主査代理】1点だけいいですか。

【土肥主査】はい,どうぞ。

【末吉主査代理】今,貴重な小寺委員の御意見を頂きました。アンケート項目のチェックをもう一回お願いして,たしかそういう機会があったと思うんですけれど,各委員,小寺委員を含めて,是非チェックを頂いて,せっかくの実態調査なので,やれることはできる限りやった方がいいんじゃないかと思いますので,是非よろしくお願いします。

【土肥主査】ただ,俵室長のときはそういう話ではなかったような気がしたんだけど,大丈夫ですかね。なかなかそういう時間的な余裕はあるんですか。

【白鳥著作物流通推進室長】特に御関心を寄せていただいた先生方には直接御相談させていただきつつ進めていきたいと思います。

ただ,他方で,主査が今おっしゃっていただいたとおり,かなりスケジュール的なものもございまして,限られた時間の範囲内になりますので,その辺,もし直接御相談できない事態があれば御容赦いただければと思います。

【土肥主査】ありがとうございます。

それでは,小寺委員とかの要望,直接お尋ねいただいてアンケート項目を精巧なものにしていただければと思います。着任早々,いろいろ宿題が累積していくようですけれども,是非120%能力を発揮していただいて。本当に難しいんだろうなと思いながら伺っておったんですけれども。

時間がまいりましたので,本日の意見交換といいますか,御意見を頂くということはこのくらいにしたいと思います。御案内だろうと思いますけれども,本小委ももう数年やってきておりますので,エンドレステープじゃないので,やっぱりどこかで方向性というものを出していかざるを得ません。そこで,いろいろな要望が事務局に出ておりますけれども,そういう方向性も近々考えなければならないということを頭のどこかに置いていただいて,まとめをしていただきたいなというふうに思っております。

すぐにというわけじゃありませんけれども,やっぱりこれだけ年月を掛けて,これだけの人に集まっていただいて議論した以上は,やっぱり一定の方向性なり結論を出さないと,それは委員会の設置の趣旨に反しますので,是非よろしくお願いいたします。

それでは,最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

【堀内著作物流通推進室長補佐】次回の開催につきましては,改めて日程の調整をさせていただきまして,確定次第,御連絡させていただきたいと存じます。

本日はありがとうございました。

【土肥主査】それでは,これで著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第3回を終わらせていただきます。

本日は,熱心な議論,御意見をありがとうございました。小林様,どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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