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(令和元年11月13日)令和元年度上半期における下請法の運用状況,企業間取引の公正化への取組等

(令和元年11月13日)令和元年度上半期における下請法の運用状況,企業間取引の公正化への取組等

令和元年11月13日
公正取引委員会

第1 下請法の運用状況

1 書面調査の実施状況

 令和元年度における書面調査は,これまでに親事業者60,000名を対象に実施し(6月),また,当該親事業者と取引のある下請事業者300,000名を対象に実施した(10月)ところである。

2 下請法違反行為に対する措置

(1) 勧告件数

 令和元年度上半期(4月~9月)の勧告件数は4件(前年度上半期は3件)。いずれも製造委託に係るものであった。
 勧告の対象となった違反行為類型の内訳については,下請代金の減額が3件,不当な経済上の利益の提供要請が1件となっている。

【勧告件数の推移】

勧告件数の推移

(2) 指導件数

 令和元年度上半期の指導件数は4,913件(前年度上半期は5,045件)。

【指導件数の推移】

指導件数の推移

3 下請事業者が被った不利益の原状回復の状況

 令和元年度上半期においては,下請事業者が被った不利益について,親事業者延べ138名から下請事業者延べ4,538名に対し,下請代金の減額分の返還等,総額2億4577万円相当の原状回復が行われた。

【原状回復額の推移】

原状回復額の推移

4 下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者に係る事案

 公正取引委員会は,親事業者の自発的な改善措置が下請事業者が受けた不利益の早期回復に資することに鑑み,公正取引委員会が調査に着手する前に,違反行為を自発的に申し出,かつ,下請事業者に与えた不利益を回復するために必要な措置等,自発的な改善措置を採っているなどの事由が認められる事案については,親事業者の法令遵守を促す観点から,下請事業者の利益を保護するために必要な措置を採ることを勧告するまでの必要はないものとして取り扱うこととし,この旨を公表している(平成20年12月17日公表)。
  令和元年度上半期においては,上記のような親事業者からの違反行為の自発的な申出は23件であった。また,令和元年度上半期においては,親事業者からの違反行為の自発的な申出により,下請事業者1,688名に対し,下請代金の減額分の返還等,総額5454万円相当の原状回復が行われた。

【自発的な申出の件数】

 

第2 企業間取引の公正化への取組

 公正取引委員会は,企業間取引の公正化を目的として,下請法及び優越的地位の濫用規制(以下「下請法等」という。)に係る違反行為を未然に防止するための各種の施策を実施している。令和元年度上半期の状況は次のとおりである。

1 下請法等に係る講習会

(1) 基礎講習会

 下請法等に関する基礎知識を習得することを希望する者を対象とした「基礎講習会」を実施している。令和元年度上半期においては,58回の講習会を実施した。

(2) 業種別講習会

 過去に下請法等に係る違反行為がみられた業種,各種の実態調査で問題がみられた業種等の事業者に対して一層の法令遵守を促すことを目的とする「業種別講習会」を実施している。令和元年度上半期においては,荷主・物流事業者向けに5回の講習会を実施した。

2 下請法等に係る相談

(1) 相談受付

 地方事務所等を含めた全国の相談窓口において下請法等に係る相談を受け付けており,令和元年度上半期においては,5,129件の相談に対応した。

(2) 中小事業者のための移動相談会

 下請事業者を始めとする中小事業者からの求めに応じ,公正取引委員会の職員が出向いて,下請法等について基本的な内容を分かりやすく説明するとともに相談受付等を行う「中小事業者のための移動相談会」を実施している。令和元年度上半期においては,5か所で実施した。

3 取引実態調査等

(1) 荷主と物流事業者との取引に関する書面調査

 荷主と物流事業者との取引について,令和元年9月に,荷主を対象とする書面調査を開始し,調査票(30,000通)を発送した。今後,調査対象とした荷主と取引のある物流事業者に対する書面調査の実施を予定している。

(2) 製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査

 近年,事業活動における知的財産保護の重要性が高まっており,また,有識者から公正取引委員会に対して「優越的な地位にある事業者が取引先の製造業者からノウハウや知的財産権を不当に吸い上げている」といった指摘が複数寄せられていることを踏まえ,製造業者を対象とする実態調査を実施した。
 当該調査の結果,ノウハウの開示を強要される,知的財産権の無償譲渡を強要される等のこれまであまり知られてこなかった事例が多数報告された。
 調査結果を踏まえ,公正取引委員会は,独占禁止法及び下請法上問題となり得る行為を未然に防止する観点から,本調査結果を本年6月に公表するとともに,経済産業省及び特許庁と連携し,製造業全体に対して報告書の周知を行った。また,今後とも,製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等についての情報収集に努めるとともに,違反行為に対して厳正に対処していく(下請法違反行為については,共同して下請法を運用している中小企業庁と連携して厳正に対処していく。)。

(3) コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査

 コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等を対象として,優越的地位の濫用規制の観点から実態調査を開始した。

第3 今後の取組

1 下請法違反行為に対する迅速かつ効果的な対処

下請法違反被疑行為を行っている親事業者に対して積極的に調査を行い,重大な違反行為に対しては勧告を積極的に行うなど,下請法違反行為に対して迅速かつ効果的に対処していく。

2 下請法違反行為の未然防止

(1) 下請取引適正化推進月間の実施

 公正取引委員会は,中小企業庁と共同して,毎年11月を「下請取引適正化推進月間」と定め,下請法の概要等を説明する「下請取引適正化推進講習会」を全国各地で実施するなど,下請法の普及・啓発を図っている。令和元年度においては,下請取引適正化推進月間を効果的にPRすることを目的として,キャンペーン標語についての一般公募を実施し,【無茶な依頼 しないさせない 受け入れない】を特選作品として選定した。また, 47都道府県62会場(うち公正取引委員会主催分26都道府県33会場)において講習会を実施することとしている。

(2) 応用講習会

 下請法等に関する基礎知識を有する者を対象とした「応用講習会」を,令和元年12月以降,13回実施する予定である。

(3) 下請法遵守の要請文書の発出

 年末にかけての金融繁忙期においては,下請事業者の資金繰り等について厳しさが増すことが懸念されることから,令和元年11月中に,親事業者及び関係事業者団体に対し,下請法の遵守の徹底等を要請する文書の発出を予定している。

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局取引部
下請取引調査室 電話03-3581-3374(直通)(主に,第1関係)
企業取引課 電話03-3581-3373(直通)(主に,第2及び第3関係)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/
(下請法に係る相談・申告等 https://www.jftc.go.jp/shitauke/madoguti.html)

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