令和元年6月7日
公正取引委員会
はじめに
公正取引委員会は,平成26年4月1日の消費税率の引上げを踏まえ,また,令和元年10月1日に予定されている消費税率の引上げに向けて,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から,「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(平成25年法律第41号。以下「消費税転嫁対策特別措置法」という。)に基づき,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)に対する迅速かつ厳正な対処のための取組と,転嫁拒否行為の未然防止のための取組を進めてきたところ,平成30年度の消費税転嫁対策に関する取組状況は以下のとおりである。
今後も,転嫁拒否行為に対して消費税転嫁対策特別措置法に基づき迅速かつ厳正に対処していくとともに,転嫁拒否行為の未然防止のための取組についても,引き続き実施していく(参考資料参照)。
第1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組
1 転嫁拒否行為に関する情報収集
(1) 転嫁拒否行為等についての相談対応
公正取引委員会は,転嫁拒否行為等に関する事業者からの相談や情報提供を一元的に受け付けるための相談窓口を,本局及び全国の地方事務所等に設置しており,平成30年度において,493件の相談に対応した(第1表参照)。
年度
|
件数
|
平成30年度 | 493 |
平成29年度
|
392
|
平成28年度
|
444
|
平成27年度
|
548
|
平成26年度
|
1,420
|
平成25年度
|
3,179
|
合計
|
6,476
|
(注) 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出に関する相談件数並びに情報提供件数を含む。
(2) 事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査
公正取引委員会は,様々な業界における転嫁拒否行為に関する情報や取引実態を把握するため,平成30年度において,832名の事業者及び208の事業者団体に対してヒアリング調査を実施した(第2表参照)。
年度
|
件数
|
|
事業者
|
事業者団体
|
|
平成30年度 | 832 | 208 |
平成29年度
|
1,009
|
346
|
平成28年度
|
2,385
|
581
|
平成27年度
|
4,344
|
682
|
平成26年度
|
8,744
|
1,263
|
平成25年度
|
1,326
|
401
|
合計
|
18,640
|
3,481
|
(3) 移動相談会
公正取引委員会は,事業者にとって,より一層相談しやすい環境を整備するため,全国各地で移動相談会を実施することとしており,平成30年度において,移動相談会を50回実施した(第3表参照)。
年度
|
回数
|
平成30年度 | 50 |
平成29年度
|
43
|
平成28年度
|
36
|
平成27年度
|
52
|
平成26年度
|
47
|
平成25年度
|
75
|
合計
|
303
|
(4) 書面調査
ア 中小企業・小規模事業者等に対する書面調査
公正取引委員会は,転嫁拒否行為を受けた事業者にとって自らその事実を申し出にくい場合もあると考えられることから,転嫁拒否行為を受けた事業者からの情報提供を受身的に待つだけではなく,書面調査を実施し,転嫁拒否行為に関する情報収集を積極的に行うこととしている。
公正取引委員会は,平成30年度においても転嫁拒否行為を監視するため,平成29年度に引き続き中小企業庁と合同で,中小企業・小規模事業者等(約280万名)に対する悉皆的な書面調査を実施した。また,中小企業庁と合同で,個人事業者(約350万名)に対する書面調査を実施した。
イ 下請法の書面調査等の活用
公正取引委員会は,下請法の書面調査等を通じて,転嫁拒否行為に関する情報も併せて収集し,転嫁拒否行為に関する情報が得られた場合には,速やかに調査を行うとともに,消費税転嫁対策特別措置法に基づく調査において,下請法に違反する事実が判明した場合には,下請法に基づき迅速かつ厳正に対処するなど,下請法と一体的に効率的な運用を行っている。
2 転嫁拒否行為に対する処理状況
(1) 措置件数
公正取引委員会は,様々な情報収集活動によって把握した情報を踏まえ,立入検査等の調査を積極的に実施しており,違反行為が認められた事業者に対しては転嫁拒否行為に係る不利益の回復などの必要な改善措置を迅速に行っている。
平成30年度は,勧告5件,指導295件の措置を講じている(第4表参照)。勧告については,勧告を行うとともに,違反行為を行った特定事業者(注1)の名称,違反行為の概要等を公表している(勧告の概要は別紙1,主な指導の概要は別紙2参照)。
なお,措置件数(勧告又は指導を行った事件の件数をいう。以下同じ。)300件の地区ごとの内訳は,第5表のとおりである。
(注1) 特定事業者とは,[1]大規模小売事業者,[2]特定供給事業者(注2)から継続して商品又は役務の供給を受ける法人事業者である。
(注2) 特定供給事業者とは,[1]大規模小売事業者に継続して商品又は役務を供給する事業者,[2]資本金等の額が3億円以下である事業者,個人事業者等である。
年 度 |
平成30年度
|
平成29年度
|
累計(注1)
|
|
措 置
|
勧 告 |
5
《3》
|
5
《1》
|
48
《11》
|
指 導 |
295
《16》
|
370
《16》
|
2,416
《156》
|
|
合 計 |
300
《19》
|
375
《17》
|
2,464
《167》
|
|
違反事実なし
|
107
|
149
|
1,406
|
(注1) 平成25年10月から平成31年3月までの累計。
(注2) 《 》内の件数は,大規模小売事業者に対する措置件数で内数。
地 区
|
平成30年度
|
平成29年度
|
累計
(注1)
|
北海道地区(北海道) |
11
|
14
|
92
|
東北地区(青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県,福島県) |
11
|
17
|
123
|
関東甲信越地区(茨城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,新潟県,山梨県,長野県) |
128
|
176
|
1,024
|
中部地区(富山県,石川県,岐阜県,静岡県,愛知県,三重県) |
19
|
35
|
305
|
近畿地区(福井県,滋賀県,京都府,大阪府,兵庫県,奈良県,和歌山県) |
56
|
58
|
354
|
中国地区(鳥取県,島根県,岡山県,広島県,山口県) |
25
|
23
|
178
|
四国地区(徳島県,香川県,愛媛県,高知県) |
15
|
10
|
111
|
九州地区(福岡県,佐賀県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県,鹿児島県) |
30
|
35
|
242
|
沖縄地区(沖縄県) |
5
|
7
|
35
|
合計
|
300
|
375
|
2,464
|
(注1) 平成25年10月から平成31年3月までの累計。
(注2) 措置の対象となった特定事業者の本店所在地により区分している。
(注3) 地区ごとの運用状況等については別途公表することとしている。
(2) 措置件数の業種別内訳
平成30年度に措置の対象となった特定事業者について,業種別に分類すると,製造業が78件(26.0%)と最も多く,建設業48件(16.0%),小売業39件(13.0%)がこれに続いている(第6表及び第1図参照)。
業種
|
平成30年度
|
平成29年度
|
累計(注1)
|
建設業
|
48(16.0)
|
54(14.4)
|
288(11.7)
|
製造業
|
78(26.0)
|
84(22.4)
|
632(25.6)
|
情報通信業
|
18( 6.0)
|
43(11.5) |
216( 8.8)
|
運輸業
|
13( 4.3)
|
12( 3.2) |
144( 5.8)
|
卸売業
|
17( 5.7)
|
28( 7.5)
|
174( 7.1)
|
小売業
|
39(13.0)
|
30( 8.0)
|
284(11.5)
|
不動産業
|
19( 6.3)
|
23( 6.1)
|
111( 4.5)
|
技術サービス業
|
11( 3.7) |
15( 4.0)
|
125( 5.1)
|
学校教育・
教育支援業
|
6( 2.0)
|
10( 2.7)
|
56( 2.3)
|
その他
|
51(17.0)
|
76(20.3)
|
434(17.6)
|
合計
|
300( 100)
|
375( 100) |
2,464( 100)
|
(注1) 平成25年10月から平成31年3月までの累計。
(注2) 複数の業種にわたる場合は,当該事業者の主たる業種により分類している。「その他」は娯楽業,医療福祉,事業サービス業(ビルメンテナンス業,警備業等)等である。
(注3) ( )内の数値は合計値に占める割合であり,小数点以下第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。
(3) 措置件数の行為類型別内訳
平成30年度の措置件数について行為類型別に分類すると,減額(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号前段)が23件,買いたたき(同法第3条第1号後段)が295件,本体価格での交渉の拒否(同法第3条第3号)が2件となっている(第7表及び第2図参照)。
行為類型
|
平成30年度
|
平成29年度
|
累計(注1)
|
減額
|
23( 7.2) |
36( 9.0)
|
132( 5.2)
|
買いたたき
|
295(92.2)
|
363(90.8)
|
2,131(83.1)
|
役務利用又は
利益提供の要請
|
0( 0.0)
|
0( 0.0)
|
49( 1.9)
|
本体価格での
交渉の拒否
|
2( 0.6)
|
1( 0.3)
|
251( 9.8)
|
合計
|
320( 100)
|
400( 100)
|
2,563( 100)
|
(注1) 平成25年10月から平成31年3月までの累計。
(注2) 1件の事件において複数の違反行為類型について勧告又は指導を行っている場合があるため,違反行為の類型別件数の合計と第4表から第6表に記載の措置件数とは一致しない。
(注3) ( )内の数値は合計値に占める割合であり,小数点以下第2位を四捨五入しているため,合計は必ずしも100とならない。
(4) 特定供給事業者が被った不利益の原状回復の状況
平成30年度において,転嫁拒否行為によって特定供給事業者が被った不利益については,特定事業者273名から,特定供給事業者45,072名に対し,総額8億1517万円の原状回復が行われた(第8表参照)。行為類型別でみると,買いたたきに係る原状回復が最も多い(第9表参照)。原状回復額に関し,転嫁拒否行為を行った特定事業者について,業種別にみると,[1]小売業が最も多く(5億425万円,61.9%),[2]情報通信業(8410万円,10.3%),[3]建設業(6143万円,7.5%)がこれに続いている(第3図参照)。
年度
|
原状回復を行った特定事業者数
|
原状回復を受けた特定供給事業者数
|
原状回復額(注2)
|
平成30年度 | 273名 |
45,072名
|
8億1517万円 |
平成29年度
|
357名
|
21,698名
|
8億1008万円
|
累計(注1)
|
1,484名
|
161,060名
|
36億4081万円
|
(注1) 平成26年4月から平成31年3月までの累計。
(注2) 原状回復額は1万円未満を切り捨てている。
行為類型
|
年度
|
原状回復を行った 特定事業者数 |
原状回復を受けた 特定供給事業者数 |
原状回復額(注3)
|
減額
|
平成30年度
|
25名
|
2,704名
|
847万円
|
平成29年度
|
31名
|
1,336名
|
1395万円
|
|
買いたたき
|
平成30年度
|
266名
|
42,368名
|
8億669万円
|
平成29年度
|
346名
|
20,362名
|
7億9613万円
|
|
合計
|
平成30年度
|
291名
|
45,072名
|
8億1517万円
|
平成29年度
|
377名
|
21,698名
|
8億1008万円
|
|
累計(注1)
|
1,544名
|
161,123名
|
36億4081万円
|
(注1) 平成26年4月から平成31年3月までの累計。
(注2) 特定事業者数及び特定供給事業者数は延べ数であり,合計の値は第8表に記載の事業者数とは必ずしも一致しない。
(注3) 原状回復額は1万円未満を切り捨てている。
第2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組
公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法の執行の統一を図るとともに,法運用の透明性を確保し,違反行為の未然防止に資するため,「消費税の転嫁を阻害する行為等に関する消費税転嫁対策特別措置法,独占禁止法及び下請法上の考え方」(平成25年9月10日公正取引委員会。以下「消費税転嫁対策特別措置法ガイドライン」という。)を策定し,公表している。
また,消費税転嫁対策特別措置法等に係る説明会等の開催や,講師の派遣を実施しているほか,消費税転嫁対策の広報として,当委員会のウェブサイトに「消費税転嫁対策コーナー」を設けて,消費税転嫁対策特別措置法の運用等を踏まえて作成した「消費税の転嫁拒否等の行為に関するよくある質問」を掲載し,随時更新するとともに,各種の資料を掲載し,リーフレット,パンフレット及びポスターの配布を行っている。
1 消費税転嫁対策特別措置法ガイドラインの改正
公正取引委員会は,令和元年10月の消費税率引上げに向けて,[1]「消費税率の引上げに伴う価格設定について(ガイドライン)」(平成30年11月28日当委員会ほか関係省庁連名,以下「価格設定ガイドライン」という。)の策定,[2]軽減税率制度の導入及び[3]過去の事案の蓄積を踏まえ,消費税転嫁対策特別措置法上の考え方の一層の明確化を図るため,平成31年3月29日,消費税転嫁対策特別措置法ガイドラインを改正し,公表した。
2 「消費税の転嫁拒否等の行為に関するよくある質問」の更新
公正取引委員会は,当委員会のウェブサイトに掲載している「消費税の転嫁拒否等の行為に関するよくある質問」(注)について,令和元年10月の消費税率引上げ等に向けて,平成31年1月28日,更新した。
(注) https://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/tenka-FAQ.html
3 消費税転嫁対策特別措置法等に係る説明会
公正取引委員会は,平成30年度においては,消費税転嫁対策特別措置法とともに,価格設定ガイドラインや軽減税率制度等の内容についても広く周知するため,事業者及び事業者団体を対象として,当委員会主催の説明会を実施しており,50回の説明会を実施した(第10表参照)。
年度
|
回数
|
平成30年度 | 50回 |
平成29年度
|
42回
|
平成28年度
|
36回
|
平成27年度
|
51回
|
平成26年度
|
30回
|
平成25年度
|
40回
|
合計
|
249回
|
4 講師派遣
公正取引委員会は,商工会議所,商工会,事業者団体等が開催する説明会等に,当委員会の職員を講師として派遣しており,平成30年度において,職員を20回派遣した(第11表参照)。
年度
|
回数
|
平成30年度 | 20回 |
平成29年度
|
15回
|
平成28年度
|
73回
|
平成27年度
|
27回
|
平成26年度
|
59回
|
平成25年度
|
384回
|
合計
|
578回
|
5 事業者等向けパンフレットの改訂・配布
公正取引委員会は,消費税転嫁対策特別措置法等の内容を分かりやすく説明した事業者等向けパンフレット「消費税の円滑かつ適正な転嫁のために」を関係省庁と協力して作成している。平成30年度においては,令和元年10月の消費税率引上げに向けて,価格設定ガイドラインが策定されたこと等を受けて,本パンフレットを改訂し,平成31年3月29日,当委員会のウェブサイトに掲載した(注)ほか,全国の商工会議所・商工会や地方公共団体等に配布した。
(注) https://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/pamphlet_files/pamphlet201903ver.pdf
6 転嫁拒否行為の未然防止に係る集中的な広報
公正取引委員会は,転嫁拒否行為が禁止されていること,転嫁拒否行為に対して当委員会が厳しく監視していること及び転嫁拒否行為に関する積極的な情報提供を求めていることを広く周知するため,平成31年2月に,新聞広告,雑誌広告,ラジオ広告及びインターネット広告により,事業者向け広報を集中的に実施した(別紙3参照)。平成30年度においては,平成29年度に作成したキャラクターである「消費税転嫁されてイルカのルカちゃん」を継続して使用するとともに,初めてとなる動画広告を作成し,転嫁拒否行為を分かりやすく説明した。
第3 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出
消費税転嫁対策特別措置法は,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため,事業者又は事業者団体が行う,消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)及び消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為(表示カルテル)について,公正取引委員会に事前に届け出ることにより独占禁止法に違反することなく行うことができるものとしている。
公正取引委員会において,平成30年度に受け付けた届出はなかったが,これまでに,平成31年3月末現在で,転嫁カルテルについては194件,表示カルテルについては140件の届出を受け付けている。また,届出の方法等について,平成30年度において,12件の相談に対応した(別紙4参照)。
なお,公正取引委員会のウェブサイトに,「届出に関するよくある質問」(注1)を掲載しているほか,転嫁カルテル及び表示カルテルの届出状況につき,届出を受け付けた月ごとに取りまとめて掲載している(注2)。
(注1) https://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/todokede-shitumon.html
(注2) https://www.jftc.go.jp/tenkataisaku/tenka-hyoujitodokede.html
別紙1 勧告事件(5件)(平成30年4月~平成31年3月)
[1] 紅屋商事株式会社に対する件(平成30年6月20日) |
|
特定事業者 |
紅屋商事株式会社 |
事業内容 |
食品,日用品等の小売業 |
取引の内容 |
食品,日用品等の仕入れ |
違反行為の概要 |
【買いたたき(第3条第1号後段)】 |
原状回復額 |
特定供給事業者431名に対し,総額2億1377万3295円 |
(注) 事件の詳細については,以下のリンク先を参照。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/jun/180620kankoku.html
[2] 株式会社マイナビに対する件(平成30年6月21日) |
|
特定事業者 |
株式会社マイナビ |
事業内容 |
就職・転職等のポータルサイトの運営等 |
取引の内容 |
[1] 原稿作成業務の委託 |
違反行為の概要 |
【買いたたき(第3条第1号後段)】 |
原状回復額 |
特定供給事業者964名に対し,総額2411万2224円 |
(注1) 事件の詳細については,以下のリンク先を参照。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/jun/180621kankoku.html
(注2) 中小企業庁長官からの措置請求案件。
[3] 株式会社マイナビ出版に対する件(平成30年6月21日) |
|
特定事業者 |
株式会社マイナビ出版 |
事業内容 |
雑誌,書籍等の出版業 |
取引の内容 |
[1] 原稿作成業務の委託 |
違反行為の概要 |
【買いたたき(第3条第1号後段)】 |
原状回復額 |
特定供給事業者250名に対し,総額167万9300円 |
(注1) 事件の詳細については,以下のリンク先を参照。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/jun/180621kankoku.html
(注2) 中小企業庁長官からの措置請求案件。
[4] 株式会社イトーヨーカ堂に対する件(平成31年2月15日) |
|
特定事業者 |
株式会社イトーヨーカ堂 |
事業内容 |
食品,衣料品及び住居関連商品の小売業 |
取引の内容 |
[1] 食品,衣料品及び住居関連商品の仕入れ |
違反行為の概要 |
【減額(第3条第1号前段)】 |
原状回復額 |
特定供給事業者156名に対し,総額5047万9693円 |
(注) 事件の詳細については,以下のリンク先を参照。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/feb/190215.html
[5] 株式会社ジャパンビバレッジホールディングスに対する件(平成31年3月20日) |
|
特定事業者 |
株式会社ジャパンビバレッジホールディングス |
事業内容 |
自動販売機による清涼飲料水等の販売 |
取引の内容 |
自動販売機の設置 |
違反行為の概要 |
【買いたたき(第3条第1号後段)】 |
原状回復額 |
特定供給事業者35,544名に対し,総額2億1772万7097円 |
(注1) 事件の詳細については,以下のリンク先を参照。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/mar/190320.html
(注2) 中小企業庁長官からの措置請求案件。
別紙2 主な指導事例(平成30年4月~平成31年3月)
1 減額(第3条第1号前段)
[1] 半導体製造装置の製造業を営むA社は,半導体製造装置の部品類の加工を委託している個人事業者(特定供給事業者)に対し,あらかじめ定めた加工業務の委託代金から消費税相当額を減じて支払っていた。
[2] 病院の運営を行うBは,給食材料の納入業者(特定供給事業者)に対し,あらかじめ定めた平成26年4月1日から平成30年7月31日までの給食材料の仕入代金について,消費税相当額を減じて支払っていた。
[3] 仮設住宅等の製造業を営むC社は,広告宣伝業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,あらかじめ定めた平成26年4月分及び5月分の広告宣伝業務の委託代金から消費税率の引上げ分相当額を減じて支払っていた。
[4] プラスチック製品の製造業を営むD社は,製品の運送業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,運送業務の対価について,運送ごとに本体価格に消費税率を乗じて1円未満の端数を切り捨てた額を消費税額として支払うことで,支払いごとに委託業務の本体価格を合計し,消費税額を計算した場合と比べ,支払総額を1円以上減じていた。
[5] 大規模小売事業者であり,スーパーマーケットを運営するE社は,商品の納入業者(特定供給事業者)に対し仕入伝票ごとに本体価格に消費税率を乗じて1円未満の端数を切り捨てた額を消費税として支払うことで,支払いごとに商品の本体価格を合計し,消費税額を計算した場合と比べ,支払総額を1円以上減じて支払っていた。
2 買いたたき(第3条第1号後段)
[1] 持ち帰り飲食サービス業を営むF社は,店舗又は駐車場の賃貸人(特定供給事業者)に対し,平成26年4月分以後も消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの賃料を据え置いていた。
[2] ゲーム・アニメーション等の企画・制作を行うG社は,ゲームに使用するイラストの作成業務を委託している個人事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。
[3] ゲームセンターの運営を行うH社は,ゲームセンターの運営を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後の委託代金について,消費税率引上げ前の対価よりも低く定めていた。
[4] 産業用電気機械器具の製造業を営むI社は,コンサルティング業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。
[5] 地方公共団体であるJは,法定講習の実施に係る業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。
[6] K農業協同組合は,葬儀の施行業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。
[7] 通訳業を営むL社は,通訳業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。
[8] ビルメンテナンス業を営むM社は,ビルメンテナンス業務を委託している個人事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。
[9] 土木・建築工事業を営むN社は,大工工事に係る業務を委託している個人事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後も消費税率引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの委託代金を据え置いていた。
[10] リサイクル業を営むO社は,古紙の運送業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,平成26年4月1日以後の委託代金について,消費税率の引上げ分を上乗せすることなく,消費税込みの対価を据置き,又は消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低く定めていた。
3 本体価格(税抜価格)での交渉拒否(第3条第3号)
[1] 大規模小売事業者であり,ホームセンターを運営するP社は,商品陳列等の店舗運営業務を委託している事業者(特定供給事業者)に対し,従来から本体価格に消費税額を加えた税込価格しか記載できない見積書等の様式を定めて使用させることにより,平成26年4月1日以後も税込価格での交渉を余儀なくさせていた。
[2] 不動産業を営むQ社は,建設工事を委託している事業者(特定供給事業者)との価格交渉において,消費税抜きで見積金額の提示を受けているにもかかわらず,平成26年4月1日以後も税込価格で交渉していた。
別紙3 平成30年度の公正取引委員会の集中的な広報について
別紙4 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出状況(平成31年3月まで)
1 転嫁カルテル及び表示カルテルの届出件数 [単位:件]
平成30年度
|
平成29年度
|
累計(注1)
|
||||
うち政令指定組合(注2)
|
うち政令指定組合(注2)
|
うち政令指定組合(注2)
|
||||
転嫁カルテル
|
0
|
0
|
7
|
0
|
194
|
32
|
表示カルテル
|
0
|
0
|
1
|
0
|
140
|
25
|
合計
|
0
|
0
|
8
|
0
|
334
|
57
|
(注1) 平成25年10月から平成31年3月までの累計。
(注2) 消費税転嫁対策特別措置法第13条第2項に基づき主務大臣への通知を要する組合からの届出である。
2 業種別届出件数 [単位:件]
転嫁カルテル
|
表示カルテル
|
業 種 合 計
|
|||||
平
成
30
年
度
|
平
成
29
年
度
|
累
計
(注1)
|
平
成
30
年
度
|
平
成
29
年
度
|
累
計
(注1)
|
||
製造業 |
0
|
1
|
95
|
0
|
0
|
79
|
174
|
卸売業 |
0
|
0
|
59
|
0
|
0
|
49
|
108
|
小売業 |
0
|
1
|
51
|
0
|
0
|
45
|
96
|
サービス業 |
0
|
2
|
48
|
0
|
1
|
22
|
70
|
その他 |
0
|
3
|
29
|
0
|
0
|
10
|
39
|
年度合計 |
0
|
7
|
282
|
0
|
1
|
205
|
487
|
(注1) 平成25年10月から平成31年3月までの累計。
(注2) 複数の業種にわたる場合の届出があるので,年度合計の数字は上記「1」に記載の届出件数と一致しない。
(注3) 「その他」の業種は,運輸業,建設業等である。
3 届出に関する相談件数
年度
|
件数
|
平成30年度 | 12 |
平成29年度
|
2
|
平成28年度
|
9
|
平成27年度
|
5
|
平成26年度
|
50
|
平成25年度
|
1,235
|
合計
|
1,313
|
参考 消費税転嫁対策に係る今後の主な取組
公正取引委員会は,消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的として,令和元年以降も引き続き,以下のとおり,違反情報を収集し,積極的に調査を行い,消費税の転嫁拒否等の行為(以下「転嫁拒否行為」という。)のうち重大な事案については勧告・公表を積極的に行うなど,転嫁拒否行為に対して,迅速かつ厳正に対処していくとともに,「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(平成25年法律第41号。以下「消費税転嫁対策特別措置法」という。)の周知等,転嫁拒否行為を未然に防止するための各種の施策を実施する。
1 転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な対処のための取組
令和元年度においても,引き続き,中小企業等が消費税率引上げ分を適切に価格に転嫁できる環境を整えるために万全な対策を講じる必要があることから,悉皆的な書面調査を令和元年10月の消費税率10%への引上げ後に集中的に実施する。
また,消費税率10%への引上げに際し,事業者間では消費税率の引上げ日よりも早い段階から新税率を前提とした価格交渉が始まることが予想されるところ,転嫁拒否行為を未然に防止するため,令和元年度においては,法人事業者向け約30万名に対する書面調査を引上げ前にも実施する。さらに,大規模小売事業者・大企業等約8万名に対する書面調査を実施し,違反行為に係る情報の収集に努めるとともに,取引上の立場が強い事業者の消費税転嫁対策特別措置法の遵守を推進する。
2 転嫁拒否行為の未然防止のための取組
(1) 消費税転嫁対策特別措置法等に係る説明会及び講師派遣
消費税転嫁対策特別措置法等に係る当委員会主催の説明会については,引き続き,事業者及び事業者団体を対象として,実施することとしており,令和元年度においては,全都道府県で実施している。また,商工会議所,商工会,事業者団体等が開催する説明会等に,引き続き,当委員会の職員を講師として派遣していく。
(2) パンフレットの改訂・配布
事業者等向けパンフレット「消費税の円滑かつ適正な転嫁のために」を 全国の商工会議所・商工会や地方自治体等に配布するとともに,消費税転嫁対策特別措置法の施行以降の主な違反事例の概要等を紹介したパンフレット「消費税の転嫁拒否に関する主な違反事例」を改訂し,全国の商工会議所・商工会や地方自治体等に配布する予定である。
(3) 要請文書の発出
令和元年10月1日に予定されている消費税率の引上げに向けて,消費税転嫁対策特別措置法等の遵守の徹底について,事業者に対し(約20万名),公正取引委員会委員長及び経済産業大臣の連名の文書をもって要請を行う予定である(6月末予定)。
(4) 転嫁拒否行為の未然防止に係る集中的な広報
公正取引委員会は,転嫁拒否行為が禁止されていること,転嫁拒否行為に対して,当委員会が厳しく監視していること及び転嫁拒否行為に関する積極的な情報提供を求めていることを広く周知するため,引き続き,各種媒体を活用した事業者向け広報を実施する。令和元年度は,消費税率引上げ前後の9月及び10月に実施する予定である。
関連ファイル
(令和元年6月7日)平成30年度における消費税転嫁対策の取組について(PDF:433KB)
問い合わせ先
問い合わせ先 公正取引委員会事務総局取引部消費税転嫁対策調査室
電話 03-3581-5479(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/