ホーム >報道発表・広報活動 >報道発表資料 >令和2年 >5月 >

(令和2年5月11日)独占禁止政策協力委員等から寄せられた主な意見(平成31年度・令和元年度)について

(令和2年5月11日)独占禁止政策協力委員等から寄せられた主な意見(平成31年度・令和元年度)について

令和2年5月11日
公正取引委員会

 公正取引委員会は,競争政策への理解の促進と地域の経済社会の実情に即した競争政策の運営に資するため,独占禁止政策協力委員制度を設置し,各地域の有識者150名に委員を委嘱するとともに,各地域の経済団体との懇談会を開催し,独占禁止法等の運用や競争政策の運営等について意見・要望を聴取している。
 平成31年度・令和元年度に寄せられた主な意見は,次のとおりである(地域ブロックごとの詳細は別紙参照)。

1 公正取引委員会に対する期待について

・ バイオガス,風力等の再生可能エネルギーによる発電に参入する事業者が増えている。しかし,発電に参入する事業者は,既存の大手電力会社の送電網の空き容量が足りないことを理由に,送電網への接続を拒否される例があると聞く。公正取引委員会にはこのような仕組みを変える取組に挑戦してもらいたい。【北海道】
・ これから広がっていくであろう携帯電話の中古市場について,公正取引委員会には,その取引の内容や事業者の事業活動を注視してほしい。また,市場がどのように形成され,取引慣行がどのように変わっていくのかを確認することも重要だと考える。【東北】
・ 個人や消費者の利益保護は公正取引委員会の業務とは少し距離があると思っていたが,最近では芸能人に対する芸能プロダクションからの様々な圧力に対する調査を行っていることなどから,公正取引委員会の業務が個人の保護に一歩近づいたという印象を持っている。【関東】
・ データの独占や寡占を利用した優越的地位の濫用に対する規制を考える際には,事業者が保有するデータやアルゴリズムを誰にどこまでアクセスさせる必要があるのかというデリケートな問題を検討する必要がある。事業者のデータ等を全て公開することとしてしまうと,それを悪用してランキングを操作する者が出てくることにもなりかねない。データの独占や寡占との関係でどのような行為を違反としていくかについては,これから事例を積み重ねてほしい。【中部】
・ デジタル・プラットフォーム事業者と製造業や物流業を営む事業者との業務提携は今後増えていくものと考えられる。こうした新しい分野における競争上の問題について事前相談が行われた場合には,エコノミスト等の専門家を配し,迅速な対応をお願いしたい。【中部】
・ 消費者の生活に身近な商品・サービスに関して独占禁止法違反があった場合には迅速に対応していただきたい。【四国】

2 公正取引委員会の施策の効果について

・ 北陸新幹線の融雪工事をめぐる談合事件について,公正取引委員会の調査や東京地検特捜部の捜査により,事業者間の受注調整の実態が明るみになった。結果として,その後の談合抑止に大きな効果があったものと考えられる。【北海道】
・ 公正取引委員会は,令和元年10月に初めて確約計画の認定を行ったところであるが,事案の性質も考慮すると,当該処理は適切なものであったと感じている。【関東】
・ スイスの研究者がAIを用いて日本の入札結果を分析したところ,談合を行っていたと思われる入札を発見できた。今後,事業者がAIを利用して談合を行っていく可能性もある。公正取引委員会でもAIを用いた分析が必要になっていくであろう。【近畿】
・ 「デジタル・プラットフォーム事業者と個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(令和元年12月公表)は非常に分かりやすかった。公正取引委員会が一般消費者にも関わりのある個人情報等の取扱いの分野に踏み込んでいることは,非常に評価できる。【九州】
・ 公正取引委員会の取組を受けて,小売業界の団体では,会員向けに優越的地位の濫用に係るパンフレットの作成等を通じて,問題行為が行われないよう注意喚起し続けており,優越的地位の濫用の話は聞かなくなった。下請法の書面調査も,下請取引の適正化に大いに貢献していると思う。【沖縄】

3 地域経済の実情と競争政策上の課題について

・ 競争入札を実施してもなかなか落札者が決まらないケースでは,発注者は落札者が決まるまで入札手続を繰り返さなければならないため,結果として事業の進捗が滞るだけでなく,談合に近いことが起こる可能性もある。都会と地方とでは事情が異なること等も考慮し,公共調達の在り方について,もう一度検討してもよいのではないか。【東北】
・ 銀行分野においても規制緩和が推進されるべきである。例えば,潤沢な資金と優秀な人材を有する地方銀行が,自ら県産品の販売を行うなど銀行業以外の事業活動を行うことができれば,地域経済の発展に大きく貢献できるのではないか。【近畿】
・ 独占禁止法の適用除外を認める特例法が成立した後,地方銀行の利用者にはどのようなことが起きるのか。地方銀行の利用者にとっての選択肢の減少が与える影響等をどのようにフォローしていくのか。【東北】
・ 地方銀行の収益構造が悪化する中,地方銀行の経営統合に関する特例法の制定により,地方銀行の経営体力を維持していくための選択肢は増えることになると思われる。【九州】
・ 地方の市場に新規事業者が参入すると,必ず地域経済の活性化につながる。公正取引委員会は,「地方公共団体職員のための競争政策・独占禁止法ハンドブック」を積極的に広報するなどして,地方公共団体の制定する条例が新規参入を過度に妨げることにならないようにしていく必要がある。【中国】

4 優越的地位の濫用規制・下請法の規制について

・ 金型の取引では今も製作図面の無償提供の要請といった問題が生じている。1対1の関係で取引先から要請された場合,断ってしまうと今後の取引がなくなってしまうことを恐れてやむなく応じているケースは多いのではないか。【中部】
・ 地方でいかに労働力を確保するかということが深刻な問題となっている。企業の働き手としてのフリーランスの役割は非常に大きいが,立場の弱いフリーランスが,仕事を受注するに当たり,発注企業との間で適切な契約を締結できているのか疑問である。対等な立場での契約の締結が促進されるよう取り組んでいただきたい。【中国】
・ 下請事業者に働き方改革のしわ寄せがきていると考える。親事業者が休んだ分は,下請事業者の従業員が残業することによってカバーしているといっても過言ではない。このような状態は是正されるべきではないか。【九州】

5 実態調査について

・ 公正取引委員会は様々な実態調査をしているが,公正取引委員会の法執行が市場にどのような効果を与えているのかという法執行の事後評価をすることも必要である。【関東】
・ デジタル・プラットフォームに関して実態調査を実施し報告書を取りまとめるなど,社会的に意義のある取組がなされており評価したい。デジタル・プラットフォーム関係のビジネスの変化は非常に速いと考えられるため,引き続き追跡調査を実施していくことが必要である。【中部】
・ クレジットカードに関する取引実態調査報告書は,クレジットカードに関するビジネスの概要や実態,また,その中における独占禁止法や競争政策上の考え方や課題が丁寧に整理されているという印象を受けた。キャッシュレス決済が普及するためには,報告書で指摘された加盟店手数料等の問題は大きいと考える。【九州】
・ 公正取引委員会が制服の実態調査結果を公表したことで,制服に係る競争について関心が高まっていると感じる。他方で,中学校等で使用する制服以外の物,例えば,体操服や上履きの取扱事業者は独占状態にあり,競争が働いていない。そのため価格も高止まりしているが,一般消費者は提示されるままの価格で購入せざるを得ない。こうした分野にも目を向け,事業者間の競争が働く環境整備に尽くしてほしい。【中国】

6 消費税転嫁対策について

・ 消費税率の引上げ幅が2パーセントと今回のように小さい場合には,大企業は,初めのうちは消費税転嫁対策特別措置法を意識して適切に転嫁を行うかもしれない。しかし,その後の単価交渉で消費税増税分を減額した単価を要請するような事例も出てくることが予想される。今後,そのような行為がみられた場合には,厳正に対処していただきたい。【近畿】
・ 消費税転嫁対策特別措置法で禁止されている事項として買いたたき等が挙げられているが,事業者は違反であることを認識せずに違反行為を行ってしまっている可能性もあるように思う。令和元年10月に消費税率が引き上げられた結果,特措法上問題になる額も大きなものになると考えられるため,今後とも消費税転嫁対策に取り組んでいただきたい。【九州】

関連ファイル

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局官房総務課
電話 03-3581-3574(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

ページトップへ