賃借人の賃貸人に対する債権の保全

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今回のテーマは、「賃借人の賃貸人に対する債権の保全」です。
不動産賃貸借において、賃借人が賃貸人に対して有する敷金や建設協力金等の債権は、賃貸人が倒産した場合、原則として全額の弁済を受けられない倒産債権(破産債権、再生債権、更生債権)になります。そのため、賃借人としては、平時から、賃貸人が倒産した場合に備え、こうした債権を保全するための対策を採っておくことが重要です。
この点につき、近時、賃料と建設協力金を相殺することで建設協力金債権の保全を図る旨の合意に関し、高裁レベルで注目すべき判断が示されました(仙台高判平成25年2月13日判タ1391号211頁)。 そこで、本ニュースレターでは、この高裁判例をふまえつつ、不動産賃貸借において賃貸人が倒産した場合に、賃借人が敷金や建設協力金等の債権をどのように保全すればよいかにつき検討を行っております。
また、当該不動産に金融機関等が担保権を有している場合には、担保権者の賃料債権に対する優先権と賃借人による相殺との優先劣後関係が問題になることがあります。そこで、この点の判例を踏まえて、賃借人と担保権者の各立場から、債権保全にあたっての留意点について解説を加えております。