報道・広報

健全な造船市場の構築に向け議論を継続
~第122回OECD造船部会の結果概要について~

平成28年5月31日

■平成28年5月23-24日、フランス(パリ)にて、第122回OECD造船部会が開催されました。今次会合では、韓国における経営不振に陥った造船企業に対する公的支援、世界的な造船の供給能力過剰問題等について議論が行われました。
■韓国産業銀行等による大宇造船海洋等への巨額の公的金融支援について、我が国から、世界単一市場である造船業に公的機関が支援する場合には、公的支援による市場歪曲を慎重に考慮する必要がある旨指摘し、次回会合以降、公的支援による市場歪曲についても議論することが合意されました。
■また、世界的な造船の供給能力過剰の解消に向け、「政府が積極的にとるべき施策」及び「過度な補助金等政府が実施すべきでない施策」の取りまとめ案がOECD事務局から示され、次回会合において引き続き審議し最終化を目指すことが合意されました。

1.背景
(1)OECD造船部会は、造船市場における公正な競争条件の確立(不当な政府支援の排除等)を目的として活動しており、近年では、各国政府の造船政策レビューの実施、政府支援施策一覧表の作成等、各国の造船政策の透明性の確保に努めてきました。
(2)近年、韓国において、経営不振に陥った造船企業に対し公的金融機関による巨額の金融支援が講じられているところ、前回会合(昨年11月開催)では、大宇造船海洋(DSME)に対する韓国産業銀行(KDB)及び韓国輸出入銀行(KEXIM)による金融支援(約4.2兆ウォン)について問題提起されましたが情報不足により十分に審議できず、今次会合において韓国が当該支援の詳細を説明し、その上で改めて審議することが合意されました。

2.議論のポイント
(1)韓国政府系金融機関による造船所支援について
 今次会合では、KDBからDSMEの再構築計画に関する報告がありました。我が国は、公的金融機関が実施しているDSMEへの巨額の金融支援が市場原理に基づく判断であるか否かについて問題提起するとともに、世界単一市場である造船業では一企業への支援が世界的に影響を及ぼしうることから公的支援による市場歪曲について議論する必要があることを指摘しました。次回会合以降、韓国造船業の動向を含め、公的支援による市場歪曲についても議論していくことを合意しました。
 我が国としては、韓国における造船業への公的支援の透明性を高めるとともに、市場歪曲的な措置が講じられることがないよう引き続き造船業における公的支援のあり方について議論していく予定です。
(2)造船業における供給能力過剰の解消について
 今次会合では、OECD事務局から、世界の造船の過剰供給能力の解消に向け「政府が積極的にとるべき施策」及び「過度な補助金等政府が実施すべきでない施策」について取りまとめ案が提示されました。具体的には、「政府が積極的にとるべき施策」として設備処理支援や雇用調整措置等、「過度な補助金等政府が実施すべきでない施策」として不良債権の買取等が挙げられています。次回会合において引き続き審議し最終化を目指すことが合意されました。

3.その他
 低環境負荷船の普及促進施策、政府支援施策一覧表の更新等について議論が行われました。また、23日は、議長が不在の間、議長の代理として、副議長である田村顕洋氏(ジャパン・シップ・センター船舶部長)が議長を務めました。
 

田村議長による議事進行の様子 

 なお、次回会合(第123回)は、2016年12月1日(木)及び2日(金)に開催予定です。

<第122回OECD造船部会 日時・場所・出席国>
日 時:平成28年5月23-24日、場 所:OECD事務局 会議棟
出席国:
(OECD造船部会 参加国)日本、韓国、ノルウェー、オランダ、ドイツ、フィンランド、トルコ、イタリア、ルーマニア、ポルトガル、クロアチア、EU (デンマーク、ギリシャ、ポーランド、スウェーデンは欠席)
(OECD造船部会 非参加国)フィリピン、台湾、ロシア、ブラジル、アメリカ、ベトナム

添付資料

第122回OECD造船部会結果概要(PDF形式:220KB)PDF形式

お問い合わせ先

国土交通省海事局船舶産業課 宮武、菊池
TEL:(03)5253-8111 (内線43641、43634) 直通 (03)5253-8634 FAX:(03)5253-1644

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