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令和3年4月14日付 事務総長定例会見記録

令和3年4月14日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

 無し

[発言事項]

事務総長会見記録(令和3年4月14日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)

クラウドサービスに関する取引実態調査の開始について

 本日,私からは,新たにクラウドサービスを対象にした実態調査を開始することについてお話しいたします。
 公正取引委員会は,デジタル・プラットフォーム事業者の取引実態について継続的に調査を行っておりまして,令和元年10月にオンラインモールとアプリストア,また,本年2月にはデジタル広告分野を対象とした実態調査報告書を取りまとめ,公表いたしました。
 これらに続くデジタル分野の新たな実態調査といたしまして,クラウドサービスを対象に調査を開始することといたしました。クラウドサービスは,企業のデジタル・トランスフォーメーションの流れやコロナ禍においてテレワークが推進されていることなどもあり,企業の事業活動の基盤となりつつあります。 今後もその重要性は増していくものと思われますけれども,一方で,一部のデジタル・プラットフォーム事業者による寡占化が進んでいるのではないかといった指摘もありまして,競争環境の整備の観点から,市場の状況や取引実態を把握するとともに,独占禁止法・競争政策上の論点を整理する必要があると考えております。
 このような観点から,クラウドサービスについて実態調査を新たに行うことといたしました。現在,公正取引委員会のホームページに設けております「デジタル・プラットフォーマーの情報提供窓口」につきましても,これまではデジタル広告が中心でしたけれども,今後はクラウドサービスについて幅広く情報をお寄せいただければと考えております。
 また,この実態調査を進めるに当たりまして,クラウド分野の専門人材の公募も行うことといたしました。是非積極的に御応募いただければと考えております。
 私から以上でございます。

質疑応答

(問) ちょっと2点,質問があります。クラウドサービスということですけれども,現時点でクラウドサービスをどのように定義するのかという点です。AWS(アマゾンウェブサービス)のような事業活動の基盤になっているものもあれば,アップルのiCloudのようなコンシューマー向けというものもあります。2点目は,こうしたクラウドサービスに関する実態調査というのは海外当局とかでは既に行われていたりするのでしょうか。
(事務総長) 御指摘のとおり,クラウドサービスにはいろんな種類のサービスがあると聞いておりまして,サーバーなどのインフラのみをインターネット上で提供するサービスもあれば,システム開発者を対象としてソフトウェアの開発環境をクラウドで提供するとか,また,以前ですとパッケージ製品として販売されていたようなソフトウェアの機能を,サーバーなどのインフラとともにインターネット上で提供するサービスなど,いろいろあるようでございます。まだ,どこに焦点を当てて調査をするかというのは決めたわけではなく,まずは実態を広く,ヒアリングやアンケート調査をして調べた上で,その結果によっては,対象を絞って検討していくということになろうかと考えております。
 それから2点目については,私が聞いているところによりますと,クラウドサービスについては,アメリカ,ヨーロッパの競争当局が調査し,公表したという事例はないと聞いております。

(問) 1点目の質問について補足で伺いたいんですが。現状どういう課題があるのかは今後調べていくという話だと思うんですけれども,例えば,どういう独禁法上の懸念があるかもしれないと現時点で思われているのかなど,現状の認識を可能な限り教えていただけないでしょうか。
(事務総長) 私が聞いているところでは,現時点で具体的な問題というのを把握しているわけではなく,先ほども少し申しましたように,クラウドサービスの分野で,その市場の寡占化が進んでいるんじゃないかという御指摘が1つはございます。それから,別のクラウドサービスに移行する場合には,相当の時間や費用が掛かるので,それが競争の機能を阻害しているんじゃないかという指摘もあるようでございまして,これからその実態も含めて調べていこうと考えているということでございます。

(問) 先ほどの質問とちょっと関係するんですけれども,他の競争当局がまだ調査していないことについて,日本が先駆けて調査するということですが,これまでのいろいろな情報窓口やこれまでの調査から,クラウドサービスについて,日本の事業者から何らかの懸念が示されたということはあるんですか。
(事務方) 先ほど事務総長から申し上げたところと重なるかと思いますが,これまでの実態調査等で,クラウドに関する懸念があったというよりは,これまで事務方で予備調査をしている中で,例えば,市場の寡占化が進んでいるとか,あるいは別のクラウドサービスへ移行する場合に相当の時間や費用を要するといったことが競争の機能を阻害しているというような問題点が指摘されているというのが,今,当方で把握しているところでございます。

(問) これまでの実態調査ですと,中間報告が発表されて,その後,最終報告っていう形だったと思うんですが,タイムフレームについて,何らかの目途があったら教えてください。
(事務総長) これから調査しようということでありますが,予備的に調べたところですと,市場規模も大きいようですし,様々なサービスが入っているようですので,具体的に,どういうスケジュールでやっていくかということはまだ決まっていない状況であります。
ですので,中間報告をするのかしないのかも含めて未定というのが現状でございます。

(問) 先ほど言及されていた寡占化の懸念についてもう少し詳しく教えてください。これは個人データの寡占も含めるのでしょうか。
 あともう一つ,専門人材の公募は何人程度を考えていますか。
(事務総長) 後半の御質問は,私の方から申しますと,既にホームページ上に,「任期付職員(IT・デジタル分野実務経験者)の募集について」(PDF)がアップされていますが,採用予定人数は1名です。これを見ていただければ詳しく分かるかと思います。
(事務方) 前半の寡占化の懸念ということでございますが,これはクラウドサービスを提供している事業者が寡占化しているというところの懸念について申し上げております。

(問) 補足で伺いたいのが,今回の実態調査は,これまでのデジタル分野の実態調査シリーズの第3弾的な扱いなのか,あくまでデジタル分野の新たな実態調査という位置付けなんでしょうか。
(事務方) 本実態調査の位置付けは,今まで行ってきたオンラインモール及びアプリストア,あるいはデジタル広告の実態調査の流れを受けて,デジタル分野に関する実態を把握しようという取組の第3弾と位置付けております。

以上

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