文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第4回)

日時:令和3年9月15日(水)

10:00~12:30

場所:オンライン開催

議事

  1. 開会
  2. 議事
    • (1)関係者からのヒアリング
    • (2)簡素で一元的な権利処理について
    • (3)その他
  3. 閉会

配布資料

資料1
第21期文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第4回)ヒアリング出席者一覧(88KB)
資料2
第21期文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第4回)ヒアリング資料一式(1.8MB)
資料3
簡素で一元的な権利処理に係る具体的検討に当たっての論点(224KB)
参考資料1
第21期文化審議会著作権分科会基本政策小委員会委員名簿(135KB)
参考資料2
第21期文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第1回~第3回)における委員意見の概要(596KB)
参考資料3
関係者からのヒアリング(第2回・第3回)における意見の概要(2.1MB)
参考資料4
集中管理・データベース管理の状況(657KB)
参考資料5
第21期文化審議会著作権分科会基本政策小委員会の今後のスケジュール(148KB)

議事内容

【末吉主査】  ただいまから、文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第4回)を開催いたします。

本日は、御多忙の中御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、基本的に委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御参加いただいております。皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただくとともに、御発言をいただく際には、御自分でミュートを解除して御発言をいただくか、事務局でミュートを解除いたしますので、ビデオの前で大きく手を挙げてください。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の皆様には、インターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですが、特にこの点、御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉主査】  ありがとうございます。それでは、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方々にはそのまま傍聴をいただくことといたします。

それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】  本日の配付資料は、議事次第の配付資料一覧にあるとおりでございます。

なお、参考資料4として、「集中管理・データベース管理の状況」を前回までの各団体のヒアリングを基に事務局で作成しまして、各団体に御協力いただきまして確認と修正を行わせていただいたものです。御参考までにお知らせします。

以上でございます。

【末吉主査】  それでは、議事に入ります。本日の議事は、議事次第のとおり、1から3の3点となります。

早速、議事1の関係者からのヒアリングに入りたいと思います。前回に引き続き、デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方についてヒアリングを行います。まず、事務局より簡単に趣旨の説明をお願いします。

【小倉著作権課長補佐】  資料1を御覧ください。本日は、6の関係者・関係団体に発表いただきます。御覧のとおり、権利者団体のほかに、ユーザーやクリエイターの方をお呼びしております。この方々におかれましては、業界や立場を代表するものではなく、1企業・1個人として御意見をいただくことになりますので、あらかじめ御了承ください。

御発表者様におかれては、事前に事務局よりお願いした発表時間に御留意いただくようお願いします。時間になりましたら、事務局よりチャット機能にてお知らせさせていただきますので、御発表をおまとめいただくようお願いします。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございました。

それでは初めに、桜坂法律事務所弁護士の林いづみ様、お願いいたします。

【桜坂法律事務所弁護士(林)】  おはようございます。本日発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。弁護士の林いづみと申します。今回の諮問の出発点となっております知的財産戦略本部の今年の知財戦略、また、規制改革会議の実施計画の策定に関わった委員の1人として、意見の要旨を述べさせていただきます。

資料2-1の1ページを御覧ください。3項目に分けたいと思います。まず第1の項目は、「構造変化に対する危機感―選択肢を増やす」と題しております。本日の私の意見の視点・観点と、私の意見の要点を述べさせていただきます。冒頭記載のとおり、7月19日萩生田文科大臣からの諮問の中には、デジタルトランスフォーメーションの推進についての構造変化に対する危機感が示されており、中でも、著作権制度・政策の在り方を根本的に考え直す時期が到来したと書かれております。目指すところ、権利保護・適切な対価還元と利用円滑化の両立という目指す目標は皆様共通していましても、その方法論については大きく意見が分かれるところではないかと理解しております。

これまでの議論にもありました、この分野の御専門の皆様、また、実務当事者の方々からの御意見は、私も賛同するところ多く理解しております。そして、専門家であればあるほど在り方を根本的に考え直すということには抵抗が強いものだということを、自分自身の分野からもそのような傾向は自覚しているところでございます。しかしながら、これまでの日本の失敗というのは、世界の趨勢から目を背けて、変化を恐れて現状維持を優先した結果であるという指摘もございます。こうした構造変化に対応するには、大きな地図で具体例を学んで、全体最適のための選択肢を増やす改革が必要であると考えております。

本日、私の私見の要点は次の3点です。まず1点目、今回の議論にこのことを言ってくれるなということは、そういう御意見を伺ったりもするんですが、私はどうしても言わざるを得ません。このDX時代に対応した権利保護・対価還元をするには、まず最も権利侵害が明白かつ被害甚大な海賊版対策のより効果的な方策を取ることが喫緊の課題だと思っております。新型コロナ禍の中で被害はさらに増大しております。それには、各国で進んでいるサイトブロッキングをいま一度具体的に検討する、そういう時期に入っていると私は思います。特に今年ドイツでISPと権利者によって自主規制の独立団体、CUIIが設置されて、取組が始まっております。こういったことも参考にしていただきたいと思っております。

2点目です。資料の2ページ目になります。DX時代では、一番の構造変化としましては、個別許諾の取引費用が高騰するという構造変化がございます。その高騰のために、あまり有名でない作品は配信されず、配信の収益を得られない一方、作品の無断配信を助長させるという傾向があり、それに対抗する上で、EUのデジタル単一市場著作権指令や米国の音楽近代化法(MMA)では拡大集中許諾、ECLと今後申しますが、それと権利制限の組合せや、MMAでは包括強制許諾を導入しております。それと同時に、欧州、米国いずれにおいても、網羅的なデータベースの構築とプラットフォーマーによる対価還元、MMAの場合はデータベース構築費用をプラットフォーマーに負担させていますが、そういったものをパッケージで導入しております。我が国においてもこのような全体的な枠組みが、権利保護・適切な対価還元と利用円滑化の両立のためには必要であると思います。

3点目です。具体的には、日本においても一般ECL的な枠組みを認める条項を入れつつ、全部について一律に使えるわけではございませんので、これは後ほど申し上げますが、一般と言っているのも取引費用が高騰化する分野についてでございますので、詳細については政省令などで規定する形がよいのではないかと思います。

当面は取引費用の観点から包括的許諾についての合理的な意思の推定が認められやすい性質の作品について、主要分野、例えばアウトオブコマース作品とか放送番組アーカイブや企業内複製など、そういったものからの導入が見込まれておりますが、ただし、導入時にあまり現状で妥当と思われる適用範囲だけを念頭に置いた要件を設けてしまいますと、これまでの我が国の制度構築の時間的な長さなども考えますと、将来の取引実態の変化に対応できない、または対応が遅れるといった展開が予想されますので、この点では今回のドイツの改正法が参考になるのではないかと思われますので、後ほど条文を具体的に御説明したいと思います。

第2の項目です。次に、EUデジタル単一市場著作権指令のドイツにおける国内法化の大枠の御説明をまずしたいと思います。御案内のように、EUデジタル単一市場(DSM)著作権指令は、アメリカ発の巨大プラットフォームに対する規制を念頭に置いております。この中では、DX時代に対応したコンテンツの利用円滑化と権利保護・適切な対価還元を両立させる規定を設けております。すなわち、指令では8から12条で権利制限とECLを組み合わせて利用円滑化を図ると同時に、プラットフォーム規制や検索エンジンの使用料支払い義務規定などをパッケージで導入しております。

次のページ、3ページを御覧ください。EU加盟国は、今年2021年6月7日までにDSM著作権指令に従って自国の著作権法を整備することが求められておりますところ、我が国は直近の著作権法改正でもドイツ法を参考にしているところでありますが、ドイツはこの国内法化を先行して行っておりまして、以下に申し上げるような改正を既に行っております。著作権法の改正については6月7日から施行、この後述べます集中管理団体法、この日本語訳がいいのか分かりませんが、英訳ではコピーライト・サービス・プロバイダー・アクトとなっているようですが、それについては8月1日が施行ではないかと言われております。

大きな枠組みを表にさせていただきました。まず1つの枠組みは、アウトオブコマース作品についてです。これについては、DSM著作権指令では8条1項で、集中管理団体が存在する場合には拡大集中許諾制度の導入義務を定めておりまして、これに沿ってドイツ法では、集中管理団体法(VGG)で52条において拡大集中許諾制度を設けております。

また、アウトオブコマース作品についてですが、集中管理団体が存在しない場合、DSMの8条3項では、補完的制度として権利制限規定を設けております。8条4項、10条1項ではオプトアウト権の保障を定めております。こういった権利利制限規定に該当するのがドイツ法の著作権法改正61d条から61g条ということになります。

次の大きな枠としては、表の下のほうを御覧いただきたいんですが、アウトオブコマースほどでなくても、取引費用が高過ぎる場合に拡大集中許諾規定を定めることができるという制度です。DSMの12条1項では、加盟国は推定による一般ECL規定を定めることができると定めております。

特に御覧いただきたいのが、DSMの12条2項なんですが、12条2項では、「加盟国は、関係する著作物またはその他の保護対象物の利用の性質または種類を理由として、権利者から個別に許諾を得ることが求められるライセンス取得に必要な取引を見込めないほど一般的に費用を要し、かつ困難である場合、明確に定められる使用分野においてのみ、第1項にいうライセンス付与手続が適用されることを保障し、かつ当該ライセンス付与手続が権利者の正当な利益を保障しなければならない」という規定を設けております。したがって、「一般ECL」といいますけれども、その対象についてはこのような取引費用が高過ぎる場合というのを念頭に置いているわけでして、先ほど申し上げた米国のMMAも、ダウンロード配信とインタラクティブ型ストリーミング配信における音楽作品の録音権に限定して包括的な強制許諾制度を導入しているところであります。

DSMの12条3項では、このような場合の一般ECLの要件a、b、c、dを定めておりまして、これに対応するものとして、右側の列、ドイツ法では、集中管理団体法の51a条で4要件、また、51b条で団体の十分代表性について定めているところであります。

資料の4ページを御覧ください。これは権利保護についてDSMでもドイツ法でも定めていますということで、いわゆるフィルタリング条項について条文を挙げさせていただきましたが、ここでいういわゆるフィルタリング条項、DSM自身にはこういう言葉ではないんですけれども、これはユーチューブなどでの著作権侵害コンテンツの検知や削除について定めたものであって、日本でいういわゆるアクセス制限などでいわれているフィルタリングとは別物でございます。

最後に、第3項目です。ここではDSM著作権指令を国内法化したドイツ制度の具体的なドイツの条文を御紹介したいと思います。なお、欧州のECL状況については、この委員会の委員でもいらっしゃる生貝先生からも情報提供をいただきました。この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございます。以下に記載する条文の日本語訳というのは機械翻訳を基にしたものでございますので、ぜひ御専門の先生方からご研究発表がされることを期待しております。

まず(1)ですが、ドイツの集中管理団体法(VGG)の51a条、51b条が、DSM、著作権指令12条の一般ECL条項に該当いたします。時間の関係がありますので、読み上げは割愛させていただきますが、次のページ、5ページを御覧ください。51a条では、権利付与の効果と永続的情報として、(1)の1、2、3、4、5とここで要件を挙げており、51b条では、このうちの集中管理団体が代表的であるいうところの代表性について規定を設けております。

5ページの私見のところに書かせていただきましたが、このように十分代表性について、数、多数という要件を設けられていますが、これは必然ではなくて、私は制度設計次第ではないかと思っております。ECLというのは取引費用を下げる上で決め手になる考え方であると思いますが、一方で優越的地位の濫用的な利用条件の設定になるような構造は避けるべきだと思いますし、また、権利団体と集中管理団体との分離がECL導入の場合においては前提条件となるといった意見も聞かれているところでございます。例えば今、包括的データ戦略においては、分散連邦型の集中管理ということが言われております。そういったことも可能ではないかというふうに考えております。米国のMMAにおける制度については、読みいただければと思います。

 6ページの(2)を御覧ください。VGG52から52e条は、DSM指令8条から11条のアウトオブコマース(入手困難)著作物のECL条項に該当しております。※印の(1)に書きましたように、この条文でアウトサイダーの著作物についても対応する使用権を付与しなければならないということでございますので、ここでは、アウトオブコマース作品についてはECLが強制されているということでございます。

※印の(2)ですが、アウトオブコマースかどうかのデータベースは、EUのIPOが作っております。日本でもこのようなデータベースの整備が必要で必須であると思っております。あとの条文については、52a条で、特に(1)の4ポツでは権利付与の6か月前に情報提供ということが定められておりましたり、52b条では、入手困難著作物についての定義といいますか、みなし規定というのが設けられている。こういったところも参考になるのではないかと思います。

7ページの(3)を御覧ください。ドイツ著作権法の61d条から61g条が、DSM指令8条2項のアウトオブコマース著作権の条項に当たります。

ということで、時間が参りましたので、私からの発表は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

【末吉主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問ございましたらば、御発言お願いいたします。いかがでございますか。

【奥邨主査代理】  すみません、質問してよろしいですか。

【末吉主査】  どうぞ。

【奥邨主査代理】  大変ありがとうございました。2点簡単に、関係するところ、近いところでお伺いしたいと思います。

5ページのところで多数要件についてのお考えがありましたけれども、理論的な位置づけのところ、大変勉強になったんですけれども、1点、理論的な視点ではなくて実際的な視点からお尋ねしたいと思います。多数の権利者を代表してない団体が代表となった場合、オプトアウトする人が増えてしまうことによって実質的に機能に支障があるような気もするんですけれども、その辺は先生いかがお考えなのかなというのをお聞かせいただければと思ったのが1点目です。

2点目は、そこの下のところで米国の音楽近代化法について言及されているんですけれども、米国の制度は、包括強制許諾だったのではなかったかなという理解をしておりまして、ECLとはかなり事情が違うのかなというふうに思ったのですが、そこはいかがかでしょうか。それとも、御発表のあったECLとしてお考えなのは、どちらかというと強制許諾に近いようなものをお考えで、そのため米国制度についてここで御言及があったのでしょうか。その辺が十分理解できなかったもので御質問させていただきました。

以上です。

【桜坂法律事務所弁護士(林)】  御質問ありがとうございました。まず1点目ですが、実務的にはごもっともな御提案だと考えております。ただ、団体をつくることよりも、データベースを整備することができれば、団体に加盟していない個々のアーティストについてもこのような集中管理というのは可能ではないかと思いますので、それが分散連邦型という観点でございます。したがって、データベースの構築と一緒に進めないとできないという話だと思います。

 2点目ですが、一方、おっしゃるとおり米国のMMA(音楽近代化法)と欧州で言っているECLとは全く違うものだと思いますが、申し上げたかったのは、取引コスト高騰化の構造変化への対応の仕方として米国ではこのようなやり方をやっており、実際にも今年の2月にもこの枠組みで4億2,400万ドルのロイヤルティーを徴収して、それが既に分配に回っているということで、アーティストからも歓迎されていると伺っています。要は、そのための議論を前に進めるということをいろいろやってみようということでございます。

【奥邨主査代理】  ありがとうございました。大変勉強になりました。

【末吉主査】  後藤委員、どうぞ。

【後藤委員】  林先生、どうも御無沙汰しています。CODAの後藤です。私も先生おっしゃるとおり、サイトブロッキングの議論というのはすべきだというふうに思っています。

その中で確認なんですけれども、先生、ドイツというのはいわゆる司法型だったものを、この新しいCUIIという団体をつくられて、いわゆるスピード化ということで運用を早めたという理解でよろしいんでしょうか。

【桜坂法律事務所弁護士(林)】  御質問ありがとうございます。司法型であることは変わりなく、判例法に基づく前提は変わらないんですけれども、その運用の中でもサイトブロッキングをしている組織はドイツ国内ではなくて国外が多いという問題が指摘されていることで、まずこのCUIIのような枠組みを設けないことには司法的な解決では救済がなかなかできない。脚注に書かせていただいたドイツ連邦議会などの意見の中でも、そういった観点からもこのCUIIの設立の合理性というものが裏づけられているそうでございます。

【後藤委員】  どうも先生、ありがとうございました。またよろしくお願いします。

【桜坂法律事務所弁護士(林)】  よろしくお願いします。

【末吉主査】  福井委員、どうぞ。

【福井委員】  福井でございます。林先生、DSM、それから、ECLについて、非常にインフォーマティブな御発表ありがとうございました。大変勉強になりました。

 私もこの十分性について1つお伺いしたいと思います。前回までのヒアリングで、日本のいわゆる権利者団体の組織率は10%からせいぜい30%ぐらいのところが多いという結果が出てきております。この十分代表ということについて、EUあるいはドイツではその内容についてはどの程度の議論がされているんでしょうか。

問題意識を申せば、そもそも比較的小規模な利用が多い権利者において加入率が上がらないのは当たり前であるので、そこで人数における非常に高い組織率まで求めてしまうと、ECLというものはほとんど使えない制度になってしまうんじゃないか、制度の意味がなくなるんじゃないかということを感ずるのです。その意味で、この十分代表という点は、単純に数だけでは考えないんじゃないかなというふうに想像するんですが、どのような議論がされているかお教えいただければ。

それからもう1点、分散連邦ですね。ここは非常に興味を持ちまして、分散連邦型の集中管理について、短くてももし補足いただけるようであれば伺えればと思いました。

【桜坂法律事務所弁護士(林)】  福井先生、御質問ありがとうございます。すみません、私も十分代表性についての意見は申し上げたものの、どの程度EUで議論がされているかというところについては、まだこれからむしろ専門の生貝先生などにぜひ教えていただきたいなと思っているところでございます。

ただ、卵が先かみたいな議論をしていても仕方がないので、現状に合わせて、日本でまずそれぞれ持っているリソースをみんなで合わせて前に進めるという意味では、現状で数が少ないのであれば、取引費用の観点で今、回っていかないという分野については、みんなが、持っているところが集まって先ほどのデータベースなどのアーキテクチャも含めて動かしていけばいいんじゃないか、数にこだわる必要ないんじゃないかというふうに、そこで話がデッドロックしていたら全然前に進まないんじゃないかという危機感を私は持っています。

分散連邦型ですが、これは、包括データ戦略の中で例えば東大の越塚先生などがいろいろ御発表されているところです。これも発展途上だとは思いますが、GAFAのような形でなく、分散管理ということをデータ分野においてもやっていくという我が国の流れとしては、このコンテンツについても今や情報財、中間財となっておりますので、その在り方としては共通した考え方でいけるのではないかと思っております。

【福井委員】  ありがとうございました。

【末吉主査】  ありがとうございます。時間の都合もございますので、ここら辺で切らせていただきます。

続きまして、日本知的財産協会の今子さゆり様、よろしくお願いいたします。

【日本知的財産協会(今子)】  今子です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。資料2-2のほうで御説明をさせていただきます。

まずJIPA、知財協について御説明のペーパーを用意しております。今回の発表に当たりましては、次世代コンテンツ政策プロジェクトと著作権委員会のほうで検討をしております。

続きまして、基本的な考え方です。利用円滑化、適切な対価還元方策の検討についてのJIPAの基本的な考え方なんですけれども、まず既存の法制度の枠組みの中で、契約を中心とした商慣行を推進し、非常にベーシックではありますけれども、その中で円滑なルールづくりを行うことができるかを検討すべきだと。それから、権利処理円滑化のニーズが高く、現行では対応困難な課題を特定して、その中で簡素で一元的な権利処理を含む様々な観点での望ましい方策の在り方を検討すべきであるというふうに考えております。

次のページに行きます。著作物の利用、そして、許諾に関する課題として、実務担当者が多いので、ディスカッションをして意見をちょっとつくってみました。

まず1つ目の悩みというか課題なんですが、権利者の探索です。利用したい著作物があるんだけれども、どこにコンタクトをすればよいか分からないといった悩みがありました。考えられる対応案例としては、本当に基本的ではありますが、コンタクト先を表示していただく。それから、データベースのさらなる整備をいただくなど。そして、権利者不明の著作物については、オーファンワークス対策事業等の取組など、こうした対応を進めていただくというのが望ましいのではないかというふうに考えております。

続きまして、許諾元は真正な著作者・著作権者なのかといった問題もあります。原権利者から利用者まできっちり契約で処理をされるのかとかという悩みが結構あるという話です。やはりこれも非常にベーシックな話ではありますが、契約を中心とした商慣行を推進していただくとともに、そうした取組について支援を、例えばひな形を作るとかといったところも含め支援をしていただけるとよいのではないかというふうに思っております。それから、技術を活用した取組の仕組みの構築や運用、こういったことも考えられるかと思います。

続きまして、利用規約の書きぶり、それから、解釈で悩んで、著作物が使えないとか、利用をちゅうちょするといったこともあるということです。例えばAI開発や情報解析等のためにデータを活用したいと。著作権法では、非享受利用権利制限等を整備していただいているところではありますが、利用規約との関係でそれが使えるのかどうかといった悩みがあります。

対応案例としては、解釈指針の充実をしていただくなどですね。これまでも文化庁のほうでは、柔軟な権利制限規定の基本的な考え方など整理していただいておりますし、経産省のほうでも準則を出していただいております。こうした例を参考とするといったようなことが考えられます。そして、AI開発だったり、情報解析だったりというのでデータ周りの悩みというのがあるんですけれども、オープンソースとかオープンデータ等に関する商用利用にも対応した、あるいは権利制限規定との関係も考慮したライセンススキームという、過去もLinuxのCommunity Data License Agreementとか、それから、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとかありますので、こうしたものを参考としつつ、ライセンススキームを構築あるいは普及させていくといったことも考えられると思います。

続きまして、著作物の利用、そして、許諾の在り方を考えるに当たって考慮すべき事項をまとめてみました。大原則として、本当に当たり前のことではありますが、著作物の利用について著作権者の意思が尊重されるというのが非常に大事であるというふうに考えております。その中で、ただ、利用についてすごく公益性が高いといったようなものも数多くあるというふうに思いまして、そうしたものと公益性と私益のバランスというのはどのように考えるのか。例えば権利制限規定ですね。無償の権利制限規定もありますし、補償金つきのものもありますが、そうしたもので妥当と考えられる行為というのはどういったものかというのも検討をやはり引き続きしていく必要があるだろうと。

そして、こちらも実務上の悩みであるんですけれども、誰が権利者か、あるいはコンタクト先かというのが分かったとしても、その人が、じゃ、ライセンスしましょうとかというのにあんまり積極的でないとか意思を示さないとか、そういった人の著作物利用をどういうふうに考えるか。使ってもらっても構わないんだけれども返事も面倒くさいのでほったらかしになっているとかというのもあるというふうに思っていまして、限られたケースかもしれないんですが、そういったものに対応するために、寛容的な利用だったり、黙示の許諾だったりというのが、こういったことも検討の必要はあるのかなというふうに思っております。

そして、権利者不明の著作物への対応、こちらも必要になるというふうに考えております。ただ、著作物の種類、性質、利用主体、利用形態、その組合せによってパターンも非常に様々なので、きめ細やかな方策を検討していく必要があるというふうに思います。

続きまして、12ページ目になります。著作物の利用に応じた対価が権利者に支払われることが非常に重要であると。そのような点に関連して、やはりどのように利用されているのかというトレーサビリティーを向上させていくというのは大切だろうというふうに思います。無許諾利用著作物対策にも効果があるのではないかというふうに考えます。

そして、利用状況の集計・分配の高速化、正確性の向上、透明性の確保です。こちらもやはりきちんとした対価が権利者に支払われるということで、ベーシックに非常に重要であるというふうに思います。

著作物の種類、性質、利用主体、利用形態、組合せによって、実現するための最適解は異なると。これは組合せによって、下にありますけれども、権利者と利用者をじかにつなぐシステムを構築したほうがいいパターンもありますし、あるいは許諾権ベースの従来からの集中管理をさらに進めて対象を増やしていくとかそういった進め方もありますし、集中管理と報酬請求権ベースの集中管理の組合せなどを進めるといった、それが適切なケースもありますし、使い方、著作物の種類、性質、利用主体の組合せで最適解というのは変わってくるので、きめ細やかな検討が必要になってくるのかなというふうに思っております。

次、13ページ目に行きます。著作物流通市場全体によい影響を与える環境整備であること。サービス事業者も含めまして利用者にとって使い勝手がよい。そして、利用に関する情報の適切な報告、そして、対価が支払われている。それから、著作物の正規流通がより促されて取引が活発になるということで、権利者・社会の両方にメリットがあると。

権利者の意思をきめ細やかに反映する、そして、権利処理コストを下げることのバランスをどう取るか。ここですが、権利者の意思をきめ細やかに反映すればするほど経理処理が結構複雑になってしまうという問題があって、そういったところもちょっと考えなければならないと。

権利処理の仕組み構築・運用のコストがどのように負担するのか。ここですが、利用の報告をきっちりしていくということは大事なのですが、権利処理のコストのほうが、運用のコストが非常に高くて、権利者に支払われる金額よりも高くなってしまっているといった実態もありますので、そういったことをどうしていくのかというのも考える必要があるだろうと。

最後に、こちらは今回のヒアリングの対象ではないかもしれないんですけれども、ちょっと気になる点です。1つ目が、アナログ・デジタルイコールフッティング問題といって、デジタル化が進んだことによって公衆送信を伴う利用となるので、アナログだと別に著作権法を気にせずできるのにデジタルではできないといったようなことがあるので、そういったことも検討を進めていただきたいと。それから、バーチャル空間での利用で様々な権利が複雑に絡み合うみたいなことがありまして、やっぱり実務上そこをどう整理していけばいいのかというところも気になるところであります。

以上となります。ありがとうございました。

【末吉主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問がありましたら御発言ください。いかがでしょう。

生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】  貴重な御説明ありがとうございました。1点、11ページに関して御質問なのでございますけれども、こういった契約のいわゆるオーバーライドとの調整をどうしていくかというのは1つの大きな課題かというふうに存じますが、あまり実務の面には明るくないこともございまして、特にこういった契約、規約との関わりが問題になってくるデータセットというのは、どういった文脈で販売・入手、あるいは流通されるものに関して出てくることが多いか、もしコンテクストを少し教えていただくことができれば幸いです。

【日本知的財産協会(今子)】  ありがとうございます。その点は様々な例があると思いまして、特にこの例があったというわけではないと思うんですけれども、購入してくるものとか、購入というか許諾を得て利用させていただくものとか、それから、社内で持っているデータであっても外の権利が関わってくるものもあるので、このケースが特にというわけではないんですけれども、いろいろあるというふうに認識をしております。

【生貝委員】  どうもありがとうございました。

【末吉主査】  ほかにはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。ありがとうございました。

それでは続きまして、日本民間放送連盟の品田聡様、お願いいたします。

【日本民間放送連盟(品田)】  おはようございます。本日はこのような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。私は、民放連知財委員会の下部組織で法制部会の主査を仰せつかっております日本テレビの品田と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

今期の小委員会の検討テーマは、DX時代に対応した著作権制度・政策の在り方という幅広いものですけれども、本日は、テーマの中で言及されております過去のコンテンツの活用に触れながらお話をさせていただきます。資料には右下にスライド番号をつけておりますので、スライド番号を示しながら説明をさせていただきます。

まず初めに、番組コンテンツの活用について現状を御説明させていただきます。放送番組の活用方法はいろいろございますけれども、まずスライド2のテレビ番組の活用事例の丸1にございます、放送を軸とした同時配信、追っかけ配信、見逃し配信についてです。これらは、来年の1月1日に改正著作権法が施行されますので、放送事業者としましては、これから取組を進めていく部分でもございます。放送が軸ですので、活用される主要なコンテンツは放送中の新しい番組となります。放送やTVerなどでは、これから放送する番組をPRする目的で過去コンテンツを再放送したり、配信することもあります。

続いて、スライド3の丸2、有料配信についてです。こちらは放送中の番組から過去の番組まで幅広く配信されております。配信プラットフォームも様々です。新しいコンテンツは当然充実しております。さらに、東名阪の数社に過去コンテンツの配信について事例を伺いましたところ、資料のとおり、人気タイトルを中心に1970年代以降の作品が既に配信されております。

次のスライド4になります。従来からあるコンテンツの流通経路であるブルーレイなどのパッケージや海外番販についてです。多くのドラマや人気のあるバラエティーはパッケージ化されております。海外番販も国からの助成や支援を活用して進めております。コロナ禍においても、オンラインの国際番組見本市に参加するなど、できる取組を続けております。海外でも、やはり新しい番組のニーズが高いという傾向がございます。

次に、ラジオについてです。ラジオは、御存じのように、radikoやその他のプラットフォームで放送との同時配信を実施しております。radikoでは、追っかけ配信や一定期間内の聴き逃し配信も行っております。そのほか多くの事例があるのは、番組を編集し、ポッドキャスト化して、様々なプラットフォームに提供する形態です。媒体の特性としてリアルタイム性が重視されるため、テレビのように、数十年前の番組を活用するという事例はあまりないようです。

以上のように、様々な方法で番組コンテンツを活用しております。ニーズが高いのは比較的新しいコンテンツではありますが、これまで御紹介したとおり、ドラマやバラエティーなど二次利用に向いているコンテンツは、過去コンテンツも一定の活用が行われております。

一方で活用できていない過去コンテンツには、スライド6のような理由がございます。需要がないため、コストが見合わない。過去番組を活用する場合、権利処理に加えまして、例えば放送当時は許容されていたけれども、現在では不適切と判断される表現が含まれていないかといった内容面のチェックや編集作業などのコストがかかりますので、需要が高くないコンテンツは事業として見合わないと判断せざるを得ないことがございます。

また、需要はあるけれども使用料コスト等が見合わないという、先ほどの項目と似たような理由でございますが、この場合、一定の需要はあるものの、ビジネスとして見ると使用料とのバランスが取れず、活用を断念するという場合もあります。

そのほか、3番目のように、昔のコンテンツは権利情報が存在しないという場合もあります。連絡先が分からないということではなくて、出演者のお名前とか楽曲の曲名などが分からないということで権利処理自体ができないということがございます。

そして、その他の理由としまして、やはり人権面の問題など、考査というふうに呼ばれていますけれども、出演者の方々が様々な理由から活用を拒否されてしまうような場合も事例としてはございます。

次に、スライド7を御覧いただきたいと思います。このような背景を踏まえまして、簡素で一元的な権利処理について考えてみますと、拡大集中許諾制度やデータベースの作成などの施策は、いずれも権利処理に関する人的なコストが低減される可能性はあると考えておりますけれども、検討に当たりましては、多様な権利者と利用者の意見を踏まえて進める必要があると考えております。

また、簡素で一元的な権利処理が実現しますと、本日御紹介したような、現在活用できている新旧のコンテンツがより効率的に流せることが考えられます。しかしながら、活用できていないコンテンツを新たに流通させるためには、総合的に見たニーズや事業採算性などを検討することが必要と考えております。もちろんニーズや事業採算性だけの問題ではなく権利処理の問題もあるわけですけれども、どちらか一方の解決だけではなかなか難しいのではないかと考えております。

私からの発表は以上となります。ありがとうございました。

【末吉主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問がございましたらば、御発言どうぞ。いかがでございますか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。

それでは続きまして、音楽クリエイターとして活動していらっしゃる日本音楽作家団体協議会のエンドウ.様、お願いいたします。

【日本音楽作家団体協議会(エンドウ.)】  こんにちは。初めまして、よろしくお願いいたします。一般社団法人日本音楽作家団体協議会、通称FCAというんですけれども、そこの常任理事をやっておりますエンドウ.と申します。

FCAというのがどういうものか少し説明させていただきます。日本で唯一の音楽作家団体連合で、12の音楽作家団体で構成されています。例えば毎年レコード大賞を開催している作曲家協会とか、そのほか、作詞家協会、童謡協会などいろいろなジャンルの12の団体が集まって、延べ3,500人ぐらいの音楽作家・クリエイターが集まっている団体でございます。私も一応、音楽作家でクリエイターでやっております。今日はよろしくお願いいたします。

資料のほうの一番最初のアンケートの説明をちょっと読ませていただきます。今回文化庁からお話をいただきまして、音楽クリエイターに向けてアンケートを行いました。先週1週間で62人のクリエイターが答えてくださいました。ヒットチャートのポップス系とか、劇伴サントラ系、ネット・ボーカロイド系、あと、トラックメーカーとかいろいろなジャンルでプロとして活動する現役のクリエイターを抽出しまして、匿名で協力を要請したものになります。皆様、商業のお仕事とは別にインディペンデントな同人活動もしている方が多数いらっしゃいます。クリエイターであり、実演家だけの方は含まれておりません。あと、全てが現役世代の皆様です。引退した、もうあまり作っていない大先生とかは今回はお願いはしませんでした。

簡単にアンケート結果を見ていきたいんですけれども、自分の作品が誰かのコンテンツ制作で自由に使われることに関してどう思いますかという質問しました。これを見ていただいて明らかなように、この赤い、「きちんと対価がもらえるならどんどん使ってほしい」がもう8割超え、「きちんと対価がもらえるなら、まあいいか」ぐらいの消極的なのも3%とか、これを合わせますと、やっぱり大半が、対価さえいただければ賛成であるという結果でございます。反対している方は数%ですね。「その他」を選択して自由記述してくれた方々も様々な懸念事項を書いていただいておりますけれども、いろいろ心配事があると。これは今省かせていただいて、この先に進ませていただきます。結論としては、大半は賛成であるということです。

次です。誰もがあなたの作品を自由に使えるようになった場合、期待することはどんなことですかということを聞きました。「収益が増えるかもしれない」と7割の方が期待しています。やっぱり収益ではなくて、作品がより広いところに届くことを期待できると答えた方も8割いらっしゃいました。意外と、インディーズやアマチュア系のクリエイターにもチャンスが増えるかもしれないと答えた方は、予想よりは少なくて3割ぐらいの方でした。でも、そこまで少なくないとは考えております。

次に進ませていただきます。もう1個質問しました。コンテンツを作るとき誰もが自由にあなたの作品を使えるようになった場合、心配することはどんなことですか。さっきの期待と反対ですね。やはり期待することよりも心配することのほうが重要かなと皆さん考えているようで、8割の方が「きちんと自分に対価が払われるのか心配」と答えていました。あとは、利用されたとしてもそれを特定できるのかという、自分が把握できるのかという心配ですね。あとは、勝手な改変や望まない利用のされ方などの心配が5割、権利の乗っ取りや盗作の心配も4割ほど。「心配がない」と答えた人はやっぱいらっしゃいませんでした。皆様もちろん当然心配はあるようです。

次に進ませていただきます。結果的に、きちんと権利者に対価還元する代わりに、一々許諾を得ずに自由に使えるようになるべきかと聞きました、この赤、青、緑、いろいろ程度の問題なんですけれども、対価が今より大幅に増えるならそうなるべきが赤です。今よりちょっとでも対価が増えるならそうなるべき、これが青。今より対価の総額がちょっとぐらい減ってもやっぱりみんな使えるようになるべきだとか、これが緑です。そういった感じでまとめていきますと、結果的に8割以上の方が賛成です。きちんと対価還元する代わりに自由になるべきだとみんな思ってくれています。ちょっとこれも進みます。

最後に、何か気になる点があれば言ってくださいという質問もしてみました。クリエイターのジャンルによっても考え方が変わってくるのではないかという意見。そもそも今現在勝手に使われているという意見。あとは、クリエイター自身が面倒なことを考えないで済みたいということですね。あと、ちょっと読んでみると、大体やっぱり皆さん自分できちんと把握してコントロールしたいという考えが多いようです。

ぱんぱんぱんとアンケート結果を今飛ばしていきましたけれども、アンケート結果が気になる方は後で目を通してください。

まとめさせていただいたんですけれども、結果的に、音楽著作権に関しては、既にJASRACとNexToneのこのたった2つの事業者によって集中管理されていると言える状況にありますので、また、楽曲の利用が特定できた場合は、精度の高い分配をもう既にみんな得ているんです。ですので、音楽クリエイター、音楽作家という立場の人には、なじみやすい未来なのではないかと考えております。皆さんもそう考えているようです。

次に、既に現在も勝手に使われていることが多いです。もうこれに慣れていますね、みんな。その場合も、ユーチューブなどでは対価を得られるシステムがありますので、楽曲の利用自体の反発ももう多くはないという感触です。ただ、利用の特定と対価の還元だけは絶対に必要だとみんな思っています。

次です。ただ、勝手な利用が多いので、望まれない使われ方や、権利の乗っ取りや盗作も多いんです。さらに、使われているのにマネタイズできないパターンなどもありますので、楽曲の利用状況の把握とか、侵害の申立てや、望まない利用の場合のブロックなど、クリエイター自身が自分で管理できるシステムが欲しいというのをみんな思っているようです。つまり、ユーチューブでいうと今使われているコンテンツIDのようなシステムが全ての利用に関しても実現したらいいなと、みんなやっぱり考えているようです。

新たなシステムになることで受け取る対価の総額が増えるのであれば問題はないんですけれども、ほか分野との連携によって分配先が増えることで個々の収益が減ることは大分懸念があるようです。これは今回のアンケートではそこまで数字では出てこなかったんですけれども、これはクリエイター同士のヒアリングではよく出る意見です。やっぱり皆さん、今もらっている分が減るのは当然嫌だという、そういう考えが多いようです。

次に、管理団体でちゃんと権利が管理されている場合でも、楽曲の特定が重要になってきまして、特に原盤に関する特定はクリエイター自身が管理できていない場合が多いんです。例えばレコード会社が原盤を管理している、自分はただの作曲家であると、そういう場合、その音源のマッチングを自分でできないんです。レコード会社に頼らざるを得ない。

楽曲の特定はフィンガープリントで行われているんですけれども、フィンガープリントデータは原盤が基本になっているので、作家側、クリエイター側が手を出せなかったりするんです。あの楽曲をフィンガープリントに登録したいと思っても、個人ではその原盤データを持っていなかったり、フィンガープリント会社とのパイプが全くなくて窓口がないとか、そういうので自分で特定できないというところがあります。著作権者がマッチングしてコントロールできない現状がありますので、フィンガープリントもユーチューブのコンテンツIDのようにアナリティクス画面とかで管理できたらいいなというのをみんな考えております。

この先の時代、インディペンデントなクリエイターが明らかに増えていく展開が待っていると我々も思っていますので、そういった場合は自分で原盤を持つクリエイターも今より増えていくとは思われます。ますます自分で管理したいなという人が増えてくるのではないかと思います。今後レコード会社や音楽出版社に依存しないクリエイターは間違いなく増えていきますので、クリエイター向けの支援や権利教育は欠かせないなというのは我々の意見でもあり、もっと知りたいと最近盛り上がってくれている話題でもあります。我々音楽作家団体としても、より多くのクリエイターたちに団体の加入を呼びかけたり、セミナーを開催したり、権利意識の啓蒙活動をしております。

すみません、以上でいただいたお時間内での発表を終わります。

【末吉主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問がありましたら御発言ください。いかがでしょう。

奥邨主査代理、どうぞ。

【奥邨主査代理】  ありがとうございました。1点お伺いしたいんですけれども、お伺いした中でいきますと、例えば許諾の実務とか、それから、ライセンス料の回収とかそういうところをクリエイターとしてはできるだけ団体のほうに任せて行く方向に進みたいという御意見と、もう一つ、作品が、自分の望まないような利用がされていないかどうかを自分で管理したいというご意見が出ていて、その2つが考えてみるとちょっと矛盾しているような気もするんです。

というのは、例えば個別に管理したいということがどんどん進むのであれば、団体に任せたいということとは違うと思うし、逆に団体に任せたいということが前提だとすると、個別の管理というのもちょっと違うのかなと。例えば一例ですけれども、基本的にはふだんは団体にお任せするんだけれども、何か特別に変な使い方をされたり、トラブルがあったりしたときは自分としても確認をしたいという話なのかどうか。団体との関係と個人の思いのところは、それぞれどれぐらいの強さだったり、主と従があるのかとか、その辺を少しお伺いできればと思いました。

以上です。

【日本音楽作家団体協議会(エンドウ.)】  ありがとうございます。今の現役のリアルタイムで今活動している作家たちの多くは、やっぱりユーチューブとかチューンコアで自分でアグリゲーターで配信をしてという、自分の作品を全て管理画面で管理できているんです。なおかつ、勝手に収益は振り込まれてくるというのがもう当たり前になっていまして、自分で動向をチェックして、嫌なのは取り下げさせる、ブロックするというのもできる、さらに、お金は黙っていても使われた分が入ってくるというのが、既にいろいろなところでもう我々音楽家はなっていまして、それを当たり前と捉えている節がちょっとあります。

だから、どちらが重要というのは、言ってもちょっとピンとこないといいますか、もう既にできていると思っているので。さっきの結果を見れば、もちろん多分お金のほうが大事だとは思うんですけれども、ただ、我々はそれは矛盾しているとは考えていないということのほうが多いと思います。

【奥邨主査代理】  ありがとうございます。そうすると、それはあれですね、プラットフォーマーのシステムが使える限りにおいてという前提がつくわけですね。

【日本音楽作家団体協議会(エンドウ.)】  そうですね、はい。

【奥邨主査代理】  分かりました。ありがとうございます。

【日本音楽作家団体協議会(エンドウ.)】  ありがとうございます。

【末吉主査】  ほかにいかがでございましょう。

【仁平委員】  仁平でございます。よろしいでしょうか。

【末吉主査】  どうぞ。

【仁平委員】  エンドウ.さん、どうもいい、大変すばらしいプレゼンありがとうございます。特に今回のアンケート結果は、大変参考にさせていただきます。

この中でいろいろとお話があった中、最終的にもやはり、今回ネガティブな意見を最後までお持ちの方というのがいらっしゃるんですけれども、この方たちは例えば、先ほどエンドウ.さんがおっしゃったような、自分の楽曲が何に使われているかきちんと追いかけられるよとか、ちゃんと宣言ができて、こういう使い方は駄目だよとかができる、もしくは収益化もちゃんとできるという条件が整えば、この辺りのネガティブ意見は消えるという感じでしょうか。

【日本音楽作家団体協議会(エンドウ.)】  はい、そうだと思います。ネガティブ意見って実は駆け出しとか若手とかはあまりなくて、やはり一度ネガティブな目に遭ったことがある人にようやくその意見が湧きまして、そういう方たちは、解決さえすればいいけれども、解決なんかできないんじゃないのというところで皆さん思っていますね。多分、解決すればいいと思います。

【仁平委員】  分かりました。あと、フィンガープリントの件があって、インディーズ系の方たちは自分でフィンガープリントが作れないというお話がありましたけれども、まさに日本ネットクリエイター協会で皆さんのフィンガープリント検索のほうもサポートしていますので、そういうことがありましたらぜひ御連絡ください。すみません、宣伝させていただきましたが、どうもありがとうございます。

以上です。

【末吉主査】  ほかにいかがでございましょう。坂井委員、どうぞ。

【坂井委員】  坂井です。興味深いアンケートありがとうございました。

2点お伺いしたいんですけれども、アンケートではなかったので多分エンドウ.さんの周りの方なり、仲間内でのフィーリングというところになってしまうかもしれないんですけれども、今、主にお話しいただいたのは権利者としての意見だと思うんですけれども、今度はユーザーとしてほかの人の著作物を利用するという観点で見たときに、皆さんはどう考えていらっしゃるのかというところが1点。

それから、最後言及いただいたんですけれども、レコード会社とか音楽出版社に所属しない人が増えていくというところなんですけれども、皆さん、音楽出版社に対してどんなような意見を持っていらっしゃるのか、特にインディーズの方ですね、そこら辺教えていただければと思います。

【日本音楽作家団体協議会(エンドウ.)】  まず利用者になる場合、自分たちが利用する場合、これは若い層は割と勝手にやっちゃっています。あまり気にしない人たち。ある程度収益を得てちゃんとプロとして活動している人は、権利回りをやっぱり気になさるので、きちんと許諾を取ったり、権利が怪しい、どうなっちゃうか分からない、危なそうなものには手を出さないとか、その辺はやっぱり、自分がちゃんときちっと収益を得て権利で食べられるようになってからようやく芽生えてきている現状は確かにあります。

次に、音楽出版社なんですけれども、これは古い世代ではやっぱり音楽出版社と一緒に二人三脚で音楽を作ってきたという方々のお話をよく聞くんですけれども、今の若手世代では、音楽出版社というのは一体何のためにいるのかなというのを皆さん疑問に思っておりまして、何もしてくれないのに我々の著作権使用料の半分を持っていくというのがもう大勢の見解で、この先成り立っていかないんじゃないかなと心配はしています。

【坂井委員】  ありがとうございました。

【末吉主査】  ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。

【日本音楽作家団体協議会(エンドウ.)】  ありがとうございます。

【末吉主査】  それでは続きまして、オーファンワークス実証事業実行委員会様、お願いいたします。

【オーファンワークス実証事業実行委員会(三田)】  私は、オーファンワークス実証事業委員会の委員長を務めております三田と申します。公益社団法人日本文藝家協会の副理事長も務めております。私のほうからこのオーファン委員会の概要をお話しします。

まず我々は、資料2-5にありますように、様々なジャンルの著作権管理団体の関係者が集まって、著作物利用の利便性について考える組織であるということであります。御承知のようにオーファンというのは親のない孤児ということでございまして、著作物を子供に見立てて、その親である著作者の所在が不明となった作品をオーファンワークスと呼んでおります。

著作物の複製権は著作者が持っておりますので、著作物を利用する場合、著作者の許諾が必要でございますが、所在が不明でありますと、許諾を得ることができず、利用ができないということになります。例えば、教材出版社さんが出しておられる大学入試問題集というものがございます。国語の長文解読の問題では、既存の著作物の一部を転載し、受験者に読んでいただいた上で設問に答えていただくことになります。これは著作物の複製に当たりますが、権利制限ということになっておりまして、著作者の複製権が剥奪されております。その理由は、大学入試などの場合、どんな問題が出るかは極秘でありますから、事前に著作者に許諾を求めることができないからであります。許諾が必要ないということで、問題の出題者は自由に問題を作成することができるということになっております。

ところが、その入試問題を教材出版社さんが入試問題集として販売する場合、これは許諾が必要ですし、掲載料の支払いも必要となります。文藝家協会に登録されている著作者の場合には簡単な手続で利用することができるのですが、出題者が古い本から転載したような場合、著作者の所在が不明となることがあります。これがオーファンワークスです。

この場合、文化庁さんが設けておられる裁定制度というものを利用することができます。これは大変に便利な制度でして、文化庁さんに申し込み、著作権情報センターのホームページに公示をいたしますと、文藝家協会などの利用料を基にした裁定金額が提示され、その金額を供託金として法務省に納入しますと、利用が可能になります。

教材出版社さんなどは慣れておられますので、この制度を利用しておられるのですが、一般企業の方や地方公共団体、公共図書館さんなど不慣れな方が利用される場合は、手続の仕方が分からないし、仕組みそのものがよく分からないということが起こります。そこで、私どもオーファン委員会では、不慣れな利用者の利便性を図ることを目的にこの委員会をつくり、利用者の皆さんの相談窓口となり、場合によっては手続のお手伝いをする事業を始めました。幸い、文化庁さんの御協力で2016年から19年までは実証事業として補助金を頂いて活動いたしました。

実証事業としての期間が終わった20年以降も活動は続けております。補助金は頂いておりましたが、私どもの活動は全員がボランティアで参加しております。利用者の利便性を図ることが私ども著作権管理団体の使命であると考えておりますし、どのような利用があるかを知ることも今後の活動の参考になると考えたからです。その利用状況については、毎年シンポジウムを開いて検証いたしました。実務の詳細については、資料を見ていただければと思いますが、御質問があれば、実務担当者も来ておりますので、お答えいたします。

最後に、私の感じたことを幾つか申し述べたいと思います。まず、私どもの業務はボランティア活動でございまして、事務局は日本写真著作権協会、ホームページでの御案内は日本複製権センター、会議室の提供と会計は日本文藝家協会など、手分けをして全て無償で対応しておりました。

これを本格的に業務として続けるためには、新たに事務所を開設したり、専任の担当者を置くなどある程度の費用がかかることになりますが、これを利用者に手数料として御負担いただくのは難しいかと考えております。というのは、地方公共団体や公共図書館の御利用の場合、古い資料をホームページにアーカイブするなど利益の生じない無償の活動が多いからであります。また、入試問題集のようなものでも、著作者が受け取るのは300円とか500円とか、多くても5,000円程度のものであります。

ところが、利用者が利用する場合、文化庁さんに申し込むだけでも、当初は1万3,000円の手数料が必要でした。これは2018年4月からは6,900円に軽減されましたが、これとは別に、著作権情報センターのホームページに公示するためには8,100円の費用が必要であります。これに手数料が要るということになれば、大変な御負担になりますし、これは申し込むときだけのお金でありまして、裁定で決定した供託金の支払いも必要になります。また、供託金は法務省の扱いでありますので、文化庁さんとは別のところに行かないといけないということで、これも当初は手続がかなり煩雑でありました。

このような、ある程度の費用がかかるということと、手続がかなりある程度煩雑であるということから見ますと、私が考えるところでは、もともとこの裁定制度というものは、著作権者の権利を守るために、著作物が勝手に使われることがないようにという趣旨で、ある意味でなるべく使いづらいように制度設計されたのではと感じるほどであります。

それを逆に言いますと、この制度をもっと便利に使いやすいものにすることは十分に可能だと考えております。例えば申込手続の費用をさらに軽減するということも考える必要があると思いますし、供託金についても、法務省が受け取って国庫に納めるのではなく、そのお金を文化庁またはしかるべき民間の団体にプールしておいて、そのお金を利用者の利便性を高めるために使うというようなことをやることも可能ではないかと思います。この裁定制度というものを基本として利用者の立場に立った改善をさらに重ねていけば、著作物の利用が今よりも格段に簡易になり、利用者の御負担を軽減させることができるのではないかというふうに考えております。

以上で私の報告を終わらせていただきます。

【末吉主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問がありましたら御発言ください。いかがでございましょう。御質問ございませんか。

福井委員、どうぞ。

【福井委員】  まずは、こうした権利者の方々の営々とした努力に敬意を表したいと思います。また、非常に多くの示唆に富む御意見があったように思いました。

私からは1点だけ、念のための確認ですが、資料の25ページ、利用者から手数料を徴収することは弁護士法、行政書士法との関係で難しいという記載があります。これは恐らく行政に対する申請の代行などというふうに捉えてのことかなと想像したんですが、まずこの難しいという意見は、オブザーバーでもあった日弁連や日行連さんの御意見だったんでしょうか。

【オーファンワークス実証事業実行委員会(三田)】  そうです。だから、我々がやるためには何か手続が必要だということ、そういうアドバイスをいただきましたので、利用料は取れないねということでやってまいりました。

【福井委員】  分かりました。そこは何か道もあるようにも思いましたが、貴重な情報ありがとうございました。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございますか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。

それでは続きまして、コンピュータソフトウェア著作権協会様です。コンピュータソフトウェア著作権協会様には、前回に引き続きまして、事務局よりお示ししたお伺いしたい内容に対応して、資料を作成いただいております。それでは、お願いいたします。

【コンピュータソフトウェア著作権協会(中川)】  コンピュータソフトウェア著作権協会の中川でございます。今回はこういったヒアリングにお呼びいただきまして、ありがとうございます。今回、ACCSからの意見としましては、弊協会はいろいろな会員社がおるんですけれども、そのうちでもビジネスソフト、ゲームソフトといったプログラムの著作物に関わるメーカーの御意見でございます。

結論から申し上げますと、ビジネスソフト、ゲームソフトに関しましては、現状、集中管理は行われておりません。ビジネスソフトに関しましては、御存じのとおり、ユーザー間での使用許諾契約を締結する、または使用条件等を同意することというのが一般的になっております関係上、集中管理にはなじまないのだろうと。ゲームソフトに関しましても、プログラムや映像、音楽など第三者が権利を有するものがたくさんあります。また、過去タイトルなども含めて、ゲームの世界観だとか、それから、展開時期、こういったものを考えるために、メーカーが同じであってもタイトルごとに検討するというようなことが一般的に行われておりますので、集中管理にはなじまないのではないだろうかというふうに考えております。

ただ、ゲームに関しましては、一部動画共有サイト等における一般ユーザーの実況だとか解説、こういったものについては多くのメーカーさんがガイドラインを設けておりまして、それにのっとった利用の範囲であれば、許諾申請もなく利用できるといったような体制のものも多くございます。

さきに申し上げましたとおり、集中管理にはなじまない、実際今も行われていないということでございますので、権利処理の一元化というのはとても難しいのかなというふうには考えてございます。ただ、弊協会に関連するといった前提はつきますけれども、ビジネスソフト、ゲームソフトに関しましては、著作権者、直ちに著作権者でなかったとしても、実際に発行しているところ、パブリッシャー等、問合せ先はそんなに難しくなく判明するということから考えましても、著作物利用に関する相談・申請、そういったことについて大きな障壁は現時点ではないのではなかろうかというふうに考えております。

複数の権利団体との連携した取組というのも現時点では行っておりません。ただ、分野横断的なデータベースを作らなければならないとなった場合には協力することは可能だというふうには考えますけれども、さきに申し上げましたとおり、やっぱり様々なコンテンツが複合的に使われている著作物である、特にゲームソフトなんかに関しましてはどこまでそのデータベースに載せるのかということが問題になろうかと思っておりまして、取りあえずの当面の申請先でありますソフトウェアメーカーの名前を出していくということであれば、容易に御協力できるのではなかろうかというふうに考えております。

いわゆる集中管理許諾についてが中心の議論になっておるようですけれども、さきに申し上げましたとおり、ビジネスソフト、ゲームソフトというのは集中管理にはなじまないだろうと考えておりますので、これについても想定はしておりません。

そのほか御意見といたしましては、デジタルプラットフォームサービスがかなり進展してきているというところで、国境を越えたコンテンツの流通というのはかなり大きくなっております。ゲームに関しても、ビジネスソフトに関しても、そのとおりでございます。ただ一方で、著作物の円滑な利用だとか利用促進を進めるといった場合に、その前提となるのは、やはりその著作物が適切に保護されている、適正に利用されているということが前提になるのであろうと。こちらが不可欠であって、この点に関してもデジタルプラットフォームサービス事業者が担うべき役割というのは、かなり大きなものだろうと考えております。

ですので、デジタルプラットフォームサービス事業者の方々においては、ユーザーに対して実効性のある著作権の啓発、例えば何かを投稿する場合には、必要な権利処理を行ったかといったようなことをチェックするとか、また、当該コンテンツ、実際に投稿されたコンテンツを利用したいという者が現れた場合にはどうするのか、許諾ができるのか、もしくは連絡先を教えるのか、様々あろうかと思いますけれども、こういった対応を決めるなど著作権の啓発を行っていただきたいということと、それから、日々著作権侵害コンテンツとの対応に追われておるわけですけれども、削除要請については権利者側から行うにせよ、少なからず実際に問題があったときに対応する人がいる、もしくは対応する窓口がある、その方法等を設定していただいて、迅速な削除対応がしていただければというふうに考えております。

甚だ簡単ではございますけれども、以上でございます。ありがとうございました。

【末吉主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問がありましたら、御発言ください。いかがでございましょう。

菅委員、どうぞ。

【菅委員】  ありがとうございます。2つ質問がございます。今、集中管理に向かないとおっしゃっておりましたけれども、これからのビジュアル世代で例えばゲームのキャラクターが独り歩きする場合、キャプチャーを勝手に取られて使われてしまうとかいう問題もあると思います。あと、ビジネスソフトにおきましても、とてもすばらしい斬新なユーザーインターフェースが出た場合には、そのユーザーインターフェースをレビューする雑誌などがキャプチャーを使う場合があると思いますが、そういう、極端に言えばゲームのキャラクターが独り歩きして、そのキャラクターそのものがコンテンツとして独り歩きする場合というのもあるかと思いますけれども、そこら辺のお考えを聞かせていただきたい。

もう一つは、ゲーム業界を大変な黎明期から見ておりますけれども、例えばスクウェア・エニックスさんのように、スクウェアとエニックスが合体して名前が残っているのはいいんですけれども、今ハドソンがどうなっているかとか、サミーとアスキーがどうなっているかとか、何か使いたいときに追いかけられない場合、特に会社が消滅してしまった場合とかがあると思います。そういう場合の連絡先といいましょうか、そういう対処の方法は考えていらっしゃいますでしょうか。

以上2点、よろしくお願いします。

【コンピュータソフトウェア著作権協会(中川)】  ありがとうございます。集中管理のお話に関しましては、今回御回答させていただいたのは、あくまでもゲームソフトであったり、ビジネスソフトといったパッケージ全体を集中管理するということについて御回答させていただいたにすぎないので、その中にあります個別のコンテンツとか、また個別の素材、それを利用することに関しての集中許諾はどうなのかという御回答に関しては、これについては各社やっぱり御意見としてはまちまちで、そういうことができる利用の方法もあるかもしれないし、ないかもしれない。その利用の形態がこういう利用の形態であれば可能なのではないのかということについて現時点では想定ができないというのが実情です。ですので、逆に言うと、そのコンテンツを利用したいというのであれば、まずは一義的にはそのゲームのメーカーさんに問合せをしていただいて利用していただくと。そのための窓口が必要だというお話だと思っています。

その窓口のお話で、なくなってしまったメーカーはどうなんだというお話だと思います。こちらに関しましては、やはり今、文化庁さん等でも作られているメディア芸術データベースみたいなものの中で、少なくとも今のメーカーどこなんですかということが分かるような情報というのは何か提示する必要があるのかもしれないというふうには考えております。

古いソフトも、ゲームも大分たっていまして、30年40年たってこようというゲームもたくさん出てきておりますので、古いゲームの中では、メーカーさんが今どこにあるのかよく分からないだとか、合併合併によって、じゃ、どこが権利を実際に持っているのか、その上で権利売られちゃってどこ行っちゃったのかみたいなものも少なからずあって、そういったものについても分かるような提示というのを必要とするのであれば、弊協会会員らも含めて業界挙げて何か御協力をしていかなければいけないのだろうというふうには考えております。

以上です。

【菅委員】  ありがとうございました。

【末吉主査】  ほかに御質問はいかがでございますか。

倉田委員、どうぞ。

【倉田委員】  失礼いたします。まずは分かりやすい説明をしていただき、ありがとうございました。とても勉強になりました。

ちょっと私が知識不足、勉強不足なので教えていただきたいというか確認したいことがあるんですが、ゲームの実況を動画配信するということについてです。この配付していただいた資料を見させていただくと、ガイドラインにのっとれば、利用がある程度の一定の自由の中でできる、そして、対価還元を求めていないということなんですが、例えばユーチューブみたいなものでゲームの実況をするときに、そのゲームの制作者としては対価還元をそれに対して求めていない、そして、これからも求めるつもりはないというふうな理解でよろしいのでしょうか。

というのが、ゲームって、どちらかというと映画に近いような著作物のイメージが私にはありまして、映画を使うもの、ゲームを使うもので結構ギャップを感じてしまったものですから、そういうふうな質問をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

【コンピュータソフトウェア著作権協会(中川)】  ありがとうございます。将来的なことは正直なことを言うとよく分からない、将来的にも現状のようにゲーム実況によってのマネタイズをしていかないというふうに考えているのかということについては、各メーカー、各タイトルによって異なってくると思うので、何とも言えないというのが現状です。

ゲームの実況を今認めている部分というのは、あくまでもやはり、メーカーごとにも異なると思いますけれども、一部やっぱり広報的な立場、PR的なものとして使っているようなことも少なからずあるようで、要は、こんなふうにして遊んでいただければというところです。ですので、ガイドライン上も、逆に言うと、エンディングがあるようなゲームであれば、エンディングは見せてはいけないだとか、秘密があるようなゲームであればそういうことはないようにするだとか、そういった一定の制限はついているようなタイトルもありましょうから、何でもかんでも実況ができるということではないのだろうというふうには思います。

以上です。

【倉田委員】  ありがとうございました。

【末吉主査】  ほかにいかがでございますか、御質問。よろしいですか。ありがとうございました。

以上でヒアリングを終了いたします。御説明をいただいた皆様には、御協力ありがとうございました。ヒアリングに御協力いただいた皆様には、ここで御退出をいただきます。ありがとうございます。

続きまして、議事2の「簡素で一元的な権利処理について」に入りたいと思います。事務局において、ヒアリングやこれまでの意見を踏まえて論点を整理いただいています。それでは、資料3に基づき御説明お願いします。

【小倉著作権課長補佐】  資料3をお開きください。簡素で一元的な権利処理に係る具体的検討に当たっての論点、ヒアリングやこれまでの意見を踏まえて作成しております。

まず1、目指すべき方向性と留意すべき点でございます。1ポツにございますように、利用円滑化による対価還元の創出や増加、まずはこれを目指しまして、こういったものが新たな創作活動につながっていくといったコンテンツ創作の好循環の最大化を目指す仕組みを目指していくといったものです。

2ポツ目、1つの方策では解決できるものではないため、実現可能な時間軸を考慮しつつ、効果的な方策を組み合わせて実現することとしてはどうか。

3ポツ目、今後の検討に当たり、次の項目への留意を適切に行うべきではないかということで、クリエイターの意思(許諾権等)を尊重する。二次創作に係る柔軟な運用を阻害しないようにする。既にライセンスビジネスが成立している場面への悪影響を与えない仕組み。4つ目が、管理運営コストの負担を考慮し、将来にわたり持続可能な仕組みとする。こういったことを示させていただいております。

大きな数字の2番、想定される場面でございます。今回の措置が必要とされる場面、少々具体化しまして括弧書で、特に利用の促進による新たな対価の創出が期待される場面、これについては次のような場合を想定することができるかとしまして、過去の放送番組や舞台公演等のデジタルアーカイブ・配信、権利者不明等により利用許諾が得られないコンテンツの活用、UGC等のデジタルコンテンツのインターネット配信等の二次利用、このほか具体のニーズのある場面があるかといったところを示しております。

3番目、具体的な方策となります。こちら、(1)権利情報データベースの構築、集中管理の促進。例えばデータベースの構築が進んでいる音楽分野を参考に、他の分野でも進めていくための方策があるか。分野ごとに進めるべきか。ニーズのある分野または優先して進める分野はどこか。分野を横断する包括的な権利情報データベースの実現が可能かなどです。2つ目の白丸ですが、集中管理団体が集中管理を促進するための機能強化方策。例えば、当該団体が無断利用への対策を行うことや、データベース構築を促進するといったこと。3つ目の白丸、著作物等の創作者がデータベースや集中管理に登録するための誘引方策や周知方法。例えばデータベース掲載による利用機会の増や対価還元の可能性について。これらの方策を進めるに当たり、運営コスト、具体的な支援方策をどのように考えるかといったことも示しております。

次のページをお開きください。(2)としまして、権利処理に資する一元的な窓口の創設です。1つ目の白ポツですが、利用主体や行為、対象となる著作物を想定しつつ、分野を横断する一元的な窓口組織を設けて、次のような役割を担うことの必要性と実現可能性についてはどうかといったところで、集中管理団体や権利者への接続の円滑化、権利情報データベースの構築や運用としております。この接続の円滑化により、権利者の探索コスト、こういったものがより最小化できないかというところでございます。2つ目の白丸ですが、この窓口組織を設立する場合の具体の在り方。団体の組織構成をどうするか。権利者、利用者双方の参画の在り方、運営に係る費用負担の在り方など。また、既に運用されている同様の制度や団体との関係についてです。3つ目の白丸ですが、権利者等の特定が困難な場合、その探索を誰がどのように行うのが適当か。例えばこの窓口組織の関わり方はどのようなものが考えられるかです。

(3)番、いわゆる拡大集中許諾制度による権利処理についてです。利用者が個々の権利者への利用許諾申請に代わり、特定の組織への利用許諾申請を行うことで、著作物の利用を可能とし、特定の組織から個々の権利者に対価が還元される仕組みの導入についてです。いわゆる一般ECLではなく、個別の場面対応とする場合には、先ほどの上記2ポツで示しました、想定される場面における有用性や実現可能性はどうか。また、3つ目の白丸ですが、集中管理団体や個別権利者との直接のライセンス契約の関係。既にビジネス慣行がある場合の取扱い、クリエイターの意思の尊重の仕方についての論点です。括弧書で、オプトアウトなどにつきましてどのように考えるかというものです。4つ目の白丸、特定の組織にはどういった要件が求められるか。括弧で例示を示しておりますが、例えば著作権等の管理率なのか、データベース等の保有による情報把握の程度、また、制度上の権限付与、また、利用者による組織というものは可能かどうかといったところです。

(4)番、UGC等のデジタルコンテンツの利用促進でございます。こちら、UGC、アウトオブコマース、この具体的な範囲・内容についての論点となります。例えばネット上で非営利・無料で公開している場合、利用条件等により権利者の意思が明示されていないなどの条件設定は可能かどうかというところです。こういったUGC、アウトオブコマースの範囲の設定を踏まえた著作物の利用を円滑にする具体的方策はどういったものがあるかといった論点でございます。

(5)番、現行の裁定制度の改善です。より迅速な改善方策として、現行の裁定制度を改善する具体的な方策は何があるか。例えば申請手続のさらなる改善として、さらに「例えば」としておりますが、申請に必要な供託金算定の根拠となる情報の提供等などがあるかと思います。

(6)、その他。こちらは、保護期間の複雑な計算や著作権者等の没年不詳の場合の扱いに対する方策。多様な主体、場面によるデジタル・ネットワーク技術を活用した新たな普及啓発方策。このほか、DX時代におけるコンテンツの利用促進・対価還元方策があるか。

以上のようなものを示させていただいておりますが、こちらあくまでも論点の一例でございますので、その他の論点がまたあるかどうか。また、その他、これまでもヒアリングを進めてきておりますが、こういった関係者からも話を聞くべきではないか、そういったところもこの後、委員の皆様から御意見いただければ幸いでございます。

以上でございます。

【末吉主査】  それでは、ただいまの説明と本日のヒアリングでお聞きした内容を踏まえまして、議論を行いたいと思います。それでは、全体を通しまして、御質問、御意見を承ります。いかがでございましょうか。

中村委員、どうぞ。

【中村委員】  今の資料3の論点ですが、いい方向性を出してくれていると思います。事務局の整理に感謝をいたします。

1つ目の方向性、あるいは2ポツの想定場面の絞り込みのところも異議はありません。シャープな整理だと思います。3ポツの具体方策も、実現性が結構高くて、重要な施策が並んでいまして、これを全部打ち出せたら、この委員会は及第点をもらえるんじゃないでしょうか。

個別にコメント致しますと、1のデータベース構築の具体アクション、そして、コスト論に踏み込むのは有意義だと思います。第1のテーマとして進めていただきたい。2つ目の窓口の創設というのも、非常に野心的な施策で、これはある種、第二著作権課をつくるような仕事になるのではないでしょうか。期待をいたします。3つ目の拡大集中許諾は、場面を絞り込んで制度化を考えるということで、宿題に答えが出るならうるわしいと思いますし、4つ目のUGCの対象の絞り込みも同様に考えます。

5点目の裁定について、事務局に質問ですが、他の会議などで裁定を民間にアウトソースするという議論がございましたけれども、それは今回盛り込まれないのでしょうか。これは1から4の施策に並んで重要な論点・施策と考えておりますが、いかがでしょうか。

【末吉主査】  どうぞ。

【小倉著作権課長補佐】  事務局でございます。ありがとうございます。最後の御質問の裁定の民間化というところでございます。こちら、これまでの意見でも賛否両論あったかと思いまして、現時点で論点は明確に示しておりませんが、例えば裁定制度の改善の文脈でやるのか、あるいは民間化ということで現行の裁定と全く違う仕組みになるかと思います。これを上の示している(2)、(3)、こういったところでさらに盛り込んでいくのか、(7)として新しいものになるのか、今の委員の御意見を踏まえて、1つの方策として事務局として検討させていただきたいと思います。

【末吉主査】  ほかにいかがでございましょうか。河野委員、どうぞ。

【河野委員】  ありがとうございます。日本消費者協会の河野でございます。私は一般消費者ですので、委員の皆様の御知見に比べて情報量も理解度も低いという立場におりますけれども、本日まで3回のヒアリングにおいて現状の確認がかなり進んだと受け止めております。本日御提案いただいたこの方向性について、私なりに整理をして、意見を伝えたいというふうに思っております。

それで、現状の確認はかなり進んでいるんですけれども、権利者、権利者団体、それから、周辺の関係者の皆さんの御意見は、一致している点もある反面、分野や、それから、業態等によって相違点も多いと感じました。今回の諮問事項であるDX時代に対応したコンテンツの利用円滑化と、それに伴う適切な対価還元方策の趣旨をたがえずに議論を進めるためには、目指すべき方向性、つまり、例えば2030年のありたい姿を関係者みんなで共有することが肝要であって、行政と国民も巻き込んだ形で、DX時代、技術の発展とそこから生み出される革新が当たり前だという前提でぜひ検討を進めていただきたいと思います。

加えて、権利者が不明である場合とアウトオブコマースも含めたUGCなどに対して、行政の視点から明確に今回光を当てることで、まだまだたくさんあるであろう世の中に埋もれているコンテンツに対して、文化振興と新たなビジネスの創出のためにどう利用の円滑化を進めていくのかをぜひ今回の議論の中心に据えていただきたいと考えます。少し長くなりますけれども、その上で、1の目指すべき方向性と留意すべき点においては、どの項目も重要ながら、私は4番目の仕組みの構築と、維持のためのコストと持続可能性の担保というところはしっかりと意識すべきだと考えます。

次に、3の具体的な方策については、事務局案では(1)から(4)に分けて記述してくださっている部分ですけれども、最終的にそれぞれの仕組みが持つ利点をうまく組み合わせることで全体最適の効果を生み出すようなスキームを構築してほしいと考えます。例えば一覧性のある権利情報データベースは作る。そこに、既にある様々な権利分野がネットワーク形式でデータベースに緩くひもづく。分野によっては権利者団体による集中管理がかなり進んでいるので、そうした先進事例は生かしつつ、遅れている他分野をそうした先進事例に寄せるのではなく、分野の特性を尊重した形でのネットワーク化を進める。

そして、デジタル時代を牽引するUGCやアウトオブコマース等については、クリエイターの意思を尊重した形での権利処理方法を提供する。その部分に対してのみ例えば拡大集中許諾制度を適用するなどといった、全体を補完できる形での、ワンストップはちょっと難しいけれども、一覧性のある制度構築を行うことで、現在見えている著作物、埋没している著作物、さらにはこれから生み出されるであろう多種多様なコンテンツに対して、特に我が国のデジタルコンテンツのポテンシャルを潰さない形での責任ある権利処理方法を、ぜひステークホルダーの皆さんの知恵を集めて考えていただきたいと思います。また、国民を含めた普及啓発の重要性というのは言わずもがなかというふうに考えております。

【末吉主査】  ありがとうございます。福井委員、どうぞ。

【福井委員】  まず、両委員の御意見に賛同するところ大でして、また、全体についても、おっしゃるとおり、具体に一歩踏み込んだ、よいおまとめであるように思います。

まずは、3、具体的な方策の(1)から(5)にまたがる意見ですけれども、組合せが大事であるということが上のほうにも記載のあるとおり、これらの組合せの姿を示していくことが重要だと思います。そして、そのときにぜひ念頭に置いていただきたいのは、外部の様々な活動ともつながることを意識していただきたいということです。

例えば政府のジャパンサーチという統合のメタデータのデータベースがございます。これは今のところはメタデータですけれども、その先100以上の各種のアーカイブが今既につながった状態にあります。そして、先ほど数字を見たところでは、既に50万件のコンテンツについては、クリエイティブ・コモンズ、つまり、権利者の利用条件についての意思表示は記載されている状況です。不十分ですけれども、パブリックドメインについての情報も既に記載されています。

例えばこういう外部のメタデータのデータベースや、あるいは各種のアーカイブ、もっと言うと商用のサービス、こういうものと先ほど名前が出てきました権利情報のデータベースや統一の窓口はぜひつながっていくことを、あるいは将来つながり得ることを意識して設計していただきたいと思います。そういう情報がばらばらに分立しているというのは、非常に不幸でもったいない状態ですよね。

例えば話が出た、どういうインセンティブを権利者に与えるかという点では、個別に渡すお金はどうしても少なくなくなってしまう。そのときに、インセンティブの候補として商用サービスへの誘導ということがほかの議論の場でも出ています。例えばジャパンサーチのデータベース上で、ある作品について、これを購入したかったら電子書店のここで売っているよというリンクボタンがあれば、それはつながっているわけです。でも、恐らく政府のジャパンサーチに、特定の電子書店のボタンを載せるというのはなかなか難しいだろうと思うのです。例えば、その中間に各民間の権利情報データベースや統一の窓口があれば、それはやりやすくなりますよね。そのようなネットワーク化をぜひ考えていっていただければと思いました。

(4)、アウトオブコマースやUGCについてどういう利用の促進ができるかについて、条件設定が可能かということがありました。例えば先ほどの林弁護士の御意見にもあったとおり、DSMにあるような、アウトオブコマースで集中管理されてないものについては、権利制限をするとか、アーカイブで利用可能にするとか、そういう考え方はここでも取り入れられるのではないかと。集中管理もされてない、ECLの対象にもならない、ライセンスの仕組みのないものは、使える仕組みを別に考えましょうということは組合せで考えていったらいいのではないかなと思いました。

(6)のその他についても意見がございますが、それは後ほどとさせていただきます。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。坂井委員、どうぞ。

【坂井委員】  坂井です。おまとめありがとうございます。幾つかあるので手短にお話ししたいと思います。

まず1ポツですけれども、二次創作についてのところに入るように思いますけれども、やっぱり安心して使えるというところはぜひ方向性として入れていただきたいなと考えています。

それから、2ポツの想定される場面のところですけれども、これは括弧書なのでそういうことなのかなというふうに思っていますけれども、優先すべきは新たな対価の創出のある分野に限られると。それは優先するべきかと思いますけれども、先ほどの「安心して」というのを考えると、UGCじゃないですけれども、対価還元されないような場合も多くあると思います。あまり限定し過ぎるのはどうかと思っています。

それから、具体的方策の(2)の権利処理に資する一元的な窓口の創設のところですけれども、まず1つ目、DBについて、今福井先生にもお話しいただいたんですけれども、やっぱり商用利用というか、具体的に言うと経産省のJACCサーチとか、ああいうところと連携とか統合とかしていかないと、使い手からすると使いづらいのかなというふうに思っています。

それから、幾つかこういう機能が必要だというところで挙げていただいたのですが、探索の代替というのも入れてはいかがかなというふうに思っています。これは前回のヒアリングだったと思うのですが、多くの権利者団体が、「事務局の人があまりいなくてなかなか大変だ」と言って、探索するのも大変だということであれば、仮にこういうところがあるんであればそこが担ってもいいのかなと思っています。

それから、2番の団体についてなんですけれども、やっぱり権利者だけではなくてユーザー側の視点という意味でも、ユーザーの視点を入れられるような例えば役員構成にするとかということは考えられるのではないかなと思っています。

それから、個人的にはコンテンツ商社というふうに呼んでいますが、権利者でもユーザーでもない、例えば日系の海外に強いプラットフォーマーみたいなようなところがこういうものを運営するということも1つの選択肢だと思います。そういうところが海外で日本のコンテンツを売っていくということがもしできるのであれば、それはクリエイターにとってもハッピーなことなんじゃないかなというふうに思っています。

それから、ECLについても、個人的には必ずしも賛成するわけではないですけれども、林先生も考慮というふうにおっしゃっていたんですけれども、権利団体と集中管理団体というのは分けることを考えるべきだとおっしゃられたと思いますけれども、ここにもやっぱり集中管理団体のユーザー側の視点を入れるということが必要なんじゃないかなというふうに思っています。

あとは、最後ですけれども、今日の発表にあったサイトブロッキングについてなんですけれども、表現の自由という観点から個人的にはこれには反対です。

以上です。すみません、長くなりました。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございますか。

前田委員、どうぞ。

【前田委員】  ありがとうございます。私からは、3ポツの具体的な方策の幾つかについてコメントをさせていただきたいと思います。

まず、(2)の権利処理に資する一元的な窓口の創設についてでございます。仮に分野を横断する一元的な窓口組織を設立することができて、さらにその組織が不明権利者等の探索を行うという仕組みが出来れば、それは大変すばらしいことではないかと思います。ただし、その反面、その組織の運営費用を誰が負担するかという問題が重くのしかかってくると思います。仮にそのような組織の設立を検討するとなりますと、少なくとも当面の間は運営費用を公的なお金で支えていくということが必要になってくるのではないかと思います。

次に、(3)の拡大集中許諾制度についてです。私はこの制度はなかなか難しいのではないかと思うのですが、今日のペーパーの中では、利用者による組織の可否という論点が挙げられております。利用者による組織ということになりますと、もはやそれは拡大集中許諾という言葉には当てはまらないように思いますし、また、権利者からの委託がないにもかかわらず、利用者による組織が利用者に対して許諾ができるという、非常に不思議な制度になってしまうと思います。仮にそのような組織を検討するとすれば、むしろ(2)の窓口組織が不明権利者の探索を行うということにしまして、その探索を行ったけれども権利者を特定することができなかった場合には、一定条件で利用ができるという制度にするほうが分かりやすいですし、また、そうすることで権利者不明等の場合に限られますけれども、拡大集中許諾に似た結果も期待できるようになるのではないかと思います。

(4)のUGC等のデジタルコンテンツにつきましては、私は一定の要件を満たす場合には、権利者から利用停止要請があるまでは暫定的に利用ができるという制度があり得るのではないかと思います。例えば、公表された著作物であること、権利者の意思に基づいてインターネット上で公衆送信されていて、対価を支払うことなく容易に複製できる状態に置かれていること、権利者データベースに登録されていない著作物であること、商業的利用が行われてないこと、集中管理の対象になってないこと、丸Cマークが付されている、あるいはクリエイティブ・コモンズなどによる、権利者の意思表示が何らなされていないこと、こういった要件をいずれも満たす場合で、かつ知り得る連絡先に対して利用方法を明示して許諾を求めた、あるいはこういう利用したいということを権利者が容易にチェックできるウェブサイトで公示をしたけれども、一定期間に返事がないというときには、通知又は公示した利用方法によって暫定的に利用ができるとする。ただし、権利者から利用停止要請があった場合には速やかにそれに従わなければならない。そういった制度が考えられるのではないかと思います。

それから、その他ですけれども、過去の放送番組の利用など、1つのコンテンツの利用について、多数の権利者の許諾がそろわないと利用ができない場面があります。そういった場合について、一部の権利者の許諾が得られないことによってコンテンツ全体の利用が止まってしまうという場合があり得ますので、例えば著作権が共有になっている場合の65条3項とか、放送や放送同時配信等に関する68条などを参考にして、1つのコンテンツの利用に多数の権利者の許諾が必要である場合に、その許諾が完全にはそろわなくても利用ができる余地を認める制度を創設することも、検討に値するのではないかと思います。

長くなりまして、申し訳ございません。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがですか。

生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】  どうもありがとうございます。今までの先生方の御発言とも関わるところが多いかと思いますけれども、4つほど簡単に発言をさせていただきます。

まず1つは、最初に林先生からECLに関して御説明を頂戴して、私自身も非常に勉強になりました。私が存じている限りで少し言及させていただくと、ほかにも、DSM著作権指令の中の条項、任意導入の12条に相当するかなり広範な使い方が想定され得るECLに関しても、まだ国内法化が済んでいる国自体が少ないのですが、ドイツのほかにも少なくともオランダは同様の規定を導入しているようであり、まだ非公式のドラフトであるようではあるのですけれども、フランスもそのような方向のようです。一般的な枠組みを法律で可能としつつ、政省令等で具体的な範囲を一定の要件の下で決定していくというような仕組みであり、かなり様々な意味で注目をしていく必要があるのだろうと思います。

そのときに様々な用途というのはあり得ると思うのですけれども、まだ明確な解があるわけではないですが、今見えているいわゆる典型的な利用用途のほかに、林先生の資料の中でも、DSMの15条への言及がありましたが、ほかにもあと、17条のUGCプラットフォームからクリエイターの対価というところに関しても、この条項はかなり使われているようでございます。ある種の新しいライセンスのスキームというのを、別の論点であるバリューギャップ問題の解消との関わりも含めた、これからの全体的な制度設計の中にどう位置づけるかという観点も、この問題を検討する上で重要なのではないかというのが1点目です。

2つ目といたしましては、先ほど裁定のいわゆる民間委託という言葉が出てまいりましたけれども、裁定というところに関して少しまさに今のECLとの関わりでいいますと、特にデジタル単一市場指令のECL規定のうちのアーカイブに関わる、8条のECLプラス権利制限規定の部分については、もともとヨーロッパは2012年の孤児著作物指令で裁定に近いような形でそれを解決しようとしたのだけれども、やはりそれでは十分に機能しない。その次の手段として、まさにECLプラス権利制限によるアーカイブの推進というものを選択したわけであります。そういったような背景との関わりも含めて、果たして部分的であっても、孤児著作物の問題というものを実質的にECLで解決していくという方法は果たしてあり得るのかどうかということは私自身大変関心を持っているところです。

3点目として、検討全体の方向性として、今回、簡素で一元的な権利処理を可能にしていくということ、この大きな目的として、対価、そして、クリエイターへの還元というものが最も重要であることは、私自身もすごく賛成するところでございます。他方で、今のようなアーカイブも含めて、必ずしもそれ自体が利益を生み出すわけではない。しかし、これからの創作活動にとって極めて重要になる知的基盤、いわゆるコモンズというふうにいわれるような部分をどのように構築していくのか。そういったような観点も1つ、これは固有の視点として持つことも重要なのではないかと思います。

例えばまさにコモンズというところですと、アーカイブと横並びで論じることは難しいですが、例えば「いらすとや」のようなコモンズは、政府資料も含めて極めて我々のクリエイティビティーというものに重要な役割を果たしている中で、果たしてそういったようなものを今後どのようにもっと豊かにしていくのかという観点という部分もございます。

それから最後に1つ、統一窓口というのは極めて重要だと思います。取引費用を下げるためには、継続的に一定の別のコストをかけなければならないというのはやはり事実ではあって、それをまさにどうプラットフォームとしてつくっていくのかということは様々検討していただきたいなと思います。

長くなりましたが、以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。奥邨主査代理、どうぞ。

【奥邨主査代理】  ありがとうございます。ほかの先生方と重なるところは簡単にしようと思っていますが、幾つか申し上げたいと思います。

まず、制度やデータベースの運用に係るコストを考えていかなければいけないというのは、非常に重要な御指摘だし、私も賛成であります。これについては、権利者だけに負担させるということは当然あり得ないわけでありまして、ステークホルダーの中で分担していく、応分の負担をしていくということが重要です。それから、最終的には社会全体にとって役に立つことでもありますので、御意見もありましたように一定の部分についてやはり公的なバックアップをしていくということは十分正当化される内容であろうというふうに思っております。

次に、拡大集中許諾とも関係するのですが、拡大集中許諾は、ある程度集中管理が進んでないとオプトアウトが多くなって、拡大集中許諾が本来狙っていた効果が出ないと思いますので、そういう意味では、やはりまず重要なのは、集中管理を推進していくということなんだろうと思います。集中管理のインセンティブとして、今、無断利用対策とかデータベース構築の促進なども挙がっていますけれども、もう一つ、例えばですけれども、先ほども御意見出ていましたけれども、今、若い方は、団体とは関係なく、プラットフォーマーを利用して直接作品を世に出しているとのことですが、プラットフォームと個々のクリエイターとの力関係はどうなんだというと、これ、まさにバリューギャップも含めて問題になっているわけですね。こういうところに力の差があるときに、弱い人がどうするかというと、これは昔から団結して戦うというのが方法なのであって、そういう意味では集中処理団体なり、権利者団体というのがプラットフォーマーとのやり取りの中に関与する仕組み、それを裏づけることというのはいろいろ考えられると思います。

例えば、アメリカなんかだったらオーサーズ・ギルドであったりとか、クリエイターの団体というのが、そういうプラットフォーマーとか、ビジネスをやっている人たちとの矢面に立って団結力で頑張っていくということをやっているわけですので、そういう部分をもっと担保していくということをすると、プラットフォーマーを利用して作品を発表している方も、団体にも権利を預けよう、団体とも一緒にやっていこうというインセンティブになるんだろうと思います。

それから、裁定制度のことですが、裁定の民営化ということももちろん一つあるんですけれども、今日三田先生のほうから御紹介のあったように、いろいろな実務のところ、実務のところを誰がやるんだという問題はまた考えていかないといけない。窓口の統一の問題も一緒ですが、例えば、窓口が統一しても、それから振られた権利者のほうで許諾の細かな作業をやる人手がないというようなことも十分あるわけですから、利用者側の実務の代行、権利者側の実務の代行ということをできる仕組みというのも用意してあげるというのがいいのではないかと思います。

それから最後に、こういう形でいろいろと利用に関する仕組みを整備していくということはいいんですけれども、一方でこれらに乗らないものというのはいろいろ出てきます。日本には、フェアユースという一般的な権利制限規定はありませんので、いわゆる寛容的な利用という形で認められている、みんなである程度社会的に容認しているというものがあるわけですけれども、今回のこういう仕組みをつくることによって、実は寛容的な利用というものを狭めていってはいけないということは、これは頭に置いておかないといけないと思います。今回の仕組みをつくっていくというのは、クリエーションのほうも含めて、最終的には、文化全体が豊かになると考えているわけですけれども、仕組みの結果、寛容的な利用がどんどんどんどん萎縮してしまうということだと、そこに大きな影響が出てしまいますので、これは全体的な視点として、寛容的な利用を尊重するという視点はぜひ重視していく必要があるかなというふうに思っております。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。仁平委員、どうぞ。

【仁平委員】  すみません。よろしくお願いします。私の場合、UGCの部分だけ特化させていただければと思います。皆様のほうからも御意見いただきましたが、まさに本当にクリエイターズ・コモンズみたいな、そういう宣言できる場所というところがとても大事だと思っています。

でも、実は宣言できる場所というのは、先ほども先生方からもお話ありましたが、現在もう既にあるんですよね。この間ここで発言していただいたドワンゴさんもそうですし、我々日本ネットクリエイター協会の会員であるクリプトンさんがやっているピアプロなんかもそうですし、実は宣言できる場所があって、どういう使い方だったらどうしていいよというのがかなり実は細かく、特にクリプトンさんのサイトなんかの場合、どういう使用の仕方まではいいよというところがかなり細かく書かれています。それを、ニコニコ動画なり、いわゆるネットの動画配信サイトとうまく連動することによって、少なくとも動画配信サイトの中での使用という部分は制限できたり、もしくは収益化できたりというのがうまく進むのかなというふうに思いますので、まずはそこ辺りを、一本化できるのかどうかちょっと微妙ですが、共通的に何かできないか。

そして、その存在を広く利用者の方に知ってもらう何か告知ができないか。ピアプロと言っても恐らくほとんどの方は知らないと思います。ニコニ・コモンズと言ってもほとんどの方は知らないと思いますので、そういったことを告知できないか。あと、例えば動画配信サイトを日本国内で作るときにはそういったコモンズサイトと連動するということを何か強制的にでもできないかというようなところが重要なのかなと思いました。前回ドワンゴ様のプレゼンがあったので、もし機会がありましたらピアプロを運営されているクリプトン様のお話なんかもぜひ伺いたいなと思います。

私からは以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにはいかがでございますか。

今子委員、どうぞ。

【今子委員】  ありがとうございます。まず、総論のところでおまとめいただいた点、非常に賛同しておりまして、特に1つの方策で解決できるものではないので、効果的な方策を組み合わせて実現するというのは非常に賛同しております。

それから、ちょっと細かい点で恐縮ですけれども、幾つか申し上げたいと思います。1から5の方策、なるほどというふうに思っております。ちょっと喫緊の課題ではないかもしれないですが、(6)のその他のところでパブリックドメインのお話もちょっと触れられております。例えば著作権者等の没年不詳の場合の扱いとか、意外とこういうことが重要でしてやっぱり没年が分からないと全く利用できなくて、本当に死蔵してしまうようなものにもなります。将来的にパブリックドメインの領域というのをどんどん拡大していくので、意外とこういうところは重要なのかなというふうに思っております。

それから、先ほど私から発表させていただきまして、生貝委員のほうから御質問いただいた点ですけれども、若干その説明が悪かったかなと思います。利用契約の点について御説明をしたところで、どういったデータセット等を活用して例えば情報解析などをしているのかとかという話で御質問いただいたと思うのですが、ここの(4)のところのUGCのデジタルコンテンツの利用促進にも絡むんですけれども、相対取引で入手したデータセットの話をしていたというよりも、むしろ例えば一般公開されているUGCとかそういったところのデータを活用する際の規約をどう読むのかというところに課題があるとお伝えをしたかったということになりますので、この(4)にも非常に関わってくるところかと思っております。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにはいかがでございますか。

菅委員、どうぞ。

【菅委員】  ありがとうございます。この中では私が一番訳が分かっていないと思いますが、訳の分かっていない一般ユーザーとしてのお話を少ししたいと思います。

まずデータベース構築につきましては、一元的に何もかもを1つのデータベースでするというのは無理です。サーバー負担もありますし、資金の負担もあります。多分億単位でお金がかかると思います。なので、先ほどの発表の中で面白いと思ったのが、連邦制というお言葉が出てきました。そういうふうになるべきだと思っております。

 私がもう勝手に、本当に勝手に思っているのは、1つの窓口データベースに入っていくと、使いたいジャンルであったり楽曲名であったり、そういうふうに検索ができて、そこから、各専門の今既存のやつでもいいですし、これから作るのでもいいんですけれども、そういう専門データベースに入っていって、その中でまたクリエイター個人につながるみたいな、フォーク型、熊手型のようなもの、窓口は1つだけども、あとは分岐していくという形の方が負担が少ないと思っています。

そして、その窓口のどの段階で、例えば一元的にここは許諾だよというふうに言うのではなくて、分かれた先々でそれぞれの自分の条件を出していくと、一元的には管理できる。許諾を任せている人もいれば、自分でやりたい人もいるというふうにちゃんと分岐ができていく。ですから、熊手型のプラットフォームを1つ、最終的には無限のところにつながっていくというような連邦型というのは面白い、ちょっと私が連邦型というのを誤解しているかもしれませんけれども、面白いなと思いました。

データそのものは、先ほどおっしゃったリンクで飛ばすというのが正しいと思います。それも、国がやるのがもし問題であれば、末端のそれぞれの各団体がやればいいことですから、これも問題はないと考えています。

UGCに関しても、窓口データベースの中にUGCのコーナーのようなものがあって、そこに登録を個人でしていただく。それはグーグルのようなフォーム形で簡単に登録できるようにすれば、例えば自分としての立場も表明できますし、そこに登録することによって、アクセスしてきた使いたい人が探す場合に、カタログ的な役割を果たせる。ですから、登録すれば、自分の作品がここにあるというのが知らせられるので、いわゆるUGCのクリエイター側も得をしますし、探すほう側としても簡単に済むという、いわゆるwin-winの関係になるというようなデータベースが私は好ましいと思っております。

スライド映っていますでしょうか。自分で自分のために作ったスライドなのでちょっとごちゃごちゃしていますけれども、いろいろな関係をいろいろと考えてみました。このSARTRASの方式というのは、SARTRASをもし参考にする場合は、発表媒体、いわゆるプラットフォームというのが学校に当たるかなみたいなことをちょっと考えたものです。それから、個別対応機構というのは、これは先ほど言ったやつに近くて、管理機構からそれぞれのところに連絡をする、分配をする。そして、非所属のプロとUGCは、そこに積極的に登録してもらうことによってお互いwin-winになるという関係を考えていました。

あと、このゲートウエー方式というのは、前回申し上げた、紹介だけしかしませんよみたいな簡単なもので、これからはまた今日の御意見を伺って私の考えが進んでいるのですが、これもやはりUGCの救済として、ここに登録すれば仕事につながるかもしれないというのが、私の大きな売りといいましょうか、つもりで、全体申し上げたところでございました。問題点も様々あるのですが、いろいろこうやっていたたき台として考えていただければいいかなと思いつつ作っております。

勝手なことばかり申し上げましたけれども、データベースを作って、そこから皆さんが喜ぶ形にするというのは、私としては可能だと思っています。あまりに詳しく専門的に、これがこうで、権利がああでと言うよりも、自由にクリエイター側が、こうだったら使ってもいい、それだったら使えますというふうな宣言の場という、先ほどおっしゃいましたけれども、本当にそういう場としてデータベースがあればいい。それは何もかもそのデータベースではなくて、役割を振っていくという考え方でやればいいというのが大体の私の意見です。ありがとうございます。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにはいかがですか。

倉田委員、どうぞ。

【倉田委員】  失礼いたします。今回いろいろ勉強させていただいて、今回の論点整理につきましても、全体的に賛同させていただこうかなと思っております。あとは、皆様からの意見の中の、分野横断するためのネットワークづくりの話が結構出てきておりますが、それらの意見についても賛同したいなと思っております。

ただ、分野を横断する包括的な権利情報データベースの実現につなげていくためには、恐らく多分データベースの標準化が必須なのではないかなとも感じています。でも、こういうふうなデータベースの標準化が確立されたのであれば、その他の分野にも応用できますし、ネットワークづくり、連携分散管理の可能性も出てきますし、適切な対価還元にもつながると思いました。

その一方で、いきなり全ての分野をつなげるというところから始めると、やはりそれはハードルが高いのかなとも感じますので、資料3の3ポツの具体的な方策の中の「分野ごとに進めるべきか」というふうな文言がありますけれども、それに基づきますと、まずは1つの分野でもよいので、標準化を目指したデータベースの構築・運用をしてみるということから始めてもよいのではないかなと個人的には思っています。

そこで、これはジャストアイデアになるのですが、近日公布された図書館関係の権利制限規定の見直しの中で、一定の条件の下で資料の公衆送信が可能になるということ、それを踏まえて、何かまずは図書を中心としたデータベース構築からスタートしてもよいのかなというふうに個人的にちょっと思いました。もともと図書のデータベースというのは幾つか存在するとは思うのですが、図書の中にある図とか写真とかそういったコンテンツツリーを含めたような詳細なデータベース化はされていないと思いますし、改正されたことを踏まえて利用者が正しく活用していくというふうなデータベースの仕組みというのは、多分これから整備していくべきかなと思っています。もしそのようなデータベースが整備されれば、著作者の作品を円滑に利用できるとともに、それが正しく引用されていくことにもつながるのかなとも思っています。

また、利用者がそのデータベースを活用した履歴をログとして残すことで、集中管理ができますとともに、補償金の分配などの適切な対価還元にも有用なのではないかなとも感じました。もちろん利用者が正しくそのデータベースを活用したりする教育の普及推進というのは必須であると思いますが、国民全体が著作権というものを身近に感じて、著作者、著作物に敬意を持って、そして、その上で著作物の正しい利用円滑にもつながると、そういうふうに思いました。

すみません、個人的なジャストアイデアも含めてしまいましたけれども、意見を述べさせていただきました。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。畑委員、どうぞ。

【畑委員】  畑です。今回、論点のまとめを文化庁様に作成いただきまして、ありがとうございます。今後この論点に沿って議論を進めていくということについては、特に異存ございません。その上で、3ポツ、具体的な方策の中で、(1)、(2)について、情報提供及び意見を少し述べさせていただければと思います。

(1)のところに「データベース構築が進んでいる音楽分野を参考に・・・」という記載がございますけれども、前回も少し御紹介させていただきましたとおり、音楽分野におきましては、今、「音楽情報プラットフォーム協議会」という民間団体で「音楽権利情報検索ナビ」という、権利情報を一般に提供するサイトを運営しております。8月時点で1,000万曲強の音楽権利情報を公開しております。

これにつきましては、平成29年度から3か年文化庁様の御支援をいただき構築したものでございますけれども、その前身としては「Music Forest」というサイトがございまして、それを十数年、音楽分野については権利情報を一般に提供するポータルサイト、検索サイトを運営してきたという経緯があります。

やはり今後こういったデータベースの整備が進んでない分野につきましては、まず簡素で一元的な権利処理を進めていく上におきましては、こういったデータベースは必要不可欠なものと考えておりまして、そこを見れば、例えば集中管理がされている著作物なのか、あるいは集中管理がされていない著作物だがどこに連絡をすれば許諾の手続が取れるのかということを情報提供することが、権利処理の円滑化において重要なことだと考えています。

その中で、この十数年来我々音楽分野が取り組んできたこのデータベース事業につきまして、やはり一番の課題が運営費用、持続的に永続的に運営していく費用をどう捻出していくのかというのが大きな課題としてあります。この十数年来、加盟する団体の役割であったり、あるいは規模だったりということに応じて相当の規模の金額負担をそれぞれの団体がして、基本的に手弁当で今までやってきたということがあります。

次の(2)の一元的な窓口のところにも関わりますけれども、そういった窓口機能を引き受けることにより、使用料のトランザクションが発生し、その手数料から運営費用を捻出していくという方法があるとは思いますが、では、どのくらいの使用料規模を期待するのかということによって、基本的な運営費用がリクープ出来るかどうかに関わってきます。したがいまして、立ち上げ時の行政の支援、その後の民間自走の費用をどうするのかといったことも含め、データベース構築あるいは一元的な窓口の構築を検討していく必要があるというふうに思っております。

以上でございます。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。今日のところはよろしゅうございますか。

福井委員、どうぞ。

【福井委員】  では、その他にある保護期間の複雑な計算の解消方法について、頭出しで意見を申し上げたいと思います。現在、保護期間は、確かに計算が極めて複雑怪奇です。どの作品がパブリックドメインに陥っているか専門家でもはっきり言えないという状況は、早急に解消しなければいけないという御意見は、ほかの検討の場でも出ているところかと思います。

この原因は様々ありますが、まずは3つの複雑化の原因が挙げられようかと思います。1つは、先ほど三田さんもおっしゃっていましたが、没年不明の方が多くいることです。それから、2つ目ですが、1970年以前の映像作品については、(旧法の関連で)著作者の没年が検討材料に入ってくるんですけれども、著作者が誰であるのか、現場を見ないと特定が難しいのです。よって、映像についての著作者の特定困難という点が2つ目の、複雑化の理由です。そして、3つ目は、言うまでもなく戦時加算、この要素が入ろうかと思います。

1番目と2番目の問題に関しては、例えば没年を推定する、あるいはもう、没年不明あるいは著作者の特定ができていない場合には、発行から特定期間での保護期間の終了を規定するという方法が考えられようかと思います。例えば米国著作権法は、期間の計算は確かに難しいし、長いという印象が一般にはあるのですけれども、1922年以前に発行された作品は全てパブリックドメインということは条文上で明定されています。ですから、あまりに古い作品についてくよくよ悩む必要は、その点でいうとないのです。日本もこのような規定を設ける。推定規定の形を取るのか、立法技術は必要とは思いますが、これが1つ考えられようかと思います。

そして、戦時加算ですね。これはもう撤廃論が権利者団体からも提案される中で、既に前田委員や、あるいは上野教授などが、特例法の単純廃止により戦時加算の撤廃はできるんじゃないかという、傾聴すべき御意見を述べておられます。前田委員ですと『コピライト』の2019年7月号に掲載されていると思いますが、この点の検討をぜひこの委員会の中でも行っていくべきであろうかと思います。保護期間については、以上でした。

あと、既に出た意見の中で、集中管理促進のコストを公的に負担すべきであるという意見に私も大変賛成です。また、ユーザーの視点を入れるべきという意見、もともともう権利者、利用者という二分法自体がナンセンスだということは申し上げてきましたけれども、当然ながらそうしたユーザー的な視点が入ること、これは重要であろうというふうに思います。

私からは取りあえず以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにはいかがでございますか。

坂井委員、どうぞ。

【坂井委員】  すみません、坂井ですけれども、先ほどの私の意見、ちゃんと伝わっていなかったかなと思って補足をさせてください。前田先生から御指摘いただいた、ECLをユーザーの団体でやるというところなですが、当然全部ユーザーということではなくて、権利者あるいはそのプラットフォームに関係する人も当然入れなければいけないのかなというふうに思っています。この制度の目的自体は多分、著作物を守ることも1つあると思いますけれども、それ以外にも有効に適切に利用されることもあると思いますので、そういった意味でちょっと補足をさせてください。

あと、それから、それ以外の前田先生の御意見のUGCの限定的な一時利用みたいな考え方とか、6番のその他でおっしゃられていた、全員の許諾がなくても使えるよというようなところの考え方、許諾推定かもしれないですけれども、についても大いに賛同するところです。

あと、奥邨先生おっしゃられていた集中管理のためのインセンティブ、これはちょっとやっぱり考えていかないと、集中管理しなくてもいいんだみたいに権利者団体の方が考えてしまうと、何かそれは本末転倒な気がするので、それは重要な視点かなというふうに思いました。

すみません、以上補足です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにはいかがでございますか。

前田委員、どうぞ。

【前田委員】  今の坂井委員の御指摘について、私自身は、坂井委員のおっしゃったことに反対というわけではなくて、ペーパーの(3)の中で利用者による組織の可否ということがございましたので、そのことについて意見を申し上げたということでございます。必ずしも坂井委員の御意見に反対という趣旨ではございませんので、一応補足させていただきます。

【末吉主査】  ありがとうございます。生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】  ありがとうございます。簡単に一言だけ。先ほど福井先生からおっしゃっていただいた点、非常に重要なところだというふうに思いました。

1つだけ、項目の中でアウトオブコマースという言葉が出てまいりましたので、その関係で若干付言させていただきます。まさに現在、諸外国でこのアウトオブコマースと呼ばれる領域の活用というものをしっかり進めていこうということに関しましては、やはりここ20年ほどの著作権保護期間の非常に長い延長というものが1つの背景として大きくある。

そのことに関して当然副作用というものが見込まれたわけで、例えばアメリカにおきましては、1998年の著作権法期間延長法とともに、著作権法108条の中に、最終20年の保護期間に入った著作物に関しては、アーカイブ機関等がデジタル利用も含めて相当程度自由に利用すること、公表したりもすることができるという規定を置いたりしている。そして、ヨーロッパのほうである種それに対置される方法として採られたのが、今日冒頭にも御紹介いただいた、アウトオブコマースの特に強いECL等による利用円滑化というところでございます。まさにこういった問題、保護期間の明確化・延長といったようなところとの関係でも、この論点というのは重要なのかなというふうに改めて感じたところであります。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにはいかがですか。よろしゅうございますか。

長時間御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

それでは、今後の進め方とパブリックコメントについて、事務局より説明をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】  それでは、参考資料5を御覧ください。今後のスケジュールというものにしておりますが、次回は10月6日に審議を行う予定となっております。本会議を受けましてパブリックコメントを実施としておりますが、本日の資料3をベースにいただいた御意見、また本日ヒアリングを踏まえたものをまた修正をいたしまして、パブリックコメントを行っていきたいなと思っております。

パブリックコメントの趣旨でございますが、このパブリックコメントにかけるものがこの小委員会での何かしらの結論というものではまだありませんで、広く関係者からヒアリングをしてきましたが、やはりかなり幅広い議論ということで、まだまだ意見が全て聞き足りないとか、ネットのユーザーとかクリエイターとか複数の関係者がいらっしゃると思います。そういった方々の意見も広く募りまして、今後の中間まとめに向けた議論の参考にするといったような趣旨でのパブリックコメントをする予定と考えております。

事務局からの説明は以上でございます。

【末吉主査】  それでは、資料3を基に本日いただきました御意見を踏まえましてさらに修正を行った上で、パブリックコメントを行いたいと思います。修正につきましては、事務局にて修正の上、皆様に照会をさせていただくという形を取りたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉主査】  ありがとうございます。それでは、速やかに修正をいたしまして、事務局においてパブリックコメントを実施させていただくことと致します。ありがとうございました。

そのほか全体を通して何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。

ほかにないようでございますので、本日はこのくらいに致したいと思います。

最後に、事務局から連絡事項がありましたらばお願いします。

【小倉著作権課長補佐】  次回の本小委員会につきましては、10月6日13時からを予定しております。よろしくお願いいたします。

【末吉主査】  ありがとうございました。

それでは、以上をもちまして、文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第4回)を終了させていただきます。本日は長時間どうもありがとうございました。

―― 了 ――

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには,Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は,こちらからダウンロードしてください。

ページの先頭に移動