第21期文化審議会著作権分科会国際小委員会(第2回)

日時:
令和3年9月22日(水)
15:00~17:00
場所:
オンライン開催
(文化庁特別会議室)

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)我が国のコンテンツの海外展開における著作権に関する課題及びその対応について
    2. (2)その他
  3. 閉会

配布資料一覧

資料1-1
唐津委員発表資料(1.4MB)
資料1-2
信谷様発表資料(4.1MB)
資料1-3
分部様発表資料(5.0MB)
参考資料1
第21期文化審議会著作権分科会国際小委員会委員名簿(142KB)

第21期文化審議会著作権分科会 国際小委員会(第2回)

令和3年9月22日

(配信開始)

【鈴木主査】それでは、ただいまから、文化審議会著作権分科会国際小委員会の第2回を開催いたします。
 本日は、御多忙の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、基本的に委員の皆様には、ウェブ会議システムを利用して御出席いただいております。私自身もオンラインで参加させていただいております。皆様におかれましては、カメラをオンにしていただくとともに、御発言いただく際には主査から指名いたしますので、カメラの前で大きく手を挙げていただき、御自分でミュートを解除して御発言ください。
 議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照しますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方には、インターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところでございます。特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【鈴木主査】では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
 なお、傍聴される方々におかれましては、会議の様子を録音、録画することは御遠慮ください。また、音声とカメラをオフにしてください。
 それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【長谷川国際著作権専門官】ありがとうございます。事務局でございます。本日お配りしている資料ですが、お手元の議事次第の配付資料一覧にあるとおり、資料は、1-1から1-3の3点、参考資料が1点でございます。
 資料に不足等ございましたら、事務局までお知らせいただけますと幸いです。

【鈴木主査】それでは、議事に入ります。
 本日の議事は、議事次第のとおり、(1)及び(2)の2点となります。
 早速、議事(1)の我が国のコンテンツの海外展開における著作権に関する課題及びその対応についてに入りたいと思います。
 本日は3人の国内関係者から、コンテンツの海外展開の現状や海外展開に当たっての著作権法上の課題など、現場の御事情を伺い、その後に御議論いただきたいと考えております。まず初めに、弁護士の唐津委員、続いて、外部有識者として、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の信谷様、最後に、同じく外部有識者として、IP FORWARD株式会社の分部様に御発表いただきます。
 まず、事務局より簡単に趣旨の説明をお願いいたします。

【加茂下海賊版対策専門官】事務局から失礼いたします。
 お一人目の唐津委員におかれましては、コンテンツの海外展開における法的課題、特に契約と法律の視点から御発表いただきます。
 お二人目、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の信谷副理事長ですけれども、前回、第1回の国際小委員会で、VIPOの森下委員の御発表の中で、海外展開を推進するために今後必要とされる方策として、JETROが有する海外拠点としての機能などが重要であるという御趣旨の御紹介がありました。また、森下委員以外からも、海外展開を検討する上でJETROのお話を是非伺ってみたいという御意見が複数ありました。そこで、信谷副理事長に本日の国際小委員会での御発表をお願いしましたところ、快くお引き受けいただいたということでございます。
 3人目、IP FORWARD CEOの分部弁護士ですけれども、当課では、これまでも侵害対策ハンドブックを作成してまいりました。昨年度は海外の事例として、米国、ロシア、ベトナムを取り上げたところですけれども、本年度は中国を対象とした調査研究を実施することとしまして、現在IP FORWARDに調査研究を委託中でございます。
 また、本年度に関しましては、侵害対策に加え、適切な対価還元の観点から海外展開が不可欠であるということで、そちらも新たに加えまして、調査研究を進めていただいているところでございます。本日はその海外展開の部分について、調査研究の中間報告として御発表いただくものです。
 事務局からは以上でございます。

【鈴木主査】ありがとうございました。時間の関係上、唐津委員と信谷様の御発表時間は20分ずつ、分部様の御発表時間は30分でお願いできればと思います。また、御発表ごとに10分程度、質疑応答の時間を設けます。最後に全体を通しての意見交換の時間を設けますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは初めに、唐津委員に御発表いただきます。事務局の準備が整いましたらお願いいたします。

【唐津委員】こんにちは。弁護士の唐津と申します。本日はコンテンツの海外展開における法的課題ということで、メインは契約の話になると思いますが、契約と法律の視点からお話をさせていただきたいと思います。
 簡単に自己紹介から入りますと、1996年に弁護士登録しましたので、今年で25年目になります。途中、アメリカに留学して、ニューヨーク州の資格を取って帰ってきてという経験もありますが、仕事の内容としては、渉外弁護士という、海外企業との取引を多く取り扱うビジネス分野の弁護士として、25年間一貫して仕事をしてまいりました。
 事務所の顧問先の関係もありまして、弁護士登録の当初から、エンターテインメント、メディア、それから著作権関係を中心とする知的財産に関する仕事を多く担当させていただきました。特に2005年からは、エンターテインメント系にかなり特化した事務所に籍を移しまして、それからもう16年になります。今は新しい事務所を立ち上げていますが、業務の七、八割は、アート、メディア、エンターテインメント関係、大きく言えばコンテンツ周りの仕事をしている感じです。
 海外留学や米国資格の関係もあって、取り扱う契約の半分以上、6割から多いときは7割程度は海外との契約になっています。コンテンツ関係の契約でいえば、海外からコンテンツが入ってくるインバウンドの契約と、コンテンツを海外に展開させるアウトバウンドの契約と両方ありますが、割合としてはやはりコンテンツが入ってくる契約の方が多く、7割程度かなという印象です。3割程度は日本発のコンテンツを海外へ展開させていく場合の、契約作成や交渉のお手伝いをさせていただいておりますので、本日はそのような経験に基づいてお話しさせていただこうと思っております。
 本日のテーマですが、せっかく弁護士としてコンテンツの海外展開に携わってまいりましたので、まずは、コンテンツの海外展開を契約の形態に着目して整理してみたいと思っております。
 契約のタイプとしては、ライセンス契約、自社で完全に海外コンテンツを作る場合、あるいは最近特に多い、プラットフォームにコンテンツを販売して海外展開するというコンテンツの販売型の契約などにも触れていきたいと思います。また、これは私の私的な見解になりますが、いろいろある契約形態の中でどういう点に着目して展開方法を選べばいいのかというお話もさせていただきたいと思います。
 また、契約のタイプごとに多少違いますが、海外展開していくに当たって様々な契約上のトラブルですとか法的なリスクというものがございますので、そういったトラブルやリスクを概観しつつ、それらを避けながらよりよい海外展開をしていくためには、一体どういうサポートが必要なのか、どういったリソースが必要なのかということを、最後まとめにしていきたいと思っております。
 契約の話といいましても、まず初めにコンテンツのビジネスがどういう構造なのかといったことを頭に入れておかないと、一体何の契約の話をしているのか、なかなか御理解いただくのが難しい点もあるかと思いますので、コンテンツビジネスの構造とか収益の構造について、本日の資料にも入っていますけれども、これを適宜参照しながらお話ししたいと思っています。
 いきなりコンテンツビジネスの構造がぱっと書いてあります。図の中心に、コンテンツを作る、ころもへんのついた製作の枠が書かれています。この図は映画を念頭においています。映画といっても著作権法で言う映画の著作物を念頭に置いておりますので、アニメ、テレビドラマなども含めての映画ということです。この映画を例とすると、ビジネス構造は大体こんなふうに整理できるのではないかと思ってまとめてみたのが、この図になります。
 中心に、映画を製作するという枠がありますけれども、ここを行うのが、著作権法上の映画製作者です。コンテンツを作るに当たって発意と責任を有する者、というのが著作権法上の文言ですが、ざっくり言えばお金を出す人です。作品が当たればもうかるし、こけたら赤字を負うことになる人というのが、この真ん中にいる映画製作者ということになるかと思います。
 実際に、手を動かして作るのは誰かといいますと、映画製作者は典型的には映画会社ですので、その場合は映画会社が実際に映画を作る、つまりころもへんのない制作も行います。ただ日本の場合、御存じの方もいらっしゃるかと思うんですが、制作委員会といってお金を出す人たちの組合的なものが真ん中にあって、そこが映画制作会社に発注して映画を制作してもらうという形態もありますので、一応「映画の製作」と「制作」と別の枠として書いてあります。
 この図の左半分が映画のコンテンツを作るまでの過程だとすると、右側がコンテンツを流通させていく過程ということになります。図の右端のところに海外販売と書いてありますが、海外に展開させていくのも、この流通の過程の中の問題ということになるかと思います。
 実際にコンテンツ制作において一体どういうことが行われているのか、これは詳細に入るともう本当に切りがないので、映画ができるところまで、一体どういう段階を踏んでいくのか、ざっくりまとめてみました。
 まず最初に、原作権を取得する段階があります。後で出てくるライセンス契約が正にここに関わってくる問題です。新しい、全くオリジナルの企画を持ち込むということもあります。あるいは小説、日本で言うとライトノベルなんかが割といい題材になっていますが、その他コミックであったり、既にあるアニメ作品、こういったものを原作として映画化したいという場合に、まず原作権をどう取得するのかというのが第1段階になります。
 撮影の段階を今回プロダクションと書いてあります。撮影をプロダクションとすると、その手前の行うプリプロダクションと言われる作業があります。もともとあった脚本を更に開発して、使えるようにしていくとか、出演者、スタッフを選定する、あるいはロケハンをするといった、いろいろな作業がプロダクションの前に発生いたします。
 それから最近では非常に力も時間もコストもかかっているのが、ポストプロダクション、ポスプロと言われるものです。ここでは映像の編集とか、特撮ならばCGなどを作り込んだりします。映画音楽も、映像ができてから作ることも結構多いものですから、そういったものが入ってくるのが、このポストプロダクションになります。映画制作といっても、これだけの段階を踏んでようやく映画の原版と言えるものが出来上がるとことになります。
 この非常にざっくりとした構造を念頭に置いた上で、コンテンツを海外展開するに当たってどういう契約形態があるか、私なりに整理してみたのがこの表になります。
 上に書いてあるのが契約の種類です。ライセンス契約、制作委託、共同制作、自社製作、コンテンツの販売というふうに今回分けてみました。大きな視点でどこが違うのかというと、海外向けのコンテンツの制作費をどこが出すのか。流通の費用を誰が持つのか、出来上がった作品の権利はどこが持つのか、あるいは作品を作る際のクリエーティブコントロールは主にどこが持つのか、日本側の収益はどういった形で入ってくるのか。これらの観点で整理してみたのがこちらの表です。
 表の上にも書いてあるとおり、一口にライセンス契約、あるいは共同制作といっても、契約の決め方によっていろいろなバリエーションがありますので、この表は、典型的にはこういう形になっていることが多いというサンプルとして御理解いただければと思います。
 次に、各契約形態が一体どういうものなのかという点に入っていきたいと思います。
 1つ目がライセンス契約です。日本のコンテンツが原作になるケースです。小説、あるいはゲームから、アニメーションや、アニメ映画ができることも多いです。また、もともと映像作品が日本側にある場合もあります。この場合は、リメイクという言葉を使うことが多いと思いますが、日本にあるアニメ作品、ドラマ作品を海外で映画化したいというケースです。そういった場合に日本側に話が来て、海外で映像作品を作るためにそれを原作として使わせてくださいというのが、ライセンス契約になります。
 日本の人気漫画の「聖闘士星矢」のハリウッド版が作られて、それに新田真剣佑さんが出ることになったというニュースを、ちょうど今朝見ましたけれども、そういった日本発の原作がハリウッドで実写化されるときには、ライセンス契約がパターンとして多いかなと思います。この場合、日本側は原作を提供して、そのあと作るのは基本的に海外ということになります。
 先ほどの表に1回戻りますが、ライセンス契約の場合、日本側は、原作を使っていいですよということの対価としてロイヤリティを受け取ります。あとは基本的に海外の事業者が行うというのが、こちらのライセンス契約になります。
 先ほど映画制作の大まかな順序を説明しましたが、ライセンス契約はどこで関わってくるかというと、この一番上の原作権の取得のところです。原作の小説なりコミックなりの使用許諾を受けるところで関わってくるのがライセンス契約です。その後のところは基本的に海外の制作会社なり映画会社に任せてしまいますので、それ以降は関わらないという契約形態になります。
 そうすると結局、どこで日本側の収益が入ってくるか。この収益構造の図も、この後何回も出てくることになりますが、基本的には、制作費の一部である原作者へ支払うロイヤリティが日本側の収益になります。できあがった映像コンテンツ自体については、その後、映画の配給や、パッケージで売ったDVD、最近で言うと配信権、つまりNetflixやAmazon Primeでの配信に伴う収入というのが入ってくるのですが、ライセンス契約の場合、多くの場合はそこの収益には関わらずに、最初の制作費の中からロイヤリティとして受け取ることになります。
 今言った辺りの流通まで全てやりましょうというのが自主製作です。これがライセンス契約のちょうど反対側の、究極の形になるかと思うんですけれども、お金も集めるし、コンテンツを作る作業も自分でやりますというのが自主製作になります。先ほどお話した、映画制作の実際の作業というのも全て自分たちでやっていくということです。
 原作権を取得して、資金を調達し、プリプロダクション、そして撮影を行ってポスプロもやります。基本的に作品の権利は自分たちで持っていますので、最後の流通も自社配給。もちろん海外については配給権だけを海外の配給業者に許諾する、あるいは販売するということもしますが、とにかく自社で全部やるという形態と言えるかと思います。
 ただ、全部自分たちでやるのは大変だということで、日本のコンテンツが海外展開するときの別の形として、制作委託があります。これは、先ほどの図で言うと、日本側が、ころもへんの製作者にはなるというものです。制作資金は出すのですが、実際の制作の部分、左側の部分は海外の映画制作業者に委託をする、そういう契約です。そうすると、もう完全に手を離れてしまうので、一つのパターンとしては、そこに日本人のプロデューサーなどを送り込んで、制作にも関わるということもあります。
 制作委託契約の場合、重要になるのが、制作費のコントロールです。先ほど収益のところでありましたように、制作費がどんどん膨れ上がってくると、結局制作費を引いた後の利益が減っていくことになりますので、制作委託契約では制作費のコントロールが非常に重要になります。
 海外に展開のパターンとしては、他に共同制作もあります。映画、あるいは舞台作品でも、どこかの国と、例えば国交何周年記念で共同制作といった形で銘打って出てくる作品がありますが、これは、自社製作であれば全部自社でやる製作部分を、共同事業として行うものです。
 せっかく共同事業として行いますので、海外のクリエーターなどにも参加してもらって行うことが多いのですが、共同制作と銘打ってあっても実際の中身はいろいろです。実態としては日本がほとんど全部のお金を出して、海外のクリエーターにちょっと参加してもらって、共同制作と銘打っているのもあれば、本当に制作費を折半して、日本の国内流通は日本、海外についてはその海外側のパートナーが分担するというふうに、完全に分担する場合もあります。
 最後がコンテンツ販売です。最近の海外展開と言ったときに、真っ先に思いつくのがこれなんです。今までは、コンテンツの海外展開というと、海外向けに作ることが念頭にあったと思いますが、最近多いのが、日本で制作したコンテンツを海外に販売するパターンです。昔であれば、海外の映画館で上映してもらう、海外での配給ということになったと思うのですが、最近多いのは、NetflixやAmazon Primeといったプラットフォームに配信権を売ってしまって、そこで全世界に展開してもらうパターンです。
 「鬼滅の刃」が、昨年10月からの日本での興行収入が403億円というニュースを見ましたが、これが今年の8月からNetflixで全世界に展開されています。それから「シン・エヴァンゲリオン」、これは日本で公開されたのが今年の3月で、100億円を超える興行収入を上げましたが、その後、夏からAmazon Primeでまず日本以外で展開を始めて、今は日本でも見られます。そういった形で世界展開しています。
 これは自社製作や制作委託とどこが違うかというと、まず日本の国内コンテンツとして国内で主に制作している。出来上がった作品の著作権を日本側が持っていますので、これを海外に展開していく。そのときに、従来のように海外配給やDVD販売ではなくて、配信という形態を使って、しかもAmazon PrimeだったりNetflixという、既存の配信のプラットフォームを利用して展開していくというのが、最近非常に目立つと思っております。太字で書いてありますけど、これがここ数年の動きで非常に目立つもので、恐らく今後も当面は続くのではないかなと思っている海外展開形態です。
 ここで1つ皆さんに意識していただきたいと思うことは、数年前までは、海外展開、つまり日本発のコンテンツを世界で見てもらうというと、唯一とは言いませんけれども、やはりハリウッド映画で制作、すぐにそういったところに発想が行っていたと思うんです。確かに映像コンテンツを世界で見てもらうためには、ハリウッドで映画を作ってもらうのが一番手っ取り早いというのはあったかと思いますが、少なくとも今はもうそう考える必要はないと考えています。
 先ほど様々な契約形態があると申し上げましたが、自分たちが何をしたいかによって海外展開の契約形態を選べばよいのであって、何が何でもハリウッドで映画を作るんだということは、もう考えなくていいのではないかなと思っています。
 そのときに何をポイントとして考えるのか。例えば収益を多く取りたいというときは、自分たちで作るのが一番いいことになります。ただ収益を多く取れるというのは、「もし売れたら」ということが前提になりますので、そこが一番重要です。また作品に対して、なるべくクリエーティブな面でのコントロールを及ぼしたいというときも、自分たちが作るのが一番コントロールしやすいことになります。
 これがもし、日本のコンテンツをまずは世界に知ってほしいというのであれば、ライセンス契約でいいわけですし、作品がこけてしまったときのリスクは負いたくないということであれば、やはりライセンス契約がいいのではないかということになります。
 先ほども見た収益構造ですけれども、右からやってくる配給収入とかパッケージの売上げ、配信料といった利益を取りたいのであれば、製作者、出資者としての配当を受ける、あるいは収益を確保するのが一番いいことになりますけれども、そこにこだわらないのであれば、ライセンス契約は手っ取り早い方針といえます。それから、特にアニメならば、もし自分たちで世界的に売れそうな作品を作れるというのであれば、もうとにかく日本でまずは作って、海外配信という方法でもいいのではないかと思います。
 先ほど、取りあえずコンテンツを知ってもらえばいいという考え方もあると言いましたけれども、資料に、ポケモン型ビジネスと言えるビジネスモデルを書きました。前回、ソニー・ミュージックの後藤様から、アニメの海外展開では、正規品による、全方向型の展開を目指しているというお話がありました。ポケモンでは、もともとゲームコンテンツが中心だったんですけれども、正にこちらのような全方向型の展開をしているわけです。
 アニメ作品という枠が図の下の方にありますけれども、これは全体の展開のごく一部にすぎなくて、そこから発展していくわけです。例えば商品化、カードゲームであったり、その他いろいろなライセンスビジネスです。そういったところでの収益を狙っているのであれば、コンテンツの映像作品というのは、ちょっと大がかりな、例えばコマーシャルのようなものだという位置づけになるわけです。そうであれば、別にライセンス契約でも、経済的リスクを取らずに、クリエーティブコントロールにもこだわらずに海外展開を進めてしまえばいいというのも一つの考え方かと思います。
 コンテンツ展開に関するリスクのところは資料を見ていただくとして、要はコンテンツ制作にはこれだけ多くのリスクがあるわけです。そのようなリスクを取りたくない、でもコンテンツは発信したいというのであれば、ライセンス契約というのは決して腰の引けた選択肢ではなくて、一つの戦略的な選択肢になり得るのではないかと思っています。
 ただこういった展開をするに当たって、やはりいろいろと法的に問題になってくる、契約上問題になってくることがあります。一番悩むことが多いのが権利処理です。これはコンテンツを展開するに当たってというか、展開する前段階の話なんですけれども、ライセンス契約は一番リスクが少ないといっても、最低限ライセンサーがその権利を持っていますよということを保証しなくてはいけないですし、ライセンス契約には、権利関係に問題があったら責任を負いますという条項がデフォルトで入ってくるわけです。
 では、ライセンスに出そうとしている作品について日本側で権利処理がちゃんとできているかというと、できているものもあるのですが、契約書どころかほとんど何の紙もありませんという場合も少なくないのが現状です。そうするとライセンスをいざ与えようと思っても、全部の権利処理が済んでいるという約束ができないことになります。問題があったら対処しますと約束さえしてくれればいい、レプレゼンテーション・アンド・ワランティーという形で保証してくれればいいという契約相手もいますけれども、中には権利処理が全部済んでいることを裏づける書類を出してくださいと言われることもあります。そうなると、海外展開の前段階として国内作品の権利処理をしておかなくてはいけない。そこができていないということが、しばしばトラブルになります。
 そのほかにも、権利者がそもそも分からない、ということも起こります。この分からないというのは、例えば黒澤映画のような古い作品で起こり得るだけではなくて、比較的新しい作品でも、結構簡単に関係者の方と連絡が取れなくなってしまうことがあります。特に、ライセンスの対象になる原作が映像作品であるような場合、資料にもまとめてありますけれども、非常に多くの著作物がその中に含まれていて、権利者も非常に多岐にわたるわけです。
 映画の作品を映画としてだけ使うのであれば、いわゆるワンチャンス主義があって、その後の権利処理なく使える場合も多いのですが、例えばリメイクとなると、やはり様々な権利者の許諾が必要ということになります。リメイクの話が来てから権利を取り直すと非常に手間が掛かることになって、どこかで引っかかるとなかなか海外展開できないことにもなります。
 あとは先ほど言った制作委員会方式。これは日本では多くて、世界的には決して多くない方式なのですが、日本で映像作品を作る場合、多くの権利者が関係した座組といいますか、チームがあって、そのメンバーが出来上がった映像作品の権利を共有しているということがあります。そうすると、例えばテレビの放映権を持っているメンバーが、Netflixで配信するのは嫌だと言い出したりするので、これもしばしば問題になります。問題になるというか、作品の展開までに手間がかかる理由になります。
 このような権利処理をどうやって解決していったらいいのか、方策はいろいろあると思うんですけれども、1つは、やはりまず権利処理をしておかないと、将来的に海外展開しようとしたときに大変になるから、最初から権利処理はしておきなさいということを知ってもらうことが、まず大事ではないかなと考えています。
 資料に書いてある方策としては、例えば標準のひな形、つまりこういった契約を結んでコンテンツ制作をしておいたらいいんじゃないかというような標準的な契約を知っていただくとか、関連する事業者の方向けの講座を開催して、とにかく権利処理をしておかないと後から取り直すのは大変だよということを知っていただく、ということです。
 それから、事後的に関係者の許諾を取らなくてはいけないとなったときに、集中的に処理する仕組み、例えばここに取りあえず告知を出しておけば権利者を見つけることができるか、権利者が出てこなければ裁定制度を利用して作品を利用できるというような制度を周知して、更に促進していくことも一つの方策かなと思います。
 現在、権利者不明の作品、いわゆるオーファンワークスに関しては実証実験が行われていて、裁定制度も以前に比べると本当に利用しやすくなってきているとは思うんですけれども、このような取り組みを進めていくことは、コンテンツの海外展開という意味でも重要ではないかと思っています。
 それから、海外展開のための作品制作が関わってくるところで、契約上しばしば問題になることの1つが、クリエーティブコントロールです。日本側の権利者、資料の図の左端に出てくるような方がいらっしゃいます。例えば日本で映像作品を作って、これを海外展開する、リメイクをするというときに、原作者、台本を作った方、あるいは監督といった皆さんにそれぞれ思い入れがあるわけです。原作品の世界観を海外の実写化でめちゃくちゃされたら困る、だからちゃんと確認させてほしいというのがクリエーティブコントロールです。契約の条項にもそういうことを入れたがる方が多いんですけれども、これが実は、海外の現場にすると、とてもやりにくいということで、しばしば問題になっています。
 クリエーティブコントロールにこだわる割に、日本側の当事者の方がこだわらないなと感じているのが、コストのコントロールです。先ほど申し上げましたように、映像制作というのは非常に手間がかかって、全てにコストが発生してくるわけです。この図の左端に制作費が記載されていますが、ここが膨れ上がれば、もちろん収益は減ってくるわけですので、制作費を膨れ上がらせないことが重要になります。ところが、日本側の当事者はクリエーティブコントロールにこだわる割には収益にはこだわらない方が多くて、最終的には収益が上がらないということがしばしば起こります。契約上、このコストコントロールをどう行うのかというのも留意点になるかと思います。
 この他の各契約のポイントについては、資料を後で見ていただければと思います。
前回の発表の中でVIPOの森下様が、なるべく早い段階から、コンテンツビジネスも分かるし、法務も分かる人材が関わることが大事だとおっしゃっていましたが、私も本当にそこは100%同意なんです。
 交渉の早い段階からかかわることが大切で、例えばディールメモというものがあります。ディールメモがnon-bindingも場合、気軽に結んでいいやと思って結んでしまって、その後で本契約のときに初めて弁護士に相談に来るお客さんもいらっしゃいます。でも、幾らnon-bindingでも一度約束をした形になっているものを後から引っくり返すのは非常に大変なんです。日本側は原作の映画化をライセンスするだけのつもりが、その一番最初のディールメモで、続編からスピンオフから、とにかく日本側が次に何か作るときには、日本側が相手から許諾をもらわないといけないという約束をしてしまっていることも多々あります。
 なので、早い段階から、今お話ししてきたようなコンテンツの海外展開の契約で、こういうことが問題になると分かる人材が関わることが非常に大事ではないかと、日々感じております。
 ただそうは言っても、資料にも書きましたが、コンテンツ関係のビジネスの業界にいらっしゃる会社さんは、大手もいらっしゃいますけれども、非常に小さい規模でやっている会社、しかもすばらしいコンテンツを作る会社がたくさんあるわけです。そういったところに海外展開のための法務人材を雇っておきなさいというのは、とても現実的ではないとも感じています。
 だから結局何が必要なのかと考えると。前回の委員会でも出ましたけれども、専門家のネットワーク、みんなで使えるようなリソースとして専門家のネットワークを作ることが必要だと思います。そして費用も、渉外弁護士というのは自分で言うのも何ですけれども、一般的には高いんです。ですから、ぎりぎりのところまで弁護士にはお声がかからないことがあるんですけれども、何か仕組みをみんなで共有することによって、リーズナブルにそういった専門家のネットワークを利用できる体制が重要ではないかなと思っています。
 それからコンテンツ制作では特に、海外でいかにいい会社、いい人材と手を組めるかということが、成功の非常に重要なポイントになりますので、本日お話ししていただけるJETROさんのネットワークで、何かお願いできないかなと私も思っております。
 ふだん仕事をしていて感じることですが、日本発のコンテンツを海外展開するとき、原作者の方などは、とにかく自分のコンテンツが海外に出ていくことを非常に喜んでおられるわけです。それはそれでいいんですけれども、日本のコンテンツ産業の発展という意味では、海外展開することで、やはり収益がしっかり確保できて、それが日本の人材に回らないといけないと感じております。
 つい先頃も、日本のアニメーターの方の年収が平均340万円、アメリカだと大体700万円という新聞記事が出ました。やはり日本のアニメーターの才能のある方が、仕事としてきちんと自分のやりたいこともできるし生活も成り立つという基盤ができないと、結局日本のコンテンツ産業の将来というのはなかなか期待できないのではないかというふうに思っています。
 ですから、今日本当にばーっとお話しして、質疑応答の時間もなくなりつつあるんですけれども、よりよいコンテンツを作ると同時に、契約のポイントも理解して、契約で何か大きく失うものがないように気をつけていく。それから、好機が来たとき、いいお話が来たときにそれに対応できるようなリソースを、社会として準備しておく、一つ一つの企業の努力ではなくて社会としても何か準備しておくことが重要なのではないかと思っております。
 すみません、時間が大分押してしまいました。御清聴ありがとうございました。

【鈴木主査】どうも唐津委員ありがとうございました。大変盛りだくさんの内容で、時間的に厳しい制約をおかけして、申し訳ございませんでした。
 質疑応答の時間を実はちょっと超えてしまったんですが、是非この時点でという方、いらっしゃいますか。
 須子委員、どうぞ。

【須子委員】御説明ありがとうございました。今の御説明の中で、権利処理の話なんですけれども、私どもは音楽の著作権を管理している団体なんですが、コンテンツの中に入っている著作権処理が必要なものには、音楽があって、音楽に関しては、必ずしも製作者に権利が帰属しているものばかりではないと思うんです。今日はいろんな契約形態がありますという御説明を頂いているんですけれども、この契約形態の中で、海外で音楽の著作権処理が必要になるケースというのがあるのかどうか、そしてあった場合に、現地の著作権管理団体というのが有効な選択肢としてあるのか実際的なところがもしお分かりになれば教えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

【唐津委員】日本の原作が既に映像作品で、それをリメイクするという場合を想定すると、音楽というのは今おっしゃったように、ある意味その映像作品の少し外側にあるようなところがありまして、リメイクするときにその音楽がそのまま使われるのは、実は余り多くはないのかなと思います。ただ、アニメなどですと、もうテーマ曲として知られているものをそのまま使うこともありますし、あとは先ほど言った海外販売となりますと、日本で作ったコンテンツがそのまま基本的には行きますので、海外で音楽をそのまま使うということになります。
 ただ音楽の権利処理については、ほかの著作物に比べると、海外にももちろん著作権の集中管理団体がありまして、これは日本で言うJASRACさんと同じような形で、世界中のネットワークの中で、そこの国で処理をすれば、最終的には日本の権利者にちゃんと支払われるという仕組みができていますので、そういった意味では、音楽がそのまま海外に出ていくときにも、比較的スムーズに権利処理できるパターンではないかと思っております。

【須子委員】ありがとうございました。

【鈴木主査】ありがとうございました。まだ質問がおありかとは思いますけれども、申し訳ありません、後ほどまた質疑応答の時間がありますので、取りあえず先に進めさせていただきます。
 続いて、信谷様に御発表いただきます。事務局の準備が整いましたらお願いいたします。

【信谷様】ただいま御紹介いただきました、JETROの副理事長の信谷と申します。本日はお招きいただきましてありがとうございます。
 簡単に一言だけ自己紹介いたしますと、私は実は10年ぐらい前に経済産業省でメディアコンテンツ課長をしていまして、コンテンツの海外展開ということで、今日来ていらっしゃる先生方の中にも大変お世話になった方がたくさんいらっしゃいます。その際には大変お世話になりました。ありがとうございました。
 今日のプレゼンテーションは、3つ、ポイントだけ申し上げようと思います。1つ目は、JETROとは何かということです。2つ目は、コンテンツ分野でJETROは何をしているのかということ、3つ目が、コンテンツ分野でないけれども、参考になるようなことは何かないかという、その3点についてお話を申し上げようと思います。
 まず、JETROとはですけれども、55か国、76の事務所を持っております。世界中にございまして、大体年間の予算規模で、当初予算ベースで250億円ぐらいを頂いて活動しております。日本国内にもたくさんお客様にお付き合いいただいていまして、JETROが管理している法人のIDで数えますと、13万社ぐらいとお付き合いさせていただいてます。こういった会社の海外展開をお手伝いする、あるいは海外から日本に来る方を御案内するというのがJETROの仕事であります。
 2つ目のトピックですけれども、JETROはコンテンツ分野で何をやっているのかということですが、このスライドです。2021年度、今年度のJETROの事業ですけれども、国内においてはコ・フェスタの中のTIFFCOMですとか、TIMM、Anime Japanと連携して、商談会を開催しています。それから海外においては、ユニジャパンさんなどと一緒になって、海外の見本市でマッチングの支援をしています。
 左側にイベントが並んでおりまして、右側の中国ハイブリッド型キャラバン事業ですが、これは今年度実施したものでして、中国のイベントにJETRO・JAPANブースを設置して、中小キャラクターIP保有企業に対して、オンラインで商談会を実施しております。
 それから、Anime Japanと連携して実施したものを少し拡大したのが次のスライドでして、Anime Japan 2021の開催に合わせて、オンライン商談会を実施しております。中小のコンテンツ業者29社に御参加いただいて、8か国のバイヤーと152件の商談を実施したという実績でございます。
 少しだけ脱線しますと、去年からコロナの影響で、JETROの得意な、海外に皆で行ってイベントを実施してくるということができなくなってきまして、オンラインってどのぐらいなものだろうということで、一生懸命方向転換をしたわけですけれども、コンテンツ分野は実はオンラインに非常になじみがよくて、今申し上げたようなイベントでも、オンラインで実施してもちゃんと商談ができるということで、今年度も進めていこうかと思っております。
 これが、今JETROで実施していることでして、以下は参考です。JETROで実施していることで、コンテンツではないけれども、何か参考になることはないかということで、2つの側面からお話ししていこうと思います。
 1つ目は、知的財産権の保護で、JETROがいろいろ実施していまして、産業財産権の保護を実施しているわけですけれども、この分野で何か参考になることはないかというのが参考1であります。もう一つが中小企業の海外展開、この分野でJETROがやっていることで何か参考にできることはないかということであります。
 それでは、参考の1番目に入っていこうと思います。知的財産権保護の分野でJETROが何を実施しているかということであります。
 1つ目が、海外の知財情報の発信及び予防的取組でして、海外の知財情報の発信で、まずウェブサイトでの情報提供をしております。2020年度で、約23万件のアクセスがあり、ここに来るといろんなニュースが読めるということになってます。
 2つ目が、相談窓口というのを設けていまして、JETROの国内外事務所で知財相談を受け付けております。これは専門家の方に来ていただきまして、いろんな難しい相談に対応しているということです。ちなみに東京の本部で、2019年度で約2,000件の御相談を受けているという実績がございます。
 3番目がセミナー・講演会でして、テーマに応じて、月に1回ぐらいどこかで講演会を実施しているというのが、海外知財情報の発信と予防的取組であります。
 2つ目が、各国における知的財産権制度基盤整備事業でして、これは海外の事務所に担当者を置きまして、そこをベースにいろんなことをやっていこうというものであります。どこに置いてあるかというと、その一番上に書いています10か所でして、大体特許庁から来ている職員の方に駐在いただいております。
 それから海外における日系企業の活動支援ということで、情報収集、普及啓発、勉強会、現地知財問題研究グループの支援というのを行っていまして、あとは日本国内で調査報告書などを作成しています。例えば普及啓発活動の例で言いますと、中国に行って、模倣品を使うとこんな危険なことになるんですよということを、ビデオで流すとか、そういうことを行っているのがこの事業であります。
 もう一つが模倣品対策強化事業でして、これは模倣品に特化したものであります。IIPPFというフォーラムをつくりまして、これは業界の方にお集まりいただいて、今活動しているわけですけれども、その中にいろんな活動が入っています。
 1つがミッションの派遣。2019年度ですと、上海市に行っていろんなことを議論してくるということをやっています。
 侵害発生国との共同事業で、これは中国との間で、政府間で日中知的財産対話というのを行っていまして、そこに参加するということを実施していますし、侵害発生国でのセミナーということで、例えば中国、あるいはアジア、中東、アフリカで、現地の税関、警察、裁判所などの職員を対象に、真贋判定セミナーを開催するということを行っております。
 それから、諸外国の政府機関、専門家の招聘ですが、2019年度ですと、中国、インド、ブラジルなどから政府の方に来ていただくということを行っております。
 以下は権利出願、権利の行使に係る支援事業でして、まず外国の産業財産権の出願を支援しております。特許庁から予算を頂きまして、外国で特許出願をする場合の費用の補助を行っています。
 外国で模倣品が出回っているというときの支援も行うことにしております。
これは外国で冒認出願といって、本来その人のものでなかろうものが財産権として登録されているというときに対応するもでして、係争になった場合の費用を補助するということを行っております。
 営業秘密漏えい対策事業で、これは海外に中小企業の方が行かれても、自分のところの営業秘密が守れないということで、専門家に、その中小企業の支援に行っていただくというようなことを行っております。
 営業秘密管理マニュアルを作ったことがありまして、これはバンコクの例ですけれども、バンコクにいる中小企業の方にお配りして、こうやって営業秘密を守ってくださいねという啓蒙活動を行っております。
 以上が知的財産権の保護についてJETROが行っていることでして、これは実は全て国からの予算で実施させていただいております。特許庁と経産省の本省で合わせて13億円ぐらい頂いて、これだけの事業を行っているということであります。
 それから駆け足で恐縮ですが、もう一つ何か参考になることはないかということで、中小企業の海外展開等におけるJETROの取組で参考になりそうなものを拾ってまいりました。
 まず1つ目が、海外ミニ調査サービスでして、4つの調査メニューがあります。企業リストアップ、現地法令検索、統計資料検索、店頭小売価格調査を、大体1件当たり5万円から10万円ぐらい実費で頂いて調査をすることにしています。2020年度で、250件ぐらい調査の実績がございます。何でも調べられるわけではなくて、大体この4つに収斂していくわけですけれども、たまたまその分野に詳しい専門家がいれば、ここに書いていないことでもできることがあるということでございます。
 それから、中堅・中小企業の海外展開コンソーシアムというのもございます。新輸出大国コンソーシアムという事業がございまして、平成28年から行っております。これは中小企業の方が海外に出たい、あるいはコンテンツの権利を持っているので海外に出たいというときに、左側の赤い四角にあるコンソーシアム参加支援機関、あらゆる関係機関をJETROはネットワークを構築していまして、今1,125の登録がありますけれども、ここの方にこの会社を助けてくださいといってお願いすると、私がやりますと手を挙げていただくという形になっております。
 右側ですが個別支援専門家、弁護士の先生にも御登録いただきまして、こういうときに助けてくださいということを御紹介申し上げて、中小企業の方を支援するということを行っております。大体専門家は270名近く御登録してもらいまして、今年は、中小企業の数ですと2,900社ぐらいを支援しているところであります。
 次に、中小企業等海外展開現地支援プラットフォームというのもやっております。これは現地で専門家を雇っていまして、先ほど唐津先生から御指摘があったように、現地の協力体制は多分これに近いんだと思います。現地で、地元にネットワークの強みがある人をJETROの事務所がネットワークを作っていまして、そこに必要なサービスの提供、取次ぎを行っております。今、この専門家、コーディネーターは、270名ぐらい世界でお付き合いいただいていまして、多くは弁護士の先生ですとか、会計士の先生方にお願いしております。こういうところを使って相談ができるということになっております。
 最後に、農林水産物・食品の輸出というのも行っております。これはたくさん書いてありますけれども、真ん中にオンライン商談というのがありまして、去年から始めているわけですけれども、食品は食べてみないと分からないということで、オンラインでなかなか売れないものですから、これは香港ですけれども、サンプルをショールームに置いて、いろんなものを並べています。ここに現地のバイヤーに来てもらって、これは面白そうだねと言ったら、オンラインでつないで相談するということで、これはかなりの業績を上げつつあります。
 こういうこともできまして、いろんなことが対応可能でありますので、JETROを御活用いただければというのが、本日の私のプレゼンテーションであります。ありがとうございました。

【鈴木主査】どうもありがとうございました。
 ただいまの信谷様の御発表について、御質問等ございますでしょうか。後藤健郎委員、お願いします。

【後藤(健)委員】信谷さん、どうも御無沙汰しています。2010年3月に北京で啓発セミナーをやったり、それと8月にはハイレベルミッションに一緒に行ってもらったり、本当にありがとうございました。おかげでその後CODAも頑張っていますので、ありがとうございます。
 それでちょっと細かい質問なんですけれども、信谷さんはちょっと偉いので、分からなかったら次回、事務局に伝言しておいてもらってもいいんですけれども、最初の6ページの知的財産問題に関する相談窓口ということでお話がありまして、年間2,000件ぐらい御相談いただいているということでありますが、これに関わる部分で、いわゆる模倣品対策の御相談というのはどれぐらいあるのかという質問です。
 その御相談があった場合、どういう御回答なのかということで、例えば今お話のあった支援助成事業とか、そういうのを御紹介するのかとか、弁護士さんを紹介する、現地の調査会社を紹介するとか、それから現地の執行機関を紹介するとか、その対応は幾つかパターンがあると思うんですが、その辺がどうなっているのかを、ちょっと教えていただければ幸いです。
 それと関連して、その支援事業の中で10ページの模倣品対策支援事業でありますけれども、上限400万円の助成ということで、このポンチ絵を見ると、丸1、丸2、丸3、丸4ということで進んでいって、御希望者のみ警告状送付、行政摘発という具体的なエンフォースメントに関わってくるということだと思いますけれども、この申請された中小企業さんは、終了後に報告義務はあるんでしょうか。例えばこの行政処罰をやって、罰金幾らになりましたとか、丸4の調査の実施の報告書だけもらったら、もうそれで終了なのか、その辺の申請から終わりまでの流れがどこまで把握されているのか。
 それとこの400万円の事業でありますけれども、年間どれぐらい、何本ぐらい助成事業として成立したのか。マックスが約400万ですから、もっと小さいのもあるんでしょうけれども、その辺の状況についてお教えいただければ有り難く思います。
 以上でございます。

【鈴木主査】信谷様、お願いいたします。

【信谷様】後藤さん、ありがとうございました。後ほど回答する部分が大きくなると思いますけれども、知財相談窓口の中でどのぐらいあるか、今手元にないので、これは数えてみます。
 模倣品に対する10ページのところは、通常はJETROの職員が一件一件フォローしていますので、最後まで、どうなっていましたかというのは、大体把握をしています。もちろん義務ではなくて、最後はもうどうなったか分かりませんという方も中にはいらっしゃいますけれども、大体の方は、最後ここまでやりましたということでフォローできております。
 具体的にどのぐらいの件数があるのかとか、どんな例があるのかというのは、ちょっとその会社との関係でどこまで公開できるかがあります。帰って整理して、皆様に御提供するようにしたいと思います。ありがとうございます。

【後藤(健)委員】どうもすみません、お忙しい中、余計な仕事をつくっちゃいまして。すみません。

【鈴木主査】ほかに。伊東委員。

【伊東委員】集英社の伊東です。一般社団法人ABJという、出版社ほかでつくる海賊版対策の団体でも仕事をしているもので、ちょっと信谷さんにお聞きしたいのが、後藤さんの質問とちょっとかぶるところがあるんですけれども、模倣品なども含めて、インターネット上の海賊版も含めて、現地の警察、捜査機関に対して、いろいろ動いてほしいとこちらが思ったときに、JETROさんがどれぐらいその現地の捜査機関に対して影響力を持っていらっしゃるのかというのが、率直なところすごく聞きたくて、国によっても全然違うかもしれませんけれども、警察への連携というのはどれぐらい可能なんでしょうかという質問になります。

【信谷様】なかなか一般論でお答えしにくいところでありますけれども、私の経験で申しますと、JETROのカウンターパートは通常政策当局であります。中国であれば版権局であったり庶務部であったりするわけですけれども、そこにどれだけ問題の重大性を伝えられるかというのがJETROの勝負でありまして、そこがこれは重大だ、これは確かに看過できないと思えば、彼らもそれなりに動いてくれるだろうということでやっています。
 JETROがお付き合いいただいている専門家の皆様、例えば弁護士の先生ですとか、あるいは現地の調査会社、コンサル会社、こういう方はこれで地元のネットワークを持っていらっしゃるので、彼らを通じて現地の公的機関に対する影響力が行使されるということはあろうかと思いますけれども、これはなかなかフォーマルに持てる力ではありませんので、これはもうケース・バイ・ケースということかと思います。

【伊東委員】ありがとうございます。じゃ、すみません、大変恐縮なんですけれども、ケース・バイ・ケースということで、過去警察と連携してうまくいったという例がございましたら、今でなくていいので教えていただけると大変助かります。

【信谷様】はい。ちょっと探してみます。

【伊東委員】お願いします。

【鈴木主査】ありがとうございました。森下委員、どうぞ。

【森下委員】信谷副理事長、本当に今日は御説明ありがとうございました。やはりJETROさんはすごくグローバルなネットワークを本当にお持ちなんだなということを、今日改めて確認することができました。
 私からは2つ質問があります。まず1つ目は、我々もいろいろな事業者さんと対面してお話を聞いているときに、海外の取引先の与信調査を求めていらっしゃる方がすごく多くて、弁護士さんレベルになると、なかなか気軽に御相談できないようなことがあって、そこら辺はJETROさんのネットワークでカバーできる可能性があるのかという点と、あと2つ目は、後半の方で御説明がありましたコーディネーター270名、全世界にいらっしゃるということだったんですが、この中でコンテンツ関係に明るい方が、大体何名ぐらい、何%ぐらいいらっしゃるのか、もしお分かりであれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【信谷様】与信調査、どこまでどう保証できるかという問題はありますけれども、我々が現地に事務所を構えて現地のイベントに参加する中で、この人とこの人は大丈夫だなというのは、長い付き合いがありますので、分かる範囲は分かるということでやっております。
 ただ、コンテンツの関係は、先ほどから先生の説明にありましたように、非常に複雑な権利関係になっていますし、そこを全体を含めて分かった上で、この人は大丈夫ですよというのはなかなか難しいと思いますので、多分個別に、それこそコーディネーターの先生にお願いして、よくよく調べていくという作業が必要になってこようかと思います。
 もっとありていに言うと、日本の中小企業の物を輸出するときのバイヤーさんというのは、長い付き合いがあって大体こう分かるんですけれども、コンテンツを海外に出していくときの相手方というのは、まだまだ分からないところが多くて、どちらかというと、JETROでは苦手な分野だと思います。ですから、そこにリストみたいなきれいなものがあるということではないと思います。
 それから、プラットフォームのコーディネーター270名というふうに申し上げましたけれども、弁護士の先生がこのうち4分の1ぐらいなんです。では、どこの分野がお得意かというのは、調べてみないと分からないところがあります。ただ、申しましたように、コンテンツ分野というのは余りなじみがない分野でありますので、コンテンツのことをすごくよくよく分かる先生というのがこの中にいるというわけではなかろうというふうに思います。

【森下委員】分かりました。ありがとうございました。

【鈴木主査】ほかにございますでしょうか。
 よろしいですか。では、信谷様への御質問、また後にもお伺いする時間がございますので、取りあえず先に進めさせていただきます。
 信谷様、どうもありがとうございました。

【信谷様】ありがとうございました。

【鈴木主査】続きまして、分部様に御発言を頂きます。事務局の準備が整いましたらお願いいたします。

【分部様】どうも皆様、こんにちは。IP FORWARDグループCEOの分部でございます。私の方からは、「我が国のコンテンツの中国展開における現状、課題および方策案」という表題で発表させていただきます。
 初めに、簡単に我々の自己紹介をさせていただきます。IP FORWARDグループというグループを主宰させていただいています。中国の上海と東京の方で本社があります。主に中国における、先ほど来話題になっています、海賊版対策の調査会社として始まりました。海賊版対策の調査、そして警察を動員して摘発をしたりですとか、訴訟したりですとかということで、日本と中国の弁護士事務所、弁理士事務所、こういう摘発調査なんかをやったりする会社。そしてあとは、今日の主題の日本のコンテンツを中国に展開するサポートをするコンテンツの会社と、主にそういう部門で業務構成をしております。
 私の簡単な御紹介でございます。私自身、基本的に上海の方にずっと10年前から住んでおりまして、ここ二、三年は東京と上海を行ったり来たりしているという状況でございます。
 大学卒業後は、電通で、それこそ先ほど唐津委員の方からございましたように、ハリウッドとの映画の案件のやり取りですとか、映画の製作委員会の出資ですとか、そういうふうなことをやっていまして、その後弁護士になりまして、主に知財法ですとか、ちょっと中国法ですとかに関与しまして、その後、経済産業省の方に出向をさせていただいておりました。
 経済産業省の模倣品対策室という部門でございまして、主に中国での海賊版・模倣品問題というのが非常に問題になっていた時期でございました。ここでの交渉をやったりですとか、それこそ先ほど信谷さんの方から御説明ありましたIIPPF、官民合同ミッションの中国への派遣といったところも担当させていただいておりました。
 その後、コンテンツ関係の会社も幾つか設立することになりました。あと、私自身、JETRO中国のこういうコンテンツ分野と知財分野のコーディネーターをさせていただいております。IP FORWARDの方では、先ほどのJETROさんの侵害対策の事業というのは、正に今よくやらせていただいているところでございます。
 我々のグループのコンテンツビジネスの体制でございます。主に3つの法人をつくっておりまして、基本的には中国でのIPコンテンツを販売するエージェントの業務、日中におけるアニメの共同制作、あとは中国のSNSの運用ですとか、動画の企画・制作、こういった分野の業務をやっております。IP FORWARDの方では、こういうコンテンツ分野における守り、中国での商標権・著作権の登録、契約書の作成と交渉。ちょうどVIPO様から昨年に御依頼いただきまして、コンテンツ関連契約書ひな形集というのを作らせていただきました。特に、日中間のコンテンツビジネスというのが最近増えている中で、やっぱり契約に困るということで、主に唐津委員の方から御紹介ありましたような、ああいうライセンス契約、13種類のライセンス契約の日本語と中国のひな形を作って、これは無料でVIPOさんのサイトからダウンロードできますので、こういったところなどもやっております。
 我々の実績でございます。コンテンツ関係については、ライセンスのサポートですとか、弊社の方でアニメの共同制作をしたり、中国向けのバラエティー番組を作ったり、漫画家の育成をしたり、あとは海賊版対策といったところをやっております。
 本題に入ります。今日は、3つのパートに分けてお話しさせていただきます。  初めは、日本コンテンツの中国展開の現状、強みというところでございます。日本のコンテンツがどういうふうに今、中国に展開をしているのか、そしてその強みは何かといったところについて具体例を御紹介します。その後に、中国展開に当たっての留意点ですとか課題。最後に、我々が考える中国展開を促進するために必要な方策案。この3つに分けて御紹介します。
 まず、中国コンテンツ市場はどんどん伸びています。直近の市場統計では、日本円で大体66兆円。2020年はコロナの影響で多少悪影響が出ますけれども、引き続き成長基調にある産業になります。
 中国のコンテンツ分野は、日本と大きくマーケット環境が異なる点というのが、ほとんどがオンラインモバイル、インターネット分野と非常に密接に関わっている。多くのコンテンツというのが、オンラインモバイルアプリを通じて消費をされている。この辺が特徴でございます。テレビというのもあるんですけれども、テレビというよりは、こういう動画配信サイトであったり、いろんな音楽のアプリですとか、小説のアプリ、基本的にはほとんどオンラインで消費をされているというようなところでございます。映画については、もちろん映画館はあるんですけれども、こういう映画のアプリなんかがありまして、いろんな分析ができたり、市場情報が分かったり、とにかくオンラインモバイルというのが非常に普及して、これベースにコンテンツが消費されている、これが特徴でございます。
 こういう中で、日本のコンテンツの対中関係の変遷、日本コンテンツが今、中国でどういう位置づけになっているのか、ここ十数年ぐらいの動きをまとめたところでございます。
 まず、2000年以降は「盗る」ということで、要は海賊版です。正直、中国でのコンテンツビジネスというのは、2000年前後というのは本当に全然考えられない時代でした。もう海賊版だけで、ビジネスのしようがないという時代でございます。この頃はビジネスができないということだったんですけれども、じゃあ、全て悪かったのかといったら、少なくともこのときに日本コンテンツが中国で爆発的に普及していったと。弊社の社員も8割くらいが中国人の社員で、20代、30代が多いんですけれども、日本語を学んだきっかけですとか、日本に興味を持ったきっかけというのは、日本のアニメを見ましたとか、大体そういうのは海賊版で見ているんですけれども、こういうところで少なくとも日本コンテンツファンを増やしていったと、こういうような時期でございます。
 そこから、「買う」というところが出てきました。ここら辺は、本当にこの10年の間の話であって、私は10年前、中国へ行ったときに、海賊版対策ばっかりやっていた中で、突然買うという流れが出てきた。これは具体的には、動画プラットフォーム同士の競争の中で、どこを見ても日本の海賊版が見られている。そうなると競争、差別化ができない。なので、ちゃんとコンテンツを買いましょうというふうな流れが出てきて、そして政府も、海賊版対策をサポートするというところで、ここから急激に変わってきたというふうな印象があります。こうやって著作権が保護されると、ちゃんと著作権ビジネス、コンテンツビジネスは成り立ってくる。それに伴って消費者も、ちゃんとお金を払ってコンテンツを買うという変化が出てきました。
 ここ最近は、「創る」という流れが出てきています。中国の変化は非常に早いです、コンテンツビジネスの業界というのもどんどん発展してきて、もはや日本のIPをそのまま持っていっても通じるというふうな時代、もう甘い時代ではないです。中国人の消費者に合わせたコンテンツというのもしっかり作ってやっていかないと、中国の中で市場拡大するということはなかなか容易ではないというところもある。今は、中国人消費者に合わせたコンテンツ作りですとか、あとは中国のコンテンツ事業者と一緒に物を作ったり、はたまた、中国のコンテンツクリエーターを、日本のコンテンツ産業で人づくりした技術、ノウハウなんかを生かしながら作ったり、こういうような時代が出てきたりしているというのが私の感覚でございます。
 そういう中で日本のコンテンツ、今、中国では非常に多く展開されています。まず、映画の話をします。映画は、検閲だとか、一番規制が強い業界でございますが、2015年に「ドラえもん」の「STAND BY ME」という映画が入ってから、どんどん日本映画が入るようになりました。歴代のヒットランキングというのでトップテンを挙げております。「ドラえもん」ですとか「コナン」、こういった人気IPのシリーズものですとか、「君の名は。」、「天気の子」、最近ですと、ジブリさんの映画がランクインしているというのが特徴です。
 海外の映画では、日本はアメリカに次いで2番目でございます。ただ、1番がアメリカなんですけれども、興行収入ベースでいきますと、日本だと5.8億元、日本円で大体100億円弱なんですけれども、中国映画全部のトップテンになると、もちろん中国映画が多くて、それは50億元とかで、大体日本の10倍ぐらいの感じです。アメリカ映画は、大体20億元から40億元ぐらいということで、非常に桁が違うところがあります。まだまだ日本映画の伸び代はあるのではないかと、私なんかは思っているところでございますが、こういうふうな状況でございます。
 「ドラえもん」は映画を基軸に展開しつつ、最近は商品化もどんどん展開をしていっています。ちょっと前、今でも引き続き問題なんですけれども、中国は海賊版が多くて商品化、なかなかビジネスにしづらいところがあったんですけれども、いよいよ最近、この辺がビジネスになってきているというような状況でございます。「ドラえもん」であったりですとか、あとは「NARUTO-ナルト-」。「NARUTO-ナルト-」は動画配信サイトでどんどんライセンスをしていって、こういうラーメンのショップですとか、上海でテーマパークをやったりですとか、最近ですとドウインですね、中国のTicTokの中でEC販売をやったりとか、非常に先進的な取組をたくさんやっています。
 あと、著名なIPとしては、「Fate(フェイト)」です。「ドラえもん」や「NARUTO-ナルト-」とかに比べると、日本のように知名度は、そこのレベルではないかもしれませんが、中国では非常に知名度が高いIPになっております。日本のアニメの買い付けをよくやっているので「ビリビリ動画」なんかでゲームが作られたりして、また「ビリビリ」のリアルのイベントで、「Fate」のコスプレがどんどん出たりして、こういったところを基軸に非常に発展をしているという成功事例でございます。
 その他、日本の漫画、アニメというのが、アプリでほぼリアルタイムで、特に最近は正規版、まだまだ海賊版もあるんですけれども、非常に有名な作品においてはきちっとライセンスが販売されて、正規版で配信をされて同時期に出ているというような状況があります。日本でも人気の作品が、中国でも人気があると。
 あとは、日本のテレビ番組というのもそこそこ人気があります。テレビ番組については、まだまだ正規のライセンスというのが、アニメや漫画などに比べるとちょっと遅れているところがありまして、海賊版もちょっと多いところであるんですけれども、ドラマ、海賊版ベースなんですが、こういうランキングサイドで上位になったり、最近は、ドラマそのものはちょっと海賊版が流れたりしているところはありますが、ちゃんと権利を取ってリメイクをする、中国版でのドラマを作ると。この辺がここ三、四年ぐらいで非常に増えてきているところでございます。
 中国のドラマの、最近はこういうトレンディードラマというか、こういったところが結構テーマとなるところがあって、こういうところは日本のドラマが強いところで、題材も日本は非常に豊富だったりしますので、中国のはやりともうまくマッチして、日本ドラマのリメイクというのが結構増えてきているというような状況でございます。昨年は、日本テレビさんの「家売るオンナ」というドラマがございましたけれども、これがリメイクされたドラマが中国で非常にヒットしました。
 あとは、これは弊社がさせていただいた案件の御紹介にもなるんですけれども、バラエティーです。「ビリビリ動画」はアニメを配信したりするところと、あとユーチューブ的な機能がありまして、ユーチューバーみたいな人たちが、「ビリビリ動画」でいろんな動画を作ってアップロードしています。面白い「ビリビリ」のユーチューバーを紹介するというような番組を、日本のテレビ朝日さんと一緒に制作して、テレビ朝日さんの地上波の方でさせていただいております。
 この番組を「ビリビリ動画」で翌日にほぼ同じような内容で、ちょっと中国人向けにローカライズして、最近は中国向けの特別コンテンツも作っているんですけれども、「ビリビリ動画」ですぐに配信をすると。こういう日中同時配信バラエティーという、これは初の試みになるんですけれども、今させていただいております。ちょうど1年くらいさせていただいておりますが、非常にいい形で数字も推移しておりまして、このテレビ朝日さんの番組は、来月からまたちょっとバージョンアップするという感じになるんですけれども、こういった取組なんかもございます。
 音楽のお話をします。音楽も、特にJポップだとか、日本の音楽というのは、ここ二、三年くらいで結構きちっと買われるようになってきたと。音楽アプリ、幾つかDSPを御紹介しましたけれども、この辺で日本とほぼ同時期に、日本での人気の作品というのが中国でも聞ける形になっています。アニメや映画のテーマ曲、BGMの人気が高いところであります。
 ただ、音楽のライセンスは、ちょうどここ二、三年から進んでいたところではあるんですけれども、課題も幾つかあって、先ほどちょっと議論になった著作権集中管理団体、中国のJASRACに当たるMCSCという団体がありますけれども、まだそこは徴収がなかなかしっかりと動き切れてないようなところもありまして、もうちょっと日本に著作権料が戻ってきてもいいのかなと思ったりするところですとか、あと最近は、テンセントが音楽DSPでは今、最大手になりますけれども、独占禁止法で処分をされました。ここ一、二年で日本の音楽を独占契約ですごく買ってくれていたところなんですけれども、この独占が非独占になるということで、今、結構ざわついているというところで、うちの方でも結構対応している案件になります。
 芸能人とか、人というところに注目をしていきますと、「テンセント動画」で人気のオーディション番組「創造営2021」というものがございますが、ここで男性アイドルユニットをつくるというオーディション番組がありました。ここに日本のエイベックスさんが、アーティストさんを何名かチャレンジで昨年、中国に送り込んでいて、このベストテンの中に3人入りまして、見事にメンバーに選ばれたというところであります。この3名、非常に人気になって、今、中国の中でもアイドルユニットとしてどんどん活躍の幅を広げようとしているということでの、最近の非常にいい成功事例かと思います。
 あとは、このコロナ禍もあって、日本の芸能人も中国進出を加速させていて、特に中国はインターネットベースでいろいろと情報を出せますので、見方によってはもう本当に気軽にできるというところがございます。主に「ビリビリ動画」を中心にいろんなアカウントが開設されていて、ユーチューブアカウントみたいな、中国版ユーチューブアカウント開設みたいなイメージを持ってもらうといいと思いますけれども、いろんな芸能人さん、声優さん、アーティストさん、今、開設をしております。弊社もこの辺をよくサポートさせていただいているものがございますが、声優さんなんていうのは、もう10年ぐらい前から非常に人気があって、中国でのアニメイベントとかによく呼ばれたりして行っていたんですけれども、最近はこの「ビリビリ」の中でのコミュニケーションが中心となっていて、人気がある方は、どんどんフォロアー数が上がっているという状況でございます。
 次に、キャラクター系の話をしていきますと、日本のキャラクターは中国でも非常に人気があるところでございます。いろんなところで人気ランキングみたいなものがありますけれども、ランキングのベストテンの中で、半分ぐらいが日本、半分がディズニーというような形になっています。特に最近、日本のキャラクターの人気のポイントというのは、「ゆるい」とか「かわいい」とか、日本のキャラの得意なところといいましょうか、こういったところをベースに、まずはSNSアカウント、SNSで運営して知名度を上げていって、マーチャンダイジング、広告タイアップ等をやっていくと、こういうような形になります。
 商品化というのは、今後の非常に重要なところになります。実は、日本のキャラクターは知名度がディズニーと同じような感じなんですけれども、収益で見たときには、米国キャラに比べると、日本の方は非常に見劣りするというような統計が出ています。これはディズニーは初めに早い段階から知的財産権、商標権を取って、ちゃんとマーチャンダイジングをやっていた。日本については、特に昔からの有名なキャラクターなんかは、実は知的財産権をきちっと取れてなくて、結果的に商品化がやりたくても十分にできないというなかなか難しい状況がございました。最近については、日本のIP関係者も中国での権利をきちっと取ってやるようにところになってきたところなんですけれども、今後の収益拡大が期待されるところでございます。
 一番右端に出ている「旅かえる」という、ちょっとゆるい感じの絵のものなんですけれども、これはゲームなんです。非常にゆるい、ゆるゆる旅ゲーみたいな感じなんですが、これは日本のゲーム会社さんが作ったものです。4年前に突然作られて、突然中国でものすごいヒットしたと。最近、アリババがこのIPを買うまでになり、本当に全然ないところからぽんと出てきたという、大ヒット事例に当たるかとは思います。ただ、このゲーム会社さんも前作で、似たようなシステムのゲームを作ったら、非常に人気があったのでこのゲームを開発したとのことで、非常に中国の状況を研究されていたということを耳にしました。本当に中国市場を見ながら当てていった一つの成功事例。特に日本のキャラクター、結構「ゆるかわ」みたいな感じで描いて、最近も、中国のクラウドファンディングで数億円ぐらいでそのIPが買い付けられたとか、そんな話も出てきております。キャラクターは今後期待をしたいところでございます。
 Vチューバー、これも今、中国で熱いところでございます。日本から出てきた文化というふうなことを言えるかと思いますけれども、中国でも今Vチューバーがどんどん出てきている。日本のVチューバーがどんどん出ていくというところから、中国産のVチューバーというのも今どんどん出てきていると。ボーカロイドではあるんですけど、「初音ミク」から始まって、特に「キズナアイ」なんかは、中国版「キズナアイ」というのも出てきたり、ユーチューバーによっては、もう中国のキャラをそのまま作ったり、いろんな会社さんがいろんな形で工夫をされながら、今どんどん出ていっているところがあります。
 ただ、Vチューバーは純粋なキャラクターじゃなくて、中に人間がいます。人間がいろいろしゃべって演じますので、日本でも炎上とかってよく問題になりますけれども、やっぱり中国独特の問題があって、ここ一、二年、大きな炎上事案がありました。この辺を注意しながら進出していくことが必要であろうかと。
 マネタイズもどんどん出てきております。Vチューバーで歌を歌うのを主体とするVチューバー、Vシンガーがいたりしますけれども、日本でも有名なこの「花譜」は、今、オンライン配信ライブ、この辺、弊社の方でお手伝いさせてもらっているんですけれども、本年度から、「ビリビリ」なんかを使いながらオンラインライブ始めまして、ライブで1人当たり3,000円くらいのチケットが売れるようになってきました。Vチューバーの人気によってもこの売上げ層が変わりますけれども、ライブのチケット、投げ銭、こういったところでマネタイズしたりですとか、あとは広告タイアップとか、最近はライブコマースでVチューバーが出てきてそれで売ったり、売上げを幾つかもらったり、こんなところでもマネタイズができるようになっています。
 あと、最後に小説です。日本の小説は人気がそこそこあります。特に人気があるのは、ミステリーとか推理小説の分野。東野圭吾さんは非常に人気が高いところになりますけれども、人気があったりすると。あとは、日本の名作古典といったところも意外に人気があったりします。こういったところをベースに映像化されたりするので、小説というのはIPの源泉であるので、この辺のところは今後、中国市場を開拓する上では非常に重要なところになるかなと思っています。
 以上が具体例でございまして、総括的な日本のコンテンツの強みというところを申し上げるならば、やはりコンテンツ産業の歴史が非常に長いです。中国は今、市場規模が非常に多くて、物すごい成長率で規模が拡大していますけれども、まだ七、八年ぐらいの感じです。それに比べると、日本のコンテンツ産業というのは歴史が非常に長くて、特にアニメ、漫画というのは非常に強くて、それは日本ですよというブランドが確立されて、認知度も高いIPも多い。
 内容を見ても、中国のクリエーターでは描けない、中国の場合、やはり表現の規制なんかも多い国でございますから、そういう意味では日本はガラパゴスなんてよく言われますけれども、多様で独特で繊細ないろんな独特な世界観の表現、この辺というのはやっぱり日本コンテンツの強みになるのかなと思います。
 海賊版世代というか、見ていた世代で、消費していた世代、80年代ぐらいの世代というのが日本コンテンツファンの一番多いところですけれども、こういう人たちが今、お金を持ち始めていますので、ちゃんと商品を買うようになってきている。この辺も日本コンテンツの強みと言えようかと思います。
 以上が、前段の展開の現状、強みというところでございます。
 展開に当たっての留意点、課題というところで、主に3点お話をします。
 まず、法制度関係のところで、検閲の話をします。中国については、表現に対するいろいろな規制がございまして、検閲という制度があります。ただ検閲制度は、意外に言葉が走っちゃって正しく理解されてないことも多いところもあるので、ちょっと申し上げておきますと、まずはコンテンツ全般についてこういう規制がありまして、これは海外製だけじゃなくて、中国製についても、全てのコンテンツについてあります。ただ、外国コンテンツの方がいろんな表現があるので、多少は厳しく審査する傾向があろうかなと。
 検閲制度は、映画、テレビ、ゲーム、コンテンツによってそれぞれ検閲の担当部局が変わってきます。コンテンツによっても変わりますけれども、大体2か月から6か月ぐらいと。特に厳格なのは映画、テレビ、あと最近よく報道されていますけれども、ゲーム。逆に、インターネット配信コンテンツは比較的緩いところがありました。
 ただ、緩いといっても、決して規制がないわけじゃなくて、自主審査というのがあるんです。元からこういう表現は駄目ですという規定があって、それを当局が事前にきちんと確認するのか、はたまたインターネット・プラットフォームにその判断を委ねるのか、こういうようなお話がございました。なので、自主審査というのはずっとあるものではあってというところであるんですけれども、今その自主審査の領域も、だんだん当局がやる領域が増える傾向があるところが見てとれます。その他外国のコンテンツは、総量規制があったりだとか、この辺が知っておくべき制度の話になります。
 どんな表現が駄目なのかというところ、実はこの辺は中国の法律は非常に複雑でございます。どんどんどんどん新しい通知とか、規則だとかというのが出てくるところでございますので、正にこれは文化庁さんの本年のプロジェクトで、弊社の方でこの辺をまとめて年度末には出せると思いますけれども、ざっくり申し上げるならば、こういったところでございます。これが基本になり、こういう表現は駄目ですよというところです。特に、日本のアニメや漫画というところで7番目、わいせつ、暴力、犯罪教唆とか、あと社会良俗とか、こういったところが過激な描写になってくると、引っかかりやすいところになってくるというところであります。
 ただ、一番気をつけなきゃいけないのは、2番です。国家の統一、主権というところでございます。ここは昨今の米中覇権争いの中の中国の外交環境、厳しさを増す外交環境の中で、中国についていろいろと外国が言ったりするというところ、やはりここは中国の文脈で見る必要があります。中国の文脈的にこういう表現は許されないというものは、非常に厳格な措置を取ってくる。さきに述べたVチューバーなんかでも、特に日本人のVチューバーの人が、例えば香港なり、台湾なり、そういうものの位置づけがよく分からないまま口にしてしまって、それが中国の考える文脈とは全然違うというところで、もうあっという間にシャットダウン、もう退場というようなことになってしまうところがあります。なので、この辺のところは芸能人さんとか、人が進出したり、しゃべったりするところでは、非常に注意が必要なものになってくるというところでございます。
 昨今、アニメ業界で話題になっているインターネット上のアニメの検閲が始まったという話があります。今年の4月から、いわゆる当局の検閲が始まりました。元からインターネット上のアニメも自主審査という形での広い意味での検閲がありました。ただ、当局による検閲というのが始まったのが正にこの4月から。今まではある種自由に流していたのに、この当局の審査が始まったということで、今、アニメ業界は結構な影響を受けているところでございます。
 具体的に言えば、元から自主審査でもやっぱり駄目なものは駄目なんで、自主審査のときもこれはちょっと駄目そうだと、動画プラットフォームも後々駄目になるやつを買ったら自分が損しますから、そんなの買わないわけです。初めから駄目なものは駄目なんで、新たに当局審査が始まっても、余りそこは問題にはならないんですけれども、ただ、当局審査が始まると、やっぱり2か月とか3か月ってタイムラグが出ます。そうなると、日本、中国で、サイマルで配信ができないので、日本での配信をやったらどうしても中国で海賊版が出てしまうと。そうなると配信権が値崩れするという構図です。
 なので、配信権が売れなくなっちゃったとか、そういうようなアニメ会社さんも出てきちゃったりして、ここについては今後の対応が急がれるというか、各社ともに、今、アニメ会社も頑張っていて、日中サイマルに合わせるべく、日本の放送も中国の検閲が終わるまでずらすだとか、こういう対応をする会社さんなんかも出てきておりますが、ちょっと今、業界に混乱が出ている状況でございます。
 その他、本当にこのネット上のコンテンツのところは、最近規制がばんばん出てきているところでございます。ネットバラエティーの番組のものですとか、あとはこの意見募集稿、中国の場合、パブコメという形で結構がんがん出してきて、見てくれて、意見も実際出せて、聞いてくれたりするところもあるんで、これはこれですごくいいんですけれども、結構パブコメの段階でいきなり執行されるとかもあったりするところがありまして、今年4月からの新しいものも、正直、実はまだパブコメの段階であったんですけれども、いきなり執行された感じがございます。
 なので、こういうところを見ながら、規制をある種先読みしながら動いていくこと、特に、中国側の事業者がこうした規制を先読みして動きますので、動画プラットフォーマーとか、そういうところは情報交換しながら、しっかり情報を取っておくというところが重要だったりします。
 2番目、知的財産の話です。相変わらず海賊版が多いんですけれども、特に商品化とかするには知財の登録というのを早くしなきゃいけません。とにかくもう中国でコンテンツベースをやる場合には権利をちゃんと取らなきゃ駄目、取らないと自分が本物にはならない。先ほど信谷さんの方にありましたけど、第三者が勝手に取ること――冒認登録と言いますけれども――冒認登録をされてしまうと、全く手が打てなくなってしまうというとんでもないことになります。
 日本のコンテンツ業界、特に古い、もう本当に誰もが知る日本のスーパーIPは、残念ながら冒認登録が非常に多い。具体例ということで、ここでぱっと挙げましたけれども、この商標局のデータベースにも、今、掲載されています。これは残念ながら全て冒認登録です。全然関係ない人が――日本のアニメや漫画が好きだという人もいるんでしょう――こういったものを登録してしまっていると、これらをつけた商品化というのができなくなってしまうというようなお話になってしまって、もう商品化の道が本当に閉ざされてしまう、そのブランドを使うということで閉ざされてしまうという非常に深刻な事態を招いてしまいます。なので、もう早めに商標権を取りましょうと。中国の商標は大体1年ぐらいになります。1商標1区分当たりで大体5万円くらい、これは弊社の見積りなんですけれども、大体5万円でございます。商標を取るというところが重要です。
 中国の場合、権利行使するときに商標権の力が非常に強いので、特にコンテンツ系については、作品名とか主要キャラ名、キャラクター図形、こういったところで取ることが重要です。指定商品を全部取るとやっぱりお金がかかっちゃいますので、重要度、よくうちの方ではこういう表を作って、このオレンジのところです、まず動画を流せるようにしましょう。ここを取りましょう。次に、商品化の基盤となるところを取りましょう、緑のところです。プラスアルファで余裕があったら取りましょう、青のところ。こんな形でやっております。
 よく聞くのが、いや、分部さん、話は分かるんだけど、やっぱりアニメがヒットした後に取るんだよ、ヒットする前からそんな金かけられないよと。こういう話はおっしゃるとおりです。ただ、ヒットした後は必ず冒認出願が出てきますから、中国でヒットしそうだな、という雰囲気が出てきたら、一歩早めですね、気持ち一歩早めに検討できる体制を取っておくというのが重要です。
 例えば製作委員会とかでも、じゃあ、日本でヒットしたので今後中国でどうしようか、配信権売った後、じゃあ、商標どうしようかみたいな、これだとちょっと遅い。どちらかといえば、配信権を売る前に、じゃあ、中国でやる場合には、あらかじめこういう感じで権利登録して、出願費用の分担をしましょうとか決めておくことが重要です。実際、製作発表時期とか、配信販売時期とか、商品化開始時期とか、この辺がメルクマールになるので、本当にこの一歩手前でそれぞれ取っておこうみたいな考えが重要だったりします。
 著作権登録も中国では非常に重要です。非常に活用されています。中国も無方式主義で、ベルヌ条約に加盟しているんで、別に登録がなくても権利主張というのはできるんですが、中国の場合、いろんな理由から実務上登録が非常に重みを増しているという状況でございます。具体的には、偽物に対して権利行使をするときに、行政機関を摘発するときにはこの登録は必須になります。民事訴訟をする場合にも、この著作権登録があると非常に有効な証明になる。あとは、何よりもプラットフォーム側が著作権登録書を出せと言ってきます。じゃないと、ライセンスは買えませんというふうに言われることが多かったりします。なので、やる場合には、中国著作権登録というのが、これも同時にきちんと取っておくということが重要です。大体、三、四か月ぐらいで、この場合、商標と違って指定商品という概念がないですから、1作品当たり日本円で8万から10万ぐらいで取れます。こういった作品とかポスター、動画配信、こういったものを取りますというところです。
 我々の御紹介ですけれども、我々、日系の事務所なんですけれども、中国の方で商標事務所の認可を得ていまして、こういうコンテンツ関係の商標、著作権の登録の代行業務をよくよくやっておりますという御紹介でございます。
 最後でございます。調査の話です。先ほど森下さんや信谷さんの議論の中でも出ていましたけれども、調査は非常に重要です。特に中国の場合には、ここ7年くらい、やっぱり七、八年でコンテンツ業界は出来上がったんで、テンセントやアリババとか言っても、日本の企業の成熟度に比べて、まだいろいろ甘かったりもする。ぽっぽっ出てきているコンテンツ企業というのはまだまだ歴史が浅い。いろんな調査をきちっとしていかないと、蓋を開けてみればとんでもない企業だったぞということがよくあったりします。なので、大体信用調査、実態調査、市場調査と、うちの方でよくやっているものではあるんですけれども、この3つを推奨しております。
 信用調査、簡単な調査で、大体日本円で5万円ぐらいでできたりします。中国のデータベースを調査するという感じです。日本でいう商業登記簿謄本とか、その程度なんですけれども、実は中国は日本に比べて非常に多くの情報が取れます、データベースが取れる。この辺は結構キーポイントです。だから5万円ぐらいで結構有用な情報が取れる。日本で取れない有用な情報に下線部を引きました。
 1つ目は株主の情報。
 2つ目は経営内容の情報。
 3つ目はリスク情報です。リスク情報とは何か。訴訟の情報、この人が訴えられているかどうか。あと信用失墜情報。訴えられていて、1億円の賠償金を負っている、でも払っていませんという場合に、この払っていませんという信用失墜情報が出てくるんです。あとは処罰記録――前科です――行政罰、刑事罰と、こういったものも全部見れます。この辺がポイントです。処罰情報とか、やっぱり中国の企業って何かしら行政処罰を受けたりすることが少なくないんで、真っ白な企業を探せとは別に言わないんですけれども、致命的な黒がないかという観点で見た方がいいかなとは思います。
 あと株主が誰か。やっぱり株主の力は強いんで、これは見たりする。経営内容、日本でいう定款の業務範囲とかあれになりますけれども、中国の場合、経営内容というのはきちっと当局審査を受けますから、大体これを見ると、2年ぐらい前までは全然違うことをやっていたとか、この辺を見るとよく分かってきたりします。こういうような情報がサイトで見れますということです。
 あとは、もうちょっと細かく調べるときにはインタビューしたりとかで、企業の実態調査とか、市場調査とか、こういったところをやりますというところです。
 最後です。以上を踏まえて、中国展開をするための必要な方策というところでコメントを最後に述べさせていただきます。
 今後、こういった形でいろんな課題もあるんですけども、非常に伸びる市場で、日本のコンテンツ業界としても見逃せない市場にはなるというところだと思います。ただ、今、直面する課題というところを述べるならば、非常に大きくはなるんですけれども、一言で言うと、もう本当に中国の国産IPがどんどん成長してきている。なのでIP大国だった日本が、どんどん相対的な優位性が薄れてきているというところがあります。
 2つの証拠というか、載せていますけれども、左のグラフのところが、日本アニメの買い付け配信作品推移というのが、ここ3年右肩下がりです。検閲強化の原因もあるんですけれども、もう日本コンテンツは要らないよね、アニメを買わなくていいよねと。ちょっとこれは考えなければいけないところ。
 右側に中国の大ヒット作品を3つほど載せています。原神なんていうゲームが日本でも大ヒットしていますね。右の全職高手、全职高手、マスターオブスキルという邦題で出ていますけれども、これなんかも2次元アニメで、日本のアニメ関係者もびっくりしました。これが中国の重慶の――重慶の会社なんですけれども――会社でつくれるのかみたいなところ、どんどんレベルが上がってきているというところ。本当に真剣に中国市場を見て、打ち込んでないとなかなか厳しくなってくると。
 そういう意味で、打ち込むため何が必要か。まず、市場をきちっと分析しなきゃいけません。中国はネットの情報収集が非常に発展しているんで、例えば映画については、猫眼というものだとか、あと、百度、バイドゥというものですとか、インターネット上でいろんな情報を集めます。何がはやっているのか、どこがはやっているのかとか、これ、日本の関係者が真剣に分析すれば、日本の方がこういうマーケティングとかって皆さん強い人が多いですから、全然できるかと思います。なので、こういった分析がまず必要になってくると。
 そして、日本のIPの情報というのを継続的、安定的に発信していくというところが重要です。特にコロナ禍で中国との往来というのが、やっぱここ二、三年ずっと、十分にはいかないでしょう。コロナ前まで、アニメ展示会だとかばんばんやって、日本の関係者ががんがん呼ばれて、これはよかったんですけれども、往来が全て止まっていて結構大変だと思っています。なので、今こそちゃんとオンラインで、きちっと安定的に情報を出していくと。これをやっていかないと、どんどん日本の存在感が薄れていくんじゃないかなと思います。
 VIPOさんのJACCですとか――これ、中国語版もあります――こういうものが出ていたりとか、キャラクターのWeiboで発信してもらったりとか、安定的にネットで発信すると。あとは個別の取引のサポートですね。はじめのマッチングをサポートした後、取引成立までサポートする。先ほど来ありましたオンラインマッチングをやったりだとか、マッチングした後の個別フォロー。これもVIPOさんの案件で、弊社の方で受託させてもらって、脚本家と映像関係者のマッチングセミナーというのをやったんですけども、その後、脚本家さんと日本の映画会社さんの契約交渉ですとか、最後にお金が払われるまでのサポートまで一回やらせていただいたということがありました。マッチングセミナーで会うだけでは不十分なので、徹底的に最後までサポートをしていく体制がつくられるといいのかなとは思っております。
 まとめです。コンテンツは最強の外交官であると。本当にコンテンツ、私自身も中国に十数年、もう長い間関わっていて、日中関係といってもいろいろありますけれども、とりわけやっぱりコンテンツ、日本のコンテンツがどんどん進出していくと結果的に日本と中国の関係も本当にとてもいい形になっていっていると。そういう意味では、非常にいい外交官であろうと。本当に民間と官が合同で取り組んでいく、そういう意味で価値のあるテーマではないかと思っておりますし、それぞれのコンテンツ分野が連合しながら、アニメも漫画も音楽もどんどん出ていくことによって、1足す1が2、3、4、5と高まっていくというところがありますので、オールジャパンでしっかりと連携して市場開拓をしていければなと思っております。
 以上、私のお話を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

【鈴木主査】分部様、大変包括的な内容を分かりやすく御説明いただきましてありがとうございました。
 それでは、ただいまの御発表について、御質問などありましたら挙手をお願いいたします。
 生貝委員、お願いします。

【生貝委員】分部様、大変貴重な御説明をありがとうございました。2点御質問なのでございますけれども、まず、1点目として今年の4月からネットプラットフォームにおいても自主審査から政府審査が必要になったときに、検閲という制度はあるものとして考えなければならないという部分は当然あると思うのですけれども、国として、あるいは民間として、現実的に取り得る対応というのは果たしてどのようなものがあり得るのかということについてもしお考えがあればというのが1点目です。
 それから、2点目は少し個人的な関心にも近いのですけれども、やはり中国含めて、デジタルプラットフォームを通じてコンテンツの視聴というものが中心になってきているときに、大きなシェアを取れるかどうかというところはともあれ、プラットフォームそのものを日系企業がある程度進出するということは、やはり制度的に今の中国では難しいという認識でよろしいのかという点について、もし御存じであれば教えていただければ幸いです。

【分部様】ありがとうございます。2点目の質問の方が簡単なので御説明しますと、もう無理ですね。プラットフォームの進出は、もうあらゆる意味で無理。非常に規制が厳しい分野ですし、何よりもビジネス的にも無理。いわゆる中国の動画プラットフォームトップ3、トップ5、トップ10、競合が物すごい状況ですから、今からプラットフォームごとやるというのは相当、また技術的にも難しいというふうな感じでございますというのが2点目の回答です。
 1点目のところは、ここは正にいろんな会社さんと今、私もオンゴーイングで議論をしているところでございます。制度改正を求めるというのはちょっと非現実的。現実的な解というのが、やっぱり中国の検閲の波に乗りながら、いかにそこを早くしていくのか、そして、ビジネス的な利益を確保するためには、なるべくサイマルもしていくと。つまり、日中同時で展開をすることを前提とするならば、日本の放送を中国の配信時期とうまく調整をする、そして中国の配信が早まるようにこの検閲が早く終わるような策をなるべく頑張ってやっていくと、この辺が基本的な方針になるかなと思います。実際そういう形で動いていると。  じゃあ、どうやってこの検閲が早まるのか。実は今、うちの方でも検閲当局とかとやり取りだとかをしております。北京、上海の検閲当局とはよくやり取りをしていて、うちはこのへんの代行とかをやっていますから、当局の方もいろいろ基準だとかがちょっと、まだ外部に公表できないと言っていたんですけど、そのうち基準も出てくるでしょうと。今、やり方がどんどん固まってくるんで、脚本なんかちゃんと出さなきゃいけないのかとか、何話までまとめて出さなきゃいけないのかとか、いろんなところをけんけんがくがく議論されています。この辺の情報の収集を常にしながら、それで、自社のやり方、例えば、第1話出したから第2話も似たようなもんだよとか、ちょっと出し方もうまくやって、テクニックを磨きながらとか、そんなところが当面重要になるのかなと。これも文化庁さんの今回の調査事業で、年度末にはこの検閲のところをある程度調査して発表できるかと思います。
 以上です。

【生貝委員】誠にありがとうございました。

【鈴木主査】ほかにいかがでしょうか。
 今村委員。

【今村委員】非常に詳細に御説明いただきまして誠にありがとうございました。
 私の方からは著作権登録について1点お伺いしたいんですけれども、商標については冒認登録されているものがあって、ずっと残り続けているというものはもはやどうにもならないものだということだと思うんですけれども、著作権の冒認登録がなされるリスクが高いという部分の指摘があったんですが、これは仮に登録されてしまったとして、どうにか対応する策があるのか、また、そもそもそういう冒認登録というのは結構数が多いのかという点をお伺いできればと思います。

【分部様】ありがとうございます。まず、冒認の被害と私が申し上げたのはほとんどが商標です、ここに出したものですね。被害として顕著化しているのは商標権の方でございます。著作権の冒認登録の被害が顕著化しているかといったら、そこはそんなに顕著化しているわけではございません。
 次に、著作権冒認登録があるのかどうなのかというところで話しますと、ございます。相当程度あるでしょうというところでございます。ただ、商標と違って著作権の登録状況というのは、外部的にも調べるのが非常に難しいんです。商標であれば商標局のデータベースをたたけばすぐ全ての情報が見れるんですけれども、著作権については一部情報しか見れないですし、かつ、商標権と違って、著作権の場合は登録があって、それに基づいて、いきなり何かやられたり、困ったことになることが少ない。商標権の場合、例えば商品化のときには本当に必要で、偽物対策に必要ですし、プラス先行冒認商標があるとそもそも登録ができないんですね。著作権の場合は冒認登録されても、登録するときには別にそっくりそのままじゃないことが多いですし、先行登録があるから登録できないというのはほとんどないんですね。つまり冒認登録があっても、そんなに害として顕著化しない。だからこそ被害が顕著化してないということなんですけれども、相当程度あることは承知していますものの余り被害として認識されてない、余り皆さん気にしてないという、こんな状況でございます。
 我々の方で過去1回こういう冒認著作権登録の対応をやったことがありました。手続もきちっと規定されておらず、でも、版権局と直接交渉して、対応してくれたというものでした。費用をかけてまで、わざわざ全部やっつけようという著作権者は余りいないというのが総括かと思います。
 以上です。

【今村委員】分かりました。ありがとうございます。

【鈴木主査】ありがとうございました。ほかにございますか。
 井奈波委員、どうぞ。

【井奈波委員】非常に充実した御説明、ありがとうございました。
 日本のコンテンツを中国で海外展開する場合についてお伺いします。日本発のコンテンツを中国で展開する場合に、契約上、準拠法や裁判管轄がどのような形で規定されることが多いのか、また、例えば中国法が準拠法となった場合に不利になった事例などがあるかどうかをお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。
 あと、同じ質問について、唐津委員にもお伺いできればと思います。

【分部様】じゃあ、私の方から回答いたします。
 中国においては非常に重要な話があります。特にIPライセンスで、日本のIPがライセンス料をもらうというパターンの契約の場合には、日本の裁判所を専属管轄としてはならないというルールというか、これをきちっと契約上やっておいた方がいいというところです。ああ、別に法律規定があるわけじゃないですよ。契約するのは自由ですけれども、日本の裁判所を専属管轄としてしまうとIP権利者としては非常に不利な状況になってしまうので避けるべきという話です。
 これはどういうことかといいますと、簡単に言うと、日本で勝訴判決を取っても、中国で強制執行ができないという、ここがポイントです。ライセンスアウトしました、中国事業者が1億円払いません、よくよくあります、こういうことが。そのとき訴えます。東京地裁に訴えました。勝訴しました。でも、この1億円を中国で強制執行できない。ずっと無視されてしまう。こういうようなリスクがあるから、日本の裁判所を専属管轄としない方がいいというところになります。日本の裁判所を専属管轄とする契約書が結構あったりしますが。
 あと、中国の裁判について話しますと、皆さん、誤解というか、先入観があるかもしれません。うちも5年前から中国でたくさん裁判をやっていますが、別に北京と上海で普通に裁判をやるには全然問題ないです。しかも、IPライセンスの契約というのはもちろん、著作物性とか類似とか、すごく複雑な論点が問題になるようなものであれば別ですけれども、基本は金払う払わない、いつ払わなきゃいけないのに払わない、完成したのに払わないとか、そういう類いのものが多いですから、そんなに難しい裁判にはならない。北京、上海の裁判官は非常にレベルが高いですし、さっと勝って、でも金を払わないことが多いんで、その後強制執行に持っていってというのがやっぱり非常に多いです。
 日本の裁判所を専属管轄にすると中国で執行ができなくなってしまうので、5年ぐらい前だったかな、ある中国の大手プラットフォームサイトが倒産しかけたときがあったんですね。このとき、日本のIPホルダー10社ぐらいが、アニメの権利をライセンスしていたんです。そのときに、うちの弁護士事務所の方で結構御相談いただいて、実際訴訟とかもやったんですけれども、半分ぐらいの権利者さんが日本の裁判所を専属管轄にしていて、もう泣き寝入りしちゃったというのがあったんですね。ほかの企業は中国の裁判所を管轄にしていて、中国で訴訟して、強制執行もできたのですが、でも、結局お金が十分取れたかといったら、それはそうでもなかったんですけれども、みたいなことがありました。結構中国の場合、裁判とか強制執行が身近なので、この辺は注意が必要でございます。
 この辺については、VIPOさんのマニュアルの、契約書の冒頭で御紹介したところに結構詳しく我々書いたところがありますので、もし御興味ありましたら御覧いただければと思います。準拠法はIPライセンス契約であれば、日本法でも中国法でもあんまり変わらないです。重要なのは管轄のところになります。

【井奈波委員】ありがとうございました。

【鈴木主査】では、分部様の御報告に対する質問は以上ということにさせていただき、ここからはお三方の御報告全体について、改めて御質問、あるいは御報告を踏まえた御意見を頂きたいと思います。
 まず、既に井奈波委員から、唐津委員に対して、準拠法ないし裁判管轄に関する御質問が出ていますので、唐津委員、お願いできますか。

【唐津委員】私の場合、扱っているコンテンツの海外契約というと、相手はやはりアメリカが圧倒的に多くて、その後、ヨーロッパ、アジアという感じなんですけれども、アメリカの場合、やはりロサンゼルスであったり、ニューヨークであったりの裁判所の専属管轄、それから、カリフォルニア州法やニューヨーク州法を準拠法というドラフトが出てくることが多いです。そこを交渉してもなかなか難しい。日本からコンテンツをライセンスで出すときでも、やはりそこで相手に折れてもらえることは難しいのですが、ただ、結局ライセンスを出す場合、そのコンテンツがいかに強いかというところが、バーゲニングパワーであり交渉力になるわけなんです。日本側のコンテンツが強ければ、例えば相互的な形で被告地主義にするとか、裁判が大変そうだから仲裁にするというところで折り合いがつくこともあります。
 ただ、日本側にしても、アメリカ側にしても、どちらも訴訟に持ち込んだら大変だと思っているところがありますので、私の場合、今までの経験上、訴訟あるいは仲裁というところに至ったことはないです。
 だから、準拠法や管轄の交渉はするんですけど、結局は、紛争が起きたら交渉で解決というのが圧倒的多いのではないかなと思っております。

【鈴木主査】ありがとうございました。時間がほとんどなくなってしまいましたけれども、是非最後に御発言ございましたら。よろしいですか。
 どうも本日は大変充実した御発表を頂きましてありがとうございました。また、委員の皆様からも活発な御意見ありがとうございました。
 それでは、事務局におかれましては、ただいま頂いた御意見を踏まえまして、我が国のコンテンツの海外展開における著作権に関する課題及びその対応について、引き続き御検討いただければと思います。
 そのほか、全体を通して何かございますでしょうか。
 特段ございませんようですので、本日はこのくらいにいたしたいと思います。
 最後に事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

【長谷川国際著作権専門官】事務局でございます。本日はありがとうございました。
 次回の本小委員会につきましては、11月17日水曜日の15時からの開催を予定しております。今後ともよろしくお願いいたします。

【鈴木主査】ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、文化審議会著作権分科会国際小委員会の第2回を終了させていただきます。本日はありがとうございました。

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