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(令和4年5月25日)荷主と物流事業者との取引に関する調査結果について

(令和4年5月25日)荷主と物流事業者との取引に関する調査結果について

令和4年5月25日
公正取引委員会
 

 公正取引委員会は、荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から、独占禁止法に基づき「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」(平成16年公正取引委員会告示第1号)を指定し、その遵守状況及び荷主と物流事業者との取引状況を把握するため、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を継続的に行ってきている。令和3年10月に開始した荷主と物流事業者との取引に関する調査の結果は以下のとおりである。
 

1 調査の方法

 荷主と物流事業者との間の物品の運送又は保管に係る継続的な取引を対象として、荷主及び物流事業者向けの書面調査を実施した。さらに、書面調査の結果を踏まえ、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案について、荷主19名に対する立入調査を実施した。

 
 【書面調査の概要】
  荷主向け 物流事業者向け
調査対象事業者 30,000名 40,000名
回収数 11,438名 18,685名
回収率 38.1% 46.7%
調査票発送日 令和3年10月8日 令和4年1月14日
回答期限 令和3年11月8日 令和4年1月31日
調査対象期間 令和2年9月1日
~令和3年8月31日
令和3年1月1日
~令和3年12月31日
 

2 注意喚起文書の送付

 書面調査及び立入調査の結果を踏まえ、独占禁止法上の問題につながるおそれのあった荷主641名に対し、具体的な懸念事項を明示した文書を送付した。


(1)注意喚起文書を送付した荷主の業種別内訳
業種名 荷主数 割合
製造業   280名 43.7%
食料品製造業 35名 5.5%
生産用機械器具製造業 31名 4.8%
化学工業 30名 4.7%
金属製品製造業 20名 3.1%
電気機械器具製造業 15名 2.3%
輸送用機械器具製造業 15名 2.3%
その他 134名 20.9%
卸売業、
小売業
  220名 34.3%
建築材料、鉱物・金属材料等卸売業 60名 9.4%
機械器具卸売業 46名 7.2%
その他の卸売業 30名 4.7%
飲食料品卸売業 27名 4.2%
その他 57名 8.9%
その他   141名 22.0%
協同組合 68名 10.6%
総合工事業 21名 3.3%
その他 52名 8.1%
合計 641名 100%

(注)業種名は、日本標準産業分類(平成25年10月改訂 総務省)による。割合は、小数点以下第2位を四捨五入して
   いるため、合計は必ずしも100%とならない。


(2)注意喚起文書を送付した荷主の行為類型別内訳

行為類型 件数 割合
不当な給付内容の変更及びやり直し 351件 47.6%
代金の支払遅延 161件 21.8%
代金の減額 92件 12.5%
不当な経済上の利益の提供要請 44件 6.0%
割引困難手形の交付 38件 5.2%
買いたたき 26件 3.5%
報復措置 21件 2.8%
その他 4件 0.5%
合計 737件 100%

(注)複数の行為類型で注意喚起文書の送付を受けた荷主が存在するため、合計の件数は上記(1)の荷主数641名とは
   一致しない。割合は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%とならない。

   

3 問題につながるおそれのある事例

 

(1)不当な給付内容の変更及びやり直し
  • 荷主は、物流事業者に対し、10時間以上の待機をさせたが、待機料金を支払わなかった。(食料品製造業)
  • 荷主は、物流事業者に対し、指定した配送先に誤りがあったことを理由に、別の配送先に配送をさせたが、追加費用を支払わなかった。(道路貨物運送業)
 
(2)代金の支払遅延
  • 荷主は、社内連絡が滞ったことによる事務処理の遅れが原因で、物流事業者への支払が本来の支払月よりも1か月遅れた。(家具・装備品製造業)
  • 荷主は、自社が取引先から代金を収受するのが遅れたことを理由に、物流事業者への支払を遅らせた。(総合工事業)
 
(3)代金の減額
  • 荷主は、物流事業者に対し、毎月の支払額から一律5%減じた金額を支払っていた。(非鉄金属製造業)
  • 荷主は、物流事業者に対し、毎月の支払代金に千円単位の端数があった場合、当該端数を切り捨てて支払っていた。(総合工事業)
 
(4)不当な経済上の利益の提供要請
  • 荷主は、通関手続において発生する関税・消費税を荷主において直接支払わず、物流事業者に対し、立替払いをさせた。(家具・装備品製造業)
  • 荷主は、物流事業者に対し、「協力金」との名目で、数万円の金銭を提供させた。(飲食料品卸売業)
 
(5)買いたたき
  • 荷主は、物流事業者から運賃の引上げを求められたが、ほかにも低価格で運送を行う物流事業者が存在するとして取引先変更の可能性がある旨通告し、引上げに応じなかった。(窯業・土石製品製造業)
  • 荷主は、物流事業者からの契約金額の交渉の要望を門前払いし、最初(40~50年前)に契約した金額を継続して据え置いている。(設備工事業)

4 今後の対応

 公正取引委員会は、今回の調査結果について、荷主・物流事業者を対象とする講習のほか、関係省庁・関係団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に向けた取組を進めていくとともに、違反行為に対しては厳正に対処していく。今後も引き続き、荷主と物流事業者との取引に関する調査を継続して実施していく。

関連ファイル

(印刷用)(令和4年5月25日)荷主と物流事業者との取引に関する調査結果について

(参考)物流特殊指定の概要

問い合わせ先

公正取引委員会事務総局 経済取引局 取引部 企業取引課
        優越的地位濫用未然防止対策調査室
        電話 03-3581-1882(直通)
 ホームページ https://www.jftc.go.jp/
 

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