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プレスリリース

J-クレジット制度における森林管理プロジェクトに係る制度の見直しについて

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令和4年8月10日
林野庁

 カーボンニュートラルの実現に向けて重要性が高まっている森林クレジットの創出拡大に向けて、森林管理プロジェクトに係る制度の見直しを行う制度文書改定案が審議・決定され、本日付で施行されました。

1.制度見直しの経緯

 国内における地球温暖化対策のための排出削減・吸収量認証制度(以下「J-クレジット制度」という。)は、環境省、経済産業省及び農林水産省により運営されています。
 カーボンニュートラルの実現に向けて重要性が高まっている森林クレジットの創出拡大に向けて、森林管理プロジェクトに係る制度の見直しを行うため、第25回J-クレジット制度運営委員会の下に設置された森林小委員会において検討を重ねてきました。第3回森林小委員会(令和4年6月28日)において、制度文書改定案が取りまとめられ、今般、第27回J-クレジット制度運営委員会(令和4年8月5日)において制度文書改定案が審議・決定され、本日付で施行されました。

運営委員会開催情報(J-クレジット制度事務局HP)
https://japancredit.go.jp/steering_committee/[外部リンク]

2.制度見直しの概要

(1)森林管理プロジェクト全般に係る改定

(ア)認証対象期間の延長

 J-クレジット制度におけるプロジェクトの認証対象期間は原則8年間とされていますが、今回の見直しにより、最大16年間に延長することが可能となりました。

(2)方法論FO-001(森林経営活動)の見直し

(ア)追加性要件(※1)

 これまでは、認証対象期間中(8年間)の収支見込が赤字であることがプロジェクト登録に当たっての追加性要件とされていましたが、今回の改定により、ア)森林経営計画に基づく主伐がプロジェクト実施地において計画されていない場合、イ)森林経営計画に基づく主伐が計画されているプロジェクト実施地の全てにおいて再造林が計画されている場合は、追加性の評価は不要となりました。また、森林経営計画に基づく主伐が計画されている個所で天然更新を計画している森林が1か所以上ある場合は、認証対象期間中の収支見込が赤字であることが追加性の判断基準となりますが、収支見込の計算に際し、再造林を計画している個所については、認証対象期間中及び認証対象期間終了日から10年を経過するまでに要する経費を算入することができることとなりました。
(※1)追加性要件とは、J-クレジットとして認証される排出削減・吸収量は、本制度が存在しない場合に対して追加的な排出削減・吸収が実現されたものであることの証明を求めるものであり、追加性の有無は原則として経済的障壁の有無によって評価することとされています。

(イ)主伐・再造林に係る排出量・吸収量の算定方法の見直し

 これまでは、吸収量の算定に当たって主伐は「排出」として計上することとされていましたが、今回の改定により、主伐後の伐採跡地に再造林を実施した場合は、植栽樹種が標準伐期齢等(森林経営計画の認定要件として森林法施行規則第38条第5号、同第39条第1項、同第39条第2項第2号において定められている主伐の下限林齢をいう。)に達した時点の炭素蓄積を主伐による排出計上量から控除することが可能となりました。この場合、再造林後の林分の成長過程を通じた吸収量については、当該林分が標準伐期齢等に達するまで認証申請できないことに加え、標準伐期齢等に達するまでに当該林分において収用などの避けがたい土地転用、自然攪乱、主伐等が行われたときは、認証されていたクレジットの補填又は制度管理者への報告によるバッファー管理口座(※2)からの無効化を行うこととされています。
(※2)収用などの避けがたい土地転用や自然攪乱が生じた場合に備え、森林管理プロジェクトから発行されるクレジットの3%をバッファー管理口座に移転し、制度管理者が管理するものです。

(ウ)伐採木材の炭素固定量のクレジット化

 これまでは、森林バイオマスの炭素吸収が吸収量の算定対象であり、伐採に由来する木材の炭素固定量は評価対象外となっていました。今回の改定で、プロジェクト実施地で生産した原木の出荷量をもとに、伐採木材が永続的とみなされる期間(90年以上)利用される分の炭素固定量を推計し、プロジェクト全体の森林吸収量の一部として算定対象に追加することが可能となりました。

(エ)プロジェクト対象区域内の天然生林の吸収量算定対象への追加

 これまでは、森林施業が実施された森林(=育成林)のみが吸収量の算定対象となっていましたが、プロジェクト区域(森林経営計画作成区域)内の保安林等に指定された天然生林であって、森林の保護に係る活動(森林病害虫の駆除・予防、鳥獣害の防止、火災予防等)が実施された区域を算定対象に追加することができることとなりました。

(オ)1990年以降の施業履歴の確認

 1990年以降に間伐等の森林施業を実施した森林が吸収量の算定対象となっており、その証明として施業履歴を書類等で確認していましたが、伐根等の痕跡や施業時期が判読可能な空中写真等でも確認が可能となりました。

 (3)方法論FO-003(再造林活動)の新設

 主伐後の再造林が進まない現状を踏まえ、 造林未済地を対象として森林の土地の所有者以外の者又は再造林のために無立木地を取得した者が再造林を行う場合に、当該森林が最大16年生に達するまでの吸収量を認証申請できる新たな方法論を作成しました。

3.制度見直しの効果

 我が国の人工林が成熟化する中、「伐って、使って、植える」循環システムを確立し、木材利用を通じた炭素の貯蔵効果を高めるとともに、成長が旺盛な若い森林を増やすことが、カーボンニュートラル社会の実現への貢献につながります。このため、今回のJ-クレジット制度における森林管理プロジェクトの制度見直しによる森林クレジットの創出拡大を通じ、このような循環システムの確立が図られることにより、森林吸収量の中長期的な確保・強化につながることが期待できると考えています。

添付資料・関連リンク

森林由来 J-クレジットの創出拡大 ー森林管理プロジェクトの制度見直しの概要ー(PDF : 1,048KB)

J-クレジット制度について(林野庁Webページ)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/ondanka/J-credit.html


お問合せ先

林野庁森林整備部森林利用課

担当者:小林、辻中
代表:03-3502-8111(内線6213)
ダイヤルイン:03-3502-8240

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