文化審議会著作権分科会(第66回)(第22期第3回)

日時:令和5年2月7日(火)
14:00~16:00

場所:オンライン開催

議事

1開会

2議事

  1. (1)「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方について」第一次答申(案)
  2. (2)小委員会の審議経過等について
  3. (3)その他

3閉会

配布資料

資料1
「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方について」第一次答申(案)【概要】(1.3MB)
資料2
「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方について」第一次答申(案)(1MB)
資料3
国際小委員会の審議経過等について(309KB)
参考資料1
第22期文化審議会著作権分科会委員名簿(90KB)
参考資料2
文化審議会著作権分科会法制度小委員会 報告書(1MB)
参考資料3
文化審議会著作権分科会国際小委員会 報告書(1.6MB)
参考資料4
分野横断権利情報データベースに関する研究会 報告書(3.5MB)

資料2について異議なく、案の通り了承されました。
了承された資料については、以下の通りです。

資料2
「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方について」第一次答申(1MB)

議事内容

【茶園分科会長】

ただいまから第66回文化審議会著作権分科会を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

本日は、分科会長である私と上野分科会長代理は会場にて参加しておりますけれども、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、その他の委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御参加いただいております。

皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただき、御発言されるとき以外はミュートに設定をお願いいたします。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですけれども、この点、特に御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【茶園分科会長】

ありがとうございます。

では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。

なお、本日は、後ほど永岡大臣が御出席される予定と伺っております。

それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【小倉著作権課課長補佐】

事務局でございます。本日の配付資料は、議事次第の配付資料一覧にあるとおりでございます。

以上でございます。

【茶園分科会長】

それでは、議事に入ります。本日の議事は、議事次第のとおり、(1)から(3)の3点となります。まず、議事(1)の答申(案)について審議を行います。審議の後、答申(案)について本日お認めいただきました際には、大臣への手交を行いたいと考えております。

それでは、議事(1)の「『デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方について』第一次答申(案)」に入りたいと思います。

令和3年に文部科学大臣から、「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方について」諮問されましたことを受け、約2年間にわたりこの著作権分科会において審議を行ってまいりまして、第一次答申案として本日御議論いただくに至りました。

答申案は、諮問事項に対応いたしまして、第1部に「DX時代に対応したコンテンツの利用円滑化とそれに伴う適切な対価還元方策について」、第2部に「DX時代に対応したコンテンツの権利保護、適切な対価還元方策について」との構成としております。

具体的な内容につきましては、主に法制度小委員会において議論した項目と国際小委員会において議論した項目に分かれておりますので、まず法制度小委員会において議論した第1部及び第2部第1章につきましては、法制度小委員会の主査を務めております私より概要を報告し、その後事務局より詳細について説明いただいた後に意見交換を行いたいと思います。

それでは、まず私より概要を報告いたします。

答申(案)の第1部「DX時代に対応したコンテンツの利用円滑化とそれに伴う適切な対価還元方策について」及び第2部第1章「海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直しについて」の概要を御報告いたします。

法制度小委員会では、令和3年12月に著作権分科会において取りまとめました中間まとめを受けて、「権利保護・適切な対価還元」と「利用円滑化」の両立を基本としつつ、「DX時代に対応したコンテンツの利用円滑化とそれに伴う適切な対価還元方策について」につきまして法制的な議論を進めてまいりました。また、「DX時代に対応したコンテンツの権利保護、適切な対価還元方策について」についても審議を行いました。

審議に当たりましては、クリエーター等の施策権者等や事業者等、多様な関係者からヒアリングを行いまして、さらに、広く国民から御意見をいただくためにパブリックコメントを実施して、先月、法制度小委員会の報告書を取りまとめたところでございます。

資料1の答申(案)概要を御覧いただきたいと思います。本答申(案)では、この報告書の内容を反映いたしまして、第1部第1章に、「簡素で一元的な権利処理方策」といたしまして、集中管理がされておらず、その利用可否に係る著作権者の意思が明確でない著作物につきまして、一定の手続を経て利用料を支払うことにより時限的な利用を可能とする新たな制度の創設をすること、第1部第2章に、「立法・行政・司法のデジタル化に対応するための、著作物等の公衆送信等について」、所要の制度改正を行うこと、そして、第2部第1章に、「海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直し」について、著作権制度の見直しを含めた今後の方策を示しております。

いずれも著作権法における重要な論点でございまして、法制度小委員会において詳細な議論が行われ、その結果ということになっております。

答申(案)の具体的な内容につきましては、事務局から説明をお願いいたします。

【小倉著作権課課長補佐】

事務局でございます。それでは、今、茶園分科会長・茶園法制度小委員会主査のほうから御紹介のありました、今年度法制度小委員会で議論を行ってきたものとして、この答申中の第1部及び第2部の第1章について御説明をさせていただきたいと思います。

資料1の3ページ目を御覧ください。スライドの右下にページ番号が振ってあります。まず、こちらが令和3年度の著作権分科会中間まとめで示された方向性でございます。御出席の委員の皆様も、こちら御議論いただいたことかと思いますが、少し時間もたっておりますので、改めてこちらから御説明させていただきます。

左上に「利用者」がございます。利用者が著作物を使いたい場合についてです。通常、ビジネス上やり取りしている場合は、この流れにかかわらず直接権利者と利用者が利用許諾のライセンス交渉を得て利用するというところになるのは変わりありませんが、利用者が、著作物について、その著作権者情報とかが不明な場合、分からない場合につきまして、分野を横断する一元的な窓口組織に問合せをし、窓口組織と相談をしながら、権利者を探索したり、左下にあります分野横断権利情報データベースのようなものを検索します。

権利者につきまして、このフローチャートの右下のほうにありますとおり、集中管理事業者が集中管理を行っている場合、これにつきましては、集中管理団体を通じて許諾を得ることが可能ですので、各集中管理事業者に案内が行われます。

また、真ん中の段になりますが、集中管理がされていませんが、個別許諾の意思表示があり、個々にライセンスが行われている場合につきましては、その個々の権利者から直接許諾を得るという流れになります。

今回の制度化の議論は、集中管理がされていなかったり、個々の著作権者から個別許諾の意思表示がなく、どちらに連絡を取っていいのか分からない、このようなものにつきまして、右上の赤枠囲みのところですが、権利者不明であったり、意思表示がない、または連絡が取れない場合について、新しい権利処理の仕組みにより利用可能にするといったものでございます。

そのページの下側の米印にありますように、方向性とともに、クリエーターの意思(許諾権等)の尊重や二次創作に係る柔軟な運用を阻害しないこと、既存のライセンスビジネスや商慣行に悪影響を与えないようにすること、安心して著作物等を利用できること、制度や仕組みについて、管理運営コストを考慮し、持続可能な仕組みとすること、このような留意点が示されておりましたので、法制度小委員会ではこうした点も踏まえて議論を行ってまいりました。

それでは、具体的にこの新しい権利処理の仕組みの中身について説明に入ります。資料の4ページ目を御覧ください。

「制度化の骨子」でございます。1つ目の白丸にありますように、著作物の利用の可否や条件に関する著作権者等の意思が確認できない、意思の表示がされていない著作物等について、一定の手続を経て、使用料相当額の利用料を支払うことにより、著作権助等からの申出があるまでの間の当該著作物の時限的な利用を認める新しい制度、新制度を創設します。

2つ目の丸を御覧ください。新制度の手続については、利用者にとっての窓口の一元化及び手続の迅速化・簡素化並びに適正な手続を実現するため、文化庁長官による指定等の関与を受けた窓口組織が担うこととする。併せて、その違法利用や濫用的な利用等の抑止の観点から、手続の簡便・迅速さには留意した上で、時限的な利用の決定やその取消しは文化庁長官の行政処分とする。

3つ目の白丸でございます。新制度による利用については、利用される著作物と利用方法等を広く公表することで、著作権者等による申出の機会を確保するとともに、著作権者等の申出に基づき、使用料相当額の利用料が支払われる仕組みとする。

4点目の白丸です。時限的ではない利用を可能とする仕組みにつきましては、現行の著作権者不明等の裁定制度を活用した方策とすると。併せて、裁定制度については、窓口組織を活用した手続、補償金の額の算定や供託に係る手続等、こちらの迅速化・簡素化を図るとされております。

それでは、この制度化につきまして、より具体的な要件等の詳細について御説明させていただきます。スライドの5ページ目を御覧ください。

要件でございますが、(1)とページ下側にあります(2)の大きく2点でございます。

まず(1)の1つ目の白丸でございますが、公表された著作物であることが要件の1つ目です。

また、2点目、2つ目の白丸のところですが、以下の判断プロセスによって著作権者等の利用に係る意思が確認できないこととしております。具体的には、①集中管理されている著作物は制度の対象外となります。集中管理されていない場合は、②利用の可否や条件等が明示されている著作物(オプトアウトが示されている著作物を含む)としておりますが、こちらも制度の対象外です。

ここでのオプトアウトの意味でございますが、米印に記しておりますが、新制度による利用を拒絶することとしております。著作権者単位、著作物単位の双方、いずれか一方、どちらでも構いませんが、このような柔軟なオプトアウトを可能とするというところを記させていただいております。

この1、2について、両方とも集中管理がされておらず、利用の可否の条件等が明示されていない場合は③のプロセスに入ります。③のプロセスは、著作権者等に係る情報を確認いたしまして、何ら情報がない、あるいは連絡が不能、このような場合は著作権者から許諾を得て利用を行うということが実質的に難しくなりますので、このような場合は制度の対象となります。

一方で、3-2にありますように、著作権者等に係る情報がある場合は、著作権者本人にその意思を確認することが適当ということでして、連絡を試みて利用の可否や条件等を確認するとしております。

この連絡後につきましてですが、4-1、返答がある、この返答は、利用が可能というイエスという連絡のみならず、交渉の意向等を含みます。何かしらの返答があれば、直接著作権者と今後交渉してくださいということで、制度の対象外となります。

4-2、一定期間返答がない場合、こちらにつきましては、実際連絡が届いているのかどうなのか分からないというところもありますので、制度の対象となるという整理にしてございます。

米印の「①~④について」とあるところを御覧ください。効果が時限的であり申出により利用を止められることも踏まえまして、このような利用の意思、利用の可否の意思は、著作物等や公式ウェブサイト、データベース、検索エンジン等を活用した、より短期間となる手続で確認が可能なものということを想定しております。

また、米印の②についてのところを御覧ください。上記の先ほど御説明した利用の可否や条件等が明示されている著作物という要件のところでございますが、この明示について、アウトオブコマースについては、過去に公表された時点で示されている「複製禁止・転載禁止」の記載のみをもって判断すべきではないとの意見がありまして、現在、市場に流通していないなどにより現在の意思が確認できない場合の扱いについては、実態等を踏まえて引き続き今後の検討課題とするとまとめております。

なお、著作権者不明の場合の裁定制度の活用はこうした著作物についても有用でありまして、その手続を迅速化・簡素化することによる利用円滑化を図ることとするとしております。

要件の(1)の3つ目の白丸を御覧ください。著作権者等の利益を不当に害したり、著作者の意向に反するといったことが明らかであると認められるときに該当しないことといったことも要件に加えております。米印にもありますが、翻案利用も対象としますが、人格的利益についても一定の配慮がなされるようにするとしております。

このページの(2)、大きな要件の2つ目でございます。使用料相当額に当たる利用料を支払うこととなります。

この(1)、(2)の手続は、窓口組織による簡素な手続を想定しております。

資料の6ページ目を御覧ください。この新制度の効果についてです。効果は、利用期間の上限内、かつ、著作権者等からの申出があるまでの間の時限的な利用を可能とするとしております。米印にもありますように、申出から利用停止までの一定期間の利用は含まれます。また、米印の2つ目にありますように、著作権者等からの申出の機会確保のため、時限的な利用が決定したときは、その旨広く公表します。公表に当たっては、著作物や著作権者の特定に資するよう、公表に必要となる限度での当該著作物等の公衆送信等の利用を可能とします。

「新制度の具体的なイメージ」の部分を御覧ください。左側から「利用の可否等の意思の探索」です。こちらは基本的には利用者が著作物の周辺、データベース、検索エンジンの検索などを活用しまして、著作権者情報、あるいはその著作物の利用可否に係る情報を探します。

窓口組織につきましては、こういった探索の支援であったり、あるいは先ほどの分野横断権利情報データベース、こういった今後の構築に向けたデータベースの活用等を行います。

利用者が、こうした探索に基づき、申請を行いまして、窓口組織において申請要件の確認、利用料の算出を行います。これを踏まえまして文化庁長官は時限的利用の決定をすると。利用者は、時限的利用の決定を受けた後、利用料を支払うことで、時限的な利用、権利者等からの申出があるまでの間の利用が認められるということになります。また、時限的利用の決定以後は、当該著作物とその利用につきまして公表がされるということです。

時限的な利用の下のところに米印が書いておりますが、著作権者等から申出があった場合は、この制度による利用はストップしますが、その後の利用はライセンス交渉等に移行するという流れを想定しております。

また、右下にございますように、今回の時限的な利用を行いながら、時限が特段限られることのない現行の著作権者不明の裁定制度による利用、この要件を満たす場合には、こちらの裁定制度を並行して申請いただいて利用するということや、そもそもこの新制度によらず最初から裁定制度を活用するという、利用者にとって選択の幅を設けております。

スライドの7ページ目を御覧ください。「新制度の主な意義」でございます。新制度の主な意義は、著作物の利用の可否や条件に関する著作権者等の意思が確認できない著作物等を対象としていること。

2点目は、著作権者等が申出を行えば利用を終了させることができる時限的な利用とすることで、著作権者等の権利を失わせることのない柔軟なスキームであること。

3点目、窓口組織において手続を一元化し、著作権者等の探索や利用料算出手続を合理化することにより、利用者や関係団体の負担を軽減すること。

4点目、裁定制度において、申請中利用まで一、二か月程度要していたケースがあるところ、相当程度の時間の短縮を図れること。

5つ目、新制度に係る手続を窓口組織が担うことにより、利用者のみの判断によらず手続の適正化を図ることができること。このような点を挙げております。

続きまして、資料の8ページ目を御覧ください。資料の8ページ目につきましては、「窓口組織の担う事務のイメージ」についてまとめております。事務のイメージにあります1つ目の丸のところですが、利用者からの申請に係る相談、こちら、探索の支援や助言などがあると望ましいといった御意見もありまして、加えております。相談や申請の受付、申請要件の確認を行います。

また2点目、申請に係る利用料について算出します。この利用料の算出につきましては、文化庁長官による一定の関与を設けた基準等により算出すること、あるいは定型的な利用については、裁定補償金額シミュレーションシステムの活用等を想定しております。これによりまして、米印にありますように、個々の利用申請ごとの利用料決定に係る文化審議会の諮問を不要とするというような手続の簡素化も含めております。

また3点目は、利用者からの申請書類、要件確認結果、利用料算出結果を文化庁長官に送付すること。

また、文化庁長官による利用料決定の後、時限的な利用に係る公表をすること。

利用料の収受・管理をすること。

著作権者等からの申出の受付、本人確認、申出に基づく利用料の支払いをすることです。

また、権利者等が現れずに支払うことができない利用料につきましては、権利者・利用者のための活用ということで、例えば分野横断権利情報データベースの改良・拡充等に充てることで、より著作権者等への連絡、利用者との結びつき、こういったものを深めるような取組を想定しております。

「窓口組織の運営・必要な体制整備等」につきましてですが、1つ目の丸、著作権の実務に関して知見があり、公益性のある団体等を念頭に体制整備を行うということ。

また2点目、窓口組織の運営につきましては、手数料収入を基本としますが、公的な支援や共通目的事業の活用、こういった様々な支援を検討すべきだという意見をまとめております。

以上が簡素で一元的な権利処理に関する御説明となります。

続きまして、資料の9ページ目を御覧ください。第1部第2章の「立法・行政・司法のデジタル化に対応した著作物等の公衆送信等について」でございます。

こちらにつきましては、「現行規定」の欄にございますように、立法・行政の目的のための内部資料としての著作物等の複製、また裁判手続のための複製は、著作権者等の許諾を得ずに行うことができるという、いわゆる権利制限規定が現行法にはございます。

「対応の方向」のところを御覧ください。1つ目の白丸ですが、立法・行政のデジタル化への対応を著作権法の観点からも支えていくために、内部資料として必要となる著作物等の公衆送信や公の伝達を可能とする所要の制度改正が必要としております。こちらはあくまでも内部資料となりますので、外向けへの公衆送信というよりは、内部資料を例えばクラウド保存するとか、そのようなところを想定しております。

また、2点目の白丸、行政手続及び裁判手続のデジタル化に対応するため、以下の所要の制度改正が必要としております。

1点目、国民の利益等を確保する観点から、迅速・的確に審査を行う必要性が高い特許審査等の行政手続、また行政審判に必要となる著作物等の公衆送信や公の伝達を可能とすること。

また、司法面に入りますが、令和4年の民事訴訟法改正に伴いまして民事訴訟手続が原則IT化されます。こちらにつきましては、米印で、スライドの9ページの下側に示してありますように、令和4年の民事訴訟法改正に伴いまして、民事訴訟手続における著作物等の公衆送信等については既に措置が済んでいるところでございますが、本文のほうに戻りまして、今般、民事訴訟以外の民事・家事事件手続が原則として電子化・オンライン化されることに伴い、適正な裁判の実施、裁判を受ける権利の保障の観点から、民事・家事事件手続等に必要となる著作物等の公衆送信や公の伝達も可能にすることとしております。

また、3つ目の白丸を御覧ください。法制度小委員会、これまでの審議会の議論では、その際、現行法下での複製行為において許容される範囲と同一の範囲での公衆送信に限定することや、ライセンス市場等の既存ビジネスを阻害しないように留意するなど、現行規定にある「内部資料」や「ただし書」等の解釈・内容について周知を徹底することが必要といった意見が示されております。以上が第1部第2章になります。

最後になりますが、スライドの10ページ目を御覧ください。第2部の第1章「海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直しについて」御説明します。

上側、「現行規定」でございますが、著作権侵害に対する損害賠償請求につきましては、民法の一般原則に基づく損害賠償請求となるところではございますが、著作権者の損害の立証負担を軽減するために、現行の著作権法114条において幾つか特例規定が設けられています。

枠組みがその特例規定ですが、1つ目が侵害品の譲渡等数量に基づき損害額を算定する仕組み、2点目が侵害者の他利益を損害額と推定する仕組み、3点目がライセンス料相当額を損害額として請求可能とするものです。

「課題」の欄を御覧ください。114条1項の侵害者の譲渡等数量のうち、著作権者等の販売等の能力を囲える数量について、ライセンス料相当額が認められるかどうか、条文上明らかでなく、裁判実務上も判然としないという状況でございましたが、権利者への十分な賠償、侵害の抑止、訴訟当事者の予見可能性等の観点から立法的解決が必要としております。

また2点目、ライセンス料相当額の認定に当たっては、ライセンス機会を喪失させたなどの訴訟当事者間の具体的な事情が十分にしんしゃくされているか、裁判実務上なかなか判然としないという状況があると。

「対応の方向」のところでございますが、令和元年の特許法改正等も参考に、現行規定とその他の知的財産法体系との整合性を取る観点や、著作権者等の被害回復に実効的な対応策を取れるようにするニーズに対応する観点から、著作権法においても以下のとおり損害の算定方法を見直すとしております。

左側の絵の部分が著作権者等の販売等の能力を超える部分の損害をライセンス料相当額として損害額に加えることができるとする規定。右側でございますが、著作権侵害を前提とした交渉額を考慮できる旨明記し、ライセンス料相当額の増額を図るといったものです。

「その他の課題」のところを御覧ください。法制度小委員会におきまして行いましたヒアリング、あるいは意見募集では、損害賠償額にいわゆる懲罰的な効果を期待することについても御意見をいただいております。こちらにつきましては、実損の塡補を原則とする民法等の関係を踏まえる必要があることから、引き続き裁判実務の動向も注意しつつ、その具体的な必要性や状況等に応じて検討課題として扱うとしております。

また、ストリーミング型サイトの著作権侵害への対応その他のさらなる立証負担の軽減策については、損害額の立証に資する技術の進展や裁判実務の動向を踏まえつつ、今後の検討課題として扱う旨記載しております。

また、損害賠償制度の見直しに当たっては、権利者の実効的救済を追求する中で、創作活動が萎縮しないように留意して検討すべきだという御意見もありましたので、こちらに付記させていただいております。

以上、説明を終わります。

【茶園分科会長】

ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました項目について御意見がございましたらお願いいたします。

仁平委員、お願いいたします。

【仁平委員】

日本ネットクリエイター協会の仁平でございます。大変解りやすい表を作成いただき、ありがとうございます。こちらのほうを見まして、反論とか質問とかというよりも、1つの提案なんですけれども、今回の頂いた表の3ページ目に分野横断権利情報データベースというものがありまして、私の場合、私が対応させていただいているのがいわゆるUGCと言われている、一般のユーザーの方がつくった音楽であるとか、イラストであるとかといったところが出てくるわけなんですが、なかなかこういったコンテンツを新たに情報としてデータベースに入れるという作業は、ゼロからやろうと思うとかなり困難を要するんじゃないかなと考えられます。しかし、現状でも、前からこの手の会議では言わせていただいているんですけども、例えばドワンゴがやっているニコニコ動画の中、もしくはクリプトンさんがやっているピアプロの中、もしくはピクシブさんがやられている御自身のデータベースの中に、音楽であるとか、イラストであるとか、動画であるとか、そういったもののデータがもう既に、かなり御自身のどういう使い方だったらオーケーですよまで含めて既にデータが蓄えられているというのが現状としてあります。その数を合わせると相当な数がもう既にあるのかなと思っています。

しかもそういった今私が言ったデータベースは、単なるコンテンツごとのコンテンツの情報が書いてあるだけじゃなくて、コンテンツそのものがあります。なので、タイトルだけ見たときには何の曲だか分からなくても、実際に聞いてみたり、その動画を見てみて、ああ、このコンテンツだということがまず分かるということが1つありますし、さらに言うと、そのコンテンツをつくった方々の言ってみたら銀行口座みたいなものが登録されているケースも結構あります。つまり、それぞれのサイトで収益を分配する機能というのがもう既にあるんですね。

探索、検索という言葉もあります。なので、例えば検索をする対象というのが新しくつくる権利情報データベースだけではなく、今言ったようなドワンゴのニコニコ動画、その中にあるニコニ・コモンズというデータベース、クリプトンさんがやっているピアプロというデータベース、ピクシブさんがやられているピクシブというデータベース、こういったものまで検索の対象になっていると、よりUGCのコンテンツの把握がしやすいのかなと。また、使われたときのお金を返すという作業もとてもやりやすいのかなと思いました。

ですので、もしかしたら、そういったことまで考慮された上でのここに分野横断権利情報データベースに書かれたのかもしれないんですが、そういった既存のデータベースの活用というところをぜひ御検討いただきたいと思いますし、今言ったデーターベースをつくられている企業様は全て日本ネットクリエイター協会の会員様です。ピクシブ様もクリプトン様もドワンゴさんも全部うちの会員様なので、そういったところの責任者の方々をつなぐことも全く問題なくできますので、ぜひそういった既存データベースの活用というものも御検討いただければなと思いました。

以上でございます。

【茶園分科会長】

どうもありがとうございます。事務局、何かございますでしょうか。

【小倉著作権課課長補佐】

事務局でございます。仁平委員、どうも御意見ありがとうございました。まさにそうした既存のデータベースの活用といった点、非常に重要だと思っておりまして、こういったデータベースをよりスムーズによりよいものになりますように、このような連携方策、お示しいただいたところも含めて、今後検討しながら、また一緒に連携を取らせていただきたいなと事務局としては思っております。引き続き御相談させてください。よろしくお願いします。

【仁平委員】

よろしくお願いします。

【茶園分科会長】

ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

壹貫田委員、お願いします。

【壹貫田委員】

ありがとうございます。まず、本日の答申案の取りまとめに当たって、これまで約2年間にわたって大変な御尽力をされてこられた著作権課の皆様に心から敬意を表するとともに、感謝を申し上げたいと思います。

先ほど御説明のあった種々の検討事項がある中において、とりわけ簡素で一元的な権利処理と対価還元の制度化に関しては、著作物の利用促進と権利保護、権利者の経済的な利益への配慮という両者のバランスをどう確保するのかという点で、大変腐心されたのではないかと思います。

私としましては、先ほどの事務局からの御説明のあった内容を踏まえて法改正等を進めていただければよろしいのではないかと思います。

ただ一方で、簡素で一元的な権利処理と対価還元の制度化につきましては、法改正がなされた後の話になりますけれども、制度のフレームワークを法改正によって固めた上で、先ほど申し上げたような利用促進と権利者利益への配慮という両者のバランスに留意をしながら、制度の詳細をどのように詰めていくのかが、とても重要になると思います。

本日は、私は日本写真著作権協会のものとして、いわば写真の世界を代表して参加させて頂いておりますけれども、写真界の立場からすると、本制度のインパクトというのはやはり大変大きいと考えております。

したがって、今後、制度の詳細を設計していくに当たっては、我々としても著作権課の方々としっかりとコミュニケーションを取りながら、制度設計に当たって種々ご協力させて頂けると大変ありがたいと思っております。

今般の改正案の内容につきましては、我々の団体内部でも意見交換等を行ったわけですけれども、新たに設立される窓口組織による探索・検索作業、こうしたものに対する具体的な権利者団体のコミットメントの在り方、また、権利者からの申出が円滑にできるようにするためにどのようなデータベース構築が必要なのか、あるいは利用方法等の公表の在り方をどうするのかといった点、さらには、権利者による意思表示に対する柔軟性の確保といった点については、我々としても特に重要なポイントになると考えております。繰り返しになりますけれども、制度の詳細を詰めていくに当たっては、ぜひ、写真に限らず、様々な権利者団体の意見をしっかりと受け止めていただき、コミュニケーションを取っていただきながら進めていただけると幸いです。そして我々権利者にとっても、安心して活用できる制度にしていただければと考えております。

そういう意味では、本日の答申案の取りまとめは1つの区切りであるとは思いますけれども、新たなスタートに立つということにもつながっていくと思いますので、引き続きどうかよろしくお願いいたします。

私のほうからは以上です。

【茶園分科会長】

どうもありがとうございました。ほかに御意見等ございますでしょうか。

喜入委員、お願いいたします。

【喜入委員】

書協から参加させていただいております筑摩書房の喜入と申します。

このたびは、簡素で一元的な権利処理の方法について、出版物を扱っている我々としては、著作権者の意思の確認というところについて、非常に丁寧にいろいろと御説明いただき、かつ検討していただいたので、大変ありがたいなと思っております。

1つだけ申し上げたいのは、今後の検討課題と書いてあるので、ちょっと先走っているかなとも思うんですけれども、5ページ目のところで、アウトオブコマースについて米印で御説明があります。ただいま流通していないものについて、この制度の対象にするかどうかということが今後の検討課題である、と。アウトオブコマースということをどうやって判断するのかということが、多分今後問題になってくるのかなと思っております。出版物について言えば、ただいま流通していないように見えても、それはたまたま品切れとなっていて、返品があれば、改めてもう1回流通し始めるということがあります。あるいは、紙の本では流通が終わっていても、その後、電子書籍になって流通するとか、様々な形態があります。アウトオブコマースをどう判断するのかということの検討にあたっては、流通の現状をじゅうぶんに御考慮いただき、今回の著作権者の意思確認の問題と同様に丁寧に御議論いただければと思っております。

以上です。

【茶園分科会長】

ありがとうございました。福井委員、お願いいたします。

【福井委員】

福井です。ありがとうございます。新聞協会です。新聞記事などの著作物がより利用されることは大変いいことだと思っています。

ただ、新聞協会のパブリックコメントにも記しましたが、新たな権利処理についてはまだ幾つか気になる点があります。それへの要望を改めて発言させていただきたいと思います。

まず窓口組織です。この維持運営には相当なコストがかかると見られます。期待される役割や公共性を考えると、国が人材面や財政面で主導的な役割を果たされるべきだと思います。そのようにしていただければと思います。

また、新聞の記事・写真は本来新たな権利処理の対象にはなり得ないのではと考えています。利用者が新聞記事・写真の利用と見られるものを、何かよく分からないということで申請してきた場合、窓口組織は新聞の記事・写真と見られるので、当該の新聞社の許諾を取ってくださいとしっかり案内していただきたいと思います。

さらに、オプトアウトの部分を書かれておられますが、特定の新聞社が当社の記事・写真は新たな権利処理の対象外にしたいと言ってきた場合、窓口組織はそれを尊重して受け入れていただければと思います。

もう1点です。著作物の一般的な利用に言えることなんですけれど、新たな権利処理で著作権者が時限的な利用の公表に気づかずに、著作権者の意に沿わない利用が一定期間されるおそれはやはりあります。人格的利益を考慮して判断すると書いていただいたのは、安心材料なんですけれど、例えば政治団体の利用ですとか、そういった点も広く合理的に判断をしていただきたいと思います。

いずれにしても、制度発足後想定していない問題があれこれと起きる可能性があります。そうした際、その都度、窓口組織が真摯に対応をしていただくよう求めたいと思います。

すいません、長くなって申し訳ありません。もう1点です。42条の改定についてですが、公衆送信での利用については、あくまで限定された内部資料が対象であること、それと現行の複製範囲と同じ範囲とすることをくれぐれも各省庁に周知していただくようお願いします。以上です。

【茶園分科会長】

ありがとうございました。では、河野委員、お願いいたします。

【福井委員】

情報通信技術の進展に伴った著作権制度・政策の在り方について、この間、先ほど、分科会長から2年間の審議というお話がありましたけれども、精力的かつ丁寧に審議を進められ、今回の答申案として取りまとめいただいたことに対して、関係者の皆様や事務局の皆様に敬意と感謝を申し上げたいと思います。

今回の検討は、デジタル技術の進展と社会への浸透、そこから生まれる多種多様なコンテンツの増加、それに伴うビジネス構造の複雑化などによって、従来の制度では十分に対応ができていなかった権利処理と対価還元の問題に対する解の1つとしてこの新制度の提案に至ったと受け止めております。

今後社会実装していく際に重要な視点としては、基盤のシステムにひもづくデータベースを保有されている既存の著作権管理者の皆様の積極的な御理解と関与、また従来の仕組みのように集中管理団体への過度な負担を伴わないような持続可能な仕組みとすることがとても大事だと考えています。

権利処理や対価還元などの仕組みに不慣れなクリエーターの方や、省みられずに埋もれてしまっている貴重なコンテンツなどが、この新制度の導入によって、著作権のコンシェルジュ機能と利活用のエコシステムとしての機能が発揮されて、その効果として私たち国民の利便の向上や国民の生活を豊かにする一助になってほしいと心から思っております。

最後に、先ほどから皆様から多様な御意見が出ているとおり、細部の制度設計においては今後の検討に委ねるところが多々あるとは思いますけれども、まずは法改正に着手していただいて、デジタル社会のスピードに乗り遅れないように早期の社会実装をしていただきたいと思っております。

私からは以上でございます。ありがとうございました。

【茶園分科会長】

どうもありがとうございました。では、宮島委員、お願いいたします。

【宮島委員】

ありがとうございます。今までの方もおっしゃったように、本当にこの間の真摯な議論、そして非常に難しい部分がたくさんあったと思うんですけれども、いろいろなところに目配りをしていただいた結論ということで、大変ありがたく思っております。

私自身は、この会議は、一般の一人という意味とコンテンツを使うこともあるメディアの立場で参加しているわけですけれども、今までやっぱり権利問題がよく分からないので、つい避けてしまう、取りあえず分からないからやめとこうという、そういう動きが目立っていた中で、こうして整理された結果として、いいコンテンツがちゃんと使えるようになるということは本当に喜ばしいことだと思いますので、この筋に従って法案がちゃんと整備されることを期待したいと思います。

また、一部海賊版の問題など、実際ここで形とか方向性は出ているんですけれども、実際悪さをする海外の人たちは次から次へと様々なことを繰り出しまして、対処をしてもまた別のことを考えるというのがあるのが現状だと思います。

ですので、この点に関しましては、法案の整備の過程でも、もしかしたら新しいことが起こるかもしれませんし、技術の発達でさらに今考えてないことも起こる可能性があると思いますので、今の結論にとどまらず、新しいことに関しても対応していく姿勢で進めていただければと思います。

あともう一つは、知財関連、私はこの著作権だけではなくて、知財全体の内閣府の会議などにも携わっていたんですけれども、物すごく大事であるものなのに、なかなか全体としてはその価値に気づかない、価値が価値として認められないというところがまだ日本はあると思います。例えば融資とか、会社の力に必ずしも知財が価値としてカウントされてないという現状がまだまだあると思います。

ですので、そういった全体のビジネスの世界でもそうですし、は実際に使う人たちが、単に学校で授業として習うというだけではなくて、それぞれがその都度、使うときに、こういう問題があったな、あるいは、ここは大事なんだなというところを意識できるような形でないと、なかなか今の日本全体の知財に対する関心の薄さが簡単には払拭されないと思います。そういったところも丁寧に、本当に皆さんずっと努力されているとは思うんですけれども、さらに引き続き、身近なところで知財や著作権の問題が意識できるようにしていただければと思います。

今までの議論どうもありがとうございました。

【茶園分科会長】

渡辺委員、お願いします。

【渡辺委員】

この第一次答申案の内容について、集中管理されていない場合や権利者不明の場合でも新しい権利処理の仕組みにより利用を可能としたということについて異論はないのですが、ただ現実的に起こり得る可能性として、権利者不明の場合、著作物が利用されてから権利者が判明した場合、権利者によっては、使用料相当額という金額が想定される、決定されるということですが、使用料相当額の金額について例えば納得できなかった場合は、どのような結果になるのであろうかということと、それから、著作権者等からの申出の機会確保のために時限的な利用を決定したときは、その旨広く公表すると書かれておりますが、これはどのように公表するのか、具体的な内容のイメージがちょっと私は分からないので、そこをお聞きしたいなと。この2点についてお伺いしたいと思いました。よろしくお願いいたします。

【茶園分科会長】

事務局、よろしいでしょうか。

【小倉著作権課課長補佐】

事務局でございます。今渡辺委員から御質問2点ございました。まず1点目、権利者が判明後、金銭の納得がいかない場合といったところでございます。報告書中にその点うまく明示できておりませんが、これまでの審議会の議論におきましては、まずは一般的な利用料を参考に定めるということで、そもそもそういったことがないようにするというのが1点。

あと、もう1点が、似たような仕組みとはなりますが、現行の著作権者不明の裁定制度による利用の場合も、文化庁長官が決定する補償金額の支払いをもって利用ができます。この補償金額の高低、高い、安いにつきまして、不満がある場合は訴訟を行うということができることにもなってございまして、このようなところを参考に検討を進めていくのかなと思っております。

また、現行の裁定制度とは違いまして、著作権者のほうが申出を行うことによって利用停止ができるということで、その後の利用を含めた交渉であるとか、著作権者様のほうが気づかないまま利用されていたといった部分につきましては、一定の使用料ということになりますが、その後につきましては相対で交渉ができるといった点で、少し現行の裁定制度よりもより柔軟な仕組みとしているというところになっております。

また、公表の方法でございます。公表の方法につきましては、概要の資料ですと、本日の資料1の6ページ目のところに少し触れておりますが、著作物や著作権者の特定に資するようということと、こちら、これまでの意見募集でも、例えば美術とか、写真とか、そういう視覚芸術的なものであった場合は、一定程度のサムネイルがあったほうがいいだろうとか、書籍とか文書のものであれば一部抜粋を示したほうがいいだろうといった御意見もいただいておるところでございます。

このような御意見を踏まえまして、著作権者のほうが公表されている著作物を見たときに、しっかりこれは自分のものだ、あるいは誰々のものだといったことが分かりやすくなるような丁寧な公表の在り方、こちらも引き続きいろんな関係各社の皆様に御相談をしながら検討してければなと思っております。

以上でございます。

【茶園分科会長】

渡辺委員、よろしいでしょうか。

【渡辺委員】

ありがとうございました。

【茶園分科会長】

ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

井上委員、お願いいたします。

【渡辺委員】

井上でございます。大変すばらしい答申案を取りまとめいただきまして、よかったと考えております。

法改正により、時限的な利用に関しては、権利者団体などの窓口組織を通じて迅速かつ簡素な権利処理が図られることになりますが、時限的な利用を超えた期間の利用については裁定制度によるということで、裁定制度の改善の提言がなされています。制度設計の具体化についてはこれからだと思いますが、この点について一言申し上げたいと思います。

新制度による時限的な利用がなされる場合には、広く公表されることによって権利者の申出の機会を十分に確保できます。

時限的な利用の期間を超えた後に権利者が現れるという確率はこれまでの裁定制度の場合以上に低くなる。つまり、極めて低い確率になると考えられます。

この点、実際には難しいかもしれませんが、保険制度のような仕組みを入れるということもあり得るのではないでしょうか。裁定を受ける者は、低廉な保険料を支払って、たとえば、1,000件に1件ぐらい権利者が現れた場合にはプールされている保険料から保険金を支払うといったような仕組みができないものかと考えます。

法制上の整理ですとか仕組みの構築は難しいものと理解しておりますけれども、無方式主義の下で権利処理の取引コストがかかるという構造的な問題がある中で、裁定制度の改定については様々な方策を検討していただきたいと思います。

以上です。

【茶園分科会長】

ありがとうございました。ございますか。

【小倉著作権課課長補佐】

事務局でございます。井上委員様、どうもありがとうございました。先ほどの事務局からの説明では割愛してしまった現行の裁定制度の改善についての御意見と御説明ありがとうございました。今、井上委員のほうからも御指摘ありましたように、現行の裁定制度につきましても改善をという方向性は示しておりまして、資料2でお配りしております報告書第一次答申の案のほうの26ページ目に(3)「著作権者不明等の場合の裁定制度の改善について」ということで、例えば今御指摘のありました供託の不要化も含めた改善案について幾つかこれまで出てきた意見をまとめさせていただいております。

こういった答申に基づきまして、事務局としましても、今後の制度改正であるとか運用改善に向けて、例えば供託を不要化して、補償金の収受について、供託以外の仕組みを取ることであるとか、利用者に対する補償金の算定に当たっての負担の軽減、このようなところを丁寧に議論して検討していければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【茶園分科会長】

ありがとうございました。

では、田村委員、お願いいたします。

【田村委員】

私の意見は簡潔でございます。今、井上委員からお話があったことに私も全くの賛成でございます。とりわけやっぱり補償金相当利用額ということで今回の解決、なっているわけですけども、将来的な課題としては、利用の促進などを考えると、井上委員がおっしゃったように、実態をこれから見ていく必要はもちろんあるんですけれども、恐らく、今回の様々な手続を使っても、なお連絡が取れない、所在不明という方が、著作権者が名乗り出てくる可能性は極めて低いのではないかと思われます。それに対して、通常の利用率を掛けますと、デジタル化時代の大量利用というのがなかなか困難になってくる。そのときに、いや、著作権、もうならないじゃないか、低廉な利用を認めたりしたらならないんじゃないかというような御意見はあるんですけども、井上委員が先ほどおっしゃったような保険というような考え方を入れれば、登用率を考えれば、個々の著作権者の補償に対する、たまさか名乗り出てきた方に対する救済が不足するわけではございませんし、逆に救済が必要じゃない分を、90何%か分かりませんが、そういった通常の利用料が物すごく無駄になる、で、利用が進まないというのは、やはりデジタル化時代に、ビッグデータの時代に対応し切れないんじゃないかと思いますので、ぜひ今後の検討課題として引き続き御検討いただければと思っておりました。

以上です。

【茶園分科会長】

ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。

中川委員、お願いいたします。

【中川委員】

中川でございます。ありがとうございます。御質問になりますが、新制度に基づいて利用停止の申出があったときにどういう行為を停止するのかというところを確認させていただければと思います。例えば書籍やDVDの複製は完了しているのだけれども、まだ出荷ができていませんという状態のときに申出があったような場合に、何が引き続きできて何ができなくなるのかというところが明確になっていたほうが、新制度を用いるのか、それとも裁定制度によったほうがいいのかというところが明確になるように思いまして、その辺り、御教示いただけますでしょうか。

【茶園分科会長】

事務局、よろしいでしょうか。

【小倉著作権課課長補佐】

中川委員、ありがとうございます。今御質問いただきました件ですが、新制度による利用、こちらは当然著作権法上の法定利用行為につきまして特別に利用ができるという特例規定になります。今中川委員がおっしゃられました出版とか本とか出す場合ですかね、そうすると、著作権法上は複製行為と譲渡行為について新制度によって利用が可能になるという仕組みになるだろうと想定されます。この場合、申請後に複製を行った場合につきましては、複製という行為は完了しておりますので、これは申出によって止めても、それ以降の複製、例えば増刷とか、そういったものはできなくなるという仕組みになります。

一方で、複製した後の出荷しようと思っていた、その物につきまして、手元に残っている場合は、そちらは新たに譲渡、販売や配布をすることができなくなるというところになります。

なお、譲渡されて、もう手元を離れて所有権が移っているような場合につきましては、譲渡は一般的な消尽の規定によりまして、そちらについては、回収したり、何か止めるといった行為にはならないということを想定しております。

以上でございます。

【茶園分科会長】

中川委員、よろしいでしょうか。

【中川委員】

ありがとうございました。

【茶園分科会長】

ほかにございますでしょうか。

特段ございませんようでしたら、次に進みたいと思います。続きまして、第2部「DX時代に対応したコンテンツの権利保護、適切な対価還元方策について」の第2章及び第3章の議事に移りたいと思います。

第2章の「国境を越えた海賊行為による著作権侵害に対する対応の在り方について」、これにつきまして、国際小委員会の主査でいらっしゃいます上野委員より概要を御報告いただいた後、事務局より詳細について説明をいただきます。

では、上野委員、よろしくお願いいたします。

【上野分科会長代理】

上野でございます。第2部第2章、国境を越えた海賊行為による著作権侵害に対する対応の在り方に関する答申(案)につきまして、概要を御報告させていただきます。

国際小委員会では第21期と第22期の2か年にわたりまして、国境を越えた海賊行為に対する対応及び我が国のコンテンツの海外展開について審議をいたしました。

審議に当たりましては、委員による発表の機会を設けるとともに、有識者からのヒアリングを行いまして、幅広い観点から御意見をいただくことができたと考えております。

答申(案)では、海賊版対策と正規版流通は両輪で取り組むことが重要という認識の下、現在の海賊版の被害状況ですとか取組を踏まえた今後の方策を示したということになってございます。

その具体的な内容につきましては、事務局のほうから御説明をお願いしたいと思います。

【小林国際著作権室長】

それでは、具体的な内容について御説明をさせていただきます。スライドの11ページでございます。「現状の課題と取組」として、1点目、デジタルコンテンツの需要の高まりと相まって海賊版の被害が日本のコンテンツのあらゆる分野に拡大し、対応はより困難となっています。

2点目です。こうした被害状況を踏まえて、民間・関係団体、文化庁、そして国際機関である世界知的所有権機関において途上国の著作権制度の整備支援など、あらゆる手段を講じて海賊版対策の取組を進めております。

3点目です。日本のコンテンツの海外展開に当たっては、著作権における課題として、例えば法務人材の不足や個人クリエーターへの支援などが挙げられました。これらの課題に留意するということが不可欠であり、また、それを踏まえて、文化庁や関係団体では海外展開を目指すコンテンツ事業者に向けて必要となる知見の共有を図っています。

次に、「今後の方策」です。1つ目の丸です。日本の権利者は、費用倒れになるという懸念や著作権に関する知識不足によって権利行使をしない傾向にあることが指摘されています。そのため、文化庁では、著作権侵害対策情報ポータルサイトを公開し、削除要請などに必要な手続を情報集約して発信しているほか、弁護士による無料の相談窓口を開設しています。引き続き、これらを通じた侵害状況などの情報の収集、分析、発信を行い、より実効性のある権利行使の支援を強化していくことが述べられています。

また、先ほど第1章に関する御説明に記載のとおり、損害賠償額の算定方法の見直しにも取り組むことで実効性のある権利行使を実現していくということが示されています。

2つ目の丸です。海賊版問題には国境がなくなっていることから、諸外国と協働した海賊版対策がますます重要となっているということを踏まえて、文化庁でこれまで取り組んできた国際連携の取組の実績を生かしながら、WIPOや諸外国との連携を拡充させて効果的に事業を実施することが必要としています。

3つ目の丸ですが、日本のコンテンツの正規版流通の促進については、海賊版対策の充実と両輪で進めることが重要であるということが示されています。

最後の丸の普及啓発については、次のページで御紹介します。スライドの12ページを御覧ください。こちらは、第2部第3章の「DX時代に対応した著作権制度・政策の普及啓発・教育について」のポイントをまとめたものです。昨年度の基本政策小委員会において行われた審議をベースにまとめられたものです。

まず冒頭の黄色い囲いの2点目にございますように、DX時代において、誰もが利用者のみでなく著作者となり得る中で、普及啓発・教育の在り方もDX時代に対応したものである必要があるとしています。

その上で、「今後の方向性」についてです。1つ目の丸にあるとおり、基本理念としては、コンテンツ創作の好循環の最大化を目指すとしております。

その上で、2つ目の丸において、普及啓発や教育に当たって5つの観点が挙げられています。

①は、従来著作権教育では何をしたら違反なのかという観点に偏りがちでありましたが、著作物をどうすれば適法に利用できるのかについて方法を周知していくということ。

②では、クリエーター目線での普及啓発が重要であり、例えばクリエーターに対して著作物を公表する際に利用に関する意思表示を行うこと、利活用の促進により、初めて対価が生まれること、また、集中管理といった対価還元の仕組みについて理解を深めるといったこと。

そして、③では、著作物の利用について、適法と断定することができるのは著作権者等であることを踏まえ、著作権者等や企業の意思表示や取組が重要であるということ。

④では、青少年のインターネット利用に関する取組や法教育など、関連する分野や民間組織と連携した普及啓発。

そして、⑤に、若い世代から大人まで幅広い年代に対する日常的な著作物等の利活用場面での普及啓発といった観点をまとめております。

また、下の「その他」として2点挙げております。1つ目の丸では、簡素で一元的な権利処理方策と対価還元の制度化に当たり、自分の制作した著作物をどのように利用してほしいのかについて意思を発信することの重要性、そして、個人クリエーターなどの著作権者に周知を徹底すること、また、利用者に対しても適法に著作物を利用していただくための普及啓発が必要であること。

そして、2つ目の丸で、海賊版被害を少なくするために、利用者一人一人が海賊版を利用しないということ、とりわけ海賊版利用を許さないという意識や社会の醸成が有効な手段であるということを示しています。

第一次答申(案)の御説明は以上でございます。

【茶園分科会長】

どうもありがとうございました。

それでは、ただいま御説明いただきました部分につきまして御意見がございましたらお願いいたします。何かございますでしょうか。

仁平委員、お願いいたします。

【仁平委員】

まさに海賊版の問題というのは、我々が私のところで対応させていただいておりますいわゆる一般的なUGCクリエーターの方たちにとっては大変大きな問題になっています。

といいますのも、彼らは基本的に個人なので、楽曲の著作権などは、楽曲によってはJASRAC様に信託しているなんていう場合があるんですが、それでも例えば音楽原盤権は御自身で持っていたりということが多いので、基本的に海外で勝手に使われているという場合、ちょっと泣き寝入りをするしかないかなというところが実際起きています。

なので、今回みたいなこういうお取組を文化庁様がしていただいたということは大変感謝しております。それだけではなく、先ほどから啓蒙活動的な御意見、皆様からいただいておりますけども、こういった情報、文化庁様がこういうことをやられているよという情報、なかなか一般のクリエーター様にはお耳に入らないんですけども、今度来る2月26日には、文化庁の吉田著作権課長様、私が主催する生放送番組にも御出演いただいて、言ってみたらUGCの人たちの番組に天から降りてきていただいたといいますか、本当に登場していただいて、そういう生のお話をしていただく機会までいただいたということで大変感謝しております。

ぜひ今後ともこういったすばらしいお取組を継続的にしていただくと同時に、今回の26日の生放送のように、ぜひ、我々、力のないクリエーターのもとにもそれが届けられるように、その情報が届けられるように、今後もぜひ文化庁様、御協力をいただければなと思いまして、ちょっと御意見といいますか、感謝も含めまして申し上げました。

よろしくお願いいたします。

【茶園分科会長】

どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

渡辺委員、お願いします。

【渡辺委員】

渡辺です。国境を越えた海賊行為による著作権侵害について、様々な方策を本当に考えていただきまして、ありがとうございます。

概要のほうの11ページの「今後の方策」の3つ目の丸に書かれております正規版流通の促進に関して、この正規版というのは、例えば音楽や漫画などに関していえば恐らく現時点ではサブスクリプション型の配信サービスのことを指しているかと思いますが、ただ、それらは少なからず課金されるわけで、そうしますと、正規版流通の促進を進めたとしましても、いわゆる小学生とか、若年層はクレジットカードなど自分で勝手に使えないというようなこともあって、どうしても無料で利用できる海賊版に魅力を感じてしまうという傾向は変わらないのではないかと思われます。

そういったことも考えて行きますとながら、海賊版行為を防ぐためには結局は、教育という、啓蒙というところに、可能な限り最大限に力を注いでいく必要がある海賊版行為を防いでいくことは、そこに集約されるのではないかと思います。第一次答申案の51ページのところに、第3章「DX時代に対応した著作権制度・政策の普及啓発・教育について」というところにかなり多岐にわたって具体的な考えられる方策例が書かれておりますが、ぜひこれらを実現していただきたいと強く思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【茶園分科会長】

ありがとうございました。 ほかにございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

では、ありがとうございました。意見交換はここまでとしたいと思います。

この本答申(案)は、各小委員会におきまして審議が行われたものでありまして、本答申(案)に御賛成いただいたという意見がある一方で、運用に向けての関係者との連携、デジタル時代の利用料の在り方に関する御指摘も、極めて重要な点だと考えております。これらの点につきましては、答申を踏まえた今後の取組の中でしっかり留意していただくことが必要だと考えております。

つきましては、分科会としてそのような指摘をするという条件をつけた上で、本件については了承したいと考えておりますけれども、いかがでございましょうか。

よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【茶園分科会長】

どうもありがとうございます。

それでは、了承が得られたと認めさせていただきます。

文化庁におきましては、今申し上げましたような運用に向けての関係者との連携、デジタル時代の利用料の在り方という、御指摘に対する対応についてもしっかりと検討していただきたいと思います。

また、ほかにも、賛成いただいた上で、今後実際に制度を動かすときに考慮すべき様々な点を御指摘いただきましたので、それらについても検討していただきたいと考えております。

では、大臣が15時半くらいにお見えになる予定ですので、その間、議事(2)の審議事項に入りたいと思います。

各小委員会について順次御報告いただきますけれども、基本政策小委員会及び使用料部会につきましては、今期の審議が継続中となっておりますので、審議がまとまりましたら改めて著作権分科会において御報告させていただきます。

それでは、まず法制度小委員会の審議経過につきまして、法制度小委員会の主査である私から簡単に御説明させていただきます。

令和4年度の法制度小委員会では、9回にわたりまして、主に簡素で一元的な権利処理方策と対価還元について、立法・行政・司法のデジタル化に対応した著作物等の公衆送信等について、損害賠償額の算定方法の見直しについて、研究目的に係る権利制限規定の創設について、これらの論点について審議を行いました。

審議の結果につきましては、参考資料2として配付しております法制度小委員会の報告書として取りまとめております。

その内容につきましては、先ほど御審議いただきました答申(案)の第1部及び第2部第1章について御説明したものと重複いたしますので、これは割愛させていただきます。

以上です。

続きまして、国際小委員会の審議経過につきまして、国際小委員会の主査である上野委員から御報告をお願いいたします。

【上野分科会長代理】

国際小委員会におきましては、令和4年度、審議を行ってまいりましたけども、その審議状況につきまして、資料3に基づいて御報告申し上げます。

今期の国際小委員会では2点ございまして、1点目が、著作権保護に向けた国際的な対応の在り方について、2点目が、国境を越えた海賊版による著作権侵害に対する対応についてということで審議を進めてまいりました。

前者の1のほうでありますけれども、著作権保護に向けた国際的な対応の在り方については、WIPOにおける、SCCRと言っておりますけども、著作権等常設委員会ですとか、あるいはWIPO加盟国総会の動向等につきまして事務局から報告が行われまして、それに基づき議論を行ってまいりました。

また、放送条約への対応ということに関しましてワーキングチームを設置いたしまして、昨年5月に新たな議長テキストが示されたものですから、これにつきまして検討を行ってまいりました。検討の詳細につきましては5ページ目に別添資料1として添付しております。

以上が1点目でございます。

2点目の国境を越えた海賊版による著作権侵害に対する対応についてということにつきましては、先ほど御審議いただきました答申(案)の内容と重複いたしますので、ここでは割愛させていただきます。

その他、3ページには小委員会の開催状況ですとか、4ページには委員の名簿などを記載しております。

簡単ですけれども、私からは以上です。

【茶園分科会長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまの報告につきまして、御質問等がございましたらお願いいたします。

御質問あるいは御意見等ございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

それでは、議事(3)その他といたしまして、答申にも言及されております分野横断権利情報データベースに係る検討状況につきまして、事務局より報告をお願いいたします。

【渡邉流通推進室長】

著作権課の渡邉でございます。参考資料4に基づきまして、お時間を頂戴しまして、分野横断権利情報データベースの検討状況について御報告をさせていただければと思います。

一昨年の12月に本分科会において取りまとめられました中間まとめにおきまして分野横断権利情報データベース等の活用といった方向性が提言をされたところでございます。これを受けまして、昨年、文化庁におきましては、分野横断権利情報データベースに関する研究会を開催して、その内容の詳細について検討を深めたというところでございます。

1ページ目御覧いただければと思いますけれども、そうした経緯について書かれてございます。

2ページ目につきましては、こういった権利情報集約の過去からの流れなどにつきましてまとめさせていただいているというものでございます。

3ページ目に、まずそもそもということで、こういった分野横断権利情報データベースに期待されることということでございますけれども、中間まとめにおいても十分に整理いただきましたけれども、大きくここで整理しておりますのは、2段落目にありますように、期待されることの第1として、まず、利用者が権利者に著作物の利用許諾を得ようとする際に、権利者に関する情報を探す作業を効率化するということ、そして3段落目でありますけれども、今回、まさに御答申いただきます新制度や著作権者不明等の場合の裁定につきましての探索のプロセスを短縮するというようなことが期待されているということでございます。

3ページ目の下からでございますけれども、まさに本日仁平委員から御指摘ありましたように、それぞれのデータベースとの関係ということがこの研究会におきましても大きく議論になったところでございます。分野ごとのデータベースの役割として、まさにそれぞれの分野の特性、ニーズに応じて、各管理事業者などの努力によって発展をしてきているということでございます。

4ページになりますけれども、そうした各分野のデータベースのメリットとして、個人情報を有したりであるとか、実際の権利処理、対価還元までつなげていけるということが大きなメリットであります。

(2)でありますけれども、そうしたことに対しまして、分野横断の取組がどうあるべきかということに関してですけれども、やはり一般の利用者にとって社会全体にどのような権利情報データベースが存在しているかということを把握するのは難しいということであったりとか、そういう探索を行うということにつきましても一定の知識や経験が必要という状況がございます。

そうしたことを踏まえまして、このデータベースというものは、それぞれのデータベースの充実を前提として、それらのデータベースと連携をして、いわゆるメタ検索などを行って情報を探すような、いわゆる分野横断権利情報検索システムのようなものがよいのではないかということで志向されたというものが大きな考え方でございます。

これについて6ページ目に図がございますけれども、各分野で既に集約されているようなデータベースであるとか、管理事業者のデータベース、ないしは本日仁平委員から発言ありましたようなコンテンツ配信プラットフォームのデータベースであるとか、今回の制度に係るオプトアウトに関する情報など、様々な情報と連携をしながらこの検索システムを構築するというような方向性が示されたところでございます。

それ以降、窓口組織におけるシステムの活用フローなどについて整理をしておりますけれども、最後のほうになりますけれども、12ページの下から、「検索システムの運用と今後の進め方」ということで、より具体的には、運用主体の確立でありますとか、13ページにありますような、まずやはり分野ごとのデータベースの充実が重要だということであるとか、それぞれのデータベースを有する団体との協力というものが前提になってきます。そういったような課題をこちらで整理しまして、文化庁におきましては、来年度の予算案におきまして、こうした検索システムの調査研究に係る予算を計上してございますので、そうした予算も活用しながらこの具体化に努めてまいりたいと考えてございます。

私からの説明は以上でございます。

【茶園分科会長】

ありがとうございます。

ただいま永岡大臣が御到着されましたので、大臣、よろしくお願いします。

それでは、ここで永岡大臣に答申をお渡ししたいと思います。プレスの方がいらっしゃいましたら、入室をお願いいたします。

(報道関係者入場)

【茶園分科会長】

令和3年7月に諮問をいただきました件につきまして、著作権分科会におきまして審議を行い、取りまとめました「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方について」、第一次答申をお渡しさせていただきます。

(答申手交)

【茶園分科会長】

では、永岡大臣から一言御挨拶をお願いできればと思います。よろしくお願いします。

【永岡文部科学大臣】

著作権分科会の皆様、こんにちは。文部科学大臣の永岡桂子でございます。

ただいま茶園分科会長から「デジタルトランスフォーメーション時代に対応した著作権制度・政策の在り方について」、第一次答申をいただきました。

本件につきましては、令和3年の7月の諮問以来、1年9か月にわたりまして大変精力的な御審議をいただきました。

茶園分科会長、そして上野分科会長代理をはじめといたしまして、各委員の皆様方の英知を結集されまして、充実した内容の答申をおまとめいただきましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。

本答申におきましては、デジタル化の急速な進展によりまして、誰もがコンテンツを創作し、そして発信し、さらなる創作のために容易に利用することができるなど、コンテンツの創作・流通・利用の環境が変化している中で、今後の著作権制度の政策のあるべき姿について大きな方向性をお示しいただきました。

また、クリエーターの意思を尊重しながら、迅速な権利処理が行われ、その利益を享受することで、新たな創作につながる仕組みの創設ですとか、国境を越えました著作権の侵害への対策など、今後取り組むべき施策について重要な提言を、提案をいただいたと考えております。

文部科学省といたしましても、この答申を踏まえまして、必要となります制度改正に取り組むとともにまた、関連する施策を進めまして、著作権の権利保護と利用の円滑化という、このバランスを図りながら、文化芸術の発展に尽力してまいりたいと考えております。

委員の皆様方におかれましては、引き続きまして、我が国の著作権制度・政策の充実、また文化芸術の発展のためにさらなるお力添えを賜りますようにお願いしたいと思っております。

本当に今日はありがとうございます。

私からの御挨拶はこれだけでございますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。

【茶園分科会長】

永岡大臣、どうもありがとうございました。

それでは、プレスの方は御退室、お願いいたします。

(報道関係者退場)

【茶園分科会長】

それでは、永岡大臣におかれましては、公務のため、ここで退席されるということでございます。

大変御多忙中の中、本当にどうもありがとうございました。

【永岡文部科学大臣】

茶園分科会長、本当にありがとうございます。皆様、本当にお世話になりました。ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

【茶園分科会長】

どうもありがとうございます。

【永岡文部科学大臣】

申し訳ありません。ここで失礼させていただきます。

【茶園分科会長】

では、先ほど御報告いただきました分野横断権利情報データベース、これに係る検討状況につきまして事務局より報告をいただきましたけれども、この点につきまして御質問、御意見等ございますでしょうか。

よろしいでしょうか。ありがとうございました。

本日は、大臣に対しまして第一次答申を行いましたので、中原文化庁審議官から一言御挨拶をいただければと思います。中原審議官、よろしくお願いします。

【中原文化庁審議官】

文化庁審議官の中原でございます。茶園分科会長より永岡文部科学大臣に答申を手交いただきましたので、一言御礼を申し上げます。

今期の著作権分科会におきましては、令和3年7月の大臣諮問を受けまして、デジタルトランスフォーメーション時代に対応した著作権制度・政策の在り方について、昨年度に引き続き精力的に御審議を頂戴しました。

デジタルトランスフォーメーションという新しく難しい課題につきまして、皆様方に丁寧かつ根気強く御議論を頂戴し、今後の文化芸術の発展につながる著作権制度・政策の在り方に関する御提案を答申の形で取りまとめていただきましたこと、心より感謝を申し上げます。

文化庁といたしましては、この答申の内容を踏まえまして、著作権法の改正に向けた検討や施策の推進、著作権に関する普及啓発を引き続き進めてまいります。

委員の皆様方におかれましては、多大な御尽力を賜りましたことに改めて感謝を申し上げますとともに、今年度におきましても引き続き審議事項がございますので、今後とも御指導を頂戴しますことをお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。

本当にどうもありがとうございました。

【茶園分科会長】

中原審議官、どうもありがとうございました。

では、最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

【小倉著作権課課長補佐】

事務局でございます。事務局からは特段の連絡事項ございません。 以上です。

【茶園分科会長】

それでは、第66回文化審議会著作権分科会をこれで終了とさせていただきたいと思います。

本日はどうもありがとうございました。

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