文化庁が所管する独立行政法人国立美術館は、日本におけるアートの持続的な発展と国際展開を可能とする仕組みの確立を目的に、アート振興の基盤整備と国際発信に持続的に取り組む日本初の総合的な専門組織として、「国立アートリサーチセンター（National Center for Art Research、略称：NCAR）」（センター長：片岡真実）を令和5(2023)年3月28日（火）、法人内に設立します。

グローバル化の進展やSDGs の下での持続可能な社会の模索など、国際社会が大きく変動する中で、世界のアート界やアートの文脈も大きな変化を遂げており、日本としてはアジア各国との協働を進めるなど、世界との新たな関係を構築しながら、日本のアートの価値を力強く発信し、その国際的な評価を高めていくことに取り組む、これまでとは次元の異なる振興策が必要となってきていました。

このような状況を受け、文化庁では、2018（平成30）年度から、日本の現代アートの持続的発展を目指し、国際的な評価を高めていく取組を推進する「文化庁アートプラットフォーム事業」を5年間にわたって展開してきました。当事業では、日本の現代アートの情報プラットフォーム「アートプラットフォームジャパン（https://artplatform.go.jp/ja）」を構築・運営し、「全国美術館収蔵品サーチ「SHŪZŌ」」「日本の現代アートに関する未英訳の重要なテキストの新訳・公開」「リサーチプロジェクト」の3つを軸に、日本における現代アートの今後の発展に向けた土台づくりを進めてきたところです。

今般設立されるNCAR は、文化庁がこれまで進めてきたアートプラットフォーム事業の5年間の成果を継承・発展させる拠点となるものであり、まさに次元の異なる振興を実現する組織として設立されるものです。

また、NCAR の設立は、独立行政法人国立美術館の抜本的な強化という、政府方針を体現するものであり、アートの重要性が格段に増している我が国において、これまでの日本のアート政策に欠けていたアート振興の中核として活動していくこととなります。