会社に対する求償債権を取得した取締役が債権放棄を行った場合、会社に第二次納税義務が生じないとの判断を示し、原審の判断を覆した高裁の裁判例について
今回のテーマは、「会社に対する求償債権を取得した取締役が債権放棄を行った場合、会社に第二次納税義務が生じないとの判断を示し、原審の判断を覆した高裁の裁判例について」です。
東京高等裁判所は、令和3年12月9日、経営状況が悪化した会社が、中小企業再生支援協議会の指導・支援のもとで、取引金融機関から金融支援(債権放棄)を受けるにあたり、会社の取締役からも求償債権の放棄を受けた事案において、取締役が滞納していた所得税等につき、会社に第二次納税義務はないとの判断を示し、会社に第二次納税義務があるとの原審の判断を覆しました。
企業再生の実務において、金融支援を受ける前提として、取締役が保証債務等を履行したうえで求償債権を放棄することは広く行われており、本判決は、企業再生の実務に即した判断がなされたといえます。本ニュースレターにおいては、本判決の事案をご紹介するとともに、本判決と原判決で結論を左右したポイントについて検討します。
なお、原判決については、企業再生・債権管理ニュースレター2021年4月号をあわせてご覧ください。