事業再生ADR不成立後に簡易再生手続を利用して、事業再生ADRで策定した再生計画と同内容の再生計画を短期間で成立させた本邦初の事例
今回のテーマは、「事業再生ADR不成立後に簡易再生手続を利用して、事業再生ADRで策定した再生計画と同内容の再生計画を短期間で成立させた本邦初の事例」です。
従来から、有識者による「事業再生に関する紛争解決手続の更なる円滑化に関する検討会」にて、私的整理手続において反対債権者がいる場合にもなお事業再生を可能にする法的枠組みの一つとして、事業再生ADR不成立後直ちに民事再生の一種である簡易再生手続に移行する、いわゆる「簡易再生運用改善モデル」が議論され、また事業再生ADR等の準則型私的整理手続が不成立となった後の法的整理を円滑に進めるための産業競争力強化法の改正などもされてきました。
今般、弊所が申請代理人として関与したマレリホールディングス株式会社の事業再生ADRにおいては、一部債権者からの同意が得られず、事業再生ADRが成立しなかったことから、直ちに簡易再生手続に移行し、金融債権者のみを対象として、各債権者等の協力の下で、申立てから僅か25日で再生計画案を可決・認可させ、事業再生ADRが成立した場合と同内容のデット・リストラクチャリングを迅速に実現することができました。
本ニュースレターにおいては、このような事業再生ADR不成立後に簡易再生手続を活用したスキームの概要について解説したうえで、本邦で初めて簡易再生スキームを利用したマレリHDの事案を紹介するとともに、今後の法改正に向けた展望について解説いたします。