特集:民法・不動産登記法等の改正、相続土地国庫帰属法の成立

Real Property Registration Act

2021年4月21日、「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)が成立しました(2021年4月28日公布)。これらは、所有者不明土地の発生予防と利用の円滑化の両面から、総合的に民事基本法制の見直しを行うものです。施行日は2023年4月1日(但し、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行については2023年4月27日、相続登記の申請の義務化関係の改正については2024年4月1日、所有不動産記録証明制度の創設関係の改正については2026年2月2日、住所等変更登記の申請の義務化関係の改正については2026年4月1日)です。上記改正法による法改正を、総称して「本改正」といいます。

当事務所では、法制審議会民法・不動産登記法部会における議論段階から検討を重ねてまいりました。その内容及び実務への影響として考えられる事項をご紹介いたします。以下の各項目別に、リンク先にその詳細をまとめたファイルを保存しておりますので、ぜひご参照いただければと思います。なお、第1部が主に所有者不明土地の利用の円滑化を目的とした改正であり、第2部及び第3部が主に所有者不明土地の発生予防を目的とする改正及び新法の制定となっています。

第1部 民法等の見直し

 第1 相隣関係
I 隣地使用権 改正(学説多数説の明確化) 実務上の影響:中 新民法209条
II 竹木の枝の切除等 改正 実務上の影響:小 新民法233条
III 継続的給付を受けるための設備設置権及び設備使用権 新設(判例法理・学説通説の明確化) 実務上の影響:中 新民法213条の2、新民法213条の3
 第2 共有等
I 共有物を使用する共有者と他の共有者との関係等 新設(判例法理の明確化) 実務上の影響:中 新民法249条
II 共有物の変更行為 改正・新設 実務上の影響:中 新民法251条
III 共有物の管理 改正・新設 実務上の影響:中 新民法252条
IV 共有物の管理者 新設 実務上の影響:大 新民法252条の2
V 変更・管理の決定に係る裁判の手続 新設 実務上の影響:大 新非訟事件手続法85条
VI 裁判による共有物分割 改正(判例法理の明確化) 実務上の影響:小 新民法258条
VII 相続財産に属する共有物の分割の特則 新設 実務上の影響:中 新民法258条の2
VIII 所在等不明共有者の持分の取得 新設 実務上の影響:大 新民法262条の2
IX 所在等不明共有者の持分の譲渡 新設 実務上の影響:大 新民法262条の3
X 相続財産についての共有に関する規定の適用関係 新設(現行法の解釈の明確化〉 実務上の影響:小 新民法898条
XI 準共有 改正 実務上の影響:小 新民法264条
 第3 所有者不明土地管理命令等
I 所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令 新設 実務上の影響:大 新民法264条の2~264条の8
II 管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令 新設 実務上の影響:中 新民法264条の9~264条の14
 第4 相続等
I 相続財産等の管理 改正・新設 実務上の影響:小 新民法897条の2、新民法940条、新家事事件手続法146条の2
II 相続財産の清算 改正 実務上の影響:小 新民法936条、新民法952条~958条
III 遺産分割に関する見直し 改正・新設 実務上の影響:中 新民法904条の3、新家事事件手続法199条2項、273条2項、新民法908条2項~5項

第2部 不動産登記法等の見直し

 第1 所有権の登記名義人に係る相続の発生を不動産登記に反映させるための仕組み
I 相続登記等の申請の義務付け及び登記手続の簡略化 新設 実務上の影響:中 新不動産登記法63条3項、76条の2、76条の3、164条1項
II 権利能力を有しないこととなったと認めるべき所有権の登記名義人についての符号の表示 新設 実務上の影響:小 新不動産登記法76条の4
 第2 所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所の情報の更新を図るための仕組み
I 氏名又は名称及び住所の変更の登記の申請の義務付け 新設 実務上の影響:大 新不動産登記法76条の5、164条2項
II 登記所が氏名又は名称及び住所の変更情報を不動産登記に反映させるための仕組み 新設 実務上の影響:小 新不動産登記法76条の6
 第3 登記所が他の公的機関から所有権の登記名義人の死亡情報や氏名又は名称及び住所の変更情報を
 取得するための仕組み
  新設 実務上の影響:小
 第4 登記義務者の所在が知れない場合等における登記手続の簡略化
I 登記義務者の所在が知れない場合の一定の登記の抹消手続の簡略化 改正・新設 実務上の影響:中 新不動産登記法70条、69条の2
II 解散した法人の担保権に関する登記の抹消手続の簡略化 新設 実務上の影響:中 新不動産登記法70条の2
 第5 その他の見直し事項
I 登記名義人の特定に係る登記事項の見直し 新設 実務上の影響:小 新不動産登記法73条の2第1項1号、同条2項
II 外国に住所を有する登記名義人の所在を把握するための方策 新設 実務上の影響:中 新不動産登記法73条の2第1項2号、同条2項
III 附属書類の閲覧制度の見直し 改正 実務上の影響:小 新不動産登記法121条
IV 所有不動産記録証明制度の創設 新設 実務上の影響:大 新不動産登記法119条の2
V 被害者保護のための住所情報の公開の見直し 新設 実務上の影響:小 新不動産登記法119条6項

第3部 土地所有権の国庫への帰属の承認等に関する制度の創設

I 土地所有権の国庫への帰属の承認等に関する制度の創設 新設(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律) 実務上の影響:小

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